JPH04344348A - 記録媒体及びその製造方法と情報処理装置 - Google Patents

記録媒体及びその製造方法と情報処理装置

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JPH04344348A
JPH04344348A JP14421191A JP14421191A JPH04344348A JP H04344348 A JPH04344348 A JP H04344348A JP 14421191 A JP14421191 A JP 14421191A JP 14421191 A JP14421191 A JP 14421191A JP H04344348 A JPH04344348 A JP H04344348A
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tracking
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克彦 新庄
Isaaki Kawade
一佐哲 河出
Harunori Kawada
河田 春紀
Kunihiro Sakai
酒井 邦裕
Katsunori Hatanaka
勝則 畑中
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プローブ電極によって
情報の記録あるいは再生を行う際の記録媒体及びその製
造方法に関し、さらにかかる記録媒体を用いた情報処理
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、メモリー素子の用途はコンピュー
タ及びその関連機器、ビデオディスク、デジタルオーデ
ィオディスク等のエレクトロニクス産業の中核をなすも
のであり、その開発も活発に進んでいる。かかるメモリ
ー素子に要求される性能は一般的に、 (1)高密度で、記録容量が大きい (2)記録・再生の応答速度が速い (3)エラーレートが小さい (4)消費電力が少ない (5)生産性が高く、価格が安い 等が挙げられる。
【0003】従来までは磁性体や半導体を素材とした磁
気メモリー、半導体メモリーが主流であったが、近年レ
ーザー技術の進展に伴い、有機色素、フォトポリマー等
の有機薄膜の適用による安価で高密度な記録媒体を用い
た光メモリー素子などが登場してきた。
【0004】一方、最近、導体表面原子の電子構造を直
接観測できる走査型トンネル顕微鏡(以後STMと略す
)が開発され(G.Binnig  et  al.,
Helvetica  Physica  Acta,
55,726(1982).)、単結晶、非晶質を問わ
ず実空間像の高い分解能の測定ができるようになり、し
かも、電流による損傷を媒体に与えることなく、低電力
で観測できる利点をも有し、更に大気中でも動作させる
ことが可能であるため、広範囲な応用が期待されている
【0005】かかるSTMは、金属の探針(プローブ電
極)と導電性物質の間に電圧を加えて1nm程度の距離
まで近づけると、その間にトンネル電流が流れることを
利用している。この電流は、両者の距離変化に非常に敏
感であり、トンネル電流を一定に保つように探針を走査
することにより、実空間の表面構造を描くことができる
と同時に、表面原子の全電子雲に関する種々の情報をも
読みとることができる。この際、面内方向の分解能は1
オングストローム程度である。従って、STMの原理を
応用すれば十分に原子オーダー(数オングストローム)
での高密度記録再生を行うことが可能である。この際の
記録再生方法としては、粒子線(電子線、イオン線)或
はX線等の高エネルギー電磁波及び可視・紫外光等のエ
ネルギー線を用いて適当な記録層の表面状態を変化させ
て記録を行い、STMで再生する方法や、記録層として
電圧電流のスイッチング特性に対してメモリ効果をもつ
材料、例えばπ電子系有機化合物やカルコゲン化物類の
薄膜層への記録・再生をSTMを用いて行う方法等が提
案されている。
【0006】上記の様な記録・再生方法に於いて、実際
に多量の情報を記録・再生する為には、プローブ電極の
XY方向(記録媒体面内方向)の位置検出及び補正制御
(トラッキング)が必要となる。このトラッキングの方
法としては、既に記録媒体基板の原子配列を利用して、
