JPH0437092Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はフイルム内袋に関し、更に詳細には液
体又は流動性のある内容物を輸送する剛性の箱形
容器に使用する合成樹脂製のフイルムからなる内
袋に関する。

（従来の技術） 従来、液体又は流動性のある内容物を入れる合
成樹脂製のフイルムからなる袋は、漏れ防止の観
点から一体成形で形成されたものが使用されてい
る。しかし、液体等を入れるこの種の袋は、すべ
て小型のもので、大量の内容物を一度に輸送する
に適したものは存在していない。その理由は、一
体成形で大形のこの種の袋を形成するにはその成
形機があまりにも大きくなり、実際にそのような
大型の成形機は存在しないからである。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、最近では、輸送コストの低減か
ら、フイルム製の袋をダンボール紙の如き比較的
厚手の材料からなる剛性の箱形容器内に内袋とし
て入れ、このフイルム内袋に液体又は流動性のあ
る内容物を入れて輸送することが考えられてい
る。この場合でもフイルム内袋は大形のものが望
まれているが、上述の如く一体成形で形成するこ
とは困難であるので、継ぎ目のある袋によらざる
を得ない。合成樹脂製フイルムに継ぎ目を形成す
る場合、最も一般的な手段はヒートシールである
が、このヒートシール部における液体の漏れ防止
に対する信頼性は未知であり、万が一にも事故が
起きた場合その袋内の内容物の損失だけではなく
周辺の積荷にまでにも大きな損害を与えるだけ
に、このようなヒートシール部を有するフイルム
内袋の使用に踏み切れず、上述の如き輸送方法の
実施を困難にしていた。

本考案の目的は、かかる従来の問題点を解決す
るためになされたもので、剛性の箱形容器内に設
置して、液体又は流動性内容物を安全確実に輸送
できる信頼性の高い、ヒートシール部を有するフ
イルム内袋を提供することにある。

（課題を解決するための手段） 本考案に係る液体又は流動性のある内容物を輸
送する剛性の箱形容器に使用するフイルム内袋
は、一体的なフイルム製チユーブを相対向する部
分を長手方向に沿つて断面Ｖ字状に折込み、これ
を偏平にしたままその下端部をヒートシールして
閉鎖し、このフイルム製チユーブを長手方向中程
で２つ折りして一方を袋本体とし、ヒートシール
部を有する他方の折返し部を該ヒートシール部が
袋本体に充填される内容物予定上面レベルより上
方に位置するように袋本体の壁面に沿つて配置さ
れていることを特徴とする。

（作用） 本考案のフイルム内袋は、剛性の箱形容器内に
設置され、液体等の内容物が袋本体の上方口部か
ら導入される。その際、袋本体の壁面は容器の壁
によつて支えられ、且つ底面部は液体等内容物の
重みによつて加圧密着されると共に袋本体の側壁
に沿つて折返された部分も液体等内容物による袋
本体の壁面への加圧力により容器の壁に押し付け
られ、これによつて折返し部への液体等内容物の
浸入は起らずに袋本体に当該内容物が貯留され
る。仮に、液体等内容物の折返し部への浸入があ
つたとしても、ヒートシール部は内容物予定上面
レベルよりも上方に位置しているため、当該ヒー
トシール部に内容物が及ぶことはない。

（実施例） 以下、本考案のフイルム内袋を添付図面に示さ
れた実施例について更に詳細に説明する。

第１図には本考案の一実施例に係るフイルム内
袋１０が示されている。このフイルム内袋１０
は、第２図に示されるように合成樹脂フイルム製
の一体的なチユーブ１１を長手方向に沿つて相対
向する部分を断面Ｖ字状に折込んで折込み幅Ｗの
襞１２を形成したものから構成されている。

このように両側に襞１２を形成したフイルム製
チユーブ１１は、各襞１２の襞部分が密着するよ
うに第３図に示される如く偏平にされ、その上端
１１ａおよび下端１１ｂがヒートシールにより閉
鎖される。いま、これら各ヒートシール部を符号
１３，１４で示す。

次いで、ヒートシール部１３から長手方向にＷ
の長さ寸法の範囲内におけるチユーブ１１の壁面
適所に充填用の口部１５が取付けられる。このよ
うに襞の折込み幅Ｗの長さ寸法範囲内に口部１５
を設ける理由は、第１図から明らかなように襞１
２を有するチユーブ１１を脹らませて袋本体１６
が形成されたとき、該袋本体１６の上面部１７の
幅が襞１２の幅の２倍即ち2Wに一致し、従つて、
該上面部１７の半分が偏平のときチユーブ１１の
一方の壁面において端部（ヒートシール部１３）
から長手方向にＷの寸法長さの範囲となるからで
ある。そして、袋本体１６の高さｌは、ヒートシ
ール部１３から寸法Ｗの位置を第３図に折線１８
で示すと、偏平状のチユーブ１１においてはこの
折線１８から長手方向にｌの長さ分が相当する。

