JPH0449003Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は車両の急停止または衝突の際に、乗員
に対する危険防止のため、所定以上の外力に対し
脱落可能とした車両用脱落式インナーミラー取付
装置に関する。

［従来の技術］ 従来の車両用脱落式インナーミラーは、フロン
トガラスまたは車室天井前縁端の被着体に設けら
れたベースにベースステーを介在させてインナー
ミラーを保持するステーを取付け、前記ベースス
テーとステーとの間に皿ばねとセツトスクリユー
とにより脱落機構を形成させている。前記脱落機
構のみを使用する場合は脱落機能が不充分である
ため、例えば第６ａ図に示すようにベース２にベ
ースステー３を重ね、ベースステー３の中央凹所
に配置したステー４と前記ベース２との間に脱落
機構５を介置してセツトした組立体を用意し、こ
れのベース２を予めフロントガラス等に固着した
嵌合板金１に嵌合取付けるものが用いられてい
る。

［考案が解決しようとする課題］ インナーミラーを保持するピボツトＰに斜め上
方からの外力がF₁を受けると、皿ばねとセツト
スクリユーによる脱落機構５の作用により前記組
立体が脱落するが、インナーミラーを保持するピ
ボツトＰに斜め下方からの外力F₂のを受けると、
脱落機構５に脱落回動モーメントの発生がなく、
脱落が困難となる場合があり、法規を満足するた
めにもまた車両搭乗者の安全保持の点からも、上
記欠点をカバーする必要がある。そのため、第６
ａ図のように嵌合板金１の前端にベース２の前縁
をクランプする弾性係合部１ａを設けたものが知
られている。この場合には、上記斜め下方からの
外力F₂を受けたとき、ベース２はステー４を保
持したまま第６ｂ図の矢印Ｒの方向にスライドし
て嵌合板金１より離脱し、前記外力F₁による脱
落機構と合せて二重の脱落機能を果している。し
かしながら、皿ばねとセツトスクリユーなどの脱
落機構を設けているため構造は複雑化され、部品
点数組立工数の増大とコスト高を免れない状況に
ある。

また嵌合板金１はプレス曲げ加工製品であるた
め、機能的にも前記スライドにより脱落する場合
は脱落荷重が安定しない。

本考案は、上記課題を解決して脱落荷重を適当
値に随意設定できるとともに確実に作動するイン
ナーミラー取付装置を提供することを目的とする
ものである。

［課題を解決するための手段］ 上記目的を達成するため、本考案は、車両フロ
ントガラス上部または車室天井の前縁端付近の被
着面に固着したベースの下面に嵌合凹部を形成し
てインナーミラー傾動保持用ステーの基部を脱落
可能に嵌合させたインナーミラー取付装置であつ
て；嵌合凹部の側壁対向位置に左右一対の係合凹
部を形成し；ステー基部の横方向に貫通孔を設け
ると共に、貫通孔両端部分には貫通孔内方に円錐
面を有し外方に球状突部を有して前記係合凹部に
係合する一対の球状突出ピンを摺動自在に挿合
し；ステーの軸部内縦方向には、前記貫通孔の中
央部に連通させた収納室を設けて、プランジヤと
プランジヤを上方に押圧するスプリングとを収納
し；前記プランジヤの先端部分は、前記両球状突
出ピンの円錐面に当接し、かつプランジヤの上昇
力を球状突出ピンの係合凹部への押圧力に変換す
る円錐状カムを形成してなることを特徴とする。

ベースの嵌合部にステーの基部を押込むと、ス
テー軸部内に収納したプランジヤによつて横方向
に完出傾向を付与された左右の球状突出ピンが、
ベース側の係合凹部に弾力的に係合してステーが
保持される。

また、装着後の外力の作用に対しては挿入ガイ
ド端を支点とする回動モーメントないし斜め下方
への回動モーメントが発生して外力の作用方向に
関係なく、ステーはインナーミラーとともに容易
にベースより脱落する。

［実施例］ 以下、実施例について図面を参照して説明す
る。第１図は本考案のインナーミラー取付装置の
縦断面図、第２図は第１図の−線断面図、第
３図は第１図の−線拡大断面図、第４図は本
考案の分解斜視図である。

図において、１０はベース、２０はステーであ
る。図に示すようにベース１０は被着面５０に沿
つた挿入嵌合形の嵌合凹部１１よりなる箱形構造
で、挿入ガイド端１２と挿入ガイド１３，１３の
内側面１３ａ，１３ａとを有している（第４図）。
挿入ガイド内側面１３ａ，１３ａの対抗位置に左
右一対の係合凹部１４，１４を形成し、この係合
凹部にステー２０の基部２１に設けた左右一対の
球状突出ピン３４，３４を係合させてステー装着
時にステー２０を弾力的に保持する。また挿入ガ
イド端１２はめねじ１５を設け、該めねじ１５に
よりステー装着時のガタ防止用の係止ピン１６、
スプリング１７、セツトねじ１８よりなる球状係
止部１５ａを形成させてある。

ステー基部２１の横方向（第４図のＹ−Ｙ方
向）に貫通孔２４を設け、貫通孔の両端部分に前
記球状突出ピン１４，１４を摺動自在に挿合す
る。この球状突出ピン１４，１４は、それぞれ貫
通孔内方に円錐面３４ｂを有し、外方には前記係
合凹部１４に係合する球状突部３４ａを形成させ
ている。なお、第４図中Ｘ−Ｘ線は、ステーのベ
ース装着時の挿入方向を示している。

