JPH04367473A - 抗菌性の合成樹脂製容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、抗菌性の合成樹脂製
容器に関するものである。この抗菌性の合成樹脂製容器
は、これを構成している合成樹脂の中に抗菌剤が含まれ
ていて、その表面に有機物を付着させたまま、この容器
を高湿度の下に高い気温の中に放置しても、付着した有
機物が腐敗したり、かびなどを生じたりすることがない
、という特性を持っている。

【０００２】

【従来の技術】合成樹脂製容器は食品を入れるのに多く
用いられる。合成樹脂は、金属又はガラスと違って、本
質的にガスを透過させるものであるから、これに食品を
入れて或る期間放置すると、食品が腐敗しやすい。また
、合成樹脂製容器の壁面に食品などの有機物が付着して
いると、付着した有機物にかびが発生する。そこで、こ
のような腐敗を遅らせ、またかびの発生を防ぐことが要
望された。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】この発明は、上述のよ
うな要望に応じようとして生まれたものである。すなわ
ち、この発明は、合成樹脂製容器自体が抗菌性を持って
いるので、容器に有機物が付着し、付着した有機物が高
い湿度の下に高い気温中に長期間放置されても、有機物
が容器がわから腐敗したりかびを生じたりすることのな
いような、容器を提供しようとしてなされたものである
。

【０００４】

【課題解決のための手段】この発明者は、合成樹脂容器
に抗菌剤を付与することによって、上述の目的を達成し
ようと考えた。抗菌剤には色々なものがあるが、食品な
どを入れる容器としては抗菌剤が無毒無害なものでなけ
ればならない。また、抗菌剤を合成樹脂容器に付与する
のに、塗布しただけでは抗菌性が持続しないので、不適
当であるし、そうかと云って抗菌剤を合成樹脂中に練り
込むには、抗菌剤が熱に安定であって加熱に耐えるもの
を選ばなければならない。さらに、抗菌剤は合成樹脂へ
の練り込みが容易であって、しかも練り込んで得られた
組成物が、合成樹脂としての物性を著しく低下させない
ものでなければならない。このような観点から、合成樹
脂容器に付与するに適した抗菌剤を選択した。

【０００５】その結果、この発明者は、合成樹脂中に練
り込んで抗菌性の食品容器とするには、抗菌剤として１
０、１０′ーオキシビスフェノキシアルシンのような砒
素含有の複素環化合物、又は銀、亜鉛、銅のイオンを吸
着させたゼオライトとアルカリ土類金属炭酸塩との混合
物が適していることを見出した。また、このような抗菌
剤を含ませて容器とするには、抗菌剤が容器の内がわだ
けに存在するのが有利であるから、抗菌剤を練り込んだ
フィルムと抗菌剤の含まれていないフィルム又はシート
とを貼り合わせて、これを容器にするのが有利であるこ
とを見出した。この発明は、このような考え方に基づい
て完成されたものである。

【０００６】

【発明要旨】この発明は、抗菌剤として（ａ）銀、亜鉛
、又は銅イオンを吸着させたゼオライトと、アルカリ土
類金属の炭酸塩との混合物、又は（ｂ）砒素含有の複素
環化合物を含有させた熱可塑性合成樹脂からなる厚み１
０ー１００ミクロンの抗菌性フィルムを、上記抗菌剤を
含まない厚み１００ミクロン以上の熱可塑性合成樹脂製
フィルム又はシートの少なくとも一面上に貼り合わせて
なる積層フィルム又はシートを材料とし、上記抗菌性フ
ィルムを内がわに向けて容器状に成形してなる、抗菌性
の合成樹脂製容器を要旨とするものである。

【０００７】この発明では、容器を構成する材料として
熱可塑性合成樹脂を用いる。その熱可塑性合成樹脂は、
抗菌剤を含んだフィルム用の樹脂と、抗菌剤を含まない
フィルム又はシート用の樹脂とが、異なった樹脂であっ
てもよいが、また同種の樹脂であってもよい。異なった
樹脂であるときには、貼り合わせるのに適当な接着性の
合成樹脂を用いるが、同種の樹脂であるときは、接着性
の合成樹脂を用いないで熱融着させて貼り合わせること
ができる。

【０００８】熱可塑性合成樹脂としては、ポリスチレン
、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリカ
ーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル
樹脂（詳しく云えばポリエチレンテレフタレート）など
色々なものを用いることができる。そのうちで、好まし
い熱可塑性合成樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン
である。

