JPH04357338A - 温度感応型流体式ファンカップリング装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は一般的に自動車機関の冷
却用ファンに関し、特にファン部材を取付けて回転の制
御可能な温度感応型流体式ファンカップリング装置に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】この種、温度感応型流体式ファンカップ
リング装置については、従来本出願人において実願昭５
５−１８２９５７号明細書（実開昭５７−１０７８１９
号公報）　及び特公昭５９−７８４６号公報に示すよう
種々提案してきた。その従来のこの種装置を図１を参照
にして説明する。即ち、先端に駆動ディスク７を固着し
た回転軸体１上に軸受Ｂを介して支承され且つ外周に冷
却ファンを取付けたカバー３とケース２からなる密封器
匣の内部の油の流出調整孔５′を有する仕切板５により
油溜り室６と前記駆動ディスク７を内装するトルク伝達
室４とに区劃し、更に回転時の油の集溜する駆動ディス
ク周壁部と密封器匣側の対向壁面の一部にダム１２と、
これに連ってトルク伝達室４側より油溜り室６側に通ず
る循環路１３′を形成するとともに、外部周囲の温度変
化により前記仕切板５の流出調整孔５′を開閉する弁部
材８を前記カバー３の前面に設けた渦巻型の感温体１０
の温度変化に伴う円周方向の作動に連動するよう内部に
備え、駆動ディスク７と前記ケース２との対向壁面に設
けられたトルク伝達のための間隙において油の有効接触
面積を増減させて回転軸体１の側から被駆動側の密封器
匣側へのトルク伝達を制御するようにしたものである。 なお、１′はフランジ、９は連桿、１３は流入口、１５
は流出口、１６は隔壁、１７，１７′は冷却フィン、１
８，１８′はファン固定用のボルト孔である。但し、１
９は重錘体で、前記弁部材８の自由端に付設しているが
、これは本発明のために付設したもので、従来装置には
取付けていない。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】かかる従来の装置は、
ラヂエーターを通過した外部周囲の空気温度が一定の温
度（車種によって異なるが約５０℃乃至８０℃）に達す
ると、感温体１０としてのバイメタルが円周方向に弯曲
を始め、同時に油溜り室６内に設けた弁部材８をピスト
ン９を介して一体的に回動することにより、仕切板５上
の流入調整孔５′を開き油をトルク伝達室４側に流入せ
しめてファンの回転を増大するように働くものである。 その温度と弁開度との特性曲線はファンの回転に関係な
く図３のＱ１曲線に示すようにほぼ直線的に変化する。 また、そのファンドライブ特性は図４のＱ２曲線に示す
ように、温度上昇につれてファン回転の上昇する区間（
ａ〜ｂ）と温度変化なしにファン回転が上昇する区間（
ｂ〜ｄ）と温度が下がってもＯＦＦとならない区間（ｄ
〜ｆ）、温度変化がなくとも回転が低下する区間（ｆ〜
ｈ）、温度低下とともに回転が低下する区間（ｈ〜ａ）
がある。その理由を図５により説明する。

【０００４】図５はファン回転数とオイル供給量及び回
収量の関係を示すファンカップリング装置の感温特性を
示す図である。図において点線で示す曲線がそれぞれ一
定温度（一定開度）毎の従来型のオイル供給能力曲線で
、またＸＹ直線がオイル回収量を示す特性曲線である。 そこで、図４における区間ａ〜ｂ上の各点の回転、温度
を図５上にプロットすると曲線ＡＢとなる。

【０００５】特性図において、　（１）．Ａ点（又はａ
点）はバルブ全閉状態のＯＦＦ回転の状態で、溜り室に
存在するオイルに加わる遠心力の圧力とダム付近に存在
するオイルに加わる剪断力によって生ずる圧力がバラン
スし、オイルが溜り室方向にも伝達室方向にも流れない
状態である。

【０００６】（２）．ＡＢ区間（又はａｂ区間）は温度
上昇とともに回転が上昇する区間で、供給口から流入す
る流量と回収口から流出する量とが等しい領域である。 この間の回転は供給口から回収口にオイルが移動する間
にトルクを伝達する現象であり、限られた隙間を通過す
るオイル量が変化した場合、ディスクとオイルの接触幅
が変化することによってトルクが変化する現象であると
云われる。実験的に流量当りのファン回転は曲線ＡＢＥ
′で与えられる。従って、ある流量曲線（点線）と曲線
ＡＢとの交点、例えばＣ点が存在すると感温特性上の図
４のＣ点が生ずる。こうした点の連続が感温特性上のａ
〜ｃ〜ｂ曲線である。

