JPH04348257A - 赤外線全反射吸収測定装置および結晶体 - Google Patents

赤外線全反射吸収測定装置および結晶体

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JPH04348257A
JPH04348257A JP3177117A JP17711791A JPH04348257A JP H04348257 A JPH04348257 A JP H04348257A JP 3177117 A JP3177117 A JP 3177117A JP 17711791 A JP17711791 A JP 17711791A JP H04348257 A JPH04348257 A JP H04348257A
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infrared
crystal
mirror
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Yasuo Ezaki
泰雄 江崎
Kyoko Yokogawa
横川 恭子
Toshimi Araga
荒賀 年美
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    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/17Systems in which incident light is modified in accordance with the properties of the material investigated
    • G01N21/55Specular reflectivity
    • G01N21/552Attenuated total reflection

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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、赤外線を用いた試料表
面の局所分析あるいは線分析、面分析に利用し得る赤外
線全反射吸収測定装置および結晶体に関する。
【0002】
【従来の技術】
(背景)相対屈折率(その物の屈折率を空気の屈折率で
割ったもの。以後、単に「屈折率」という。)の高い結
晶体と屈折率の低い被測定用試料を密着させ、この界面
に結晶体側から赤外光を臨界角以上の角度で入射すると
、界面で赤外光はある深さだけ試料側に入り込んでから
全反射するため、試料に赤外線を吸収する性質がある場
合には、その吸収の強さに応じて全反射光の強度が落ち
る。この全反射光を分光し検出することによって、試料
固有の赤外線全反射スペクトルが観測される。赤外線全
反射吸収測定装置は、このようなスペクトルを解析する
ことによって、試料の表面から数μm層の化学組成に関
する情報を得るものであり、比較的屈折率の低い高分子
材料(ゴム、塗膜、プラスチック等)の表面分析に広く
利用されている。
【0003】(従来技術)従来の赤外線全反射吸収測定
装置の代表的なものに、図17に示す多重全反射方式の
赤外線全反射吸収測定装置がある。この装置は、赤外光
を集光鏡1によって全反射用の結晶体2における入射面
3上に集光して入射させ、結晶体2の内部で多重全反射
させる過程で結晶体2の全反射面4に密着させた被測定
用の試料5と結晶体2との界面で複数回の赤外線全反射
を行わせて表面分析感度の向上を図り、次いで出射面6
から出射された赤外光を対物鏡7を介して図示省略の検
出器へ送り込むものである。
【0004】一方、従来の赤外線全反射吸収測定装置に
は図16(1)〜(3)に示すように断面形状が平行四
辺形、台形等の全反射用結晶体が用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
(従来技術の問題点)ところで、近年における試料のミ
クロ分析の要求は厳しく、例えば試料面上の10μmオ
ーダーの微小エリアの表面分析が求められるようになっ
て来ている。
【0006】しかし、上記の多重全反射方式の赤外線全
反射吸収測定装置では、結晶体の入射面に集光した赤外
光が結晶体内部で発散すること、試料面上に赤外光を効
率的に収束させ難いこと等から、測定しようとする微小
エリアにおける光量利用率を高め難いため、100μm
オーダーの微小試料の分析が限界である。そして、仮に
スリットによって特定の10μmオーダーの試料面エリ
アからの赤外光を選別しても、光量利用率不足に基づく
当該試料面エリアの赤外光強度の不足から有効な赤外線
全反射スペクトルを得ることができず、、その試料面エ
リアの分析を行うことができない。
【0007】次に、上記したミクロ分析の要求に伴い、
例えば帯状の試料面エリアについて10μmオーダーの
微小エリア毎に分けた線分析を行いたいという要求も出
てくるが、従来の赤外線全反射吸収測定装置は前記のよ
うに分析能力の面でこのような要求に対応できないこと
のほか、多重全反射方式がもともと複数回の赤外光全反
射に対応した複数の試料面エリアの平均的分析値を得る
ものであるため、本質的に上記の線分析の要求とは相容
れない。
【0008】更に、一定の広さの試料面エリアについて
10μmオーダーの微小エリア毎に分けた面分析の要求
も出てくるが、線分析の場合と同じ理由から、従来の赤
外線全反射吸収測定装置はこのような要求にも対応する
ことができない。
【0009】また、従来の多重全反射式赤外線全反射吸
収測定装置では、最も強い赤外線情報を得るために、対
物鏡の焦点を結晶体の出射面に合わせておくのが通常で
