JPH0422813Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は膜状濾材を用いた積層型フイルタエ
レメントに関する。

（従来の技術） 膜状濾材を用いた積層型フイルタエレメントは
電子工業における洗浄液などの細密濾過用に用い
られるもので例えば実開昭59−20804号に開示さ
れたものがある。その１例を第３図に示す。第３
図において支持体２０は中央貫通孔２１ａを有す
るボス部２１の側方周囲に内枠部２２濾過部２３
外枠部２４が円板状に設けられ濾過部表面はその
網目状表面開口から濾液通路２５を介して中央貫
通孔２１ａに連通している。環状の多孔質膜でな
る濾材２６はその内周縁および外周縁がそれぞれ
内枠部２２、外枠部２４に溶着せられて濾過部２
３を被つている。この支持体２０は適宜個数ボス
部の端面２１ｂ，２１ｃを重ね合わせて積層され
積層型フイルタエレメントをなしている。外枠部
の周縁には複数個の上下方向へ突出した凸起２７
が設けられ、その上下端面２７ａ，２７ｂは上下
に隣接する凸起２７の下端面２７ｂ、上端面２７
ａと当接している。

（考案が解決しようとする課題） 上記のような従来の積層型フイルタエレメント
は、製造に際して支持体を重ね合わせるとき、上
下方向の重ね合わせに対しても、また凸起を重ね
合わせるための円周方向の位置合わせに対しても
位置決めの據りどころとなる構造がない。従つて
支持体を重ねる度に偏心して傾斜したフイルタエ
レメントとなり、あるいは円周方向にずれを生じ
たりする。これは出来上つたフイルタエレメント
が不体裁であるばかりでなく、支持体間の溶着面
であるボス部端面の接触面積が減少して溶着不良
による洩れを生じたり、傾斜によつてフイルタエ
レメントをケーシングに収納する際干渉して収納
不可能になつたりする。これを防ぐためには重ね
合わせる際上下方向と円周方向とを規制する位置
決め治具を用いねばならず著しく作業性が悪くな
る。

（課題を解決するための手段） この考案の積層型フイルタエレメントは、中央
貫通孔を有するボス部とその側方外周に濾過部と
外枠部とが設けられ濾過部を膜状濾過材で被つた
支持体を重ね合わせてなるものである。外枠部の
外周縁に上下方向の一方または双方に突出し上部
および下部にそれぞれ上部段差部と下部段差部と
を設けた凸起が３個以上設けられている。上部段
差部と下部段差部とは互に補完する形状をなし、
支持体が重ね合わされると互に上下に隣接する段
差部が係合するものである。

（作用） この積層型フイルタエレメントは支持体を重ね
合わせ各ボス部の上下端面を当接させて形成され
るが、この際外枠部の外周縁の凸起に設けられた
上部段差部と下部段差部とが互いに補完する形状
に係合する。凸起は外周縁に３個以上あるので、
ボス部上下端面の重なりの偏心はいずれの方向に
対しても発生せず端面同士の重なり面積が減少す
ることなくまた積層状態の傾きもない。

（実施例） 第１図、第２図にこの考案の実施例を示す。第
１図の支持体１は合成樹脂製で中央貫通孔2aを
有するボス部２の側面外周に円板状に環形の内枠
部３、濾過部４、外枠部５が設けられている、濾
過部は上下表面に網目状の溝が設けられ、この溝
は支持体内の濾過通路６によつて中央貫通孔２ａ
に連通している。四ふつ化エチレンでなる多孔質
膜の環形濾材７がその内周縁７ａを内枠部３に、
外周縁７ｂを外枠部５に溶着せられて濾過部４の
上下面をそれぞれ被つている。外枠部５の外周縁
に上下方向へ突出する凸起８が５個設けられてい
る。凸起８の上部は内径側を削り取つて半径方向
に段付けした上部段差部８ａが設けられている。
また凸起８の下部には上部段差部８ａの肉厚に相
当する分だけ外径側の肉が削られた下部段差部８
ｂが形成されている。上部、下部段差部は段付け
を円周方向、すなわち凸起の高さに段差を付した
ものでもよい。

上記の支持体１は適宜個数がボス部２の端面２
ｂ，２ｃを突き合わせて積層され、上部段差部８
ａはこれと重なる他の凸起部の下部段差部８ｂに
係合され溶着される。積層された支持体の上端と
下端にはそれぞれボス部上端面２ｂと凸起８の上
部、またはボス部下端面２ｃと凸起８の下部とに
またがる環状の端板９，１０が取付けられて積層
型フイルタエレメント１１が形成される。

積層型フイルタエレメント１１は縦溝付のセン
ターボルト１２が中央貫通孔２ａに挿通されてケ
ーシング１３の濾液出口１３ｂに固着される。ケ
ーシング１３は原液入口１３ａ、濾液出口１３ｂ
を備え積層型フイルタエレメント１１を収容して
いる。

積層型フイルタエレメント１１は、濾材７で濾
過部４を被つた支持体１を重ね合わせて形成する
とき、支持体１は外周縁の３ケ所以上の位置で各
上部段差部８ａと下部段差部８ｂとが係合される
から支持体の枚数が多く丈高になつたときでも積
層状態に傾きや偏心が生ずることはない。またボ
ス部の端面２ｂ，２ｃの重なりにずれを生じない
ので接触面積が減殺されず、溶着するにあたつて
も溶着完全となりシール洩れを生じない。さらに
このような段差部の係合構造により位置決めがな
されるので、支持体を積層するにあたり治具を必
要とせず作業が容易で簡単正確に組立てることが
できる。

なお、積層型フイルタエレメント１１のよう
に、上部、下部段付部８ａ，８ｂを互に溶着すれ
ば、支持体の内部から濾材７を膨らますように液
圧がかかつたとき（原液の送入を停止して逆圧が
かかつたとき）支持体が反り曲ることなく第２図
のＡ部のように濾材同士が膨れを支えあうので、
濾材の破損や剥離などの不具合を生じない利点が
ある。

（考案の効果） この考案の積層型フイルタエレメントは上記の
構成でなるので各支持体のボス部端面間の溶着が
完全に行なわれシール洩れがない。また積層状態
に傾きが生じないので、積層枚数が多い場合でも
正確な形状を保ち、ケーシングに収容する際傾斜
により干渉し収容不能になるなどの不具合を生じ
ない。しかもこのフイルタエレメントは組立ての
際治具を要せず製作容易である。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の支持体の斜視図、第２図は
この考案の実施例の断面図、第３図は従来の支持
体の断面図である。 １……支持体、２……ボス部、５……外枠部、
７……濾材、８……凸起、８ａ……上部段差部、
８ｂ……下部段差部、１１……積層型フイルタエ
レメント。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 中央貫通孔を有するボス部とその側方外周に円
   板状に延設された濾過部とその外周に外枠部とを
   備え、濾過部の表面と中央貫通孔とを連通する濾
   液通路を設けた合成樹脂製の支持体の前記濾過部
   上下表面を膜状濾材で被い、該支持体を複数個ボ
   ス部の上下端面で重ね合わせてなる積層型フイル
   タエレメントにおいて、前記支持体外枠部の外周
   縁に、上下方向の一方または双方に突出した凸起
   を３個以上設け、該凸起の上部および下部に互に
   補完する形状の上部段差部および下部段差部を設
   け、上部段差部を上方の支持体の下部段差部に、
   また下部段差部を下方の支持体の上部段差部にそ
   れぞれ係合させてなる積層型フイルタエレメン
   ト。