【０００７】（３）．次に、ｂｄ区間は温度が変化しな
くとも回転が変化する区間で、図５のＢ点よりＸ側でＸ
Ｙ直線と交点Ｅを持つ供給曲線状態では、流量によって
決定される回転はＥ′回転となる。この領域、つまりＸ
ＹよりＥ′側ではオイルの供給量は回収量を上回り、時
間経過とともに（供給量−回収量）が各時刻で伝達室に
蓄積され、温度に関係なく時間経過とともに回転が上昇
し、ファンクラッチの全伝達トルクであるＹ回転まで回
転は上昇する。なお、説明のためにＥ点をＢ点から離し
たが、Ｂ点より僅かにＸ側で交点を持てば供給量曲線は
曲線ＢＥ′と直線ＸＹよりＥ′側で交点を持ち、同様な
時間的変化を示し、図４の感温特性上のｄ点となる。そ
して最高回転に達すると回収量はＹ点で示す量となる。 従ってファンドライブ内のオイル流量はＹ点で示す量で
決まりオイルの略全量が伝達室内に存在し、ダムによっ
て溜り室に戻ったオイルもまた、伝達室に流入する。従
って溜り室では各時刻、Ｙ点で示される流量が通過する
のみである。こうした現象は温度が上っても同様である
。

【０００８】（４）．次に、ｄｆ区間は温度が下がって
もＯＦＦとならない区間である。すなわち、温度が下が
ると供給能力は低下するが、供給能力曲線が直線ＹＺと
Ｙ点に対してＺ側で交点を持つ場合は、供給能力が回収
量を上回っており、ＯＮ状態のままである。この状態は
供給能力曲線がＹ点を通る温度となるまで続き、感温特
性上のｄｆ間である。 （５）　．次に、ｆｈ区間は温度変化がなくとも回転が
低下する区間で、これは供給能力曲線が直線ＹＺとＹ点
に対しＺと反対側で交点Ｆを持つと、供給量が回収量を
下回り、時間経過とともに供給能力曲線と曲線ＡＢとの
交点Ｈに変化する。すなわち昇温行程同様、Ｙ点より僅
かでもＺと逆側で交点を持てば、このような現象を生じ
、このとき直線ＹＺの延長線との交点Ｆが図４の感温特
性上のｆ点であり、図５のＨ点に当る点が図４のｈ点で
ある。 （６）　．さらに、ｈａ区間は温度低下とともに回転が
低下する区間で、以下は供給能力曲線と曲線ＡＢとの交
点を変化し、昇温行程と同じ感温特性上を変化する。

【０００９】このように従来のものは温度変化がなくて
もファン回転が急激に上昇或いは下降するため、（１）
　不連続な変化によるファン騒音、（２）ファン消費馬
力の不連続な変化によるファン駆動系への急激な負荷変
動、（３）　過剰風量の発生による燃費の低下等を招い
ていた。

【００１０】本発明は、このような従来の問題点を解決
するもので、従来の温度変化なしにファン回転が上昇及
び下降する区間を温度に１対１に対応したファン回転が
得られるようにするものである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明に係る温度感応型
流体式ファンカップリング装置は、上記目的を達成する
ために、先端に駆動ディスクを固着した回転軸体上に軸
受を介して支承され、且つ外周に冷却ファンを取付けた
カバーとケースからなる密封器匣の内部を、油の流出調
整孔を有する仕切板により油溜り室と前記駆動ディスク
を内装するトルク伝達室とに区劃し、更に回転時の油の
集溜する駆動ディスク周壁部と密封器匣側の対向壁面の
一部にダムと、これに連ってトルク伝達室側より油溜り
室側に通ずる循環路を形成するとともに、外部周囲の温
度変化により前記仕切板の流出調整孔を開閉する弁部材
を前記カバーの前面に設けた渦巻型の感温体の温度変化
に伴う円周方向の作動に連動するよう内部に備え、駆動
ディスクと前記ケースとの対向壁面に設けられたトルク
伝達のための間隙において油の有効接触面積を増減させ
て、回転軸体側から被駆動側の密封器匣側へのトルク伝
達を制御するカップリング装置において、前記弁部材の
自由端に重錘体を直接又は間接的に付設して被駆動側の
回転上昇により流出調整孔の開度が減少するように構成
せしめたことを要旨とするものである。

【００１２】

【作用】本発明では上記のように弁部材の自由端に重錘
体を付設することによりファン回転の上昇に伴い弁部材
の変位によって流出調整孔の開度が減少し、オイルの供
給量と回収量を好適に制御してファン回転を温度に比例
して制御することができる。

【００１３】

【実施例】本発明の一実施例を図面により詳細に説明す
る。

【００１４】図１は本発明温度感応型流体式ファンカッ
プリング装置の一実施例を示す断面図である。図に示す
ように、弁部材８の自由端に重錘体１９を取付け、ファ
ン回転の上昇によって流出調整孔５′の開度が減少する
よう弁部材８を変位せしめるようにしたものである。な
お、その他の部分は従来と同じであり、先に説明したと
おりであるので省略する。

