JPH044051B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明はプレス機に用いるダイセツトの製造
方法に関するものである。

〔従来の技術〕

プレス機のベツド上に直接下型を固定し、プレ
ス機のスライドに上を直接取けてプレス加工を行
なう旧来のプレス加工法はプレス機のスライド案
内精度に限界があることや、上型、下型の取付け
に手数がかかるなどの理由によりあまり行われな
くなり、現今はダイセツトが一般に用いられるよ
うになつた。このダイセツトは周知のようにプレ
ス機のベツド上に固定する下型ホルダに複数のガ
イドポストを固定し、このガイドポストに沿つて
昇降する上型ホルダをプレス機のスライドに固定
し、各ホルダに固定した下型と上型でプレス加工
を行なう。

〔発明が解決しようとする問題点〕

上記のような従来のダイセツトは下型ホルダお
よび上型ホルダを鋳造により形成し、下型ホルダ
の上下面を機械加工により仕上げ、さらに、下型
ホルダに設けた複のガイドポスト圧入孔を機械加
工により精密に仕上げ、この孔に高級仕上げされ
た鋼棒からなるガイドポストを圧入固定する。一
方、上型ホルダは、下型ホルダと同様に上下面に
機械加工を施し、複数のガイド孔にも機械仕上げ
を施し、このガイド孔に、精密に仕上げたブシユ
を圧入固定たのち、さらに必に応じブシユの内面
を上げるというきわめて手数のかかる加工を施さ
なければならないので製造に手数がかかり、重く
て割れ易いなどの問題があつた。

〔問題点を解決するための手段〕 上記の問題点を解決するために、この発明の製
造方法は下型ホルダに固定した複数のガイドポス
トに上型ホルダの複数の孔を摺動自在に嵌合させ
たダイセツトの製造方法において、前記下型ホル
ダおよび前記上型ホルダを肉厚鋼板でプレス成形
するに際し、前記下型ホルダのガイドポスト圧入
孔のプレス成形時に、押出加により、前記下型ホ
ルダの裏面に凹部を形成すると同時に上方に向け
てこの凹部より小径のボスを形成することによ
り、このボスの上端から上記凹部の底部におよぶ
上記ガイドポスト圧入孔の有効長を前記下型ホル
ダの厚みより長く形成し、さらに、前記下型ホル
ダの下面には、この下型ホルダと同材料から成る
ベース板を固定し、このベース板上に形成した受
孔には、前記下型ホルダの前記ガイドポスト圧入
孔に圧入して、この下型ホルダの下面に突出した
前記ガイドポストの下端を嵌合させ、前記上型ホ
ルダに設ける前記ガイドポストのガイド孔もプレ
ス成形時における押出加工により、裏面に凹部を
形成すると同時に下方に向けてこの凹部より小径
のボスを形成することにより、このボスの下端か
ら上記凹部の底部におよぶ前記ガイド孔の有効長
さを前記上型ホルダの厚みより長く形成するよう
にしたものである。

〔実施例〕

第１図ないし第５図に示す実施例において、１
は厚みのある鋼板をプレス成形した下型ホルダ
で、このホルダ１の後部寄りには左右一対のガイ
ドポスト圧入孔２が設けてある。

上記の圧入孔２はプレス成形に際してポンチに
より打抜くが、この部分にはプレスにより上方に
向けてボス３を設ける。このボス３は第４図に示
すように、裏面に凹部４を形成すると同時に表面
にボス３を突出させるが、凹部４の径をボス３の
径より相当大きくすることにより、凹部４の深さ
よりボス３の高さを大として圧入孔２の有効長、
すなわち、圧入孔２の上端より凹部４の底面まで
の長さを下型ホルダ１の肉厚より長くするのであ
る。

下型ホルダ１には上記の圧入孔２の他に、プレ
ス機のベツドへの取付ボルトの係合用切欠５が複
数のネジ孔、ノツクピン係合孔などを設け、ネジ
孔には下型６を複数の固定ボルト７により固定す
る。

また、前記圧入孔２には鋼棒からなるガイドポ
スト８の下端を圧入するが、その下端は下型ホル
ダ１の下面より若干突出させておく。

１１はベース板で、鋼板のプレス加工により製
作したものであり、下型ホルダ１の平面形と同形
で、切欠５に一致する切欠１２やガイドポスト８
の下端が嵌合する凹孔などの受孔１３を設け、か
つ複数のノツクピン１４を固定して、このノツク
ピン１４が下型ホルダ１の下面のノツクピン孔に
係合して位置決めできるようにする。

上記ベース板１１は例えば１mm単位で厚さの異
なるものを複数枚用意してベース板１１を取替え
ることにより下型６の取付け高さを調整できるよ
うにする。

また、さらに、上記ベース板１１の下面に敷く
薄鋼板からなる調整板１５を設ける。この調整板
１５もベース板１１と同形で例えば0.1mm単位で
厚さの異なるものを用意する。