ある。従って対物鏡により特定の測定点を目視観察しな
がら点分析、線分析、面分析を行うことはできず、対物
鏡による目視観察機能を付与しても、実質的に意味がな
かった。
【0010】また、従来の全反射用結晶体では、図16
中に破線で示すように入射光と出射光との光軸にズレを
生ずる。従って、集光鏡1と対物鏡7とを同一軸線上に
配置できない(図17参照)ため、従来多用されている
集光鏡と対物鏡とを同一軸線上に配置した集光光学系を
有する赤外顕微鏡を利用できないという不便がある。
【0011】(第一の課題)そこで本願発明の第一の課
題は、対物鏡による目視観察のもとで10μmオーダー
の微小エリアの表面分析が可能な赤外線全反射吸収測定
装置を提供することである。
【0012】(第二の課題)本願発明の第二の課題は、
対物鏡による目視観察のもとで試料面における10μm
オーダーの微小エリア毎に分けた線分析を容易に行うこ
とができる赤外線全反射吸収測定装置を提供することで
ある。
【0013】(第三の課題)本願発明の第三の課題は、
対物鏡による目視観察のもとで試料面における10μm
オーダーの微小エリア毎に分けた面分析を行うことがで
きる赤外線全反射吸収測定装置を提供することである。
【0014】(第四の課題)本願発明の第四の課題は、
従来多用されている集光鏡と対物鏡とを同一軸線上に配
置した集光光学系を有する赤外顕微鏡を簡易に利用して
赤外線全反射吸収測定装置を構成し得るような全反射用
の結晶体を提供することである。
【0015】(第五の課題)本願発明の第五の課題は、
上記の結晶体を上記の微小エリアの分析が可能な赤外線
全反射吸収測定装置に適用することにより、前記第一〜
第四の全ての課題に対応できる赤外線全反射吸収測定装
置を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
(着眼点)本願発明者は、最新の赤外光検出器における
感度と、試料面上で収束させ得る赤外光の強度とを実験
的に厳しく見極めた結果、赤外線全反射吸収測定におい
て、赤外光の利用率を有効に高めることにより、唯一回
の全反射にて10μmオーダーの微小エリアの表面分析
を有効に行う赤外線全反射吸収測定装置を設計可能であ
り、またこのことから、多重全反射方式に基づく前記の
欠点、例えば対物鏡による目視観察機能を活用できない
点等も解消し得る可能性があることを見出した。
【0017】(第一の課題の解決手段)上記第一の課題
を解決するための本願第一発明(請求項1に記載の発明
)の構成は、以下の(イ)〜(ニ)の要素を含み、且つ
、赤外光の集光点が(ハ)の結晶体の全反射面上に位置
するようにその光路長が設定されている赤外線全反射吸
収測定装置である。 (イ)赤外光を集光する集光鏡 (ロ)被測定用試料を保持する試料保持部(ハ)前記試
料保持部に載置され、集光鏡からの赤外光が入射する入
射面と、前記被測定用試料を当接させて赤外光の全反射
測定を一回だけ行うための全反射面と、赤外光が最終的
に出射する出射面とを有する結晶体(ニ)出射面より出
射した赤外光を選別するスリット(ホ)前記結晶体の出
射面に対向して配置され、全反射面に当接させた前記被
測定用試料の測定点に焦点を合わせ得る対物鏡
【0018】(第二の課題の解決手段)上記第二の課題
を解決するための本願第二発明(請求項2に記載の発明
)の構成は、前記第一発明において、(ハ)の結晶体が
、その入射面、全反射面および出射面を柱軸に平行な平
面として形成した柱状体であって出射光軸に対する直角
方向を指向して設けられ、且つ、(ロ)の試料保持部が
少なくとも結晶体の柱軸方向に沿って結晶体を平行移動
させ得る駆動機構を有する赤外線全反射吸収測定装置で
ある。
【0019】(第三の課題の解決手段)上記第三の課題
を解決するための本願第三発明(請求項3に記載の発明
)の構成は、前記第一発明において、(ハ)の結晶体が
、前記入射面、全反射面および出射面を柱軸に平行な平
面として形成した柱状体であって出射光軸に対する直角
方向を指向して設けられ、且つ(ロ)の試料保持部が前
記結晶体を3次元方向へ任意に平行移動させ得る駆動機
構を有し、更にこの駆動機構は、結晶体が柱軸方向と異
なる方向へ平行移動する際の測定点の焦点からのズレを
予測演算する手段と、次いでこの予測値に基づき前記ズ
レを解消するに必要な出射光軸線沿いの修正移動量を演
算する手段と、これらの演算結果に従って駆動機構を駆
動させる制御手段とからなる制御システムを備えている
赤外線全反射吸収測定装置である。
【0020】(第四の課題の解決手段)上記第四の課題
を解決するための本願第四発明(請求項4に記載の発明
)の構成は、赤外線全反射吸収測定装置において被測定
用試料を保持する試料保持部に載置される結晶体であっ
て、集光鏡からの赤外光が入射する入射面と、前記被測
定用試料を当接させて赤外光の全反射測定を行うための
全反射面と、入射光の方向を変更する少なくとも3個の
反射面(前記全反射面を含む)と、赤外光が最終的に出
射する出射面とを有し、前記入射光の光軸と出射光の光
軸とが一致するように各反射面の相互の角度が構成され
ている結晶体である。
【0021】(第五の課題の解決手段)上記第五の課題
を解決するための本願第五発明(請求項5に記載の発明
)の構成は、前記第一発明〜第三発明のいずれかに記載
された赤外線全反射吸収測定装置のうち、集光鏡と対物
鏡が同一軸線上に配置された赤外線全反射吸収測定装置
であって、該装置中に用いられている結晶体が、前記第
四発明における結晶体のうち、その入射面、全反射面お
よび出射面を柱軸に平行な平面として形成した柱状体で
あって出射光軸に対する直角方向を指向して設けられて
