JPH0435361B2

JPH0435361B2 -

Info

Publication number: JPH0435361B2
Application number: JP61298802A
Authority: JP
Inventors: Yutaka Watanabe; Mitsuhiko Saito; Masaharu Nishihara; Suminori Tanaka
Original assignee: Okura Industrial Co Ltd
Current assignee: Okura Industrial Co Ltd
Priority date: 1986-12-17
Filing date: 1986-12-17
Publication date: 1992-06-10
Also published as: JPS63151502A

Description

【発明の詳細な説明】

（産業上の利用分野）本発明は、二輪車、特に自転車及び自動二輪車
等に好適に用いられる、軽量でしかも耐久性及び
走行性に優れた新規な二輪車用チユーブに関する
ものである。（従来の技術）近年、自転車及び自動二輪車等の二輪車は、そ
の取扱いの手軽さと経済的な利点から、社会生活
の中に深く浸透し愛用されているが、一方でこれ
ら取扱い性並びに経済性等に対する改良も積極的
に行われ、その一環として車体の軽量化が盛んに
検討されている。ところで、こうした車体の軽量化が進む中にあ
つて、自転車、自動二輪車等のチユーブには、従
来よりブチルゴムあるいは天然ゴムラテツクス等
を押出加硫したチユーブが主として使用されてい
る。しかしながら、これらのうち、ブチルゴムチ
ユーブは空気保持性と耐老化性が比較的良好では
あるが、強度及び耐摩耗性に問題があるため、パ
ンクやバーストを起しやすく耐久性の点で不充分
であり、また天然ゴムラテツクスチユーブは強度
と弾力性に優れるものの耐老化性に問題があるな
ど、いづれの場合も耐久性に根本的な問題を抱え
ているためにチユーブの肉厚化を余儀なくされ、
従つてチユーブ自体の軽量化についてはこれまで
ほとんど検討されずに今日に至つているのが現状
である。（発明が解決しようとする問題点）本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、
その目的とするところは、これまで自転車及び自
動二輪車等においてほとんどかえりみられなかつ
たチユーブの軽量化の問題を改善すると共に、優
れた耐久性と適度な弾力性及び柔軟性に基づく優
れた走行性を兼備した新規で実用性の高い二輪車
用チユーブを提供する点にある。（問題点を解決するための手段）本発明者等は、チユーブの軽量化と同時に耐久
性と走行性に優れた二輪車用チユーブを得るため
に、これまでゴム製指向の強かつたこの種のチユ
ーブに対する概念を打ち破り、新たな素材を開発
すべく鋭意検討を重ねた結果、従来のブチルゴム
あるいは天然ゴムラテツクスチユーブよりむしろ
コストは高いが、耐久性の点でははるかに優れた
性質を有する熱可塑性エラストマーの方が二輪車
用チユーブ素材として有利であり、そして中でも
ハードセグメントとソフトセグメントが特定の比
率にある、樹脂密度の比較的低い熱可塑性ポリア
ミドエラストマーが特に好適であることを見出
し、本発明を完成させた。即ち本発明は、熱可塑性エラストマーを主材と
してなる二輪車用チユーブにおいて、該チユーブ
がハードセグメントとして５〜50重量％のポリア
ミド成分と、ソフトセグメントとして50〜95重量
％のポリエーテル成分よりなる、下記一般式（但し、PA：ハードセグメントとしてのナイ
ロン６、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、
ナイロン612から選ばれたポリアミドのブロツク、
PE：ソフトセグメントとしてのポリオキシエチ
レングリコール、ポリオキシプロピレングリコー
ル、ポリオキシテトラメチレングリコールから選
ばれたポリエーテルのブロツク、ｎは正の整数）で表される熱可塑性ポリアミドエラストマーで構
成されたものであることを特徴とする二輪車用軽
量チユーブに係るものである。以下、本発明の二輪車用軽量チユーブについて
詳しく説明する。本発明の二輪車用軽量チユーブに用いられる熱
可塑性ポリアミドエラストマーは、ハードセグメ
ントとして作用するポリアミド成分と、ソフトセ
グメントとして作用するポリエーテル成分とから
なるブロツクコポリマーであり、通常次式で表さ
れるものである。（但し、PA：ハードセグメントとしてのナイ
ロン６、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、
ナイロン612から選ばれたポリアミドのブロツク、
PE：ソフトセグメントとしてのポリオキシエチ
レングリコール、ポリオキシプロピレングリコー
ル、ポリオキシテトラメチレングリコールから選