ステー軸部２２内縦方向には、前記貫通孔２４
の中央部に連通させた収納室２５を設けて、プラ
ンジヤ３１とプランジヤを上方に押圧するスプリ
ング３３とを収納する。

前記プランジヤ３１の先端部分は、前記両球状
突出ピン３４の円錐面３４ｂに当接し、かつプラ
ンジヤの上昇力を球状突出ピン３４の係合凹部１
４への押圧力に変換する円錐状カム３１ａを形成
している。

なお、前記基部側面２１ａには、球状突出ピン
３４，３４を貫通孔２４に収納後切欠部３７，３
７を持つ嵌着リング３５を圧入又は接着剤により
セツトし、前記切欠部３７，３７より前記球状突
出ピン３４，３４が突出自在にしてある。

前記基部側面２１ａには前記挿入方向Ｘ−Ｘの
矢印方向に凹部２６を設け、ステー２０のベース
１０への装着時には嵌着リング３５の開孔部３６
を介して前記ガタ防止用の球状係止部１５ａの係
止ピン１６を係止させる。

上記構成であるので、組立時には第４図に示す
ようにステー２０の貫通孔２４に球状突出ピン３
４，３４を収納したのち、嵌着リング３５を嵌着
圧入し切欠部３７，３７より前記球状突出ピン３
４，３４の球状突出部を突出させる。

ついで、軸部２２の収納孔２５に円錐状カム３
１ａ付きプランジヤ３１、押圧用のスプリング３
２を収納した後、セツトスクリユー３３により適
当な押圧力が突出部３４ａ，３４ａに伝達される
ようセツトする。

すでにガタ防止用の球状係止部１５ａがセツト
され、かつ被着面に固着してあるベース１０の嵌
着凹部１１に前記組立てを終了したステー２０を
矢印Ｘ−Ｘ方向より挿入すれば、前記球状突出ピ
ン３４，３４は係合凹部１４，１４に係合すると
ともにガタ防止用の球状係止部１５ａはステー２
０の凹部２６に係止し、ステー２０はインナーミ
ラーとともにベース１０に弾力的に保持される。
なお、装着終了後盲蓋４０を第４図に示すように
凸部４９と凹部１９とにより嵌着する。

上記のようにして装着されたインナーミラーは
外力の作用に対して第５ａ図，第５ｂ図に示すよ
うにそれぞれ適当な態様を以て脱落する。すなわ
ち、第５ａ図に示すように外力F_Aが作用したと
きは、回動モーメントＡが発生し、押圧用スプリ
ングを押し下げ、球状突出ピン３４，３４は係合
凹部１４，１４より離脱して球状係止部の係止ピ
ン１６を支点して回動脱落する。

また、第５ｂ図に示すように外力F_Bが作用し
たときは回動モーメントＢが発生し、球状突出ピ
ン３４，３４は係合凹部１４，１４より離脱し、
ステー２０は斜め下方へスライドしながら脱落す
る。

［考案の効果］ 本考案によれば、ステー基部の左右に摺動自在
に設けた球状突出ピンを、ステー軸部内のプラン
ジヤの円錐カム面で押圧してベース内の係合凹部
に押付けるようにしたものであるから、ベースの
嵌合凹部にステー基部を押圧するだけで簡単にス
テーを装着することができる。また法で規定する
いかなる作用方向の外力に対しても回動モーメン
トが適宜発生し、容易に脱落させることができる
インナーミラー取付装置を提供できる。しかも、
ステーの軸部に内蔵したスプリングの弾力により
左右の球状突出ピンに係合力を発生させるため、
特別な工具を使用することなく、ワンプツシユで
安定した装着を行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のインナーミラー取付装置の縦
断断面図、第２図は第１図の−線断面図、第
３図は第１図の−線における拡大断面図、第
４図は同じく分解斜視図、第５ａ図，第５ｂ図は
同じく外力の作用に対し脱落するそれぞれの態様
を示す図、第６ａ図は従来のインナーミラー取付
装置を示す縦断断面図、第６ｂ図は同じく外力の
作用に対し、回動モーメントによる脱落機構が作
動しない場合のスライドによる脱落の状況を示す
図である。 １０……ベース、１１……嵌合凹部、１２……
挿入ガイド端、１３……挿入ガイド、１４……係
合凹部、１５ａ……球状係止部、１６……係止ピ
ン、２０……ステー、２１……基部、２１ａ……
基部側面、２２……軸部、２４……貫通孔、２５
……収納孔、３１……プランジヤ、３１ａ……円
錐状カム、３２……押圧用スプリング、３３……
セツトスクリユー、３４……球状突出ピン。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 車両フロントガラス上部または車室天井の前縁
   端付近の被着面に固着したベース１０の下面に嵌
   合凹部１１を形成してインナーミラー傾動保持用
   ステーの基部２１を脱落可能に嵌合させたインナ
   ーミラー取付装置であつて、 嵌合凹部１１の側壁対向位置に左右一対の係合
   凹部１４を形成し、 ステー基部２１の横方向に貫通孔２４を設ける
   と共に、貫通孔両端部分には貫通孔内方に円錐面
   ３４ｂを有し外方に球状突部３４ａを有して前記
   係合凹部１４に係合する一対の球状突出ピン３４
   を摺動自在に挿合し、 ステーの軸部２２内縦方向には、前記貫通孔２
   ４の中央部に連通させた収納室２５を設けて、プ
   ランジヤ３１とプランジヤを上方に押圧するスプ
   リング３３とを収納し、 前記プランジヤ３１の先端部分は、前記両球状
   突出ピン３４の円錐面３４ｂに当接し、かつプラ
   ンジヤの上昇力を球状突出ピン３４の係合凹部１
   ４への押圧力に変換する円錐状カム３１ａを形成
   してなることを特徴とするインナーミラー取付装
   置。