JPH0441933Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は上下の材を蛇腹式に接合して積層
するタイプのフイルタの過エレメントに関す
る。

（従来の技術） 種々の医薬品や電子部品の生産に用いられる薬
液やガス体または食品工業に用いられる純水を処
理するためのフイルタは耐薬品性と耐熱性を備
え、そしてサブミクロンオーダの過精度を持つ
ことが望まれ、これに対応するものとして最近で
は第３図イ，ロに示すような積層型の過エレメ
ントが用いられている。

すなわち、全体が四弗化エチレン、ポリプロピ
レンなどの耐薬品性と耐熱性を有する合成樹脂で
作られ、ロ図のように円形デスク１の上下面に中
央の若干高い環状のボス部１ａから外縁部１ｂに
向つて蛇行する山形突条２が放射みぞ２ａに区分
されて複数列形成され、蛇行する上面の突条２と
下面の突条２とは円周方向に位置がずらされ、各
放射みぞ２ａは中央ボス部１ａの内側に連通して
いて、円形デスク１の上下には多孔質環状の薄膜
材３が配設され、その外周部をデスク１の外縁
部１ｂに溶着してデスクエレメントｅとなし、こ
のデスクエレメントｅを多数積層し、その上端に
は環状の上部端板４ａを、下端には円板状の下部
端板４ｂを配設し、最上段のデスクエレメント上
側の材３の内周部は上部端板４ａの中央部下面
に溶着する一方、最下段のデスクエレメント下側
の材３の内周部は下部端板４ｂの中央部上面に
溶着し、その他の中間部分においては、上段デス
クの下側材３の内周部と下段デスク１の上側
材３の内周部とを互いに溶着して全体を蛇腹状に
連結し、その後上部端板４ａの中央部上面にカバ
ー６の出口パイプ６ａの下端を溶着し、その状態
で積層エレメントを容器５中に収容し、容器５と
カバー６との接合部周縁を溶着してカプセル状と
なし、使用時には下側の入口パイプ５ａから処理
流体を容器５中に取入れ、外周部から各デスクエ
レメントｅの薄膜材３を通過させてデスク内に
導き、カバー６の出口パイプ６ａから所要の場所
に送り出すようにしている。

（考案が解決しようとする問題点） ところで、上記フイルタの主要部をなす蛇腹式
の過エレメントでは、上下の薄膜材３の内周
部同志を溶着結合し、デスクの中央ボス部１ａに
は溶着せず、またボス部１ａ同志も結合しないの
で、ボス部はそれ程高くしないですみ、それだけ
エレメントを多く積層することができ、過面積
を大きくできる利点を持つているが、上下のデス
クエレメントｅを全く連結しないとすると、積層
エレメントが不安定で連結材３が伸びたりして
取扱い難いところから、これまではロ図のように
円形デスク１の外縁部１ｂに中央ボス１ａの高さ
に見合つたリブ７を複数（通常４個）設けると共
に上下の端板４ａ，４ｂにもそれに対応してリブ
８を設け、それらのリブ７，８同志を溶着し全体
を一体化して取扱い易いようにしている。

しかし、このようにすべてのリブ７を上下に溶
着結合したものでは全体がリジツドなものになつ
てしまい、デスクエレメントの寸法にばらつきが
あつたり、積層状態にずれがあつて、第４図のよ
うに曲つてしまつた場合には矯正することができ
ず、そして、過面積確保のためにデスクの直径
をできるだけ大きくしている関係で、容器中に組
付けることができなくなつてしまう。

そこで、この考案は積層エレメントに柔軟性を
持たせ、デスクエレメントの積層状態に多少のず
れがあつたにしても、容器に収容し易いようにし
た過エレメントを提供するものである。

（問題点を解決するための手段） 上記目的のためにこの考案は、全体が耐薬品性
で耐熱性の合成樹脂からなり、上下面に複数列の
突条を有するデスクの上下に多孔質の薄膜材を
配設し、その外周部をデスクの外縁部に溶着して
デスクエレメントとなし、該デスクエレメントを
多数積層し、その上端には上部端板を、下端には
下部端板をそれぞれ配設し、上下段のデスクエレ
メントの材の内周部同士を溶着する一方、最上
段のデスクエレメント上側の材の内周部は上部
端板の中央部下面に、最下段のデスクエレメント
下側の材は下部端板の中央部上面にそれぞれ溶
着する過エレメントにおいて、上下の端板およ
び各段のデスクエレメントの外周部に互いに対向
する複数対のリブを設けて対向リブ列を形成し、
一つの対向リブ列に対し他の対向リブ列では、上
下に重なるリブを溶着する高さ範囲を、上記一つ
の対向リブ列から順次に溶着高さ範囲の端部にお
ける若干の部分を重複させて上下方向に位置をず
らせて具備するように形成したことを特徴として
いる。