いる赤外線全反射吸収測定装置である。
【0022】
【作用】
(第一発明の作用)第一発明においては、集光鏡を経た
赤外光を結晶体の入射面から結晶体内に入射させ、これ
を被測定用試料を当接した全反射面上で集光して一回だ
け全反射させる。しかる後、出射面から出射する赤外光
のうち試料面上の測定点から全反射される出射光のみを
スリットにより選別して取り出し、これによって被測定
用試料面の赤外線全反射吸収スペクトルの測定を行う。 また、本発明の方式では対物鏡の焦点を最も強い赤外線
情報が得られる点、即ち試料面上の測定点に合わせてお
くことが合理的であり、従ってかかる対物鏡によってそ
のまま試料面の目視観察を並行して行うことができる。
【0023】出射面から出射する赤外光のうち試料面の
10μmオーダーの測定点から全反射される出射光のみ
をスリットにより選別して取り出しても、試料面に対す
る多重全反射を行わないために結晶体内部での赤外光の
発散が少ない点、全反射面上に赤外光を集光させる点等
から試料面の単位面積当たりの光量利用率が高いため、
現在の赤外光検出器のレベルでも赤外線全反射吸収スペ
クトルの測定を有効に行い得る。
【0024】(第二発明の作用)第二発明において、被
測定用試料を当接させた結晶体をその柱軸方向へ平行移
動させることにより、移動方向に沿って、10μmオー
ダーの極微小エリア毎に分けた線分析が行われる。この
際、結晶体内部における赤外光の光路長および結晶体の
全反射面の相対的な位置は全く変化しないため、赤外光
の集光点は常に結晶体の全反射面上に位置する。即ち、
結晶体を柱軸方向へ平行移動しても全反射条件が一定で
あるため、精度の良い線分析が達成される。線分析に当
たり、対物鏡による試料面の観察を並行して行うと良い
【0025】(第三発明の作用)第三発明において、被
測定用試料を当接させた結晶体をその柱軸方向へ平行移
動させるときには、前記第二発明と同じ作用が起こる。 また、結晶体の平行移動が柱軸に対する直角方向への移
動量を含むときには、対物鏡及び集光鏡の開口数並びに
結晶体の屈折率に応じて測定点からの焦点のズレが起こ
るが、移動予定値を指令された制御システムがこのズレ
を予測演算し、次いでズレの解消に必要な出射光軸沿い
の修正移動量を演算して、演算結果に従い測定点からの
焦点のズレが起こらないように結晶体を移動させるべく
、駆動機構を駆動させる。上記の修正移動は出射光軸沿
いのものであるため、測定点のズレを伴わない。これに
よって、試料面の自動面分析が可能になる。また、面分
析に当たり対物鏡の焦点が常に測定点に合致しているの
で  、対物鏡による試料面の観察を並行して行うと良
い。
【0026】(第四発明の作用)第四発明において、赤
外入射光は、特定の角度の関係をもって構成された少な
くとも3個の反射面(被測定用試料を当接させた全反射
面を含む。)で最低限3回反射されることにより入射光
と同軸上で出射される。
【0027】(第五発明の作用)第五発明においては、
第一発明〜第四発明の特徴を全て備えているので、上記
第一発明〜第四発明の全ての作用を行う。
【0028】
【発明の効果】
(第一発明の効果)第一発明によれば、試料面における
10μmオーダーの微小エリアの表面分析を、対物鏡に
よる目視観察のもとに行うことができる。
【0029】(第二発明の効果)第二発明によれば、被
測定用試料を当接した結晶体をその柱軸方向に沿って移
動させるという簡単な操作により、試料面における10
μmオーダーの微小エリア毎に分けた線分析を対物鏡に
よる目視観察のもとに行うことができる。
【0030】(第三発明の効果)第三発明によれば、被
測定用試料の試料面における測定点からの対物鏡焦点の
ズレを伴うことなく、試料面における10μmオーダー
の微小エリア毎に分けた線分析および面分析を対物鏡に
よる目視観察のもとに行うことができる。
【0031】(第四発明の効果)第四発明に係る結晶体
を用いるだけで入射光と出射光との光軸の一致が確保さ
れるので、従来多用されている集光鏡と対物鏡とを同一
軸線上に配置した集光光学系を有する赤外顕微鏡をその
まま利用して、赤外線全反射吸収測定装置を構成するこ
とができる。
【0032】(第五発明の効果)第五発明によれば、上
記第一発明〜第四発明の全ての効果を同時に得ることが
できる。
【0033】
〔実施態様1〕
(実施態様1の構成)本実施態様は、前記第四発明の一
実施態様である。図1(a)〜(d)に入射光の光軸と
出射光の光軸とが一致するように構成された柱状の結晶
体の例を示す。図1(c)は柱軸方向から見た形状が5
角柱のものを示し、同図の破線の矢印で赤外光の光路を
示すように、入射面と、被測定用試料を当接させる全反
射面を含んだ3個の反射面と、出射面とを有している。 反射面の一つには光反射用処理膜11が形成されている
。次に図1(d)は柱軸方向から見た形状が6角柱のも
のを示し、同図の破線の矢印で赤外光の進行方向を示す
ように、入射面と、被測定用試料を当接させる全反射面
を含んだ4個の反射面と、出射面とを有している。また
図1(c)および図1(d)における図中の数字は結晶
体の各辺の長さの比率を示す。図1(c)および図1(
d)における入射面、反射面および出射面はいずれも柱
軸に平行な平面として形成されている。これらの結晶体
では、破線の光路に示すように入射光は結晶体内部で3
回および4回反射を繰り返し、入射光と同じ光軸上で出
射する。なお、図1(c)または図1(d)において、
各反射面のうちいずれを試料を当接させる全反射面とし
て用いるかは、赤外線全反射吸収測定装置の全体構成と
の関係等に応じて、任意に選択できる。
【0034】更に、入射光と出射光が同軸上にある光学
