JPH0437060Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、魚介類等の生鮮食品を氷詰めして
輸送するのに好適に使用される組立式カートンに
関する。

従来技術とその課題 生鮮食品を氷詰めした形で輸送する箱として従
来より発泡スチロールの成形物からなるものが汎
用されているが、使用前の空箱状態での搬送や保
管に際して非常に嵩ばり、また材質的に高コスト
に付くという難点があつた。

一方、上記発泡スチロール製の箱に代えて安価
な段ボール製のカートンを使用し、かつ融氷水の
漏出を防止するため、プラスチツク製の袋や薄い
トレーを箱内に収容したり、カートン自体を防水
製とすること（例えば実開昭62−52111号公報等）
も知られている。しかしながら、これらカートン
においても、予め箱形に製作したものでは前記の
発泡スチロール製のものと同様に使用前形態で嵩
高となる欠点があり、またシート状に展開したも
のでは積重して必要スペースを小さくできる利点
がある反面、使用に際して箱形に組立てるのに手
間を要して荷詰め能率が著しく低下するという問
題があつた。

この考案は、上述の状況に鑑み、使用前形態で
嵩ばらず、しかも使用時には荷詰めを行い易い箱
形態に極めて簡単な操作で迅速に組立てることが
可能であり、かつ融氷水の漏出も防止し得る搬送
用カートンを提供することを目的としている。

課題を解決するための手段 上記目的を達成するために、この考案の輸送用
カートンは、少なくとも箱内側になる面を耐水面
とした一枚の段ボールシートからなり、四辺形底
面部の全周に箱四周の側面部と各側面部の隣接側
辺間を連絡する二つ折り型の折込み片とが連成さ
れ、対向する一対の側面の各上辺に上部フラツプ
が、他対の側面の各上辺に下部フラツプがそれぞ
れ連成され、かつ各上部フラツプには先端両側に
嵌挿片を有する左右一対の係止用舌片が分割形成
されると共に、各下部フラツプには上記各係止用
舌片の嵌挿片を嵌入係止させる係止孔が形成さ
れ、上記各折込み片を内方に二つ折りにした状態
で各側面部を起上らせ、各係止用舌片の嵌挿片を
対応する下部フラツプの係止孔に嵌入係止するこ
とにより箱枠が組立てられるようにしてなる構成
を採用したものである。

また、この考案においては、上部フラツプが閉
じ合わせ時に嵌挿片と係止孔との嵌合部を覆う幅
に設定された構成を好適態様としている。

作 用 この考案のカートンでは、上部フラツプに分割
形成された各係止用舌状片の嵌挿片が下部フラツ
プの係止孔に嵌入係止し得るようになされている
ことから、荷詰めに際して、各側面を起上せて上
記嵌挿片を係止孔に嵌入係止させるだけで上方が
開放した確固とした箱枠を形成できる。

また、上部フラツプを閉じ合わせ時に嵌挿片と
係止孔との嵌合部を覆う幅に設定すれば、荷詰後
の箱形態で該嵌合部が外部へ露呈せず外観良好と
なる。

実施例 以下、この考案を図示実施例に基づいて説明す
る。

第１図はこの考案を適用した搬送用組立式カー
トン１の使用前形態、第２図は同カートンを展開
した原シート１０を示す。この原シート１０は、
第３図の如く上下のライナ１１ａ，１１ａ間に波
形の中心１１ｂを挟んだ段ボール１１の片面に、
二層のポリエチレン等からなるプラスチツクフイ
ルム１２ａとその間に介在するクラフト紙１２ｂ
を積層したり、あるいは第４図の如く同様の段ボ
ール１１の片面にプラスチツクフイルム１２ａを
貼着することにより、組立時の箱内側となる面を
水不浸透性の耐水面とした段ボールシートを、図
示形状に打抜きしたものである。なお、上記耐水
面はシート１０の両面としてもよい。

