JPH0434949B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔概要〕 電池使用の感熱式プリンタでは、電池より直接
スペースモータを駆動するとともに、電池電圧を
昇圧して印字ヘツドに供給している。

本発明は、印字密度の高い印字で、印字ヘツド
電流が所定電流を超過したとき、その電流を制限
して電池電圧の降下を阻止し、スペースモータへ
の影響を防止したものである。

〔産業上の利用分野〕

本発明は感熱式プリンタに係わり、特に印字ヘ
ツド駆動方式の改良に関する。

近年、パーソナル・コンピユータ，ワード・プ
ロセツサー等の普及に伴い、AC入力とともに電
池で動作する携帯用の感熱式プリンタが普及して
いるが、印字速度高速化の要望とともに、小容量
の電池で且つ電池寿命の長いことが求められてい
る。

これらのプリンタでは、モータ系へは電池より
直接駆動電力を供給し、印字ヘツドへは電池電圧
を所定の電圧に昇圧するとともに、印字濃度を維
持するため、電圧制御が行われて供給されてい
る。

このため、電圧の低下した電池で印字密度の高
い文字、符号を印字するときも、所定の印字ヘツ
ド電圧が維持されるため、消費電流が増大し、そ
の結果、内部抵抗のために電池電圧がさらに低下
してモータ系に影響を及ぼすという問題点があ
る。

そのため、印字密度の高い文字で電池寿命が決
まるとともに、印字高速化の妨げとなつており、
これらを解決するプリンタが求められている。

〔従来の技術〕

第３図に示す熱転写プリンタ印字系のブロツク
図に従い、従来の問題点を説明する。

熱転写プリンタは、複数の発熱体から構成され
る印字ヘツド３を備え、ヘツドをスペースモータ
４でスペーシングしつつ、文字パターンに基づき
印字ヘツド３を選択、通電し、インクリボンより
用紙に熱転写するものである。

上記印字ヘツド３の駆動電圧Voとして8V、ス
ペースモータ４の駆動電圧として6Vを供給する
ため、電池電圧Viを6Vとし、スペースモータ４
には直接電池より供給し、印字ヘツド３には昇圧
回路２で昇圧して供給している。

第３図ａの構成において、電池１には数アンペ
ア時のものが使用されており、スペースモータ４
には最大約0.8A、印字ヘツド３には最大2.6A（デ
ユーテイ100％のとき）の電流が流れるが、通常
は瞬時ピーク値で2A以下で動作している。

しかし、印字密度の高い符号、例えば■を印字
するときは印字ヘツド３のすべての発熱体が連続
的に選択されて瞬時ピーク値が2A以上の電流が
流れ、電池１の消極作用が劣化して内部抵抗の増
大を加速し、そのため、上記印字時に電池電圧
Viが低下する。

上記のごとく電池電圧Viが低下しても、印字
ヘツド電圧Voは電圧制御されているため8Vが維
持されるが、スペースモータ電圧は電池電圧Vi
がそのまま供給されるため、動作電圧以下になる
と脱調して動作が不安定になる。

このように、電池の定格以上に電流が流れると
電池寿命を加速するとともに、内部抵抗ｒの増大
によつて、印字のときスペースモータ４が動作不
安定となり、電池寿命をさらに短くしている。

以下、昇圧回路２の動作の概略を説明する。

自励発振部５で発生した矩形波によりトランジ
スタTR３をスイツチングすると、コイルＬによ
りエネルギーの蓄積・放出が行われ、トランジス
タTR３のコレクタには、第３図ｂ−１のごと
く、電圧Vo（印字ヘツド電圧と同一と仮定）が次
式で表される矩形波が得られる。即ち、 Vo＝Vi／（１−γ） ……(1) 但し、γ＝Ton／Ｔ この波形が整流回路６で整流され、印字ヘツド
３に供給される。

電圧制御部７は印字ヘツド電圧Voを安定化す
るために設けられたもので、Voが所定電圧以上
になつたとき、第３図ｂ−２に示すように自励発
振部５の発振を停止して、Voを降下せしめる作
用をする。

つまり、γはスペースモータ４の動作電圧（約
4.5V）以上で、少なくともVoが8V以上になるよ
うに設定され、Voが8V以上のときは電圧制御部
７で電圧制御される。

〔発明が解決しようとする問題点〕

以上説明したように、電池で動作するプリンタ
では、電池容量に制限があり、印字密度の高い印
字のとき、電流が過大になる。

そのため、電池寿命を短くするとともに、内部
抵抗の増大に伴い、上記符号の印字時に電池電圧
が低下し、スペース系に影響をおよぼして見掛け
上電池寿命を短くするとともに、印字の高速化の
妨げになるという問題点があつた。

本発明は上記問題点を解決し、印字の高速化を
可能とすることを目的とするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

上記問題点の解決は、印字ヘツドと、該印字ヘ
ツドをスペーシングするスペースモータと、該印
字ヘツドと該スペースモータを駆動する電源とな
る電池と、該電池電圧を昇圧して該印字ヘツドに
電圧を供給する電流制限手段を備えた感熱式プリ
ンタであつて、該電流制限手段は、所定のデユー
テイを有する矩形波を発生する自励発振部と、該
矩形波により断続された電池電圧を整流して該印
字ヘツドに印字ヘツド電圧を供給する整流回路
と、該印字ヘツド電圧が所定電圧値を越えないよ
うに該自励発振部の発振を制限する電圧制御部か
ら成り、上記矩形波のデユーテイは、印字ヘツド
電流が増加したときに該印字ヘツド電圧が該電圧
制御部で設定された所定電圧値以下となるように
設定されていることを特徴とする感熱式プリンタ
によつて達成される。