系に、その内部における反射回数が4回である任意の形
状を有する結晶を配置した場合の一般式を示す。図1(
a)には結晶体の入射面8と出射面13が互いに平行で
あり、かつ入射光の光軸に対して垂直に配置した場合の
光路を示す。ここで、結晶体内部における各反射面を入
射面側から反射面9,10,11および12とし、それ
ぞれの反射面における入射光と反射光のなす角度をα、
β、γ、δとすると、結晶の形状は以下の式を満足する
結晶体内部の4つの反射面および入、出射面から構成さ
れる。
【0035】α+δ=β+γ      ・・・(1)
但し、α、β、γおよびδの中で少なくとも一つの角度
は臨界角の2倍以上であり、全反射条件を満たす。一方
、図1(b)のように、結晶体の入射面8と出射面13
が互いに平行ではなく、入射光の光軸に対して任意の傾
きを有する場合は、(1)式の左辺を入・出射面におけ
る入射角と屈折角の項で補正することによって、(2)
式のように表すことができる。即ち、この場合の結晶の
形状は、入・出射面における入・出射角と結晶体の屈折
率を規定すれば、(2)式を満足する結晶体内部の4つ
の反射面によって決まる。
【0036】           (α±θI )+(δ±θE )
=β+γ      ・・・(2)但し、ここで θI =θIi−θIr θE =θEr−θEi θIi:入射面8への入射角 θIr:入射面8からの屈折角 θEr:出射面13からの屈折角 θEi:出射面13への入射角 である。
【0037】また、(2)式、左辺のカッコ内の項は、
第1反射光の光軸および第3反射光の光軸と入・出射軸
のなす角度をそれぞれθa およびθb とすると、α
>θa のとき、(α−θI ) α<θa のとき、(α+θI ) δ>θb のとき、(δ−θE ) δ<θb のとき、(δ+θE ) である。
【0038】以上、結晶体内部で4回反射する場合を例
にとり、結晶体内部に入射した入射光が同軸上で360
°の方向に出射する条件を理論的に説明したが、3回反
射および5回反射以上の場合についても同様に求めるこ
とができる。なお、以上の結晶体の入射面と反射面は、
それぞれの面における光の反射損失を抑えるために、入
射光と反射光の光軸に対して垂直な面であることが望ま
しい。更に、このような結晶体の形状は、結晶体内部で
容易に全反射条件が得られ、かつ結晶体の製作が容易で
あるような単純な構造が望ましく、このため結晶体の入
射面と第一反射面および出射面と最終反射面のなす角度
が30°から60°であり、しかも結晶体内部における
反射面はできるだけ少ないことが望ましい。
【0039】(実施態様1の作用)次に、結晶体内部で
4回反射し、そのうちの最終反射面を全反射面とする場
合の作用を図1(a)に基づいて説明すると、入射面を
通して結晶体内部に入射した赤外光は、まず第一反射面
において反射角α/2で反射し、反射光は結晶体内部を
伝播して、更に第二反射面において反射角β/2で反射
する。次いでこの赤外光は第三反射面において反射角γ
/2で反射をし、最終反射面に達する。最終反射面に入
射する赤外光は入射角30〜60°の全反射条件を満た
しており、反射角δ/2で全反射する。また、全反射し
た赤外光は入射光と光軸が一致し、結晶体内部へ入射し
た入射光に対して360°の方向へ出射する。このとき
、試料の被測定面を最終反射面の全反射面に密着させる
ことにより、赤外線全反射吸収測定が可能となる。
【0040】(実施態様1の効果)本実施態様の結晶体
を用いれば、結晶体に入射した赤外光を、その光軸と同
じ軸上で出射させることができる。このため、従来多用
されている集光鏡と対物鏡とを同一軸線上に配置した集
光光学系を有する赤外顕微鏡をそのまま利用して、赤外
線全反射吸収測定装置を構成することができる。
【0041】〔実施態様2〕 (実施態様2の構成)本実施態様は、前記第四発明の結
晶体を前記第一発明に適用した場合の一実施態様である
。上記実施態様1の結晶体を用いて構成した赤外線全反
射吸収測定装置の例を図2、図3(a)、図3(b)に
示す。結晶体14は前記した図1(d)に示したもので
あり、略「く」の字形に屈曲した断面形状を持つ六角形
の柱状体である。結晶体14は入射面8、第1反射面9
、最終反射面12および出射面13を備え、最終反射面
12には試料押さえ15によって被測定用の試料16が
当接されている。
【0042】かかる結晶体14をホルダー(図示省略)
に取りつけ、赤外顕微鏡に配置したものを図3(a)、
図3(b)に示す。ホルダーに取りつけた結晶体14が
試料保持部を構成する試料台17(3次元ステージ)上
に配置され、その上部には対物鏡18が、また下部には
集光鏡19が同一軸線上に設けられている。対物鏡18
の焦点は最終反射面12に合わせてあり、また結晶体1
4の各辺の長さは、赤外顕微鏡に取りつけた際に、集光
鏡の集光点と対物鏡の焦点が一致するよう調整されてい
る。試料台17は固定式のものでも良く、あるいは配置
した結晶体の柱軸方向〔図3(a)または図3(b)に
おける奥行き方向〕に沿って可動のものや、任意の3次
元方向へ可動のものでも良い。また、赤外顕微鏡には可
動のスリット20が付属していて、試料面上の被測定部
から反射する光のみを赤外顕微鏡に付属した検出器に送
り込むことができるようになっている。なお、図示は省
略するが、集光鏡19に対しては、切替え用の可動の反
射鏡を介して、赤外光又は可視光のいずれかを任意に照
射できるようになっている。
【0043】(実施態様2の作用)結晶体14の全反射
面のいずれかの一面(本実施態様では最終反射面12)
に試料16を密着させ、入射面8に集光鏡19から赤外
光を照射する。入射光は図2に示すように結晶体14内