ばれたポリエーテルのブロツク、ｎは正の整数）この熱可塑性ポリアミドエラストマーは、樹脂
密度がブチルゴム及び天然ゴムラテツクスの1.1
〜1.3ｇ／cm³に比べて0.9〜1.0ｇ／cm³と低く、チユ
ーブの軽量化を図るには格好の素材であるが、ハ
ードセグメントとソフトセグメントの比率によつ
てその性質が大きく変化する関係上、ハードセグ
メントの比率の高い通常の熱可塑性ポリアミドエ
ラストマーを二輪車用チユーブに適用した場合
は、優れた耐久性と空気保持性が期待されるにも
かかわらず、弾力性と柔軟性不足のために走行性
が極めて悪く、従つてこれまでその採用が見送ら
れてきたのである。本発明者等は、かかるチユーブの軽量化を図る
上で本質的に優れた性質を有する熱可塑性ポリア
ミドエラストマーについて、ハードセグメントと
ソフトセグメントの比率を更に広い範囲から検討
した結果、ハードセグメントとしてのポリアミド
成分が５〜50重量％、好ましくは10〜40重量％、
ソフトセグメントとしてのポリエーテル成分が50
〜95重量％、好ましくは60〜90重量％からなる特
定の熱可塑性ポリアミドエラストマーであれば、
軽量化と同時に二輪車用チユーブに適用するに充
分な耐久性と弾力性並びに柔軟性を具備せしめる
ことができる点に着目し、本発明に到達したので
ある。かかる本発明の熱可塑性ポリアミドエラストマ
ーは、 (a) ジアンとジカルボン酸の塩、ラクタムまたは
アミノカルボン酸（PA構成成分） (b) 数平均分子量300〜6000のポリオキシアルキ
レングリコール（PE構成成分） (c) 炭素原子数４〜20のジカルボン酸を重縮合させることによつて得られるものであ
る。ここで、ジアミンとジカルボン酸の塩、ラクタ
ムまたはアミノカルボン酸(a)としては、ヘキサメ
チレンジアミンなどのジアミンとアジピン酸、ド
デカン二酸などのジカルボン酸との重縮合塩や、
カプロラクタム、ラウロラクタム等のラクタム、
11−アミノウンデカン酸等のアミノカルボン酸が
挙げられるが、中でもラウロラクタム、11−アミ
ノウンデカン酸が好ましい。また数平均分子量
300〜6000のポリオキシアルキレングリコール(b)
としては、ポリオキシエチレングリコール、ポリ
オキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラ
メチレングリコールが挙げられる。更に炭素原子
数４〜20のジカルボン酸(c)としては、テレフタル
酸、イソフタル酸、１，４−シクロヘキサンジカ
ルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等
が挙げられ、中でもテレフタル酸、1.4−シクロ
ヘキサンジカルボン酸、セバシン酸のようなジカ
ルボン酸が重合性、ホリマーの物理的性質などの
点から好ましく用いられる。また本発明の熱可塑性ポリアミドエラストマー
は、上記(a)、(b)、(c)から構成され、公知の方法、
たとえばアミノカルボン酸またはラクタム(a)とジ
カルボン酸(c)を均等モル比で反応させて両末端が
カルボン酸基のポリアミドプレポリマをつくり、
これにポリオキシアルキレングリコール(b)を真空
下で反応させる方法、あるいは前記(a)、(b)、(c)の
化合物を反応槽に仕込み、水の存在下高温で反応
させることによりカルボン酸末端のポリアミドプ
レポリマを生成させ、その後常圧または減圧下で
重合を進める方法、および前記(a)、(b)、(c)の化合
物を同時に反応槽に仕込み溶融混合したのち高真
空下で一挙に重合を進める方法などにより製造さ
れる。尚、かかる熱可塑性ポリアミドエラストマ
ーの重合度（一般式のｎ）は通常５〜50程度のも
のが一般的であるが、この範囲外のものでもさし
つかえない。本発明で使用される熱可塑性ポリアミドエラス
トマーは上記方法によつて製造されるが、その際
ハードセグメントとしてのナイロン６、ナイロン
66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン612から
選ばれるポリアミド成分と、ソフトセグメントと
してのポリオキシエチレングリコール、ポリオキ
シプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチ
レングリコールから選ばれるポリエーテル成分の
重量比は、前者すなわちポリアミド成分が５〜50
重量％に対して後者のポリエーテル成分は50〜95
重量％となるような仕込み量で重合させたもので
なければならない。即ち、熱可塑性ポリアミドエラストマーは、通
常上記ポリアミド成分とポリエーテル成分の種類
と比率及び分子量などによつて種々の性質のもの
が得られるが、二輪車用チユーブに必要な弾力性
や柔軟性、耐摩耗性等の特性は主としてポリアミ
ド成分とポリエーテル成分の比率に依存すること
が知られており、従つて本発明において熱可塑性
ポリアミドエラストマー中のポリアミド成分が50
