JPH0444375Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、転写テープ用カセツト、詳しくは未
使用時、あるいは不使用時における巻き取りロー
ルの回転防止の手段を講じた転写テープ用カセツ
トに関するものである。

（従来の技術） 従来は、画像を紙面にプリントするプリンタ用
カセツトは、OA機器用のものとしてシリアルプ
リンタ用カセツトがあるが、これの転写テープは
幅狭にしてカラーテレビの画像をプリントするに
は不向であるため、研究の結果、本出願人は、さ
きに実願昭59−95873号として幅広の転写テープ
用カセツトの考案について出願をした。

（考案が解決しようとする問題点） 上記の本出願人が出願をした実願昭59−95873
号の考案は、従来の転写テープが幅狭なOA機器
用のシリアルプリンタ用カセツトからみれば、転
写テープの幅広のものが使用でき、カラーテレビ
の画像をプリントする感熱転写テープ用カセツト
としては改良されたものである。しかし、この改
良されたカセツトにあつても、そのカセツトが未
使用時、あるいはプリンタから取り外された不使
用時等においては、カセツトケース内の幅広転写
テープの巻き取りロールは、その回転阻止の手段
が講じられていないため、転写テープが緩んで損
傷を受け易く、また使用時に即応できないという
不便があつた。

本考案は、上記のような欠点に鑑みて案出され
たもので、その目的とするところは、カセツトが
未使用時、あるいはプリンタから取り外された不
使用時等において、転写テープ用の巻き取りロー
ルの回転を阻止する手段を簡単な構成をもつて講
ずるにある。

（問題点を解決するための手段） 上記の目的を達成するために、本考案にあつて
は、転写テープ用の巻き取りロールをその軸方向
に反発する弾性部材と、巻き取りロールの係合突
起が係合する突出部をケースの身部あるいは蓋部
に設けることによつて問題点の解決を図つてい
る。

すなわち、本考案は、両側に相離れて平行状に
転写テープ用巻き取りロールの収納溝を有する身
部と、これと対応して上記のテープ巻き取りロー
ルを受けるロール受け板を設けた蓋部とからなる
合成樹脂製のカセツト用ケースにおいて、身部の
収納部に納置された転写テープ用巻き取りロール
の一端側の外周面上に歯車状の係止突起を設ける
とともに、他端側の端部とケースとの間に、巻き
取りロールをその軸方向に反発させる弾性部材を
介在させ、前記の歯車状の係止突起を有する側の
身部あるいは蓋部に、カセツトを未使用時、ある
いは不使用時に、弾性部材の反発作用により、転
写テープ用巻き取りロールの外周面上の歯車状の
係止突起に係合する指状突子を設けた構成をとつ
ている。

（実施例） 以下、本考案の１実施例である感熱転写テープ
用カセツトを図面に基づいて説明する。

本考案の１実施例である感熱転写テープ用カセ
ツトＡは、身部ａと蓋部ｂとよりなるケースＢ
と、このケースＢ内に納置される転写テープｃと
これを巻き取る巻き取りロールｄ，d′とから構成
されている。

身部ａ、蓋部ｂ、巻き取りロールｄ，d′は合成
樹脂で射出成形されたものである。身部ａは、外
側寄りに巻き取りロールｄ，d′が納置される収納
溝１，１′があり、その前端には、巻き取りロー
ルｄ，d′のロール受部２，２′が設けられている。
このロール受部２，２′の内側の収納溝１，１′
は、巻き取りロールｄ，d′に転写テープｃが巻き
取られた時に差支えない程度のゆとりのある広さ
となつている。

収納溝１と１′との間には、窓孔３が透設され
ている。

また収納溝１，１′の内側壁４，４′の頂部５，
５′は、外側壁６，６′の頂部７，７′より低く、
且つ丸みを有し、転写テープｃの案内面をなして
おり、外側壁６，６′の外側には、蓋部ｂのため
の係止段部８，８′が設けられている。

蓋部ｂには、前端の外側寄りの、身部ａのロー
ル受部２，２′の対応する位置にロール受板９，
９′が下方に突設されており、外側辺縁には、身
部ａの係止段部８，８′に係合する係止片１０，
１０′が下方に突設されている。中央部には、身
部ａ窓孔３に対応する位置に同一大の窓孔１１が
透設されている。

このような構成の身部ａに対し、転写テープｃ
を巻回した巻き取りロールｄ，d′を収納溝１，
１′に納置し、蓋部ｂをその係止片１０，１０′を
もつて、身部ａの係止段部８，８′に係止すると
ともに、ロール受部２，２′とロール受板９，
９′とにて巻き取りロールｄ，d′の端部を支承し
て、身部ａと蓋部ｂとを溶着、あるいは接着して
転写テープ用カセツトＡとしている。

このカセツトＡは、本出願人がさきに出願をし
たものであるが、本考案は、このようなカセツト
Ａに対して、未使用時、あるいはプリンタより取
り外した不使用時等において、巻き取りロール
ｄ，d′の回転が阻止され、プリンタに装着した時
には、その阻止が解かれて回転できるような回転
阻止手段を簡単な構成をもつて講じたところに、
その特徴があり、その手段は、身部ａ、蓋部ｂの
何れの側にあつてもよい。