部で反射して、最終反射面12上で集光され、ある深さ
だけ試料側に入り込んでから全反射する。この全反射光
をスリットで選別することにより試料16における10
μmオーダーの微小エリアの赤外線全反射吸収スペクト
ルが測定される。このスペクトルを解析することによっ
て試料面の微小エリアの分析が行われる。
【0044】本実施態様において、試料台17を駆動さ
せて結晶体14を平行移動させることにより試料面の赤
外線全反射吸収スペクトルを連続的に測定し、試料面上
の線分析、面分析を行うこともできる。線分析を結晶体
14の柱軸方向沿いに行う場合には、対物鏡18の焦点
が測定点からズレない。その他の方向への線分析や面分
析を行う場合には、対物鏡18の焦点が測定点からズレ
るので、このズレの修正のために試料台17の移動を適
宜調整する。また、この調整移動に伴い、必要な場合に
は、対物鏡18の焦点も調整する。対物鏡18による試
料面の観察を並行して行えば、線分析や面分析のための
試料16の移動をより迅速、正確に行うことができる。 なお、この観察において、試料16の結晶体14に対す
る密着性が良く、且つ試料16の可視光に対する吸収係
数が高い程、鮮明な像が観察される。
【0045】(実施態様2の効果)被測定用試料におけ
る10μmオーダーの微小エリアの赤外線全反射吸収ス
ペクトルを測定することができる。赤外線全反射吸収測
定装置によって得られる情報は、化学結合の伸縮振動、
変角振動に基づく赤外線の吸収スペクトルであり、これ
によって表面層の化学組成や成分の化学変化を特定でき
、表面の経時変化や劣化を解析できる。また、線分析、
面分析によって試料表面の部位毎の化学組成や成分の化
学変化の違いを分析できるので、部位による経時変化や
劣化の受け方の違い、あるいは影響の受け方の違いを分
析して、製品や素材の開発、改良の有効な手段として応
用できる。
【0046】〔実施態様3〕 (実施態様3の構成)本実施態様は、前記第一発明にお
いて、集光鏡と対物鏡とを同一軸線上に配置しなくても
良い場合の2,3の実施態様に関する。これらの説明に
おいて、対物鏡18、集光鏡19、試料台17について
は前記実施態様2の場合と同様なので詳しい説明を省略
する。
【0047】図4(a)〜(c)に示す実施態様におい
ては、断面形状が平行四辺形を示す柱状の結晶体14a
,14b,14cをそれぞれ用いる。各結晶体14a,
14b,14cはそれぞれ1個の入射面8a,8b,8
c、1個の第1反射面10a,10b,10c、1個の
最終反射面12a,12b,12cおよび1個の出射面
13a,13b,13cを備えている。図に略示する集
光鏡および対物鏡はそれぞれ矢印で示す光路上、即ち平
行であるが互いにずれた軸線上に配置されている。被測
定用試料16は図示のように最終反射面12a,12b
,12cに当接する場合のほか、第一反射面10a,1
0b,10cに当接して測定することもできる。各結晶
体14a,14b,14cの断面形状の平行四辺形にお
ける内角のうち鋭角の角度は各反射面10a,10b,
10c、12a,12b,12cにおける入射角度と反
射角度に相当し、全反射条件を満たす上では、図4(a
)に示す30°〜図4(c)に示す60°の範囲で任意
の角度のものを利用できるが、図4(b)に示す45°
前後のものが望ましい。
【0048】図5(a)に示す実施態様においては、断
面形状が直角三角形を示す柱状の結晶体14dを用いる
。この結晶体14dは1個の入射面8d、1個の全反射
面12dおよび1個の出射面13dを備えている。結晶
体14dの形状に対応して、図に略示する集光鏡および
対物鏡は互いに直角をなす軸線上に配置されている。 試料16は全反射面12dに当接して測定に供される。
【0049】図5(b)に示す実施態様においては、断
面形状が直角三角形を示す柱状の前記結晶体14dを用
いると共に、その全反射面12dと平行に、赤外光反射
用の平面鏡21を配置しており、且つ平面鏡21は適当
な連結手段(図示省略)によって結晶体14dと一体に
構成されている。従って、この平面鏡21は実質的に前
記結晶体14bにおける第一反射面10bに相当し、本
実施態様は前記した図4(b)の実施態様と実質的に等
しい。
【0050】(実施態様3の作用)本実施態様の作用は
前記実施態様2のものと基本的に同様である。但し、結
晶体内部における反射回数が1回または2回だけである
点、入射光軸と反射光軸がずれている点が異なる。面分
析や一定の方向への線分析を行う場合における反射面上
からの集光点のズレ、このズレの修正のためにする試料
台17の調整移動、この調整移動に伴う対物鏡18の焦
点調整の必要性についても実施態様2の場合と同様であ
る。
【0051】(実施態様3の効果)本実施態様の効果は
、前記実施態様2の効果と基本的に同様である。なお、
比較的簡単な断面形状の柱状結晶体を用いて、全反射条
件(赤外光の入射角度)を変化させることなく試料面上
の任意の部位へ赤外光を導くことができるという利点が
ある。
【0052】〔実施態様4〕 (実施態様4の構成)本実施態様は、第三発明の一実施
態様である。前記実施態様2の赤外線全反射吸収測定装
置における試料台17の駆動機構に次の制御システムを
付加し、線分析あるいは面分析において試料台17の移
動の調整を自動化することができる。実施態様3の赤外
線全反射吸収測定装置に対しても、詳しくは述べないが
、同様に適用できる。このシステムは、結晶体14を任
意の方向へ平行移動させた際の測定点からの対物鏡18
の焦点のズレを予測演算し、次いでこの予測値に基づき
前記ズレを解消するに必要な出射光軸沿いの修正移動量
を演算し、これらの演算結果に従って駆動機構を駆動さ
せるものである。