【０００９】この発明では、抗菌剤として、砒素含有の
有機化合物又は特定の金属イオン含有の無機化合物を用
いる。そのうち、砒素含有の有機化合物は、砒素含有の
複素環化合物である。その複素環化合物は、アルシンと
くにフェノキシアルシンの誘導体である。その具体的化
合物は

【００１０】

【化１】 の構造を持った１０、１０′ーオキシビスフエノキシア
ルシンである。この化合物は、砒素の含有量が約３０重
量％とされている。この化合物は、例えば米国のモート
ン・チオコール社からバイナジン（Ｖｉｎｙｚｅｎｅ）
の商品名で販売されている。この発明では、この商品名
のものを用いることができる。その場合、この抗菌剤は
、化合物の純分として１００〜８００ｐｐｍ　の濃度に
なるようにして用いる。

【００１１】この発明では、抗菌剤として特定の金属イ
オン含有の無機化合物を用いることができる。その無機
化合物は、銀、亜鉛、若しくは銅イオンを吸着させたゼ
オライトと、アルカリ土類金属の炭酸塩との混合物であ
る。この混合物は、特公昭６３ー２８４０２号公報に抗
菌性組成物として開示されたものであり、また特公昭６
３ー５４０１３号公報に殺菌性ポリマー組成物として紹
介されたものである。この混合物は、鐘紡（株）からバ
クテキラーの商品名で販売されている。この発明では、
この混合物を樹脂中に１００〜８００ｐｐｍ　の割合で
用いる。

【００１２】この発明では、抗菌剤を含んだフィルムと
、抗菌剤を含まないフィルム又はシート（以下、これを
普通のシートという）とを貼り合わせたものを材料とし
て用いる。この場合の抗菌剤を含んだフィルム（以下、
これを抗菌性フィルムという）は、厚みが大凡１０−１
００ミクロンの範囲内にある薄いものである。だから、
これをフィルムと呼んでいる。これに対し、普通のシー
トは、厚みが大凡１００ミクロン以上である。すなわち
、普通のシートは、厚みの下限が規定されているだけで
、上限が格別規定されていない。だから、普通のシート
は厚みの大きいシートであってもよい。従って普通のシ
ートは、これを厳密に云えば、フィルムとシートとにわ
たる厚みを持っていることになる。しかし、普通のシー
トとして好ましい厚みは１００−１０００ミクロンの範
囲である。

【００１３】抗菌性フィルムと、普通のシートとを貼り
合わせるには、前述のように、接着剤、すなわち接着性
の樹脂を用いてもよいが、また接着剤を用いないで行う
こともできる。接着剤を用いる場合には、抗菌剤性フィ
ルムと普通のシートとを別々に作っておいて、これを接
着剤で貼り合わせてもよいが、接着剤を用いない場合に
は、抗菌性フィルムと普通のシートとを作った直後に、
まだその表面が加熱軟化している間に貼り合わせるのが
好都合である。それには、例えば抗菌剤を含んだ樹脂と
抗菌剤を含まない樹脂とを別々に押出機から押し出して
１つの口金内へ入れ、１つの口金内でフィルム又はシー
トに成形すると同時に、口金内で貼り合わせて貼り合わ
せ物とするのが適している。

【００１４】こうして貼り合わせによって作られた積層
フィルム又はシート（以下、これを単に積層シートと云
う）は、その中で抗菌性フィルムが積層シートの少なく
とも一面に存在すればよい。勿論、抗菌性フィルムが積
層シート内で両面に存在していてもよい。

【００１５】上述の積層シートは、これを従来の単一層
シートと全く同じ方法によって容器とすることができる
。その方法は、真空成形法、圧空成形法、押圧成形法な
どの各種の方法を用いることができる。成形の際には、
抗菌性フィルムが容器の内がわに来るようにする。

【００１６】こうして作った容器の一例を図１に示し、
また図１の一部を拡大して図２に示している。図１及び
図２において、Ｂは食品容器であり、Ａは容器Ｂの蓋で
ある。容器Ｂは抗菌性フィルム１と普通のシート２とを
貼り合わせて作られた積層シートを材料とし、フィルム
１を内がわに向けている。蓋Ａは抗菌性フィルム３を内
がわに向けて配置されている。この場合、抗菌性フィル
ム１及び３を構成する樹脂としてポリエチレン又はポリ
プロピレンのようなポリオレフィンを用いると、容器Ｂ
内に食品を入れたのち、蓋Ａを加熱して融着させること
によって、容器に密封することができるので便利である
。