〔作用〕 印字密度が高いときは、印字ヘツドに連続して
通電されるため蓄熱効果があり、電流を制限して
も印字品質への影響は少ない。

このため、印字品質に影響しない範囲で、印字
ヘツド電圧を低下せしめて印字ヘツド電流を制限
すると、内部抵抗による電池電圧の低下が軽減さ
れ、従つて高密度印字時におけるスペースモータ
の脱調限界をさらに延ばすことができる。

〔実施例〕

本発明の実施例を第２図に従つて説明する。

本実施例は印字ヘツド電圧の昇圧回路で電流制
限を行う例を示したもので、通常の文字では所定
の電圧を供給し、印字密度の高い印字のときは、
電圧を低下せしめて電流制限を行う方法を示して
いる。

第２図ａは電流制限説明図、第２図ｂは昇圧回
路である。

第２図ａは、印字ヘツド電圧Voを一定として、
電池電圧Viとγ（Ton／Ｔ）との関係を、(1)式よ
り求めて図で表したもので、ＡはVo＝8V一定、
Ｂは7V一定の場合である。

この図で、直線ＡまたはＢの右上方の領域で
は、その直線のVo以上の出力が得られることを
示している。

従つてγ≧γ1と設定すれば、Viが4.5V以上で、
Vo＝8V以上が得られ、電圧制御部７が動作して
Vo＝8Vに保つ。

しかし、電池１は内部抵抗ｒがあり、印字ヘツ
ド電流の増加とともに電池内の電圧降下Vrが増
大する。

このため、内部抵抗ｒが増大し（無負荷時の
ViをVi′とする）、最大電流のとき、 Vi′−Vr＝４・5V 但し、４・5Vは脱調限界の電圧 となる時点が電池使用の限界となる。

今もし、γ＝γ2に設定し、印字密度最大のと
き印字ヘツド電圧Voを7Vに設定すれば、電圧制
御部７が動作して印字ヘツド電流の増大ととも
に、Ｐ点より印字ヘツド電圧が降下し始め、印字
ヘツド電流はその電圧に比例して減少する。

従つて、上記脱調限界の内部抵抗ｒによる電圧
降下Vr′は Vr′＜Vr となつて、電池電圧Viを４・5V以上に保つこと
が可能となる。即ち、印字ヘツド電流が低い場合
には、印字ヘツド電圧V₀は8V付近に維持される
が、印字ヘツド電流の増加とともに8Vから7Vへ
向つて低下することとなり、この電圧低下に伴つ
て上記印字ヘツド電流の増加が抑えられることと
なる。印字ヘツド電圧を低下させた場合において
も、印字ヘツドの蓄熱効果によつて印字品質には
影響しない。

以上のようにγを設定し、かつ電圧制御部にお
いてV₀を7Vに設定した場合、印字密度の低い殆
どの文字では直線Ａの右上方領域におき、高密度
印字のときのみ印字ヘツド電流の制限を行うこと
ができる。

以上のごとく、γによつて電流制限領域が設定
できるが、このγ以下のように設定される。

第２図ｂの昇圧回路において、自励発振部はト
ランジスタTR１，TR２、抵抗Ｒ１，Ｒ２，Ｒ
３、コンデンサＣ１，Ｃ２およびコイルＬより構
成される衆知の無安定マルチバイブレータであ
り、トランジスタTR２が発振とコイルＬのスイ
ツチングとを兼用したものである。

このため電池電圧Viに対するγの値は第２図
ａ直線Ｃのように斜傾して、電池電圧の低下を補
償するように作用している。

上記昇圧回路において、前記γ、即ちＴおよび
Ton時間は時定数Ｃ１Ｒ１，Ｃ２Ｒ２（Ton）で
決まるため、Ｒ１およびＲ２の組合せによつて、
Ｔおよびγが設定されるが、昇圧効率、前記電池
電圧の影響、印字品質等を考慮して、実際には実
験的に求められる。

以上のようにして、γを最適に選択すると、
Vi＝6Vのとき0.38程度が得られ、印字速度を従
来比50％程度向上することができた。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明は電池使用のプリ
ンタにおいて、印字密度の高い印字ヘツド電流を
制限するもので、電池寿命を延ばす効果ととも
に、印字速度を向上せしめることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の原理説明図、第２図ａは実施
例の電流制限説明図、第２図ｂは実施例の昇圧回
路ブロツク図、第３図ａはプリンタ印字系ブロツ
ク図、第３図ｂは動作説明図、である。図中、 １は電池、２は昇圧回路、３は印字ヘツド、４
はスペースモータ、５は自励発振部、６は整流回
路、７は電圧制御部、Ｃ１，Ｃ２はコンデンサ、
Ｒ１，Ｒ２，Ｒ３は抵抗、Ｌはコイル、TR１、
TR２，TR３はトランジスタ、である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 印字ヘツドと、該印字ヘツドをスペーシング
   するスペースモータと、該印字ヘツドと該スペー
   スモータを駆動する電源となる電池と、該電池電
   圧を昇圧して該印字ヘツドに電圧を供給する電流
   制限手段８を備えた感熱式プリンタであつて、 該電流制限手段８は、所定のデユーテイを有す
   る矩形波を発生する自励発振部と、該矩形波によ
   り断続された電池電圧を整流して該印字ヘツドに
   印字ヘツド電圧を供給する整流回路と、該印字ヘ
   ツド電圧が所定電圧値を越えないように該自励発
   振部の発振を制御する電圧制御部から成り、 上記矩形波のデユーテイは、印字ヘツド電流が
   増加したときに該印字ヘツド電圧が該電圧制御部
   で設定された所定電圧値以下となるように設定さ
   れていることを特徴とする感熱式プリンタ。