【0053】上記制御システムは具体的には、例えば、
測定点を移動し、移動後の測定点に焦点を合わせて行う
赤外線全反射吸収測定において、柱状結晶体の屈折率と
全反射面で反射した光束の空気中における出射開口角(
結晶から出射する光束の対物鏡に張る角度)とから前記
光束の前記結晶体中における出射開口角を演算する第1
の演算手段と、全反射面における法線と該全反射面にお
ける全反射光の出射光軸とのなす角度を記憶する第1の
記憶手段と、前記全反射光の出射光軸方向をz軸方向、
該z軸方向に直交する前記結晶体の柱軸方向をy軸方向
、該y軸方向および前記z軸方向に直交する方向をx軸
方向とした時の移動前の測定点から移動後の測定点まで
のベクトルのx成分を記憶する第2の記憶手段と、前記
空気中および結晶体中における出射開口角および前記ベ
クトルのx成分に基づき前記結晶体を前記z軸方向に移
動させる距離を演算する第2の演算手段と、前記ベクト
ルのx成分およびz軸方向の移動に基づき試料保持部の
駆動を制御する手段とからなる。
【0054】さらに上記制御システムは、例えば、上記
の構成に記載した移動前の測定点から移動後の測定点ま
でのベクトルのy成分(結晶体14の柱軸方向の成分)
を記憶する第3の記憶手段を付加した構成としても良い
【0055】(実施態様4の作用)前記図2に示した結
晶体14を用いて図6に示すようにx−z面上で測定点
をずらして試料表面の赤外線全反射吸収測定を行う場合
を考える。結晶体14を矢印22方向へ平行移動させる
ことにより試料16における測定点をずらすと、赤外光
の結晶体への入射位置も変わるため、移動前の光束23
が移動後は光束24で示す位置へ移り、集光鏡の集光点
(対物鏡の焦点)が全反射面12に合わなくなる。この
ズレは結晶体14をz軸方向へ必要な距離だけ平行移動
させることにより解消させることができる。
【0056】このズレを解消するため、第1の演算手段
は結晶体の屈折率と全反射面で反射した光束の空気中に
おける出射開口角とを用いた演算を行い前記光束の結晶
体内における出射開口角を求め、これを第2の演算手段
へ出力する。また、第1の記憶手段は試料測定用の全反
射面における法線と該全反射面における全反射光の出射
光軸とのなす角度(反射角)を記憶しており、これを第
2の演算手段へ出力する。さらに、第2の記憶手段は移
動前の測定点から移動後の測定点までのベクトルのx成
分を記憶しており、これを第2の演算手段へ出力する。 第2の演算手段ではこれら3つの値を用いて演算を行い
、移動後の測定点に集光鏡の集光点(対物鏡の焦点)を
一致させるために必要なz軸方向の移動距離を求め、試
料保持部の駆動を制御する手段へ出力する。
【0057】上記の第3の記憶手段を付加した構成とし
た場合、この記憶手段がy軸方向の移動距離を記憶して
、試料保持部の駆動を制御する手段へ出力する。
【0058】(実施態様4の効果)本実施態様4によれ
ば、測定点を結晶体の柱軸方向以外の方向へずらせた時
の集光鏡の集光点(対物鏡の焦点)のズレを試料保持部
の移動によって自動的に解消することができる。よって
、前記実施態様2の項の、線分析を結晶体14の柱軸方
向沿いに行う場合と併せ、赤外線全反射吸収による試料
面上の任意の方向への線分析や、これら線分析の組み合
わせとしての試料面上の任意のエリアの面分析を簡易、
迅速に行うことができる。
【0059】〔実施態様5〕本実施態様は、第一発明〜
第五発明における反射用結晶体の材料や赤外光の光路長
の設計等に関する。
【0060】結晶体は、これに入射した赤外光の光量の
減少を防ぐため、被測定用試料を当接しない反射面をア
ルミニウムや金等の表面処理膜(例えば前記光反射用処
理膜11)で被覆しても良い。これによって反射面にお
ける反射率の低下を防止でき、結晶外への赤外光の散逸
が抑えられるため、光束の利用率を高めることができる
【0061】結晶体の材料としては、赤外線を透過し、
且つ屈折率が2以上のもの、例えば一般的に赤外線全反
射吸収測定用に用いられるセレン化亜鉛、KRS−5、
ゲルマニウム、シリコン等を利用できるが、試料の肉眼
による観察を可能にするため、可視光に対する透過性が
良好なセレン化亜鉛やKRS−5が特に望ましい。
【0062】赤外光が全反射面上で集光するような光路
長の設定は、屈折率を指標とする結晶体構成材料の選択
、結晶体の形状やサイズの設定、入射開口角(入射する
光束の集光鏡に張る角度)と出射開口角の設定、結晶体
と集光鏡および対物鏡の相対位置の設定等の種々のファ
クターを適当に組み合わせることで、任意に行うことが
できる。その一例として、結晶体の断面形状が平行四辺
形でその鋭角が45°であり、また入射開口角と出射開
口角が各々60°で該結晶体の光軸方向の厚さと屈折率
が各々6mmと2.4である場合、結晶体内部における
その適切な光路長を求めると16.3mmとなる。
【0063】〔実施例1〕本実施例では、セレン化亜鉛
から成り、前記図2に示した断面形状を持つ結晶体を用
いた。この断面形状において、中央の屈曲部の屈曲角を
90°、結晶の縦方向の全長を6mm、底辺および頂辺
の長さを5.15mm、柱軸方向の長さを15mmとし
た。かかる結晶体を図示省略のホルダーに取りつけて前
記図3に示すように赤外顕微鏡の光学系に配置し、且つ
図示の通りに被測定用試料を全反射面に当接させた状態
に保持して、この全反射面に対物鏡の焦点を合わせた。 なお、本実施例における入射開口角と出射開口角は各々
60°であり、全反射面上に集光鏡の集光点と対物鏡の
焦点とが位置するように結晶体内部での光路長が設定さ
れている。
【0064】上記の被測定用試料として、厚さ12μm
のポリフッ化ビニリデンフィルムの断面を使用し、断面
