JPH0450433B2

JPH0450433B2 -

Info

Publication number: JPH0450433B2
Application number: JP62212136A
Authority: JP
Inventors: Haruo Oono; Noboru Igarashi
Original assignee: Nitto Boseki Co Ltd
Current assignee: Nitto Boseki Co Ltd
Priority date: 1987-08-26
Filing date: 1987-08-26
Publication date: 1992-08-14
Also published as: JPS6461599A

Description

【発明の詳細な説明】

〔産業上の利用分野〕本発明は鉱物質繊維板であつて、不燃性，耐火
断熱性，吸音性能に加え調湿性能を具備した鉱物
質繊維板に関するものである。〔発明の背景〕鉱物質繊維板は不燃性，耐火断熱性，吸音性を
有しているため、建築内装材等として広く使用さ
れている。他方、美術品，工芸品その他高価な芸術品等の
保存，輸送等には、一定の相対湿度に保持するこ
とが必要である。しかし、鉱物質繊維板の材料である岩綿，鉱滓
綿（通常ロツクウールと称される），ガラスウー
ル等には、湿気を吸収したり又は放出したりする
性質（以下吸放湿性能という）が極めて乏しく、
かかる鉱物質繊維の内装材に吸放湿性能を付与す
ることが要望されている。〔従来の技術〕従来、内装材として使用する成形体について湿
度調節用シート状物（特開昭58−51921号公報）
及び吸放湿性繊維成形体（特開昭61−282465号公
報）等が知られている。前者は、粉末にした湿度調節剤が吸放湿性及び
良好な湿度応答性を有する繊維に結合されている
ものであつて、茲で使用する繊維はミツマパルプ
等の木材繊維であつて、本来吸放湿性能を有して
いない鉱物質繊維（ロツクウール等では25℃，90
％RHでの水分吸着量は0.1重量％である）等は到
底使用することができない。また、後者は親水性粉末の表面に、フエノー
ル，ユリア，メラミン，ウレタン等の樹脂からな
るバインダーを吹付けて親水性粉末の全表面を被
覆し、該バインダーで鉱物質繊維同士を結合して
いるものである。しかし、後者のものは調湿させたい空気と親水
性粉末とが直接触れ合うことが極めて少ない。吸放湿性は、本来その材料としての吸放湿性能
を有することのほか環境の湿度と平衡する応答速
度が早いほど好ましい。例えば建築物の内装材として使用する場合、昼
間は機械的な空調設備（エアコンデイシヨナー）
を使用することが多く、夜間は停止され、室内は
外気と遮閉された状態となる。また、夜間は外気
温が低下する場合が多く、室内の相対湿度が上昇
し易い。このような湿度変化に対応するために
は、吸放湿応答速度が遅すぎると（６時間以上）、
調湿材料としては不適当である。従つて後者の吸放湿性能は必ずしも十分ではな
い。つまり、従来不燃性，耐火断熱性を有し、か
つ十分な吸放湿性能を有する鉱物質繊維板は今ま
での処開発されていない現状である。〔本発明が解決しようとする問題点〕本発明は前述従来の欠点を改善するため研究の
結果、岩綿，ロツクウール，カラスウール等の鉱
物質繊維板に、不燃性，耐火断熱性を損うことな
くこれに吸放湿性を具備した鉱物質繊維板を提供
することにある。〔問題点を解決するための手段〕本発明は鉱物質繊維55〜80重量％、無機質吸放
湿剤として粒子径が32〜325メツシユのシリカゲ
ル５〜30重量％、ゲル状セルロース２〜３重量％
並びに有機質結合剤、無機質結合剤及び助剤の合
計３〜20重量％（但し全固形分中の有機成分は７
重量％以下）の組成からなる水性スラリーを抄
造、成型、乾燥、硬化して得られる鉱物質繊維の
密度が250〜500Kg／m³である不燃性、耐火断熱性
を有し、かつ吸放湿性を具備している鉱物質繊維
板である。〔作用〕本発明は以上の如き構成のものからなり、茲に
使用する鉱物質繊維は岩綿，ロツクウール，ガラ
スウールの中から選択される。本発明の鉱物質繊
維板は軽量性及び適性な空気流通性を得るため、
鉱物質繊維の密度は250〜500Kg／m³とする。250
Kg／m²以下では繊維板の強度が不足し、また500
Kg／m³以上では通気性が低下し、吸放湿応答速度
が不足する。なお、全固形分に対する鉱物質繊維
の量は55〜90重量％とする。また、本発明で使用する無機質吸放湿剤は非晶
質の天然又は合成のシリカゲルを32〜325メツシ
ユに調整したものを５〜30重量％使用する。図面は吸放湿剤の相対湿度に対する吸放湿率を
模式的に示したものであるが、材料Ａは相対温度
の上昇により吸放湿率が急激に増加しており、こ
れに対し材料Ｂは相対湿度の上昇によつても吸放
湿率は10％以下である。本発明で使用するシリカゲルは多少のヒステリ
シスあるものの図中の材料Ａの範囲のもので、最
も優れた吸放湿性を有する。因みに通常無機結合
剤又は無機充填剤として用いられているゼオライ
ト，モンモリロナイト，ケイソウ土等は図面中の
材料の範畴に属するもので吸放湿剤として使用で
きない。また、同時に図面中に示したようにロツ
クウールの吸放湿曲線は相対湿度（RH）90％で
あつても0.1％以下と僅かで吸放湿性は無いと考
えられる。また、前記無機質吸放湿性の粒径が32メツシユ
より粗くなると、吸放湿応答速度が低下し、適性
な調湿性能を発揮できないし、また325メツシユ
より細かくなると濾水性が急激に悪くなり生産効
率上好ましくない。本発明の主成分である鉱物質繊維の表面は、化
学的，物理的な吸着能力が極めて劣り、単独では
吸放湿剤を繊維中に止めことはできない。また、不燃性を保持するためには有機成分であ
るパルプセルロース等は極力少量に止める必要が
ある。無機質吸放湿剤のリテイン率を高め、しか
も不燃性を保持するため、本発明は通常の製紙に
用いられるパルプセルロースの叩解度（カナデイ
アンスタンダード）300〜400ml程度に対し、パル
プセルロースは５〜20mlの高度に叩解したゲル状
のものを使用する。かかるゲル状パルプセルロー
スを用いることによつて添加量２〜３重量％の少
量で無機質吸放湿剤を５〜30重量％を可能とし、
かつ鉱物質繊維板の不燃性を保持することができ
る。また、本発明は生澱粉に代表される無機質結
合剤、コロイド状アタパルジヤイトに代表される
無機質結合剤、硫酸アルミニウ18水塩に代表され
る助剤が使用される。尚、本発明の鉱物質繊維板は、建設省告示第
1828号「不燃材料の指定」第二に規定されている
基材試験に合格するため、ゲル状セルロース２〜
３重量％の範囲にすると共に、全固形分に対する
有機成分を７重量％以下とすることにより、濾水
性，吸放湿剤のリテイン率を損うことなく不燃性
を達成することができる。即ち、本発明は無機吸放湿剤の粒径と、パルプ
セルロースの叩解度と、鉱物質繊維の密度との相
乗効果によつて、100秒以下の濾水性、90％以上
の無機吸放湿剤のリテイン率等の成型性が得ら
れ、また得られる鉱物質繊維板は岩綿，ロツクウ
ール，ガラスウール等の普通に用いられている鉱
物質繊維を用いた鉱物質繊維板であつて、不燃
性，耐火断熱性を損うことなく、100ｇ／m²以上
の吸放湿量と、３時間以内の吸放湿応答速度の吸
放湿性を具備することができる。つぎに本発明の製造法を例示すれば、鉱物質繊
維55〜80重量％、粒子径が32〜325メツシユのシ
リカゲル５〜30重量％、ゲル状セルロース２〜３
重量％、有機質結合剤２〜４重量％、無機質結合
剤３〜13重量％、助剤１〜３重量％で、無機質結
合剤、無機質結合剤及び助剤の合計３〜20重量％
（但し全固形分中の有機成分は７重量％以下とす
る）の混合物を10〜100倍の水に均一に分散し、
固形分が１〜８重量％程度の水性スラリーとし、
該スラリーをフオードリニア，丸網型等の抄造機
を用いて抄造，形成し、乾燥，硬化させるという
簡単な方法で鉱物質繊維密度250〜500Km／m³の鉱
物質繊維板が製造できる。しかも、前記水性スラリーは濾水性も良好であ
るため生産性も良好であり、また無機質吸放湿剤
のリテイン率を90％以上とすることができるとい
う利点もある。〔実施例〕つぎに本発明の構成を以下実施例によつて具体
的に説明する。表−１の実施例１〜２欄に記載し
た各組成成分からなる固形成分（1000ｇ）を水に
分散させて４重量％の水性スラリーを作製し、こ
れを実験室のテスト抄造機で抄造，減圧脱水し、
ついでプレス成型機でプレス成形し、さらに熱風
乾燥機で200℃、２時間乾燥，硬化させて夫々鉱
物質繊維板を得た。前記水性スラリーの成型濾水時間，リテイン率
並びに得られた鉱物質繊維板の吸放湿量，吸放湿
応答速度，密度，曲げ強さ不燃性を併せ表−１に
示す。

