JPH0449887Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は移植用苗を育苗するための育苗箱に
関するものである。

［従来の技術］ 従来より、水稲、そ菜等の移植苗の育苗に紙筒
集合鉢体苗を育苗床とし、これをプラスチツク製
の育苗箱に入れて育苗し、移植時に育苗箱より取
出し移植機により圃場に移植することが行なわれ
ている。又水稲の場合などは紙筒集合鉢体を使用
せず、育苗箱に直接床土を充填して育苗を行つて
マツト苗を形成せしめ、これを田植機に供せし
め、圃場に移植している。これら移植用苗の育苗
に使用される育苗箱は、いずれも木製あるいはプ
ラスチツク成型品で四周には所定高さの側壁が固
定され、単層の底面には灌水された水を排水する
通水孔が直接育苗箱載置土面に対応するように穿
孔されているものである。

［考案が解決しようとする問題］ 従来の育苗箱は上記した様に、単層の底部に通
水孔を有していることより、その使用に際しては
土面上に載置して育苗すると通水孔より根部が下
面土中へ伸長し、土面上より育苗箱を取外すこと
が困難になる。又育苗箱は毎年使用されるもので
あり、使用ごとに洗滌し保管するが箱型に成形さ
れているため隅部の洗滌は容易でなく又保管場所
も嵩張るものとなる等の問題点を有している。

本願考案はこの様な従来の欠点を改良すべく鋭
意研究の結果為されたものであり、その目的とす
るところは、使用に際しては簡単に箱体を構成し
ながら不使用時には平面体とすることができ、又
底面に設けた通水孔は直接土面上に対応せず排水
せしめる様構成した育苗箱を提供せんとするもの
である。

［問題を解決するための手段］ 上記目的を達成するために本考案における育苗
箱は中間に空間を有する上下２枚の薄板にて構成
された中空構造板を使用し、この中空構造板を一
枚の板体として底部、側壁部を一体的に構成した
育苗箱としてあるものであり、この為、板体の一
方の面には側壁を構成させると共に排水口をも兼
ねる切込線が設けられ、この切込線の反対面対応
部が折曲部として構成される。底面部には中空構
造板の内面側板にのみ排水の為の通水孔を設けて
ある。切込線は長方向の両先端又は短方向の両先
端の４ケ所については側壁高さ分に相当する長さ
を中空構造板の上下板を貫通する打抜線としてあ
り、切込線対応部を内側とした折曲部により側壁
を形成して箱体を組立てる時打抜線による先端片
部は隣接側壁と重ね合せ部としてある。この育苗
箱に使用する中空構造板は通常４〜6m.m.厚程度
の中空プラスチツク構造板が用いられるが耐水性
を有し相当の剛性を有する樹脂含浸ダンボール板
の使用も差支えない。

［作用］ この育苗箱は中空構造板にて構成して、通水孔
を中空構造板内面板のみに穿孔したことにより、
灌水された水は中空構造板中空部を流れ折曲部切
込線より排出されるものであり、またこの育苗箱
内の紙筒集合鉢体等の育苗床は、中空構造板内側
板上面に設置されているので中空構造板下側面に
当接する土壌面には通水孔を介しての接触が全く
ないものである。