重量％より多くなると弾力性と柔軟性の低下がは
なはだしくなつて走行性が著しく阻害されるのに
対し、ポリアミド成分が全体の５重量％未満の場
合は得られるチユーブの耐老化性と耐摩耗性が低
下して耐久性の悪化をきたし、二輪車用チユーブ
としての応用が困難になる。尚、本発明の二輪車用軽量チユーブに用いられ
る熱可塑性ポリアミドエラストマーは、そのハー
ドセグメントを形成するポリアミド成分が結晶性
を有する関係上、凹凸の特にはげしい路面におい
ては、走行中のチユーブに発生する局部的な伸縮
によつて一部に配向結晶化が起り、一旦配向結晶
化が起るとその部分の弾力性が低下して走行性に
悪影響を及ぼす場合があるため、チユーブの弾力
性の指標となる永久伸びはJISK6304−1982に規
定する方法で測定した場合に40％以下であること
が好ましい。また、本発明の熱可塑性ポリアミドエラストマ
ーには、その性質を大きく変えない範囲内で他の
例えば熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリエス
テル等の樹脂あるいはエラストマーをブレンドし
てもよく、更に必要に応じて適宜の滑剤、着色
剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の添加剤を加え
てもよい。（実施例）以下、本発明の二輪車用軽量チユーブを更に理
解しやすくするために実施例により詳しく説明す
るが、本発明はこれら実施例に限定れされるもの
ではない。尚、本発明の二輪車用軽量チユーブに
ついて行つた物性の測定法並びに評価方法は次の
如くである。 (1) 破断強度（単位：Kg／cm²） JISK6301−1975に規定する方法で測定した。 (2) 100％モジユラス応力（単位：Kg／cm²） JISK6301−1975に規定する方法で引張試験を
行い、100％伸張時における荷重（単位：Kg）と
試験片の断面積（単位：cm²）から次式で算出し
た。 100％モジユラス応力＝ 100％伸張時における荷重／試験片の断面積尚、この100％モジユラス応力は、チユーブの
柔軟性の指標となるもので、この値が150Kg／cm²
以上になるとチユーブが硬く走行性が著しく悪化
する。 (3) 永久伸び（単位：％） JISK6304−1982に規定する方法で測定した。尚、この永久伸びは、チユーブの弾力性の指標
となるもので、この値が40％より大きくなるとク
ツシヨン性が低下して走行性が悪化する。 (4) 耐摩耗性（単位：mg） JISK7204に規定する方法で測定した。測定に
用いた摩耗輪はＨ−22、荷重1000ｇとした。尚、この耐摩耗性は、チユーブの耐久性を評価
する目安としたもので、摩耗量が300mg以上にな
ると従来のブチルゴム及び天然ゴムラテツクスチ
ユーブの場合に見られたと同様、走行中タイヤと
の摩擦によるチユーブの損傷がはげしく耐久性に
乏しい。 (5) 総合評価破断強度、100％モジユラス応力、永久伸び、
耐摩耗性等の測定結果をもとに二輪車用チユーブ
としての適否を総合的に評価したもので、非常に
適しているものを（◎）、適しているものを
（○）、不適のものを（×）とした。実施例１〜５、比較例１〜２ポリアミド形成成分としてのラウロラクタム
と、ポリエーテル形成成分としてのポリオキシプ
ロピレングリコールに、更にアジピン酸と少量の
水を加えて開環重合した後、常圧下窒素気流中で
重縮合させることによつて熱可塑性ポリアミドエ
ラストマーを生成するに際し、ラウロラクタムと
ポリオキシプロピレングリコールの仕込み量を変
えることにより、第１表の如くポリアミド成分と
ポリエーテル成分の比率の種々異なる熱可塑性ポ
リアミドエラストマーを生成した。これら熱可塑
性ポリアミドエラストマーの密度は、ポリアミド
成分とポリエーテル成分の重量比によつて多少異
なるが、全て0.90〜1.00ｇ／cm³の範囲にあつた。次にこれら熱可塑性ポリアミドエラストマーよ
りなる原料を50φ押出機に供給し、160〜210℃の
温度で押出成形してそれぞれ折径40mm、厚さ
650μのチユーブとなした。こうして得たポリアミド成分とポリエーテル成
分の比率の種々異なるチユーブについて、破断強
度、100％モジユラス応力、永久伸び、耐摩耗性
等の測定結果を第１表に示したが、同表よりポリ
アミド成分の比率が本発明の範囲あるチユーブは
強度、柔軟性、弾力性及び耐久性等の諸性質をバ
ランスよく兼備し、二輪車用チユーブとして極め
て好適であることが判つた。また、前記ポリアミド成分とポリエーテル成分
の比率の種々異なるチユーブを用いて直径27イン
チの二輪車用チユーブを作成し、チユーブ１本当
りの重量を市販の同じタイプのブチルゴムチユー
ブと比較した結果、ブチルゴムチユーブの重量約
170ｇに対して、本発明の二輪車用軽量チユーブ
は約105〜115ｇと極めて軽量で、前後両輪を合わ
せると約120ｇもの軽量化が可能であることが明
らかとなつた。