【表】比較例表−２は比較例１〜６欄に記載した各組成成分
からなる固形成分（1000ｇ）を水に分散させて４
重量％の水性スラリーを作製し、以下実施例にお
ける操作と同様に操作して鉱物質繊維板を得た。
この場合の成型性，鉱物質繊維板の物性を表−２
に併記する。

〔発明の効果〕

以上の如く本発明は鉱物質繊維板に所定の粒径
の無機質吸放湿剤と、特定の叩解度からなるパル
プセルロース及び鉱物質繊維密度との組合せによ
り、こられの効果が夫々相乗されて鉱物質繊維板
の有する不燃性，耐火断熱性等を損うことなく、
さらに吸放湿性を具備するものたらしめることが
できるため、建築物の内装材、特に美術館，博物
館等の内装材に好適であり、美術品等の湿度に起
因する弊害を防止できるという効果を奏すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

図面は吸放湿剤の相対湿度に対す吸放湿率の模
式的グラフである。

Claims

【特許請求の範囲】

１鉱物質繊維55〜80重量％、無機質吸放湿剤と
して粒子径32〜325メツシユのシリカゲル５〜30
重量％、ゲル状セルロース２〜３重量％並びに有
機質結合剤、無機質結合剤及び助剤の合計３〜20
重量％（但し全固形分中の有機成分は７重量％以
下）の組成からなる水性スラリーを抄造、成型、
乾燥、硬化して得られる鉱物質繊維密度250〜500
Kg／m³からなる不燃性及び吸放湿性を具備してい
ることを特徴とする鉱物質繊維板。