JPH0445285Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は電力増幅器の改良に関する。

一般に、電力増幅器は、第１図に示すように、
電圧増幅部１と、直列接続した第１、第２のエミ
ツタ抵抗r₁，r₂を介してプツシユプル接続された
第１、第２の出力トランジスタQ₁，Q₂を有する
電力増幅部２とからなり、この電力増幅部２の出
力を帰還回路３を介して電圧増幅部１の入力側へ
負帰還した構成である。

そして、このような電力増幅器がＢ級動作、
AB級動作をする場合、第１、第２の出力トラン
ジスタQ₁，Q₂は信号の正側半サイクル、負側半
サイクルでそれぞれ導通するため、第１、第２の
出力トランジスタQ₁，Q₂に流れる電流は入力信
号の半波に近い波形となり、また、電源電流も同
様に入力信号の半波に近い波形となる。このよう
な波形の電流は入力信号の高調波成分を多く含ん
でおり、歪成分が大きいことが知られている。

ところで、実際の電力増幅器は電圧増幅部１、
電力増幅部２、帰還回路３およびその他の回路が
一枚の印刷配線基板４に実装されることがほとん
どである。そして、印刷配線基板４では、たとえ
ば第２図に示すように、第１、第２の出力トラン
ジスタQ₁，Q₂のエミツタをエミツタ導箔５ａ，
５ｂを介して第１、第２のエミツタ抵抗r₁，r₂に
それぞれ接続し、この第１、第２のエミツタ抵抗
r₁，r₂を必要に応じてジヤンパー線６を介して接
続した出力部導箔７（電力増幅部２の出力点））
に接続する。出力部導箔７はフイルタ回路部８な
どを経た後、ジヤンパー線（または導箔）９を介
して出力端子１０（点）に接続される。この出
力端子１０とジヤンパー線９との間には保護用リ
レー１１が挿入されることが多い。一方、出力部
導箔７は負帰還部導箔１２を通して帰還回路３に
接続されるが、この負帰還部導箔１２は第１、第
２の出力トランジスタQ₁，Q₂、エミツタ導箔５
ａ，５ｂ、コレクタ導箔１３ａ，１３ｂおよび電
源供給部導箔１４ａ，１４ｂから十分遠い点を
経て、すなわち、第１、第２の出力トランジスタ
Q₁，Q₂およびこれらに関連する上記導箔５ａ，
５ｂ，１３ａ，１３ｂ，１４ａ，１４ｂと負帰還
部導箔１２との間の電磁結合が十分小さく実際上
無視しうる点を経て、帰還回路３に接続され
る。

ここに、負帰還部導箔１２は電力増幅部２の出
力を入力側へ負帰還する関係上第１、第２の出力
トランジスタQ₁，Q₂およびこれらに関連する上
記導箔の近傍に配置されることになる。そして、
この第１、第２の出力トランジスタQ₁，Q₂およ
びこれらに関連する上記導箔には、上記のように
入力信号の半波に近い波形の、入力信号の高調波
成分を多く含み歪成分が大きい電流が流れてい
る。

したがつて、負帰還部導箔１２の−間の導
箔部および出力取出し部−には、第１、第２
の出力トランジスタQ₁，Q₂およびこれらに関連
する上記導箔との間の電磁結合により、それぞれ
異なる誘導電圧が発生し、これらの誘導電圧が歪
成分として出力端子１０（点）に出力される。

今、第３図の等価回路において、電力増幅器の
出力点、出力端子１０（点）の電圧をそれぞ
れV₁，V₀とし、電力増幅器のオープンループ利
得A₀が十分大きいものとすると、 V₁＝R₁＋R₂／R₁E_S＋E₁ V₀＝V₁＋E₂ ただし E_S：入力信号電圧 E₁：−間の誘導電圧 E₂：−間の誘導電圧 R₁，R₂：帰還回路３の抵抗 となる。両式より V₀＝R₁＋R₂／R₁E_S＋（E₁−E₂） ……(1) となり、点には入力信号電圧E_Sに比例した成分
のほかに、誘導電圧成分（E₁−E₂）が出力され
る。

そして、第１、第２の出力トランジスタQ₁，
Q₂およびこれらに関連する導箔、負帰還部導箔
１２の−間、出力取出し部−の位置する
空間の磁束分布は一様ではなく、かつ、第１、第
２の出力トランジスタQ₁，Q₂およびこれらに関
連する導箔と導箔部−、出力取出し部−
との間の電磁結合係数は同一ではなく、それぞれ
異なるので、上記導箔部−、出力取出し部
−を平行に近接して配置したとしても、 E₁≠E₂ となり、出力電圧V₀には誘導電圧成分（E₁−E₂）
が含まれることになり、このような欠点はさけら
れなかつた。

