JPH04353543A - 耐塩素水性ゴム組成物及び耐塩素水性ゴム製品 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は耐塩素水性ゴム組成物及
び耐塩素水性ゴム製品に関するものである。更に詳述す
れば本発明は塩素系浄化剤を含む水に対して優れた抵抗
性を発揮できる耐塩素水性ゴム組成物及び耐塩素水性ゴ
ム製品に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、水道水は川、湖水、地下水等を
浄水場で浄化してから一般家庭、商店、病院等に送られ
るようになっている。

【０００３】浄水場における浄化は主に塩素ガスを水中
に吹き込むか、次亜塩素酸ソーダ（以下、カルキという
）を水中に投入することにより行われる。

【０００４】これらの塩素ガスやカルキは極めて浸蝕性
の大きい化学物質である。

【０００５】さて、上水道や地下水の浄化配管回路には
各種のゴム成形物、例えば配管部ゴムパッキン、配管ゴ
ムホース、水揚げ用ポンプ用ゴムダイヤフラム等が使用
されている。

【０００６】このため配管回路の各種のゴム成形物は水
中に溶解した塩素ガスやカルキにより徐々に浸蝕劣化を
受ける。

【０００７】そして浸蝕劣化が進むと、配管部ゴムパッ
キンからの水漏れ、配管ゴムホースの破壊、水揚げ用ポ
ンプ用ゴムダイヤフラムの動作不良等のトラブルが発生
する。

【０００８】このため水道施設管理者は定期的にゴム製
品を点検し、浸蝕劣化が進んだゴム製品を頻繁に交換す
る必要があった。

【０００９】従来この種の用途に使用されてきたゴム組
成物には各種のものがあるが、それぞれ次のような問題
があった。

【００１０】（１）弗素ゴム 弗素ゴムは耐塩素水性が優れているが、高価なため汎用
ゴム製品には使用できない。

【００１１】（２）シリコーンゴム シリコーンゴムも耐塩素水性が優れているが、これまた
高価でしかも機械的特性が劣るため汎用ゴム製品には使
用できない。

【００１２】（３）エチレンプロピレンゴム系ゴムエチ
レンプロピレンゴム系ゴムは弗素ゴムやシリコーンゴム
に比較して安価であり、しかも天然ゴム、クロロプレン
ゴム、スチレンブタジエンゴム等に比較して耐塩素水性
が良好である。

【００１３】しかし従来のエチレンプロピレンゴム系ゴ
ムは耐塩素水性が良好であると言っても弗素ゴム等に比
較して劣ることから、水道配管部材として長期間使用し
ていると徐々に浸蝕されて軟化したり、強度が低下した
り、永久変形率が大きくなったりする等の難点があった
。

【００１４】特に、給湯配管等に使用するゴム製品は高
温の塩素水に接するため、浸蝕劣化が早く、実用期間が
短いという難点があった。

【００１５】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的とすると
ころは、前記した従来技術の欠点を解消し、安価で優れ
た耐塩素水性を発揮する耐塩素水性ゴム組成物及び耐塩
素水性ゴム製品を提供することにある。

【００１６】

【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは、エチレンプロピレン系ゴム又はエチレンプロピレ
ン系ゴムとブチルゴムとから成るブレンドゴムにシリカ
系充填剤を配合して成ることを特徴とする耐塩素水性ゴ
ム組成物及び耐塩素水性ゴム製品にある。

【００１７】本発明においてエチレンプロピレン系ゴム
としてはエチレンプロピレン共重合体ゴム（以下、「Ｅ
ＰＭ」という）、エチレン・プロピレン・第３成分より
成る３元共重合体（以下、「ＥＰＤＭ」という）等があ
る。ここにおいてエチレン／プロピレンの比率は４０／
６０〜８０／２０程度のものがよい。

【００１８】本発明においてブチルゴム（以下、「ＩＩ
Ｒ」という）としては一般用ＩＩＲ、塩素化ＩＩＲ、臭
素化ＩＩＲ等を用いることができる。

【００１９】また、本発明においてエチレンプロピレン
系ゴムとＩＩＲとのブレンド比率は特に限定されないが
、望ましくはエチレンプロピレン系ゴムが２０％以上、
即ちエチレンプロピレン系ゴム／ＩＩＲ＝９５／５〜２
０／８０が適切である。

【００２０】本発明においてシリカ系充填剤としては二
酸化珪素を主成分とする微粉状固体であって、一般には
ゴム用充填剤として市販されているものである。

【００２１】本発明においてシリカ系充填剤の配合比率
は特に限定されないが、望ましくはゴム１００重量部に
対して５〜７０重量部、更に望ましくは１０〜５０重量
部が適切である。

【００２２】また、本発明においては非シリカ系充填剤
、例えばカーボンブラック、炭酸カルシウム、クレー等
を併用配合することもできる。

【００２３】それ以外の配合剤は、加硫剤、加硫促進剤
、加工助剤、老化防止剤等をそれぞれ適量ずつ配合する
。

【００２４】

【作用】本発明の耐塩素水性ゴム組成物は、エチレンプ
ロピレン系ゴム又はエチレンプロピレン系ゴムとＩＩＲ
とのブレンドゴムにシリカ系充填剤を配合することによ
り、水中に溶解した塩素水がゴム中へ侵入するのを効果
的に遮断し、その結果水中に溶解した塩素水によるエチ
レンプロピレン系ゴム又はエチレンプロピレン系ゴムと
ＩＩＲの浸蝕劣化を効果的に抑止することにある。