しかして、シート１０は、長方形の底面部２の
全周に箱四周の側面部３ａ，３ａ，３ｂ，３ｂと
これらの隣接する側辺間を連絡する二つ折り型の
折込み片４，４……が連成され、更に長辺側の対
向する側面部３ａ，３ａの各上辺に上部フラツプ
５が、短辺側の対向する側面部３ｂ，３ｂの各上
辺に下部フラツプ６がそれぞれ連成され、これら
各部の境界と各切込片４の対角線位置とに図中の
破線で示す折り目が印圧形成されている。

また、各上部フラツプ５の左右両側にはそれぞ
れ、該フラツプ５から切離されて基端が側面部３
ａの上辺に接続した係止用舌片７が切込み形成さ
れている。この舌片７には両側縁対向位置に小切
り込み７ａ，７ａを設けることによつて先端両側
に嵌挿片８，８が形成されており、両嵌挿片８，
８は小切り込み７ａ，７ａの各奥端位置より先端
に至る２条の折り目８ａ，８ａによつて下向きに
折付け可能となつている。しかして、両折り目８
ａ，８ａは先端側で相互に接近するように舌片長
手方向に対して斜行しており、その各中間部に折
り目方向に沿うスリツト８ｂが切り込み形成され
ている。

一方、各下部フラツプ６には、その両側の係止
用舌片７，７の先端側に対応する位置にそれぞ
れ、略Ｈ字形の切込みによつて中央部の広い係止
孔９が形成されている。しかして、各係止孔９は
上記切込みによつて構成される相互に対向した押
下げ片９ａ，９ａにて閉止されている。なお、係
止孔９の最大幅は係止用舌片７の先端側の幅より
も狭く設定してある。

上記構成の原シート１０は、短辺側の側面部３
ｂ，３ｂをそれぞれ、下部フラツプ６および両側
の折込み片４，４と一体に、内側へ折り付けて底
面部２の内面上に重合すると共に、各折込み片４
の二つ折り時の片面４ａを長辺側の側面部３ａ内
面に接着剤で接合固定することにより、第１図で
示す使用前形態の平坦状のカートン１とする。第
１図中の破線ハツキングを施した部分が接着部で
ある。

このカートン１を用いて荷詰めを行うには、ま
ず第５図の如く長辺側の両側面部３ａ，３ａを起
上するように内側へ折り付ける。これによつて各
折込み部４が二つ折りされつゝ倒伏していた短辺
側の両側面部３ｂ，３ｂが起上し、全側面部が立
ち上つて上方に開放した箱枠が構成される係止孔
９に、対応する係止用舌片７の嵌挿片８，８を２
条の折り目８ａに沿つて下向きに折つた形で上方
から嵌挿して係止させる。このとき、両押し下げ
片９ａ，９ａは上記嵌挿によつて押し下げられる
が、嵌挿後には復元力によつて第７図の如く下部
フラツプ６の内側へ張出した嵌挿片８，８を係止
孔９の縁部との間で挟み付けて係止をより確実に
するように作用する。なお、嵌挿片８の各折り目
８ａにはスリツト８ｂが存在するため、上記嵌挿
に際して両嵌挿片８，８を指で挟むだけで簡単に
下向きに折ることができる。

かくして係止用舌片７を係止孔９に嵌合係止す
ることにより、下部フラツプ６が側面部３ｂと一
体に長辺側の両面部３ａに対して連結固定され、
カートン１の元の平坦形への復帰が阻止され、各
折込み部４が長辺側の側面部３ａ内面に二つ折り
状態で重合した形で、確固とした箱枠が組立てら
れる。従つて、この段階で生鮮食品を氷等と共に
荷詰めすればよく、この荷詰め操作が非常に容易
となる。