［実施例］ 実施例について図面を参照して説明する。

第１図〜第４図において、１は所定大きさの長
方形とされた中空構造板で、上面板１ａ及び下面
板１ｂの間に中空部１ｃを形成する枠体１ｄにて
構成されており、通常中空プラスチツク構造板が
使用されるが同様の中空構造板と剛性を有する樹
脂含浸ダンボール板も使用できる。２は中空構造
板１の下面板１ｂに設けた切込線で中空構造板１
の各側辺と平行して側辺からの巾ｔは育苗箱の側
壁２ａ高さとなる所定巾としてある。３は育苗箱
を組立るための打抜線で、中空構造板１の上面板
１ａ及び下面板１ｂの長側辺平行方向の切込線の
両先端又は短側辺平行方向の切込線のいずれかを
側壁高さ分打抜いてあるもので、この打抜線３を
設けたことにより育苗箱側壁２ａの長側両端又は
短側両端は育苗箱組立時に隣接する側壁の上面に
重ね合わさる重合部３ａとなる。５は中空構造板
１の上面板１ａの面で育苗床底部となる位置に多
数穿孔した通水孔であり、下面板１ｂまでは通孔
していない。この考案は上記のような構成であり
使用に当つては常時平板状とされている育苗箱の
組立ては、中空板１の下面板１ｂに側壁２ａ高さ
分の巾に切込線を設けてあるので、切込線２部に
対応した上面板１ａ部にて容易に内側に織り曲が
る側壁２ａが水平状とした底面部に対し垂直状と
した起立状態とすることができ、更に打抜線３に
て設けられた側壁２ａの先端にある重合片部３ａ
は隣接側壁４ａ上に重ね合せ折り曲げれば箱状体
とした育苗箱を形成することができる。このまま
では側壁２ａは容易に拡開するので重合片部３ａ
と隣接側壁４ａの重合部を粘着テープ６を張りつ
け固定するものであるが、側壁２ａと重合片部３
ａの重合対応部に各々取外し自在となる係合具を
設置してもよい。次にこの考案の育苗箱を使用し
た実際の育苗状態について、集合育苗鉢体として
ペーパーポツト（商品名、日本甜菜製糖株式会社
製）を使つた場合を説明すると、ペーパーポツト
展開板上に展開したビート用のペーパーポツトNo.
１（径19m.m.×高130m.m. 20列×70段 1400
本／冊）に床土を充填しその上面より育苗箱（内
法 巾305m.m.×長1200m.m.×厚5m.m. 中空プ
ラスチツク構造板に側壁高さ130m.m.の切込線及
び打抜線と底面部に径3m.m.の通水孔を千鳥状に
36ケ所設けて組立て粘着テープ６にて側壁重合部
を接着）を被ぶせて反転し甜菜種子を播種し、覆
土後40日間育苗した。灌水により余剰水は育苗箱
側壁下端の切込線よりスムーズに排水され、各筒
鉢体内の育苗は均一となり、移植苗は全くむらの
ないものとなつた。移植時は接着した粘着テープ
を除去すると側壁が四方に拡がり容易に取出すこ
とができた。

［効果］ この考案による育苗箱は、１枚の中空構造板に
切込線、打抜線、通水孔を設けることで一枚の平
板に側壁、底面部が一体的に出来るのでその加工
も極めて簡単で、又不使用時は平板状として収納
できるので嵩張ることがなく、更には通水孔が中
空構造板の下面板には通孔していないので上面板
通水孔よりた出た根の育苗箱下面土壌内への侵入
がなく、上面板通水孔より中空部に排水する余剰
水は下面板に設けた切込線が育苗箱を形成した時
に側壁外面に中空部を外側に開放して形成した排
水溝より排水されるので、各通水孔からの排水は
均等となり育苗箱での育苗は中央部も隅も均一で
極めて良好となるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すものであり、第
１図は本考案を展開した正面図、第２図は組立斜
視図、第３図は断面図、第４図は第３図Ａ部拡大
図、 １……中空構造板、２……切込線、３……打抜
線、５……通水孔。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 所定大きさの長方形としてある中空構造板の
   各辺と平行して、複層とした中空構造板片面の
   みを切込む側壁高さ巾の切込線が設けられ、前
   記切込線により形成される育苗箱底面部には中
   空構造板の前記切込線設置面の反対面にのみを
   貫通する多数の通水孔を穿孔し、前記切込線長
   方向の両端部又は短方向の両端部は側壁高さ分
   を複層の中空構造板両面を打抜線としてあるこ
   とよりなる組立可能な育苗箱。 (2) 長方形の中空構造板に切込線と打抜線を設け
   て側壁の長方向部又は短方向部の一部を重合せ
   しめ育苗箱を形成し、これを固定するに当り側
   壁重合部を脱着可能な粘着テープにて接着して
   ある組立可能な育苗箱。 (3) 中空構造板が中空プラスチツク構造板又は樹
   脂含浸ダンボール板である実用新案登録請求の
   範囲第１項又は第２項の組立可能な育苗箱。