高密度かつ高精度に行う方法が提案されているが、位置
検出そのものも極めて高精度に行う必要があるため、取
扱上簡便とはいい難い問題があった。
【0007】また、トラッキングを簡便に行うために、
記録媒体の基板にあらかじめ凹凸を設けることによりト
ラックを形成し、そのトラックの凹状部分あるいは凸状
部分にプローブ電極を追従させることにより、トラッキ
ングを行う方法も提案されている。この場合、トラック
の凹凸に追従させる方法として、プローブ電極の高さを
一定にしてトラッキングする方法(コンスタントハイト
モード)と、プローブ電極と基板電極間の距離を一定に
保ちながらトラッキングする方法(コンスタントカレン
トモード)が提案されている。
【0008】前者のコンスタントハイトモードの場合、
凸状の部分でトンネル電流が流れるようにプローブ電極
の高さを調整しておき、凸状部分からプローブ電極が凹
状部分に外れた時にトンネル電流が流れなくなるのを検
知して、プローブ電極を凸状部分に戻すよう位置制御す
ることによりトラッキングを行っている。しかし、この
方法をとった時、プローブ電極が凹状部分に位置したと
きトンネル電流値が小さくなるため、精度よいトラッキ
ングを行うことが困難であるという問題があった。
【0009】また、後者のコンスタントカレントモード
の場合、プローブ電極を基板上の凹凸に追従させながら
トラッキングを行う方法を取るため、プローブ電極をZ
方向(記録媒体と垂直方向)に追従させてやらなければ
ならなかった。即ち、トラッキング用のZ方向の追従系
、つまりフィードバック系が必要となり、記録・再生装
置自身にトラッキングのためのZ方向フィードバック用
機構及び回路等を設けなければならず、トラッキング精
度は良いものの、記録・再生装置自身が複雑になってし
まうという問題点があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来技術の問
題点に鑑み、本発明の目的とするところは、プローブ電
極を用いた電気的な高密度記録・再生方法に於いて、多
量の情報の記録・再生を容易に再現性良く簡便に実行で
き、なおかつ、記録・再生装置におけるトラッキング系
を簡素化できる記録媒体を提供すること、さらには、そ
の製造方法及びかかる記録媒体を用いた情報処理装置を
提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段及び作用】上記課題は、以
下の構成からなる記録媒体及び製法等、すなわち、第1
に、プローブ電極を対向配置し、その間に流れるトンネ
ル電流により情報の記録・再生・消去を行える記録媒体
であって、半導体性基板上面に該基板に対し導電率(電
気伝導率)を異ならしめたトラックを形成し、その上か
ら電気メモリー効果を有する記録層を積層した記録媒体
、によって達成される。
【0012】また、前記トラックが、前記半導体性基板
を構成する元素とは異なる元素を該半導体性基板に局所
的に注入して形成された記録媒体、によっても達成され
る。
【0013】ここで、前記記録層の膜厚としては数オン
グストローム以上100オングストローム以下、好まし
くは数オングストローム以上30オングストローム以下
であり、有機化合物の単分子膜または該単分子膜を累積
した累積膜で構成されることが好ましい。かかる単分子
膜またはその累積膜は、LB法によって形成された膜が
好ましく、また、前記有機化合物としては、分子中にπ
電子準位を持つ群とσ電子準位を持つ群とを有するもの
が好ましい。
【0014】第2に、前記異種元素を注入してトラック
を形成する際のその製造方法が、イオン注入法又は熱拡
散法による記録媒体の製造方法、によって達成される。
【0015】第3に、上記の記録媒体とプローブ電極を
対向配置させて、情報の記録・再生・消去を行う情報処
理装置、によって達成される。
【0016】ところで、本発明の記録媒体を用いた記録
・再生およびその為のトラッキング方法は、プローブ電
極(導電性探針)と導電性物質との間に電圧を印加しつ
つ、両者の距離を10nm以下にするとトンネル電流が
流れることを利用している。以下、トラッキングの方法
について述べる。
【0017】図1は、本発明に係る記録媒体の平面図(
a)及び断面図(b)の一例である。図1に於いて、異
種元素を半導体性基板2上に部分的に注入することによ