しかして、荷詰め終了後には、第８図の如く両
上部フラツプ５，５を内側に折り付けて下部フラ
ツプ６，６上に重ね合わせ、箱枠の上方側を閉止
し、紐掛け等を行つて輸送に供すればよい。な
お、上部フラツプ５，５を図示の如く閉じ合わせ
状態で嵌挿片８，８と係止孔９との嵌合部を覆う
幅に設定しておけば、該嵌合部が外部に露呈せず
外観良好となる。

この荷詰め形態では、箱内面全周囲が底面部２
に連続した側面部３ａ，３ａ，３ｂ，３ｂと折込
み片４，４……とからなる途切れのない耐水面で
囲まれているため、箱を転倒させない限り融氷水
の露出を生じない。

なお、この考案に係る輸送用組立式カートンの
細部構成については上記例示以外に種々設計変更
可能であり、例えば第９、１０図で示すように各
下部フラツプ６の係止孔９をコ字形の切り込みに
よつて形成して一つの押下げ片９ａで閉止される
ようにしてもよい。また、使用前形態で、前記実
施例とは逆に上部フラツプを有する側面部を底面
部内面上に重合させるようにしてもよい。

考案の効果 この考案に係る輸送用カートンは、使用前形態
で平坦状となることからその搬送や保管において
嵩ばらず、かつ使用に際しては極めて簡単な操作
で迅速に確固とした箱枠を組み立てることがで
き、荷詰め操作が非常に容易であり、また荷詰め
状態で融氷水の漏れを生じる虞れもないことか
ら、氷詰めする生鮮食品等の輸送用としての適性
に優れている。また、このカートンは、一枚の段
ボールシートからなるため、材料コストが安く、
かつ製作容易である。

しかして、上記カートンにおいて上部フラツプ
を上記嵌挿片と係止孔との嵌合部を覆う幅に設定
すれば、荷詰め後の箱形態においてすつきりした
良好な外観を付与できる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案に係る輸送用カートンの実施例
を示すものであつて、第１図は第１実施例のカー
トンの使用前形態の平面図、第２図は同カートン
を展開した原シートの平面図、第３図および第４
図は上記原シートに使用される段ボールシートの
構造例を示す断面図、第５図は同カートンの使用
前形態から箱形態への移行段階を示す斜視図、第
６図は同カートンの荷詰め前の箱形態を示す斜視
図、第７図は第６図の−線の断面図、第８図
は同カートンの荷詰め後の斜視図、第９図は第２
実施例のカートンの使用前形態の平面図、第１０
図は同カートンを展開した原シートの平面図であ
る。 １……搬送用カートン、２……底面部、３ａ，
３ｂ……側面部、４……折込み片、５……上部フ
ラツプ、６……下部フラツプ、７……係止用舌
片、８……嵌挿片、９……係止孔、９ａ……押下
げ片、１０……原シート。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 少なくとも箱内側になる面を耐水面とした一
   枚の段ボールシートからなり、四辺形底面部の
   全周に箱四周の側面部と各側面部の隣接側辺間
   を連絡する二つ折り型の折込み片とが連成さ
   れ、対向する一対の側面の各上辺に上部フラツ
   プが、他対の側面の各上辺に下部フラツプがそ
   れぞれ連成され、かつ各上部フラツプには先端
   両側に嵌挿片を有する左右一対の係止用舌片が
   分割形成されると共に、各下部フラツプには上
   記各係止用舌片の嵌挿片を嵌入係止させる係止
   孔が形成され、上記各折込み片を内方に二つ折
   りにした状態で各側面部を起上らせ、各係止用
   舌片の嵌挿片を対応する下部フラツプの係止孔
   に嵌入係止することにより箱枠が組立てられる
   ようにしてなる生鮮食品等の輸送用組立式カー
   トン。 (2) 上部フラツプが閉じ合わせ時に嵌挿片と係止
   孔との嵌合部を覆う幅に設定されてなる請求項
   (1)記載の生鮮食品等の輸送用組立式カートン。