そこで、折線１８から距離ｌの位置を折線１９
で示すと、この折線１９から襞１２の折込み幅Ｗ
の位置である折線２０で当該偏平状のチユーブ１
１を２つ折りにする。その際、各折線１９および
２０に沿つて下端１１ｂ側に両面接着テープ或い
は粘着剤塗布部２１，２２が設けられる。この折
線２０から下端１１ｂ側へ襞１２の折込み幅Ｗの
長さ寸法までの範囲（折線２３までの範囲）は、
袋本体１６の底面部の半分に重なり折線２３から
下端１１ｂ側が袋本体１６の一壁面に沿つて更に
折り曲げられる。従つて、折線２０から下端１１
ｂ側の偏平状のチユーブ部分を折返し部２４と称
することとする。

この折返し部２４において折線２０からヒート
シール部１４までの長さＳは、ヒートシール部１
４が袋本体１６に充填される内容物の予定上面レ
ベルより上方に位置するように設計される。

襞１２を有する偏平のチユーブ１１はヒートシ
ール部１３と折線２０との範囲部分で袋状に形ち
付けられて袋本体１６とされる時、上面側および
底面側において襞１２は内外２つの三角形部分に
折り分けられて重ね合いそれぞれ上面部１７およ
び底面部を構成する。そして、特に底面部におい
ては、第４図に示されるように内側および外側の
三角形部分の間に底面部の外縁に沿つて両面接着
テープ或いは粘着剤塗布部２５を設けて密着し、
相互を貼り合せて固定する。また、折線２０から
下端１１ｂまでの折返し部２４において、袋本体
１６の底面部の半分に重なる前述した折線２０か
ら折線２３までの範囲は各接着部２１，２２によ
つて袋本体１６の底面部に貼り合されて固定され
る。そして、最後に折返し部２４をヒートシール
部１４に沿つて袋本体１６寄りに設けた両面接着
テープ或いは粘着剤塗布部２６によつて袋本体１
６の壁面に固着する。

このように構成されたフイルム内袋１０は、使
用前の状態として、底面部の両サイドを襞１２と
共に内側に断面Ｖ字状に折り込んで第５図に示さ
れるように下部が台形状をした長方形状の偏平な
フイルム内袋とされる。

そして、使用にあたつては、第６図に示される
ような比較的に剛性な壁部からなる箱形の容器Ａ
の内部に台形状の下部を下にして入れ、上部の口
部１５から流体又は流動性のある内容物をホース
などを用いて充填する。これにより、フイルム内
袋１０は内容物の充填によつて急速に脹らむが、
その際、前述した各部分に接着部２１，２２，２
５があり、特に接着部２５により底面部が形成さ
れるため袋の形を正確に整えながら脹らむ。この
ことは、内容物によつて袋本体１６の正常な形の
底面部を押圧することとなるため折線２０で折り
返された折返し部２４への内容物の浸入を生じさ
せないという点で重要となる。

しかし、もし、この折返し部２４の内容物が浸
入していつたとしても、折返し部２４の端部にお
けるヒートシール部１４は袋本体１６に充填され
る内容物の上面レベルより常に上方に位置するた
め（フイルム内袋１０の設計製造時における折返
し部２４の長さ寸法だけではなく、当然のことな
がら内容物の量によつて内容物の上面レベルに対
する折返し部２４のヒートシール部１４の位置調
整は可能である）、内容物がフイルム内袋１０に
おけるヒートシール部に直接的な影響を与えるこ
とはまつたくなく、従つて、ヒートシール部にお
ける液漏れに対する信頼性はまつたく無関係とな
る。

なお、前述の実施例における各接着部２１，２
２，２６については横方向に両面接着テープを入
れて壁面を固着したが、縦方向に入れて壁面を固
着しても同様の効果を奏する。

（考案の効果） 以上説明したように、本考案のフイルム内袋に
よれば、襞を有するフイルム製のチユーブを折り
返して袋本体とし、その折返し部の外側端をヒー
トシールして袋本体の壁面に沿つて該袋本体に収
容される内容物予定上面レベルより上方に位置決
めしたことにより、ヒートシール部を備えながら
も当該ヒートシール部に内容物の影響を何等与え
ることなく充填且つ輸送できるため、このような
用途に用いる大形のフイルム内袋が安価に且つ容
易に提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係るフイルム内袋
を示す斜視図、第２図は前記フイルム内袋が形成
される前の襞の付いたフイルム製チユーブを示す
斜視図、第３図は前記フイルム製チユーブを偏平
にした状態で所定位置に折線を入れて示す平面
図、第４図はフイルム内袋における袋本体の底面
部を部分的に示す斜視図、第５図は完成されたフ
イルム内袋を折り畳んで保存格納しておく状態を
示す平面図、第６図は前記フイルム内袋の外側容
器を示す斜視図である。 １０……フイルム内袋、１１……チユーブ、１
２……襞、１３，１４……ヒートシール部、１６
……袋本体、１８，１９，２０，２３……折線、
２４……折返し部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 液体又は流動性のある内容物を輸送する剛性の
   箱形容器に使用するフイルム内袋であつて、一体
   的に形成されたフイルム製チユーブを長手方向に
   沿つて相対向する部分を断面Ｖ字状に折込んで偏
   平にしたまま下端をヒートシールで封緘すると共
   に前記フイルム製チユーブを長手方向中程で２つ
   折りにしてその一方を袋本体とし、前記ヒートシ
   ール部を有する他方の折返し部を該ヒートシール
   部が前記袋本体の充填内容物予定上面レベルより
   上方に位置するように前記袋体本体の壁面に沿つ
   て配置したことを特徴とするフイルム内袋。