り導電率を部分的に変化させてトラック3を形成してお
り、記録ビット4の列はトラックを形成している異種元
素上あるいは半導体性基板上の記録層1に書き込まれる
が、平滑性の点から、半導体性基板上の方が好ましい。
【0018】従って、情報の記録・再生時に於いては、
プローブ電極を図1中矢印方向に走査させる必要がある
。この時、本発明に於いてはプローブ電極の高さを一定
(コンスタントハイトモード)にして走査させる方法を
用いるが、記録層の膜厚が100オングストローム以下
と薄いため、プローブ電極と半導体性基板間にトンネル
電流が流れる。
【0019】この際、半導体性基板上の部分と異種元素
注入部分、すなわち図1ではトラック部と非トラック部
であるが、両者では導電率が違うのでトンネル電流が異
なり、プローブ電極が半導体性基板上の記録層から異種
元素注入部であるトラック上に外れると、プローブ電極
に流れるトンネル電流が変化することになる。すると、
図1において、X方向の記録面のエッジを検出すること
が可能となり、温度ドリフト,駆動用圧電体のクリープ
等でプローブの往復運動がY方向に進むに連れて、所望
の軌道からずれてくる(点線矢印)ことを補正すること
ができる。
【0020】図1中の記録ビット4の記録方法について
は後述するが、記録により記録面上の記録ビットに於け
る電荷状態が変化し、一方、記録後に於いてはトラック
外れによる電流変化と記録ビットによる電流変化が生ず
るが、記録ビットによる電流変化の方がはるかに大きい
ため、トラッキングに支障をきたすことは無い。
【0021】すなわち、本発明によれば、プローブ電極
によりトンネル電流を検出して情報の記録・再生を行う
情報処理装置に於いて、上述した記録媒体を用いること
により、コンスタントカレントモードでトラッキングし
た場合、記録媒体表面が平滑であるためトラック外れが
おきた時でもトンネル電流が流れ、コンスタントハイト
モード使用時もトラッキングが容易にできるようになる
【0022】従って、コンスタントハイトモード時の様
なトラッキング用のZ方向の追従系、つまりフィードバ
ック系を用いるまでもなく、トラッキングが行え、結果
として装置の簡素化が図れる。
【0023】なお、半導体性基板2としては、結晶性が
良好で表面平滑性が高く、導電率がなるべく大きなもの
が望ましく、異種元素注入により導電率が2ケタ程度小
さくなるものが好ましい。
【0024】次に、本発明に係るトラック3の形成方法
としては、まず、導電率の大きな半導体性基板上に、該
基板構成元素と異なる元素を所望のトラック形状に応じ
て注入し、注入した部分の導電率を小さくすることによ
り行う。具体的には、以下に述べるような2つの方法が
ある。■.半導体性基板上にPMMA(ポリメチルメタ
クリレート)等のレジストを塗布し、電気光学系により
イオンビームのビーム径を30nm程度まで絞り込み、
所望のトラック形状に応じてイオンビーム露光を行い、
その後、露光された部分のレジストを取り除き、注入す
べき元素を含んだ雰囲気中で熱処理を行うことにより、
露光された部分に前記元素を注入する熱拡散法。■.電
気光学系によりイオンビームのビーム径を30nm程度
まで絞り込み、半導体性基板上に、所望のトラック形状
に応じてイオン化した元素を打ち込むイオン注入法。
【0025】これら2つの方法のうち、イオン注入法は
、ドープ量の精度、均一性、濃度分布の制御に優れてい
るため、熱拡散法よりも好ましい。
【0026】ところで、本発明によれば、現在、イオン
ビームの径は電磁光学系によって30nm程度まで絞る
ことが可能であり、従って、例えば、このビーム径でト
ラックを形成すれば、1010〜1011ビット/cm
2程度の記録密度を達成することができる。この時、ビ
ームの走査部位がそのまま、異種元素注入部(非記録部
)となり、他の部分が記録部位となりトラックを形成で
きる。
【0027】本発明で用いる記録層としては、電流−電
圧特性に於いてメモリースイッチング現象(電気メモリ
ー効果)を有する材料、例えば、π電子準位を有する群
とσ電子準位のみを有する群を併有する分子を、電極上
に積層した有機単分子膜あるいはその累積膜を用いるこ
とが可能となる。
【0028】一般に、有機材料の殆どは絶縁性もしくは
半絶縁性を示すことから、本発明に於て、適用可能なπ
電子準位を持つ群を有する有機材料は著しく多岐にわた