２０は上型ホルダで、厚肉鋼板のプレス加工に
より形成したものであり、このホルダ２０の後寄
りには左右一対のガイド孔２１が設けてある。

上記のガイド孔２１はプレス成形に際してポン
チにより打抜くが、この部分にはプレスにより下
方に向けてボス２３を設ける。このボス２３は第
４図に示すように、裏面に凹部２４を形成すると
同時に表面にボス２３を突出させるが、凹部２４
の径をボス２３の径より相当大きくすることによ
り、凹部２４の深さよりボス２３の高さを大とし
てガイド孔２１の有孔長、すなわち、ガイド孔２
１の下端より凹部２４の底面までの長さを上型ホ
ルダ２０の肉厚より長くするのである。

上型ホルダ２０には上記のガイド孔２１の他
に、プレス機のスライドへの取付用シヤンク２５
を固定する孔や、複数のネジ孔などを設け、上型
２６を複数の固定ボルト２７により上型ホルダ２
０の下面に固定する。

また、上型２６の前部に設けた左右一対の孔に
は一対のガイドピン３０の上端を固定し、このガ
イドピン３０が摺動自在に嵌合する左右のガイド
孔３４を下型６の前部に設ける。

なお、上記のガイドポスト圧入孔２やガイド孔
２１はプレス加工のみで正確な孔を形成し得るの
で機械加工を要しないが、下型ホルダ１の下面お
よび上面の下型取付面、ベース板１１の上下面、
調節板１５の上下面、上型ホルダ２０の上面およ
び下面の上型取付面などは平面研磨盤で正確な平
面に仕上げる。

また、各図に鎖線により示すように、上型ホル
ダ２０上に同材料からなる上部板３１を重ねてボ
ルト止めなどの手段により一体に固定する場合も
ある。この上部板３１もその上下を研磨盤により
正確な面に仕上げ、かつ、ガイドポスト８が貫通
する正確なガイド孔３２を設けて、上型ホルダ２
０のガイド孔２１に正確に一致させ、ガイド孔３
２に達する注油孔３３を設ける。

〔効 果〕

この発明の製造方法は下型ホルダおよび上型ホ
ルダを肉厚鋼板のベース成形により形成するもの
であるから従来の鋳造によるダイセツトに比較し
て製造が容易で軽量であり、割れないという利点
がある。また、下型ホルダのガイドポスト圧入孔
および上型ホルダのガイド孔はベース成形時にお
ける押出加工の際に、上記下型ホルダや上型ホル
ダの裏面に、上記圧縮ばねより大径の凹入部を形
成するとにより、孔の有効長すなわち、ガイドポ
ストに接する部分の長さをホルダの肉厚よりより
長くしたので鋳造製品のように、ガイドブシユを
用いる必要はない。また、下型ホルダの下側には
ベース板を重ねて固定し、このベース板に設けた
受孔に、ガイドポストの下端を嵌合させたので、
ガイドポストの支持が確実で上型ホルダの正確な
ガイドができる。さらに、厚みの異なる複のベー
ス板を用意して、このベース板を選択使用するこ
とにより、下型の取付高さが容易に調節できるな
どの効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明ダイセツトの一実施例を示す
正面図、第２図は同上の側面図、第３図は同じく
平面図、第４図は第３図Ａ−Ａ線の縦断正面図、
第５図は分解斜視図である。 １……下型ホルダ、２……ガイドポスト圧入
孔、３，２３……ボス、８……ガイドポスト、１
１……ベース板、１３……受孔、２０……上型ホ
ルダ、２１……ガイド孔、６……下型、２６……
上型。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 下型ホルダに固定した複数のガイドポストに
   上型ホルダの複数の孔を摺動自在に嵌合させたダ
   イセツトの製造方法において、前記下型ホルダお
   よび前記上型ホルダを肉厚鋼板でプレス成形する
   に際し、前記下型ホルダのガイドポスト圧入孔の
   プレス成形時に、押出加工により、前記下型ホル
   ダの裏面に凹部を形成すると同時に上方に向けて
   この凹部より小径のボスを形成することにより、
   このボスの上端から上記凹部の底部におよぶ上記
   ガイドポスト圧入孔の有効長を前記下型ホルダの
   厚みより長く形成し、さらに、前記下型ホルダの
   下面には、この下型ホルダと同材料から成るベー
   ス板を固定し、このベース板上に形成した受孔に
   は、前記下型ホルダの前記ガイドポスト圧入孔に
   圧入して、この下型ホルダの下面に突出した前記
   ガイドポストの下端を嵌合させ、前記上型ホルダ
   に設ける前記ガイドポストのガイド孔もプレス成
   形時における押出加工により、裏面に凹部を形成
   すると同時に下方に向けてこの凹部より小径のボ
   スを形成することにより、このボスの下端から前
   記凹部の底部におよぶ上記ガイド孔の有効長さを
   前記上型ホルダの厚みより長く形成することを特
   徴とするダイセツトの製造方法。