JPH0439066Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、ドアが開いているときに自動車の発
進動作を禁止する自動車の発進制御装置に関する
ものである。

［従来の技術］ ギヤ比を自動的に変更し得る自動変速機を搭載
した自動車は、変速レバーをドライブレンジに切
換えた状態でアクセルペダルを少しでも踏込む
と、クラツチが徐々に接続され、発進するように
なる。このため例えばドアを完全に閉じていない
場合や、乗降時等のドアが全開している場合等に
おいても自動車が発進する不具合があつた。

本考案者はこの点を解決するために、ドアの開
閉を検出する検出手段を設け、この検出手段によ
つてドアが開かれている場合には、たとえ変速レ
バーがドライブレンジにあつて、しかもアクセル
ペダルが踏込まれた場合にも、クラツチの接続を
禁止して自動車の発進を防止するようにした「自
動トランスミツシヨン」を考案し、実用新案登録
出願した（実開昭61−73439）。

［考案が解決しようとする問題点］ 上記自動トランスミツシヨンは、ドアが開かれ
ているか否かの判断をマイクロコンピユータの内
部で行つていたので、万一マイクロコンピユータ
が何らかの故障により判断を誤つた場合には、ド
アが開いた状態で運転者がアクセルペダルを踏込
むと、自動車が発進してしまうおそれがあつた。

本考案の目的は、ドアの開閉の判断をマイクロ
コンピユータの外部で行うようにして、ドアが開
放されているときにアクセルペダルが踏込まれて
もエンジンの回転速度を上昇させずに発進を防止
する自動車の発進制御装置を提供することにあ
る。

［問題点を解決するための手段］ 上記目的を達成するために、本考案は、自動車
の変速機のギヤ位置を変更するアクチユエータ
と、アクセルセンサ、車速センサ等の出力に基づ
いて前記アクチユエータを制御して所定のギヤ比
を得るコントローラと、自動車のドアの開閉状態
を検出するドアスイツチとを備え、このドアスイ
ツチによりドアの開放が検出された場合にアクセ
ルペダルが踏まれても踏まれていない状態の疑似
信号を発して自動車の発進動作を禁止するように
したものである。

ドアスイツチはアクセルセンサとコントローラ
との間に設けられる。このドアスイツチはドアの
閉止時にはアクセルセンサの出力をコントローラ
に接続し、ドアの開放時にはエンジンのアイドル
回転速度に相応した出力をコントローラに接続す
るように切換わる。

［作用］ ドアの閉止時にはドアスイツチは、アクセルペ
ダルの踏込み量に応じたアクセルセンサの検出信
号をコントローラに導く。一方、ドアの開放時に
はアクセルペダルが踏込まれても、エンジンのア
イドル回転速度に相応した出力信号をコントロー
ラに導いて、エンジン回転速度の上昇を規制して
自動車の発進を禁止する。

［実施例］ 次に本考案の一実施例を図面に基づいて詳しく
説明する。

第１図に示すように、本実施例の自動車の発進
制御装置はそれぞれマイクロコンピユータからな
るコントローラ１及び電子ガバナコントローラ２
を備える。コントローラ１にはアクセルセンサ４
とセレクトレバーセンサ５と車速センサ６と変速
ギヤセンサ７と回転センサ８の各検出出力が接続
される。アクセルセンサ４はアクセルペダル９の
ペダルストロークを検出し、セレクトレバーセン
サ５は変速機１０の変速操作を行うためのセレク
トレバー１１の変速操作位置を検出する。変速ギ
ヤセンサ７は変速機１０のギヤ位置を検出する。
回転センサ８はエンジン１２の回転速度を検出す
る。また電子ガバナコントローラ２には上記アク
セルセンサ４と回転センサ８とエンジン水温セン
サ１３とラツク位置センサ１４の各検出出力が接
続される。電子ガバナコントローラ２の制御出力
は噴射ポンプ１５に設けられた電子ガバナ１６に
接続する。

変速機１０には変速ギヤをシフト及びセレクト
するエアシリンダからなるアクチユエータ１８が
設けられ、クラツチ１９にはクラツチを断接する
エアシリンダからなるアクチユエータ２０が設け
られる。アクチユエータ１８及び２０はそれぞれ
エア配管２１及び２２を介してエアタンク２３に
接続する。２４はエアコンプレツサである。エア
配管２１及び２２にはそれぞれ電磁弁２５及び２
６が介装され、これらの電磁弁２５及び２６には
前述したコントローラ１の制御出力が接続され
る。またコントローラ１の制御出力はギヤ位置等
を表示するインジケータ２７に接続される。