本考案においては、第１図イに示すように巻き
取りロールｄは、その１端側の外周面上に歯車状
の係止突起１２が、また他端には突出軸１３が設
けられており、この巻き取りロールｄは、身部ａ
の収納溝１の後壁１４に穿設された軸受穴１５に
対し、突出軸１３に脚１６付きの弾性環状部材１
７を嵌挿介在させて軸承させるとともに、係止突
起１２側をロール受部２とロール受板９とにて支
承させる。

弾性環状部材１７の脚１６は、後壁１４の凹窪
部１８に落込むようになつていてもよく、またこ
の弾性環状部材１７は、第７図に示すように後壁
１４から１体に突出成形されていてもよい。さら
に環状部材１７の代わりに、突出軸１３の端面と
軸受穴１５の底面との間に弾機を介在させてもよ
い。

巻き取りロールｄの軸方向への移動手段として
は、その他種々なものが考えられる。

この身部ａのロール受部２の内側には内側に向
かう指状突子１９があつて、これに、巻き取りロ
ールｄの外周面上の歯車状の係止突起１２が、弾
性環状部材１７による軸方向の反発作用にて係合
するようになつている。また、巻き取りロールｄ
の外周面上の歯車状の係止突起１２側の端面に
は、直径方向に固定杆２０があり、 これがカセツトＡをプリンタ（図示せず）に装
着した場合、プリンタ側の叉状駆動突出部材ｅと
係合して巻き取りロールｄを弾性環状部材１７に
抗して押進めることにより、巻き取りロールｄの
外周面上の歯車状の係止突起１２とロール受部２
の指状突子１９との係合を解くようになつてい
る。

このような巻き取りロールｄと身部ａの収納溝
１との関係機構は、他側の巻き取りロールd′と収
納溝１′との関係においても同様である。

次に、蓋部ｂ側に巻き取りロールｄの回転阻止
手段がある場合は、ロール受板９の内側に指状突
子２１があつて、これが、巻き取りロールｄの外
周面上の歯車状の係止突起１２に係合するように
なつており、このような関係構成は、巻き取りロ
ールd′側においても同様である。以上のような巻
き取りロールｄの回転阻止手段が施された感熱転
写テープ用カセツトＡは、未使用時、あるいはプ
リンタより取り外された不使用時等には、巻き取
りロールｄの突出軸１３に嵌挿された別体の弾性
環状部材１７、あるいは後壁１４から突出成形さ
れた弾性環状部材１７の弾発、その他の弾発手段
により外周面上の係止突起１２が身部ａ側の指状
突子１９、あるいは蓋部ｂ側の指状突子２１に係
合することにより、巻き取りロールｄの回転は阻
止されるが、カセツトＡをプリンタに装着して使
用する時は、プリンタ側からの叉状駆動突出部材
ｅが巻き取りロールｄの端面の固定杆２０に係合
して巻き取りロールｄを弾性環状部材１７、その
他の弾発手段に抗して押進め、巻き取りロールｄ
の外周面上の歯車状の係止突起１２と身部ａ側の
指状突子１９、あるいは蓋部ｂ側の指状突子２１
との係合を解き、その回転は自由となる。

この回転阻止手段は、巻き取りロールd′側にも
講じられているから同時に行われる。

このような感熱転写テープ用カセツトＡをプリ
ンタに装着すると、第５図に示すようにケースＢ
の蓋部ｂの窓孔１１に感熱ヘツドｇが、また身部
ａの窓孔３にはプリントするための白紙ｈを巻き
付けたドラムｉがそれぞれ臨接して、転写テープ
ｃに対面するようになる。

プリンタ側からの叉状駆動突出部材ｅにより、
係合突起１２と指状突子１９あるいは２１との係
合を解いて、巻き取りロールｄを回転させると、
転写テープｃは、内側壁４及び４′の丸味の頂部
５及び５′を案内として巻き取りロールd′側から
巻き取りロールｄ側に巻き取られる。

この転写テープｃは、例えばポリエステルフイ
ルム（2μ〜10μ）を用い、これに昇華性染料とエ
チルセルローズのような樹脂とを混合した染料等
を色材として塗着したもので、感熱ヘツドｇの作
用によつてドラムｉ上の白紙ｈに転写テープｃの
染料が転写される。

この転写テープｃ上の染料は、イエローＹ、マ
ゼンダＭ、シアンＣ等の色駒に分かれており、色
駒毎に間歇的に移動するが、これと共にドラムｉ
も、色駒毎に１往復回転するようになつているか
ら、転写テープｃがイエローＹ、マゼンダＭ、シ
アンＣと間歇的な移動が終わると、白紙ｈには、
これの塗料が転写されて天然色の画像がプリント
される。