【表】（発明の効果）以上の如き本発明の二輪車用軽量チユーブは、
本質的に樹脂密度が低く、しかもポリアミド成分
とポリエーテル成分の重量比が特定の範囲にある
熱可塑性ポリアミドエラストマーを主材とするた
め、従来のブチルゴムあるいは天然ゴムラテツク
スチユーブに比べてはるかに軽量で、しかもこの
種のチユーブに欠くことのできない優れた弾力性
と柔軟性を兼備するものである。また本発明の二輪車用軽量チユーブは、熱可塑
性ポリアミドエラストマー特有の優れた機械的強
度と耐摩耗性によつてチユーブの薄肉化による軽
量化とコストダウンが可能であるほか、従来のゴ
ム製チユーブの宿命的な問題であつた耐熱性、耐
寒性、耐老化性、耐オゾン性等が良好であること
からチユーブとしての耐用年数が大幅に延びると
いう特筆すべき特徴を有するなど、二輪車用チユ
ーブとして欠くことのできない優れた耐久性と走
行性を保持しつつ、更に軽量化を成し得た点は極
めて画期的で実用性の高いものである。

Claims

【特許請求の範囲】１熱可塑性エラストマーを主材としてなる二輪
車用チユーブにおいて、該チユーブがハードセグ
メントとして５〜50重量％のポリアミド成分と、
ソフトセグメントとして50〜95重量％のポリエー
テル成分よりなる、下記一般式（但し、PA：ハードセグメントとしてのナイ
ロン６、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、
ナイロン612から選ばれたポリアミドのブロツク、
PE：ソフトセグメントとしてのポリオキシエチ
レングリコール、ポリオキシプロピレングリコー
ル、ポリオキシテトラメチレングリコールから選
ばれたポリエーテルのブロツク、ｎは正の整数）で表される熱可塑性ポリアミドエラストマーで構
成されたものであることを特徴とする二輪車用軽
量チユーブ。