JPH0444401Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本考案は複数のボルト・ナツトにより、ホイー
ルデイスクとリムとを組立一体化した自動車用ホ
イールの改良に関する。

＜従来の技術とその問題点＞ 前後一対のリムと、ホイールデイスクとの合計
３ピースから成る自動車用ホイールは既知例え
ば、実開昭57−134901号公報参照であるが、その
従来品では第８図に示す通り、両リムＲ１，Ｒ２
の相互によつて、その境界位置に凹状のウエル部
１を区画形成しており、その位置から各々半径方
向の内向き直角状に張り出した一対の取付フラン
ジ部２，３を、ホイールデイスクｄの周縁部へ接
合させ、且つボルト４とナツト５により締結一体
化している。

ところが、これでは前輪駆動式や四輪駆動式の
ように、そのデイスクブレーキ装置が前側リムＲ
１のフロント面へ、著しく偏倚して配設される自
動車に装着する場合、そのブレーキキヤリパーや
放熱用デイスクローターなどが、上記ウエル部１
並びにボルト４やナツト５へ容易に接触・干渉し
てしまい、その適用上の収納スペースに制約を受
けることとなる。

それにもまして、一対のリムＲ１，Ｒ２は可及
的に薄肉な金属板材などから、全体的な中空円筒
体に塑性加工されている処、その開放端部位置に
タイヤ支持用のビードシート部６，７とハンプ部
８，９が設けられているため、そのタイヤに対す
る内方からの支持剛性や、タイヤとの一体装着感
に劣り、延いては操縦安全性が阻害されやすい。
又、前側リムＲ１のフロント面を興趣変化に富む
外観デザインとして造形したり、或いはその変化
したデザイン品の交換組立作業を行なうことも容
易でない問題がある。

＜問題点を解決するための手段＞ 本考案はこのような問題点を完全に解決するた
め、その自動車用ホイールとしての構成上、半径
方向へ直角状に屈曲する取付フランジ部が設けら
れたリムと、タイヤ支持用のビードシート部並び
にハンプ部が一体に賦形されたホイールデイスク
とから成り、上記取付フランジ部は外向き一体に
張り出すように形成され、上記リムの取付フラン
ジ部とホイールデイスクの周縁部とを、ホイール
回転軸線と平行に配列された複数のボルトとナツ
トにより組み立て一体化し、かつ、上記リムのホ
イールデイスク側に偏倚させた位置にウエル部を
形成したものである。

＜実施例＞ 以下、図示の実施例に基いて本考案の具体的構
成を詳述すると、その自動車用ホイールを表わし
た第１〜３図において、Ｒは軽合金やステンレス
鋼などの比較的薄肉な金属板材から、プレスやロ
ール、その他の加工手段により円筒型に塑性変形
されたリムであり、その後端部には半径方向の外
方へ直角状に張り出すリムフランジ部１０が、同
じく前端部にはやはり外向き一体に張り出す取付
フランジ部１１が各々曲成されている。もつと
も、その取付フランジ部１１は逆な内方へ直角状
に張り出しても良い。

又、１２はリムフランジ部１０と相俟つて、一
定帯幅Ｗ１のビードシート部１３を画定するリム
ハンプ部であり、言うまでもなくタイヤの後側ビ
ード部１４を係止支持する。１５は上記リムＲの
殊更前部へ偏倚した位置に陥没されたウエル部で
あり、その配置構成によつてデイスクブレーキ装
置（図示省略）のブレーキキヤリパーや放熱用デ
イスクローターなどと、容易に干渉し合わぬよう
に保たれている。尚、上記板材に代る所謂輪切り
材から塑性加工して、リムＲを所期の断面形状に
造形することも、勿論可能である。

他方、Ｄは軽合金からの鋳造や炭素繊維強化樹
脂（CFRP）からの成形、その他の製作手段によ
つて、上記リムＲよりも厚肉・剛性の全体的な円
盤型に作成されたホイールデイスクであり、その
周縁部の前端位置には上記リムフランジ部１０と
対をなすタイヤ支持フランジ部１６が、半径方向
の外方に向かつて一体に曲げ起されている。

１７は同じくデイスクＤにおける周縁部の後端
位置から、やはり半径方向の外向きに若干膨出さ
れたデイスクハンプ部であり、そのハンプ部１７
と上記支持フランジ部１６との相互間には、一定
帯幅Ｗ２のタイヤ用ビードシート部１８も区成さ
れている。つまり、タイヤの前側ビード部１９
が、ホイールデイスクＤのそれ自体によつて歪む
ことなく、剛性に安定支持されるようになつてい
るわけである。

２０はそのデイスクＤの周縁部とリムＲの上記
取付フランジ部１１とを貫通する複数のボルトで
あつて、ホイール回転軸線と平行に延在してい
る。２１その各ボルト２０に螺合されたナツトで
あり、これらのネジ締結体によつて、ホイールデ
イスクＤとリムＲとが組立一体化されることとな
つている。その場合、ホイールデイスクＤにおけ
る周縁部の後面へ、リムＲの取付フランジ部１１
が接合されていること、図例から明白な通りであ
る。又、その図例ではデイスクＤの周縁部に、前
方が開口する形態の角溝２２を凹入形成してお
り、その角溝２２内へこれと合致するボルト２０
の頭部又はナツト２１を没入させている。尚、２
３はデイスクＤのセンターカバーである。