【００１７】なお、図２では、普通のシート２を単一層
として示したが、シート２はこれを複数層の貼り合わせ
によって構成することもできる。例えば、図３では、抗
菌性フィルム１と普通のシート２との間に、中間層とし
て番号４で示した他のフィルムを介在させて、積層シー
トとしている。番号４のフィルムは、再生品をもってこ
れに充当することもできる。再生品とは、既に積層シー
トとされたものの端を切り揃えるとき発生する切屑や、
成形不良などの回収品を材料としてこれをフィルムに再
生したものであって、そこには僅かな抗菌剤が含まれて
いる。

【００１８】この発明では、抗菌性フィルム又は普通の
シートの中に、従来から合成樹脂に混合して用いられて
来た種々の助剤を混入することができる。例えば無機質
充填材、安定剤、紫外線吸収剤、などを混入することが
できる。

【００１９】無機質充填材としては、酸化チタン、酸化
鉄、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシ
ウム、タルク、雲母、セライト、ゼオライト、シリカ等
を用いることができる。これらの無機質充填材は、なる
べく細かく粉砕して用いることが好ましく、また粉砕物
はなるべく粒子の大きさの揃っていることが好ましい。 とくに、無機質充填材の粉末を樹脂に対して３０−７０
重量％混入すると、容器として成形したのち、これに食
品を入れて水蒸気加熱したとき、加熱に耐えて容器が変
形し難くなるので有利であり、またこれを使用後に廃品
として焼却するとき、重量あたりの燃焼熱が低下するの
で、焼却炉を損傷させることが少なく、後始末が容易で
ある、という利点がもたらされる。

【００２０】また、安定剤や紫外線吸収剤その他の性質
改良剤を加えると、容器表面の性質が改良され、それな
りの付加的効果がもたらされる。

【００２１】

【発明の効果】この発明では、抗菌剤として（ａ）　銀
、亜鉛又は銅イオンを吸着させたゼオライトと、アルカ
リ土類金属の炭酸塩との混合物、又は（ｂ）　砒素含有
の複素環化合物を用い、これを熱可塑性合成樹脂中に、
例えば練り込んで含ませたので、これで作られたフィル
ムは、抗菌性を持っているが、簡単に析出せず従って人
体に無害である。また、この発明では、上述の抗菌性フ
ィルムを普通のシートと貼り合わせて積層シートとし、
しかも抗菌性フィルムを内がわに向けて容器としたから
、容器は内面だけが必要な抗菌性を持つこととなってい
る。しかも抗菌性フィルムの厚みを１０−１００ミクロ
ンの薄いものとし、普通のシートの厚みを１００ミクロ
ン以上の厚いものとしたから、抗菌剤の使用量を少なく
して充分な抗菌力を発揮させることができ、さらに抗菌
剤配合による合成樹脂本来の特性低下を減殺させること
ができる。また、この発明の容器は内がわが抗菌性フィ
ルムで構成されているから、この中に食品を入れて永く
貯蔵したとき、食品などの腐敗することが防がれ、残存
する食品などの有機物に、かびが発生したり細菌が繁殖
したりすることが防止できるので、食品などの容器、さ
らには一般の包装用容器、トレーなどとして使用するに
適している。この発明は、このような利益をもたらすも
のである。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、この発明に係る容器の縦断面図である
。

【図２】図２は、図１中のＩＩの部分の拡大図である。

【図３】図３は、この発明で用いられる積層フィルムの
別の構成を示した断面拡大図である。

【符号の説明】

Ａ　　　　　　蓋 Ｂ　　　　　　容　　器 １　　　　　　抗菌性フィルム層 ２　　　　　　抗菌剤を含まないシート層３　　　　　
　抗菌性フィルム層 ４　　　　　　他のフィルム層

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　抗菌剤として（ａ）銀、亜鉛又は銅イ
   オンを吸着させたゼオライトと、アルカリ土類金属の炭
   酸塩との混合物、又は（ｂ）砒素含有の複素環化合物を
   含有させた熱可塑性合成樹脂からなる厚み１０ー１００
   ミクロンの抗菌性フィルムを、上記抗菌剤を含まない厚
   み１００ミクロン以上の熱可塑性合成樹脂製フィルム又
   はシートの少なくとも一面上に貼り合わせてなる積層フ
   ィルム又はシートを材料とし、上記抗菌性フィルムを内
   がわに向けて容器状に成形してなる、抗菌性の合成樹脂
   製容器。