側を結晶体に密着させて10μm角の視野から反射する
赤外光の赤外全反射吸収スペクトルを測定した。測定結
果を図7に示すが、前記の12μm幅の切片について明
瞭な赤外全反射吸収スペクトルが測定されており、10
μmオーダーの極微小エリアの測定が十分に可能である
ことを示している。
【0065】〔実施例2〕図8に示すように、実施例1
と同じ結晶体14を用い、同じ全反射面にアスベスト、
レジンおよびカシューダストからなる複合材の表面を被
測定用の試料16として密着させて図の矢印方向への線
分析を行ない、順次160枚の赤外全反射吸収スペクト
ルの線図を得た。これよりアスベスト、レジンおよびカ
シューダストの各成分に固有の特性吸収帯を選び出し、
その吸収強度を測定位置に対してプロットした。その結
果を図9に示す。図中25(点線のグラフ)はレジン、
26(実線のグラフ)はアスベスト、27(破線のグラ
フ)はカシューダストの試料面上での分布を示す。この
ように、複合材表面における各成分の分布状態を明瞭に
判別できた。
【0066】〔実施例3〕実施例1と同じ結晶を用い、
同じ全反射面に赤インクの微粒子を塗布して赤外顕微鏡
にて目視観察した。観察面が45°だけ傾いているため
該インク粒子の像は偏平化してはいたが、明瞭に観察で
き、そのままの状態でインク粒子の赤外全反射吸収スペ
クトルを測定できた。このように、対物鏡の焦点を全反
射面上に合わせることにより、極めて微小な対象を観察
しながら赤外全反射吸収スペクトルを測定することがで
きる。
【0067】〔実施例4〕実施例1の赤外線全反射吸収
測定装置において、線分析、面分析を自動的に行うため
の駆動機構制御手段として、図10に示す制御システム
を付加した。この制御システムは、屈折率nを記憶する
手段28、全反射した光束の空気中における出射開口角
の半分の角度iを記憶する第1の記憶手段29、試料面
における法線と出射光軸とのなす角度θを記憶する手段
30、全反射した光束の結晶体内における出射開口角の
半分の角度rを演算する第1の演算手段31、x軸方向
への移動距離lxを記憶する第2の記憶手段32、z軸
方向への移動距離lzを演算する第2の演算手段33、
試料保持部の制御手段34、試料保持部の駆動用モータ
35を含んでいる。なお、図10でいうx,y,z軸方
向は、前記図6の場合と一致している。
【0068】第2の演算手段33で行うz方向への移動
距離lzの計算は次のように行う。図11に示すように
、赤外光の集光点と対物鏡の焦点とが全反射面12上に
位置しつつ、測定点移動前の対物鏡への反射光束36が
、測定点移動後の対物鏡への反射光束37へ移行した場
合、測定点移動前後の出射面13から対物鏡の空気中に
おける焦点までの距離をlzb1 ,lza1 、測定
点移動前後の出射面13から対物鏡の結晶体中における
焦点までの距離をlzb2 ,lza2 とすると、移
動前の対物鏡の焦点を移動後の全反射面12上の測定点
に合わせるためにはlzb1 −lza1 =lz だ
け試料保持部をz軸方向へ移動させれば良い。
【0069】そして、図11の関係を式で示すと、lz
a1 ・tan i=lza2 ・tan r  (3
)lzb1 ・tan i=lzb2 ・tan r 
 (4)lzb2 −lza2 =lx ・tan θ
  (5)n=sin i/sin r       
 (6)
【0070】求めたいz軸方向の移動距離lz
 =lzb1 −lza1 に(3)式および(4)式
を代入すると、lz =(lzb2 −lza2 )・
tan r/tan iこれに(5)式を代入して、 lz =lx ・tan θ・tan r/tanit
an rはiが与えられれば(6)式から求まるので、
lz はθ,i,nが与えられれば決定できる。
【0071】本実施例では空気中における出射開口角が
60°の対物鏡、および屈折率2.4で全反射面におけ
る法線と出射光軸とのなす角度45°の結晶体を用いた
ので、x軸方向の測定点の移動距離lx を100μm
としたとき、演算によりz軸方向の測定点の移動距離l
z として、37μmが求められた。この数値に基づき
試料保持部が駆動され、x軸方向の線分析が行われた。
【0072】〔実施例5〕上記実施例4における図10
のシステムにy軸方向の移動距離ly を記憶する第3
の記憶手段38を付加した(図12参照)。本システム
によって任意の方向の線分析、面分析が可能になった。 また、試料保持部の制御手段34と試料保持部の駆動用
モータ35との間にアクチュエータコントローラ39を
配置し、さらに移動距離を感知する位置センサ40を試
料保持部に設けている。アクチュエータコントローラ3
9は試料保持部の制御手段34の指令に基づいて試料保
持部の駆動用モータ35を駆動することができ、測定点
の移動距離を直接入力することによって駆動用モータ3
5を駆動することもできる。また、位置センサ40の信
号を試料保持部の制御手段34あるいはアクチュエータ
コントローラ39にフィードバックすることによって試
料保持部の移動を正確に行っても良い。本実施例によれ
ば各測定点における焦点のズレが殆どない高精度の自動
システムを構成できる。
【0073】〔実施例6〕本実施例では、セレン化亜鉛
から成り、図13に示す平行四辺形の断面形状を持つ柱
状の結晶体41を用いた。この断面形状において、鋭角
部の角度を45°、結晶の縦方向の全長を6mm、底辺
および長辺の長さを10.3mm、柱軸方向の長さを1
5mmとした。かかる結晶体を図示省略のホルダーに取
りつけて前記図3に示した場合と同様に赤外顕微鏡の光
学系に配置した(図示省略)。なお、集光鏡の光軸は対
物鏡の光軸に対して10.3mmずらした。そして、こ