【００１５】この場合の温度−弁開度との特性曲線は図
３のＰ１曲線のようにファンの回転が増大するにつれて
弁開度が下がる区間がある。そして、そのファンドライ
ブ特性は図４のＰ２曲線に示すように、温度の上昇につ
れてファン回転の上昇もほぼ一様な特性が得られた。そ
の理由を図５により説明する。即ち図５の１点鎖線で示
す曲線がそれぞれ一定温度毎の本発明によるオイル供給
能力曲線である。

【００１６】この供給能力曲線がＸＹ曲線と交点を持た
ず、曲線ＡＢと交点を持つ場合は従来型と同様の機構で
各温度に対応した回転となる。この区間が図４の曲線ａ
ｂ′である。次に、供給能力曲線が回収能力曲線ＸＹと
Ｂ点よりわずかＸ側で交点を持つ場合には、供給能力曲
線とＡＢＥ′曲線との交点Ｍで示す回転となり、供給量
が回収量を上回り、各時刻での（供給量−回収量）分が
伝達室に蓄積され、Ｂ点より高い回転に存在するもう１
つの交点Ｂ′まで温度の変化がなくとも加速度的に回転
が上昇する。但し、図５はＢ点で接するような供給能力
曲線が存在し、従って、図４には不連続部分が現われな
い。

【００１７】さらに、温度が上昇すると、それぞれの供
給能力曲線とＢＹ線分の交点の回転となる。この区間が
図４の曲線ｂ′ｃ′である。この状態はファン回転が上
昇しようとすればオイルの供給量が回収量を下回り、フ
ァン回転が下り、また回転下降しようとすれば回収量が
供給量を下回り、回転が上り、交点の回転を維持し安定
である。

【００１８】次に、Ｙ点で交点を持つような温度を超え
た温度ではファンドライブのフルトルクを伝え、回転は
一定となる。この区間が図４の直線ｃ′ｆ′である。以
上述べた通り本発明では不連続な変化がなくなる。

【００１９】図２及び図２Ａは本発明の他の実施例を示
す正面図で、図２に示すように、重錘体１９を仕切板５
に回動自在に取付けたレバー２０の一端に取付け、他端
を弁部材８の自由端に接触させるか、或いは図２Ａのよ
うに弁部材８の外端附近に腕部材２１を介して重錘体１
９を取付けることによって、ファン回転の上昇に伴い流
出調整孔５′の開度を減少するようにしても同じである
。

【００２０】

【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
ればファン騒音の不連続な変化及びファン消費馬力の不
連続な変化がなく、駆動系への負荷変動も少ない。その
上過剰風量の発生がなく、消費馬力が少ない等の効果が
ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明温度感応型流体式ファンカップリング装
置の一実施例を示す断面図である。

【図２】他の実施例を示す正面図である。

【図２Ａ】更に他の実施例の要部拡大正面図である。

【図３】本発明と従来型との温度と弁開度との特性曲線
である。

【図４】本発明と従来型の感温特性曲線である。

【図５】図３及び図４の動作説明図である。

【符号の説明】

１　　回転軸体 ２　　ケース ３　　カバー ４　　トルク伝達室 ５　　仕切板 ５′　　流出調整孔 ６　　油溜り室 ７　　駆動ディスク ８　　弁部材 ９　　連桿 １０　　感温体 １２　　ダム １３　　流入口 １４　　溝路 １５　　流出口 １６　　隔壁 １７，１７′　　冷却フィン １９　　重錘体 ２０　　レバー

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　先端に駆動ディスクを固着した回転軸
   体上に軸受を介して支承され、且つ外周に冷却ファンを
   取付けたカバーとケースからなる密封器匣の内部を、油
   の流出調整孔を有する仕切板により油溜り室と前記駆動
   ディスクを内装するトルク伝達室とに区劃し、更に回転
   時の油の集溜する駆動ディスク周壁部と密封器匣側の対
   向壁面の一部にダムと、これに連ってトルク伝達室側よ
   り油溜り室側に通ずる循環路を形成するとともに、外部
   周囲の温度変化により前記仕切板の流出調整孔を開閉す
   る弁部材を前記カバーの前面に設けた渦巻型の感温体の
   温度変化に伴う円周方向の作動に連動するよう内部に備
   え、駆動ディスクと前記ケースとの対向壁面に設けられ
   たトルク伝達のための間隙において油の有効接触面積を
   増減させて、回転軸体側から被駆動側の密封器匣側への
   トルク伝達を制御するカップリング装置において、前記
   弁部材の自由端に重錘体を直接又は間接的に付設して被
   駆動側の回転上昇により流出調整孔の開度が減少するよ
   うに構成せしめたことを特徴とする温度感応型流体式フ
   ァンカップリング装置。