JPH0440869Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、石綿板を切断等の加工をする際に使
用する作業台に関するものである。

（従来の技術） 石綿板は耐熱性、断熱効果にすぐれているため
耐火用建材として壁、床等の貫通孔を閉塞した
り、階層の要所に敷設したりと様々な用途に供さ
れている。

従来、石綿板をジグソー等の切断具で切断する
場合は、角材を木台として並べその上に石綿板を
置いて行なつていた。しかしながら、石綿板の切
断作業中に極細石綿粉塵が発生し、大気中に浮遊
してしまう。これを吸い続けると体内に蓄積さ
れ、肺癌の原因になるともいわれている有害なも
のである。

このため従来は、作業者は防塵マスク、防塵ゴ
ム手袋、石綿板加工用防塵服を着用して作業し、
石綿板の上方に舞い上がる粉塵は切断時に真空掃
除機で吸い取り、石綿板の下方へ飛び散る粉塵は
切断作業終了後に真空掃除機で吸い取つていた。
そして吸い取つた掃除機内の粉塵、切断した残材
は蓋付の石綿専用ポリ容器に収容して産業廃棄物
として廃棄処理をしていた。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、こうした従来の石綿切断作業は
石綿板下部の粉塵が舞い上がつて大気中に浮遊し
易く防塵対策に万全を期さねばならないほか、作
業者以外の周囲の人へも弊害を及ぼしかねないと
いう問題がある。

これは石綿板切断作業中の切粉は石綿板の下方
に主として集中するため真空掃除機で吸い取れ
ず、粉塵が舞い上がつてしまうとともに集積した
切粉が石綿板下部で広範囲に拡散してしまい、作
業場周辺へ吹き込む微風によつても舞い上げられ
ることになるからである。

本考案は、こうした欠点を解消すべくなされた
もので石綿板切断時の粉塵の飛散、浮遊を最小限
に抑制し、作業者の安全を図ることができる作業
台を提供することを目的としたものである。

（問題点を解決するための手段） 本考案の石綿板加工用作業台は、上記目的を達
成するため上部が開口し内部を切粉受部とした箱
体と、箱体上部に配設され箱体上部枠に沿つて移
動可能な２個の蓋体とから成り、作業に必要な間
隙以外の箱体の開口を閉塞して作業するようにし
たものである。

（作用） このような石綿板加工用作業台においては、箱
体内に水を張つておくと切粉は広範囲に拡散せず
しかも下方に集積された切粉から生じる粉塵が舞
い上がりを抑制されるため、作業者への悪影響を
最小限に抑えることができる。

（実施例） 図面は、本考案の作業台の実施例を示すもので
ある。作業台は上部が開放された箱体１と２個の
蓋体４ａ，４ｂとから成る。箱体１は内部を切粉
受部３とするための所定の深さを有するとともに
落下した際切粉に水を浸潤させるため水を張つて
おけるような耐水構造としている。この箱体１の
寸法は、例えば長さ800mm、幅500mm、高さ150mm
とすることができる。箱体１の上部周縁には上部
枠２を形成して蓋体４ａ，４ｂがこの上部枠をガ
イドとしてスライドできるようにしてある。ま
た、箱体１の側面には持ち運び用の把手６を設け
てある。

蓋体４ａ，４ｂは、これらを箱体１の上に載せ
て矢印で示すように互いに接近させる方向にスラ
イドさせて衝合すると、箱体１の上部開口全体を
被覆できる寸法を有している。箱体４ａには切欠
部４ｃ，４ｄを形成し、上部枠２を摺動可能に跨
ぐことにより上部枠２に沿つてスライドする。蓋
体４ｂにも切欠部４ｅ，４ｆが形成され同様の動
きをする。蓋体４ａ，４ｂはこの切欠部以外は四
辺に縁が形成され上部枠２の外側と接触する。

以上のように構成されているので、石綿板を切
断する場合は対象の石綿板（図示されていない）
を衝合している両蓋体４ａ，４ｂの上を跨ぐよう
に載置する。その後、蓋体を矢印Ｂで示すように
互いに離間する方向にスライドさせて両者の間に
ジグソーの刃が入る間隙５をつくりこの間隙位置
で石綿板の切断作業をする。石綿板の切断個所と
蓋体との位置関係によつてはいずれの蓋体をスラ
イドさせて作業用の間隙をつくるか或いは両者を
同時にスライドさせて間隙をつくるか適宜、行な
えばよい。この場合、蓋体４ａ，４ｂをスライド
させ易いようにつまみを蓋体に付設させておくこ
ともよい。なお間隙５は作業に支障のない範囲で
最小とすることが粉塵を蓋体で抑制するためには
効果的である。

箱体１の切粉受部３には水を適量張つておく、
これにより切断中の粉塵、切粉は水中に落ちて浸
潤されているため再び飛散することがない。石綿
は吸収性が高いのでこの方法はきわめて効果的で
ある。切粉受部３の切粉を処理する場合も、ビニ
ール袋等に入れて行なえるので容易に廃棄処理が
でき、この際にも粉塵が飛散することはない。

作業終了後は蓋体４ａ，４ｂを矢印Ａ方向にス
ライドさせて箱体１上面を完全にカバーしてお
く。なお、本考案の作業台を使用する場合も石綿
板上部の粉塵を真空掃除器で吸い取ることは必要
であるし、防塵マスク等の着用も必要だが、大部
分の切粉、粉塵は切粉受部３内へ落ち込むので、
上記対処は従来に比べ緩和される。

（考案の効果） 以上のごとく、本考案によれば石綿板切断時の
切粉、粉塵の飛散、浮遊を最小限に抑制すること
により、人体への悪影響をなくし安全な作業を可
能とする。また切粉等の廃棄処理も簡便に行なう
ことができる。

【図面の簡単な説明】

図面は、本考案の石綿板加工用作業台の実施例
の構成を示す斜視図。 １……箱体、２……上部枠、３……切粉受部、
４ａ，４ｂ……蓋体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上部が開口し内部を切粉受部とした箱体と、箱
   体上部に配置され箱体上部材に沿つて互いに接近
   および遠去かる方向に移動可能な２個の蓋体とか
   ら成り、作業に必要な間隔以外の箱体の開口を閉
   塞して作業するようにしたことを特徴とする石綿
   板加工用作業台。