の全反射面に対物鏡の焦点を合わせた。なお、この光学
系における入射開口角と出射開口角は各々60°であり
、全反射面上に集光鏡の集光点と対物鏡の焦点とが位置
するように設定しておいた。
【0074】上記の試料16として、直径50μmの赤
インクの微粒子を図14に示すように結晶体41の全反
射面に塗布した。この微粒子の10μm角の視野から反
射する赤外線をスリットで絞って検出器に送り込み、赤
外全反射吸収スペクトルを測定した。測定結果を図15
に示すが、明瞭な赤外全反射吸収スペクトルが測定され
ており、10μmオーダーの微小エリアの測定が十分に
可能であることを示している。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a),図1(b)は結晶体の形状を決め
るための反射角度の説明図、図1(c)および図1(d
)は結晶体の例示図である。
【図2】結晶体の使用状態を示す要部図である。
【図3】図3(a),図3(b)は結晶体の使用状態を
示す全体図である。
【図4】図4(a)〜(c)は結晶体の他の例示図であ
る。
【図5】図5(a),図5(b)は断面形状が直角三角
形である柱状結晶体の使用状態を示す図である。
【図6】結晶体をx軸方向へ移動させた時の集光点のズ
レを示す図である。
【図7】実施例のポリフッ化ビニリデンの赤外線全反射
吸収スペクトル図である。
【図8】複合材を当接させた結晶体の斜視図である。
【図9】複合材の赤外線全反射吸収測定の結果を示す線
図である。
【図10】制御システムを示すブロック図である。
【図11】制御システム内で行われる演算を説明するた
めの図である。
【図12】制御システムの他の例を示すブロック図であ
る。
【図13】結晶体の使用状態を示す要部図である。
【図14】被測定用試料としての赤インクを塗布した結
晶体の斜視図である。
【図15】赤インクの微粒子の赤外線全反射吸収測定の
結果を示す線図である。
【図16】図16(1)〜(3)は従来の結晶体と、そ
の使用方法を示す図である。
【図17】従来例における赤外線全反射吸収測定の方法
を示す図である。
【符号の説明】
8  入射面 9  反射面 10  反射面 11  反射面 12  反射面 13  出射面 14  結晶体 16  試料 17  試料台 18  対物鏡 19  集光鏡 20  スリット

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】  以下の(イ)〜(ホ)の要素を含み、
    且つ、赤外光の集光点が(ハ)の結晶体の全反射面上に
    位置するようにその光路長が設定されていることを特徴
    とする赤外線全反射吸収測定装置。 (イ)赤外光を集光する集光鏡 (ロ)被測定用試料を保持する試料保持部(ハ)前記試
    料保持部に載置され、集光鏡からの赤外光が入射する入
    射面と、前記被測定用試料を当接させて赤外光の全反射
    測定を一回だけ行うための全反射面と、赤外光が最終的
    に出射する出射面とを有する結晶体(ニ)前記結晶体の
    出射面に対向して配置され、全反射面に当接させた前記
    被測定用試料の測定点に焦点を合わせ得る対物鏡 (ホ)出射面より出射した赤外光を選別するスリット【
    請求項2】  前記(ハ)の結晶体が、前記入射面、全
    反射面および出射面を柱軸に平行な平面として形成した
    柱状体であって出射光軸に対する直角方向を指向して設
    けられ、且つ、前記(ロ)の試料保持部が少なくとも結
    晶体の柱軸方向に沿って結晶体を平行移動させ得る駆動
    機構を有することを特徴とする請求項1に記載の赤外線
    全反射吸収測定装置。 【請求項3】  前記(ハ)の結晶体が、前記入射面、
    全反射面および出射面を柱軸に平行な平面として形成し
    た柱状体であって出射光軸に対する直角方向を指向して
    設けられ、且つ、前記(ロ)の試料保持部が前記(ハ)
    の結晶体を3次元方向へ任意に平行移動させ得る駆動機
    構を有し、更にこの駆動機構は、結晶体が柱軸方向と異
    なる方向へ平行移動する際の測定点の焦点からのズレを
    予測演算する手段と、次いでこの予測値に基づき前記ズ
    レを解消するに必要な出射光軸線沿いの修正移動量を演
    算する手段と、これらの演算結果に従って駆動機構を駆
    動させる制御手段とからなる制御システムを備えている
    ことを特徴とする請求項1に記載の赤外線全反射吸収測
    定装置。 【請求項4】  赤外線全反射吸収測定装置において被
    測定用試料を保持する試料保持部に載置される結晶体で
    あって、集光鏡からの赤外光が入射する入射面と、前記
    被測定用試料を当接させて赤外光の全反射測定を行うた
    めの全反射面と、入射光の方向を変更する少なくとも3
    個の反射面(前記全反射面を含む)と、赤外光が最終的
    に出射する出射面とを有し、前記入射光の光軸と出射光
    の光軸とが一致するように各反射面の相互の角度が構成
    されていることを特徴とする結晶体。 【請求項5】  請求項4に記載の結晶体が、前記入射
    面、全反射面および出射面を柱軸に平行な平面として形
    成した柱状体であって、請求項1〜3のいずれかに記載
    された赤外線全反射吸収測定装置のうち集光鏡と対物鏡
    が同一軸線上に配置された赤外線全反射吸収測定装置に
    おける前記結晶体として用いられていることを特徴とす
    る請求項1〜3に記載の赤外線全反射吸収測定装置。
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