【００２５】即ち、本発明者等は塩素水で浸蝕劣化した
ゴム製品を詳細に顕微鏡的に調査した結果、浸蝕劣化は
塩素水と接する表面程軟化が酷く、その軟化部分には水
泡状欠陥部が多数発生していることを突き止めた。本発
明者等はこのゴム表面の軟化現象は塩素水に含まれる活
性塩素によりゴム分子が切断されて起こるものと考え、
ゴム材料中に塩素水に含まれる活性塩素を選択的に吸着
補足できる配合剤を配合することを考え、本発明に至っ
たものである。

【００２６】つまり本発明者等は驚くべきことにエチレ
ンプロピレン系ゴム又はエチレンプロピレン系ゴムとＩ
ＩＲとのブレンドゴムにシリカ系充填剤を配合すること
により、塩素水に含まれる活性塩素が選択的に吸着補足
されて安定塩素化合物となり、ゴム表面の塩素水による
浸蝕劣化を効果的に抑止できることを見え出したもので
ある。

【００２７】

【実施例】次に本発明の耐塩素水性ゴム組成物の実施例
を従来の比較例について説明する。

【００２８】表１は本発明の実施例の耐塩素水性ゴム組
成物配合及びそのシート成形、加硫物の特性試験結果、
従来の比較例のゴム組成物配合及びそのシート成形、加
硫物の特性試験結果を示したものである。

【００２９】

【表１】

【００３０】なお本発明の実施例及び比較例のゴム組成
物のベース配合は表２の通りである。

【００３１】

【表２】

【００３２】表２においてカーボンブラックＳＲＦはセ
ミ・リィンフォスィング・ファーネスブラックのことで
ある。また、ＴＴはテトラメチル・チューラム・ジサル
ファイド、ＰＺはジンク・ジメチル・ジチオカーバメー
トのことである。

【００３３】表２のベース配合において実施例の充填剤
は表１記載のシリカ系充填剤配合量とカーボンブラック
ＳＲＦ配合量との合計が７０重量部となるようにしたが
、カーボンブラックＳＲＦ以外の充填剤、例えば炭酸カ
ルシウム、クレー等でも用いることができる。また、カ
ーボンブラックとしてもＳＲＦ以外のグレード、例えば
カーボンブラックＨＡＦ、アセチレンブラック等も使用
することができる。

【００３４】表２のベース配合において比較例の充填剤
は配合量を２５重量部となるようにした。

【００３５】表１においてシリカ系充填剤としては日本
シリカ株式会社のニプシルＶＮ３、徳山ソーダ株式会社
のトクシールＵ、日本エアロジル株式会社のエアロジル
２００を適宜用いた。

【００３６】特性試験は表１のゴム組成物をそれぞれ２
ｍｍのゴムシートに成形し、それから１６０℃・３０分
のプレス加硫して加硫ゴムシートを作成し、その得られ
た加硫ゴムシートにより初期硬度、塩素濃度１０００ｐ
ｐｍの水道水に室温で４０日浸漬後の硬度変化、膨潤性
、外観変化をみたものである。

【００３７】表１から明らかなように非シリカ系充填剤
のみを配合した比較例１〜６の加硫ゴムシートは塩素濃
度１０００ｐｐｍの水道水に４０日間浸漬すると、いず
れも著しい軟化が起こって硬度が３０ポイント以上低下
し、また膨潤も大きく、そして表面には多数の水泡状凹
凸が発生した。

【００３８】なお、非シリカ系充填剤を比較例１〜６の
配合量より増量配合しても特性の向上は見られなかった
。

【００３９】これに対して本発明の実施例１〜７の加硫
ゴムシートは塩素濃度１０００ｐｐｍの水道水に４０日
間浸漬しても、硬度低下が１５ポイント以下と小さく、
また膨潤も小さく、そして表面の水泡状凹凸も検出でき
なかった。

【００４０】また、実施例１〜７の耐塩素水性ゴム組成
物を水道配管用ゴムホースとして成形、加硫したものは
耐用年数が３倍以上、またダイヤフラムとして成形、加
硫したものは耐用年数が４倍以上、そして水道配管部パ
ッキンとして成形、加硫したものは耐用年数が６倍以上
それぞれ向上した。

【００４１】更に、本発明の耐塩素水性ゴム製品は水道
水への溶質量が無視する程の微量であるから、水道水汚
染の懸念がない。

【００４２】

【発明の効果】本発明の耐塩素水性ゴム組成物及び耐塩
素水性ゴム製品は、次のような効果を奏するものであり
、工業上有用である。

【００４３】（１）本発明の耐塩素水性ゴム組成物を所
定形状に成形、加硫して成るゴム製品は弗素ゴムやシリ
コーンゴムに比較して格段に安価でありながら優れた耐
塩素水性を発揮する。

【００４４】（２）本発明の耐塩素水性ゴム製品は優れ
た耐塩素水性を発揮することから、水道用配管部材とし
て使用したときには耐用年数を格段に向上できると共に
高度な信頼性を発揮する。

【００４５】（３）本発明の耐塩素水性ゴム製品は水道
水への溶質量が極めて微量であるから、水道水汚染の懸
念が全くない。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】エチレンプロピレン系ゴム又はエチレンプ
   ロピレン系ゴムとブチルゴムとから成るブレンドゴムに
   シリカ系充填剤を配合して成ることを特徴とする耐塩素
   水性ゴム組成物。
2. 【請求項２】エチレンプロピレン系ゴム又はエチレンプ
   ロピレン系ゴムとブチルゴムとから成るブレンドゴムに
   シリカ系充填剤を併用配合して成る耐塩素水性ゴム組成
   物を所定形状に成形、加硫して成ることを特徴とする耐
   塩素水性ゴム製品。