コントローラ１及び電子ガバナコントローラ２
には車両の経済走行や円滑な走行を達成するため
の最適な変速ギヤ位置、燃料噴射量等を記憶した
メモリが内蔵されている。

本実施例の特徴ある構成は、アクセルセンサ４
とコントローラ１及び電子ガバナコントローラ２
との間にドアスイツチ３０が設けられたところに
ある。

第２図に示すように、ドアスイツチ３０は切換
接点３０ａ，３０ｂ及び共通接点３０ｃを備え
る。切換接点３０ａにはアクセルセンサ４が接続
され、切換接点３０ｂにはエンジン１２のアイド
ル回転速度に相応した出力が接続され、共通接点
３０ｃはコントローラ１及び電子ガバナコントロ
ーラ２に接続される。ドアスイツチ３０は図の破
線で示すように、ドア３１が閉止しているときに
は切換接点３０ａを共通接点３０ｃに接続し、図
の実線で示すように、ドア３１が開放していると
きには切換接点３０ｂを共通接点３０ｃに接続す
る。３２は自動車の乗降用開口壁である。

アクセルセンサ４はポテンシヨメータからな
り、第３図に示すようにアクセルペダル９のペダ
ルストロークに対する出力電圧の変化特性を有す
る。第３図において、Ａはアイドルストローク、
Ｂはフルストロークであつて、アイドルストロー
クＡでは出力電圧ELを、フルストロークＢでは
出力電圧EHをそれぞれ示す。切換接点３０ｂに
は、第３図の出力電圧ELに相応する電圧が印加
される。

このように構成された自動車の発進制御装置で
は、第２図の破線に示すようにドア３１が閉止状
態にあれば、ドア３１が切換接点３０ａと共通接
点３０ｃとを接続するため、アクセルセンサ４の
出力信号が第３図の特性図に示すようにペダルス
トロークの大きさに応じてコントローラ１に入力
する。コントローラ１は、このアクセルセンサ４
の出力信号と、他のセレクトレバーセンサ５、車
速センサ６、変速ギヤセンサ７及び回転センサ８
の出力信号に応じてアクチユエータ１８及び２０
を制御して、最適なクラツチ１９の断接動作を行
い、かつ変速機１０の最適なギヤ位置を選択す
る。

ドア３１が開放状態にあれば、第２図の実線に
示すようにドア３１が切換接点３０ｂと共通接点
３０ｃとを接続するため、ペダルストロークの大
小に拘らず、コントローラ１には第３図に示す電
圧ELが導かれる。このため、エンジン１２の回
転速度はアイドリング状態を保つ。クラツチ１９
はアクセルペダル９の全ストロークの15％程度踏
込まれて接続し、自動車は発進するようになつて
いるため、この状態では発進しない。

なお、上記例で述べた構成の他に、ドアスイツ
チ３０の開放時には、コントローラ１がアクチユ
エータ２０を制御してクラツチ１９を断状態にし
たり、或いはアクチユエータ１８を制御して変速
機１０のギヤ位置をニユートラル状態にすること
もできる。

［考案の効果］ 以上述べたように、本考案によれば、ドアが開
放されているときにアクセルペダルを踏込んでも
エンジンの回転速度は上昇せず、コントローラの
入力側で自動車の発進動作を禁止できる。このた
め、万一コントローラが故障しても自動車が発進
することがない。

また、本考案の構成に、更に従来の自動トラン
スミツシヨンと同様のドア開放時のクラツチ
「断」制御やギヤ位置のニユートラル制御を加え
れば、より一層安全な発進制御装置が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施例自動車の発進制御装置の
構成図。第２図はそのアクセルセンサ及びドアス
イツチの詳細な構成図。第３図はそのアクセルセ
ンサのペダルストロークに対する出力電圧の変化
を示す特性図。 １……コントローラ、４……アクセルセンサ、
６……車速センサ、１０……変速機、１２……エ
ンジン、３０……ドアスイツチ、３１……ドア。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 自動車の変速機のギヤ位置を変更するアクチユ
   エータと、アクセルセンサ、車速センサ等の出力
   に基づいて前記アクチユエータを制御して所定の
   ギヤ比を得るコントローラと、前記自動車のドア
   の開閉状態を検出するドアスイツチとを備え、こ
   のドアスイツチによりドアの開放が検出された場
   合に前記自動車の発進動作を禁止するようにした
   自動車の発進制御装置において、 前記ドアスイツチが前記アクセルセンサと前記
   コントローラとの間に設けられ、前記ドアスイツ
   チは前記ドアの閉止時に前記アクセルセンサの出
   力を前記コントローラに接続し、前記ドアの開放
   時にエンジンのアイドル回転速度に相応した出力
   を前記コントローラに接続するように切換わるこ
   とを特徴とする自動車の発進制御装置。