何れにしても、上記実施例の構成によれば、タ
イヤ支持フランジ部１６がホイールデイスクＤ自
身へ一体に賦形されているため、そのデイスクＤ
の鋳造などによつて、ホイールのフロント面に造
形上興趣に富む各種変化を与えることもできるの
である。上記リムハンプ部１２及びデイスクハン
プ部１７として、図例では何れも若干の外向き膨
出形態に定めているが、これらを逆な凹状陥没形
態に形成して、タイヤのビード部１４，１９から
対応的に張り出す突起（図示省略）と係止させる
ように設定することも可能である。

又、その対をなすリムハンプ部１２とデイスク
ハンプ部１７との相互間において、それらの膨出
高さ又は陥没深さにつき、寸法差を与えても良
く、これによればパンクしたタイヤの脱落防止
と、その新品タイヤとの交換作業性を調和良く高
揚できる利点がある。

更に、第４〜６図に示す通り、リムハンプ部１
２とデイスクハンプ部１７を、何れもリムＲやデ
イスクＤのそれ自身から別個独立する所謂偏心リ
ング体として、その肉厚高さの不均一に作成する
と共に、その一対の偏心リング体をリムＲとデイ
スクＤの所期するハンプ生成個別へ、その膨出高
さが互いに非対称な状態に位置変化するよう嵌め
付け一体化することも考えられる。リムＲとデイ
スクＤとの組立てに先立つて、偏心リング体をそ
の両者へ各々嵌め付け作業することができるから
である。

次に、第７図は本考案の変形実施例を示してお
り、これでは上記タイヤ支持フランジ部１６を、
ホイールデイスクＤから予じめ別個独立する円板
形態に作成すると共に、これを該デイスクＤの前
面に接合の上、上記ボルト２０とナツト２１を兼
用しつつ、デイスクＤへ支持フランジ部１６を組
立一体化させている。そして、このような構成に
よれば、その支持フランジ部１６を着脱操作し
て、タイヤを能率良く交換装着することができる
ことになる。尚、その他の構成は上記基本実施例
と実質的に同一であるため、第７図に第１〜３図
との対応符合を記入するにとどめて、その詳細な
説明を省略する。

＜考案の効果＞ 何れにしても、本考案の自動車用ホイール
は、半径方向へ直角状に屈曲する取付フランジ部
１１が設けられたリムＲと、タイヤ支持用のビー
ドシート部１８並びにハンプ部１７が一体に賦形
されたホイールデイスクＤとから成り、そのリム
Ｒの取付フランジ部１１とホイールデイスクＤの
周縁部とを、ホイール回転軸線と平行に配列され
た複数のボルト２０とナツト２１により組立一体
化してあるため、冒頭に述べた従来品の問題点を
確実に解消できる効果がある。

つまり、タイヤ支持用のビードシート部１８と
ハンプ部１７が、剛性な円盤状ホイールデイスク
Ｄに一体形成されているため、そのタイヤの歪み
変形などを効果的に予防できると共に、タイヤと
の一体装着感に優れ、操縦安定性を著しく改善す
ることができるのである。

又、リムＲはその取付フランジ部１１におい
て、デイスクＤの周縁部へ接合された上、ホイー
ル回転軸線と平行なボルト２０とナツト２１によ
り締結一体化されるようになつているので、その
リムＲに凹状のウエル部１５を加工するに当り、
そのウエル部１５やボルト２０・ナツト２１が、
デイスクブレーキ装置のブレーキキヤリパーなど
と接触・干渉することを合理的に予防でき、ホイ
ール内側にその収納上の大なるスペースを容易に
確保し得るのであり、従い前輪駆動車や四輪駆動
車用として、特に実益大なものと言える。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る自動車用ホイールの正面
図、第２図はその側面図、第３図は第１図の−
線断面図、第４図は第３図に対応する部分的変
形例を示す側断面図、第５，６図は第４図の−
線と−線に沿う各断面図、第７図はやはり
第３図に対応する本考案の変形実施例を示す側断
面図、第８図は従来品の半部を示す側断面図であ
る。 Ｒ……リム、Ｄ……ホイールデイスク、１０…
…リムフランジ部、１１……取付フランジ部、１
２……リムハンプ部、１３，１８……ビードシー
ト部、１５……ウエル部、１６……支持フランジ
部、１７……デイスクハンプ部、２０……ボル
ト、２１……ナツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 半径方向へ直角状に屈曲する取付フランジ部１
   １が設けられたリムＲと、タイヤ支持用のビード
   シート部１８並びにハンプ部１７が一体に賦形さ
   れたホイールデイスクＤとから成り、上記取付フ
   ランジ部１１は外向き一体に張り出すように形成
   され、上記リムＲの取付フランジ部１１とホイー
   ルデイスクＤの周縁部とを、ホイール回転軸線と
   平行に配列された複数のボルト２０とナツト２１
   により組み立て一体化し、かつ、上記リムＲのホ
   イールデイスクＤ側に偏倚させた位置にウエル部
   １５を形成したことを特徴とする自動車用ホイー
   ル。