（実施例） 第１図はこの考案に係る過エレメントの一例
を示すものであるが、全体が四弗化エチレンやポ
リプロピレンなどの耐薬品性で耐熱性の合成樹脂
からなり、デスクエレメントｅが多数積層され、
その上端には環状の上部端板４ａが配設されると
共に下端には円板状の下部端板４ｂが配設され、
各段のデスクエレメントｅは第３図ロのように円
形デスク１とその上下に配設された環状の多孔質
の薄膜材３からなり、円形デスク１の上下面に
は中央ボス部１ａから外縁部１ｂに向つて蛇行す
る山形突条２が幾つかの放射みぞ２ａによつて区
分されて複数列形成され、上下面の蛇行突条２は
円周方向に位置がずらされ、各放射みぞ２ａは中
央ボス部１ａの内側に連通されており、そして、
各デスク１の上下に配設された材３の外周部は
デスク１の外縁部１ｂにそれぞれ溶着され、上段
デスク下側の材３と下段デスク上側の材３の
内周部が順次に溶着され、最上段のデスク上面の
材３の内周部は上部端板４ａの中央部下面に、
最下段のデスク下面の材３の内周部は下部端板
４ｂの中央部上面にそれぞれ溶着されて全材が
蛇腹状に連結されており、また、各段のデスク１
の外周部１ｂには中央ボス部１ａに相当する高さ
のリブ７が複数設けられると共に上下の端板４
ａ，４ｂの外周部にもデスクのリブ７に対応して
リブ８が設けられ、デスクエレメントｅおよび上
下の端板４ａ，４ｂはそれらのリブ７，８を一致
させて積層される点の構成は前記従来のものと変
りない。

ところで、第１図に示されたものでは積層され
た各段のデスクエレメントｅの外周部１ｂおよび
上下の端板４ａ，４ｂの外周部には左右、前後に
対をなすようにリブ７および８を設け、上部端板
４ａの上面から積層エレメントの半分高さを若干
越えた範囲h₁にあるデスクエレメントｅでは左右
のリブ８および７は相互に溶着するが、前後のリ
ブ８および７は溶着せずに前後方向には柔軟性を
持たせ、また、下部端板４ｂの下面から積層エレ
メントの半分高さを若干越えた範囲h₁にあるデス
クエレメントｅでは前後のリブ８および７は相互
に溶着するが左右のリブ８および７は溶着せずに
左右方向には柔軟性を持たせてあり、中央部のデ
スクエレメントｅは四方のリブ７を介して左右前
後に結合されるが、その上下の部分は互いに異な
る方向にたわみ可能の状態に結合されているの
で、積層エレメント全体としては左右前後に柔軟
性が付与されている。

そこで、その組立てに当たりデスクエレメント
ｅの寸法にばらつきがあつたり、上下のものにず
れがあつたりして積層エレメントが多少曲つてい
たにしても、その曲つた部分が容器壁部に当接し
た際には屈曲可能の方向に姿勢が矯正されて容器
中に収容される。

また、第２図は各段のデスクエレメントｅの外
周部１ｂおよび上下の端板４ａ，４ｂの外周部
に、直径線上で対向する三対のリブ７および８を
形成し、対向対のリブ列ごとに積層エレメントの
高さの1/3より若干高い範囲に上下に位置をずら
せかつ端部における若干の部分を重複させて、各
対向リブ列において上下に重なるリブ８，７を溶
着させ、全体として柔軟構造とした変更例を示す
ものである。

（考案の効果） 以上のようにこの考案では、蛇腹式積層型の
過エレメントとして、各段のデスクエレメントの
外周部に互いに対向する複数対のリブを設けて対
向リブ列を形成し、一つの対向リブ列に対し他の
対向リブ列では、上下に重なるリブを溶着する高
さ範囲を、上記一つの対向リブ列から順次に溶着
高さ範囲の端部における若干の部分を重複させて
上下方向に位置をずらせて具備するようにしたの
で、過エレメント全体が従来のようにリジツド
になることなく、柔軟性を有し、多少曲つて積層
されていたにしても容器への収容が容易で取扱い
易く、従来のように作り直しを必要としないなど
の効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例の斜視図。第２図
は変更例の斜視図。第３図イは積層型フイルタの
断面図。同図ロは単一デスクエレメントの一部の
斜視図。第４図は曲つて作られた従来の過エレ
メントの側面図。 図中、１……デスク、１ａ……ボス部、１ｂ…
…外縁部、２……突条、３……材、４ａ，４ｂ
……上下の端板、７，８……リブ、ｅ……デスク
エレメント。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 全体が耐薬品性で耐熱性の合成樹脂からなり、
   上下面に複数列の突条２を有するデスク１の上下
   に多孔質の薄膜材３を配設し、その外周部をデ
   スク１の外縁部１ｂに溶着してデスクエレメント
   ｅとなし、該デスクエレメントｅを多数積層し、
   その上端には上部端板４ａを、下端には下部端板
   ４ｂをそれぞれ配設し、上下段のデスクエレメン
   トｅの材３の内周部同士を溶着する一方、最上
   段のデスクエレメント上側の材３の内周部は上
   部端板４ａの中央部下面に、最下段のデスクエレ
   メント下側の材３は下部端板４ｂの中央部上面
   にそれぞれ溶着する過エレメントにおいて、上
   下の端板４ａ，４ｂおよび各段のデスクエレメン
   トｅの外周部に互いに対向する複数対のリブ８，
   ７を設けて対向リブ列を形成し一つの対向リブ列
   に対し他の対向リブ列では、上下に重なるリブ
   ８，７を溶着する高さ範囲h₁を、上記一つの対向
   リブ列から順次に溶着高さ範囲h₁の端部における
   若干の部分を重複させて上下方向に位置をずらせ
   て具備するように形成したことを特徴とする蛇腹
   式積層型の過エレメント。