このカセツトＡをカラーテレビ用のプリンタに
使用すると、プリンタはカラーテレビの画像を記
憶し、白紙ｈはドラムｉに巻回され、記憶された
画像は色分解されて、これが電気信号に変えら
れ、この電気信号により感熱ヘツドｇは制御さ
れ、転写テープｃの巻き取りロールｄを間歇的に
回転させるとともに、ドラムｉを１回転させる。
これにより先ずドラムｉ上の白紙ｈにイエローＹ
が転写され、次いで転写紙ｃは、色駒の１つ分の
移動の間に、ドラムｉは逆転して元の位置に戻
り、再びドラムｉが１回転する間に感熱ヘツドｇ
の作用で転写テープｃのマゼンダＭが白紙ｈ上に
転写される。同様にして、シアンＣが転写され
て、白紙ｈ上には天然色の画像がプリントされ
る。

なお、感熱性転写テープとしては、上記の昇華
性染料によるものの外に、ワツクスを塗着した溶
融性転写テープがあり、また転写テープとして
は、インクリボン等のインパクト方式のものもあ
るが、何れもテープがカセツトの未使用時、ある
いは不使用時に緩むことを防止するという点で同
様に処理することができるものである。

（考案の効果） 本考案は、転写テープ用カセツトのケースを構
成する身部の収納溝内に納置されたテープ用の巻
き取りロールに対し、その端部とケースとの間に
介在させた弾性部材の弾発により、巻き取りロー
ルをその軸方向に押進めて、それの外周面上の歯
車状の形状突起と身部あるいは蓋部の指状突子と
を係合させて、カセツトの未使用時、又は不使用
時において、巻き取りロールの回転を阻止するよ
うにし、またテープ用カセツトをプリンタに装着
しての使用時に、プリンタ側の駆動用の突出部材
で巻き取りロールを弾性環状部材に抗して押進め
て、巻き取りロールの外周面上の歯車状の係止突
起と身部あるいは蓋部側の指状突子との係合を解
いて巻き取りロールの回転が自由となるようにし
たから、テープ用カセツトの未使用時、不使用時
における転写テープの緩みによる損傷を受けるこ
とがなく、使用時には、直ちに対応することがで
き、不便をきたすことがない。

しかも、上記の転写テープ用カセツトの未使用
時、不使用時におけるテープ用の巻き取りロール
の回転阻止手段及び使用時における回転阻止の解
放手段が、テープ用巻き取りロールの端部とケー
スとの間に介在させた弾性部材と、巻き取りロー
ルの外周面上の歯車状の係合突起とケース側の指
状突子との係脱によつて行うようにしたから、巻
き取りロールの弾性部材による滑らかな摺動によ
り、その係脱も滑かに行われ、係合突起が歯車状
であることにより、両側に設置させた巻き取りロ
ール上にわたつて巻回された転写テープの展張状
態を微妙に調設することができる。また、指状突
子は、身部あるいは蓋部側より単に突設されてい
て、巻き取りロールの軸方向の摺動により歯車状
の係合突子と係脱するだけのものであるから、長
期の使用にも係脱に支障を生ずるようなおそれは
ない。

その上、その構成は簡単なものであり、合成樹
脂で射出成形され得るものであるから、簡単な構
成と簡易な成形とが相俟つて廉価に提供すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案にかかる１実施例を示すもので、
第１図イ，ロ、第２図イ，ロは要部の断面図及び
正面図、第３図は全体の斜視図、第４図は同上の
分解斜視図、第５図は使用状態の一部を拡大した
説明的断面図、第６図は転写テープの一部平面
図、第７図は後壁から突出成形の弾性環状部材を
使用の場合の断面図、第８図は別体の弾性環状部
材の斜視図である。 符号、Ａ……感熱転写テープ用カセツト、Ｂ…
…ケース、ａ……身部、ｂ……蓋部、ｃ……転写
テープ、ｄ，d′……巻き取りロール、ｅ……叉状
駆動突出部材、ｇ……感熱ヘツド、ｈ……白紙、
ｉ……ドラム、１，１′……収納溝、２，２′……
ロール受部、３，１１……窓孔、９，９′……ロ
ール受板、１２……係止突起、１３……突出軸、
１４……後壁、１５……軸受穴、１６……脚、１
７……弾性環状部材、１８……凹窪部、１９，２
１……指状突子、２０……固定杆。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 両側に相離れて平行状に転写テープ用巻き取り
   ロールの収納溝を有する身部と、これと対応して
   上記のテープ巻き取りロールを受けるロール受け
   板を設けた蓋部とからなる合成樹脂製のカセツト
   用ケースにおいて、身部の収納部に納置された転
   写テープ用巻き取りロールの一端側の外周面上に
   歯車状の係止突起を設けるとともに、他端側の端
   部とケースとの間に、巻き取りロールをその軸方
   向に反発させる弾性部材を介在させ、前記の係止
   突起を有する側の身部あるいは蓋部に、カセツト
   を未使用時、あるいは不使用時に、弾性部材の反
   発作用により、転写テープ用巻き取りロールの歯
   車状の係止突起と係合する指状突子を設けたこと
   を特徴とする転写テープ用カセツト。