本考案はこのような従来欠点を改良したもの
で、以下図において説明する。図中、第１図ない
し第３図の従来例と同等部分には同一符号を付
し、その説明は省略する。

第４図において、電力増幅部２の出力点に接
続した第１、第２の導線１５，１６を撚り合わせ
て撚り合わせ導線１７とし、この撚り合わせ導線
１７を印刷配線基板４上の適当な位置を通つて配
線し、電力増幅部２の各配線との間の電磁結合が
実際上無視しうる程度に十分小さい位置において
上記撚り合わせ導線１７を第１、第２の導線１
５，１６に分離し、この第１の導線１５を帰還回
路３に接続し、第２の導線１６を出力端子１０に
接続して出力を取出すようにした構成である。

第５図において、その一具体例を説明する。

出力部導箔７、フイルタ回路部８の導箔１８に
接続した第１、第２の導線１５，１６を撚り合わ
せて撚り合わせ導線１７とし、この撚り合わせ導
線１７を図示のように印刷配線基板４上の適当な
位置を通つて引廻し、負帰還部導箔１２の点付
近で第１、第２の導線１５，１６に分離し、第１
の導線１５を上記点に接続し、第２の導線１６
を保護用リレー１１を介して出力端子１０に接続
する。

以上の構成は、電力増幅器２の出力点から第
１、第２の出力トランジスタQ₁，Q₂およびこれ
らに関連するエミツタ導箔５ａ，５ｂ、コレクタ
導箔１３ａ，１３ｂ、電源供給部導箔１４ａ，１
４ｂとの間の電磁結合が密な部分を、第１、第２
の導線１５，１６からなる撚り合わせ導線１７に
よつて配線したので、第１、第２の導線１５，１
６に鎖交する磁束数は−、−の部分で同
一になる。

したがつて、−間、−間に誘導される
電圧E₁，E₂は、 E₁＝E₂ となり、(1)式から明らかなように、 V₀＝R₁＋R₂／R₁E_S ……(2) となる。すなわち、−間の誘導電圧E₁，
−間の誘導電圧E₂がキヤンセルされ、出力電
圧V₀は入力信号電圧E_Sに比例したものとなる。

以上のように本考案は、電圧増幅部１、電力増
幅部２および帰還回路３を印刷配線基板４上に構
成した電力増幅器において、上記、電力増幅器２
の出力点に接続した第１、第２の導線１５，１
６を撚り合わせて撚り合わせ導線１７とし、当該
撚り合わせ導線１７を上記印刷配線基板４上を引
廻し配線し、上記撚り合わせ導線１７の第１の導
線１５を上記帰還回路３に接続するとともに、第
２の導線１６から出力を取出すようにしたことを
特徴とし、撚り合わせ導線１７部分における第
１、第２の導線１５，１６に誘導される電圧が同
一になるので、これらの誘導電圧がキヤンセルさ
れ、出力電圧が入力信号電圧に比例するという優
れた効果があり、また、構造が極めて単純である
実用利点をも併わせ有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の電力増幅器の構成を示す図、第
２図は同、印刷配線基板に実装した構造図、第３
図は同、説明のための等価回路図、第４図は本考
案の電力増幅器の構成を示す図、第５図は同、一
実施例を印刷配線基板に実装した構造図である。 １は電圧増幅部、２は電力増幅部、３は帰還回
路、４は印刷配線基板、１５，１６は導線、１７
は撚り合わせ導線である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 電圧増幅部１、電力増幅部２および帰還回路３
   を印刷配線基板４上に構成した電力増幅器におい
   て、上記電力増幅部２の出力点に接続した第１、
   第２の導線１５，１６を撚り合わせて撚り合わせ
   導線１７とし、当該撚り合わせ導線１７を当該撚
   り合わせ導線１７と上記電力増幅部２の各配線間
   の電磁結合が無視できない部分おいて上記印刷配
   線基板４上を引廻し配線し、上記撚り合わせ導線
   １７を当該撚り合わせ導線１７と上記電力増幅部
   ２の各配線間の電磁結合が無視できる部分おいて
   第１、第２の導線１５，１６に分離し、当該第１
   の導線１５を上記帰還回路３に接続するととも
   に、第２の導線１６から出力を取出すようにした
   ことを特徴とする電力増幅器。