る。
【0029】本発明に好適なπ電子系を有する色素の構
造としては、例えばフタロシアニン、テトラフェニルポ
ルフィリン等のポルフィリン骨格を有する色素、スクア
リリウム基及びクロコニックメチン基を結合鎖として持
つアズレン系色素及びキノリン、ベンゾチアゾール、ベ
ンゾオキサゾール等の2個の含窒素複素環をスクアリリ
ウム基及びクロコニックメチン基により結合したシアニ
ン系類似の色素、またはシアニン色素、アントラセン及
びピレン等の縮合多環芳香族、及び芳香環及び複素環化
合物が重合した鎖状化合物及びジアセチレン基の重合体
、さらにはテトラシアノキノジメタンまたはテトラチア
フルバレンの誘導体およびその類縁体およびその電荷移
動錯体、またさらにはフェロセン、トリスビピリジンル
テニウム錯体等の金属錯体化合物が挙げられる。
【0030】本発明に好適な高分子材料としては、例え
ばポリアクリル酸誘導体等の付加重合体、ポリイミド等
の縮合重合体、ナイロン等の開環重合体、バクテリオロ
ドプシン等の生体高分子が挙げられる。
【0031】有機記録層の形成に関しても、具体的には
蒸着法やクラスターイオンビーム法等の適用も可能であ
るが、制御性、容易性そして再現性から公知の従来技術
の中では前述したLB法が極めて好適である。
【0032】このLB法によれば、1分子中に疎水性部
位と親水性部位とを有する有機化合物の単分子膜または
その累積膜を基板上に容易に形成することができ、分子
オーダーの厚みを有し、かつ大面積にわたって均一、均
質な有機超薄膜を安定に供給することができる。
【0033】かかるLB法は、分子内に親水性部位と疎
水性部位とを有する構造の分子において、両者のバラン
ス(両親媒性のバランス)が適度に保たれているとき、
分子は水面上で親水性基を下に向けて単分子の層になる
ことを利用し、単分子膜またはその累積膜を作成する方
法である。
【0034】ここで、疎水性部位を構成する基としては
、一般に広く知られている飽和及び不飽和炭化水素基や
縮合多環芳香族基及び鎖状多環フェニル基等の各種疎水
基が挙げられる。これらは、各々単独又はその複数が組
み合わされて疎水性部位を構成する。一方、親水性部位
の構成要素として最も代表的なものは、例えばカルボキ
シル基、エステル基、酸アミド基、イミド基、ヒドロキ
シル基、更にはアミノ基(1,2,3級及び4級)等の
親水性基等が挙げられる。これらも、各々単独又はその
複数が組み合わされて上記分子の親水性部分を構成する
【0035】これらの疎水性基と親水性基をバランス良
く併有し、かつ適度な大きさを持つπ電子系を有する有
機分子であれば、水面上で単分子膜を形成することが可
能であり、本発明に対して極めて好適な材料となる。
【0036】具体例としては、例えば下記の如き分子等
が挙げられる。 <有機材料> (1)クロコニックメチン色素
【0037】
【化1】
【0038】
【化2】
【0039】
【化3】
【0040】
【化4】
【0041】
【化5】
【0042】
【化6】
【0043】
【化7】
【0044】
【化8】
【0045】
【化9】
【0046】
【化10】
【0047】
【化11】 ここで、R1は前述のσ電子準位をもつ群に相当したも
ので、しかも水面上で単分子膜を形成しやすくするため
に導入された長鎖アルキル基で、その炭素数nは5≦n
≦30が好適である。 (2)スクアリリウム色素 (1)で挙げた化合物のクロコニックメチン基を下記の
構造を持つスクアリリウム基で置き換えた化合物。
【0048】
【化12】 (3)ポルフィリン系色素化合物
【0049】
【化13】
【0050】
【化14】 R=OCH(COOH)CnH2n+1  5≦n≦2
5M=H2,Cu,Ni,Zn,Al−Cl  及び希
土類金属イオン
【0051】
【化15】 R=CnH2n+1    5≦n≦25M=H2,C
u,Ni,Zn,Al−Cl  及び希土類金属イオン Rは単分子膜を形成しやすくするために導入されたもの
で、ここで挙げた置換基に限るものではない。又、R1
〜R4,Rは前述したσ電子準位をもつ群に相当してい
る。 (4)縮合多環芳香族化合物
【0052】
【化16】
【0053】
【化17】
【0054】
【化18】
【0055】
【化19】 (5)ジアセチレン化合物
【0056】
【化20】 Xは親水基で一般的には−COOHが用いられるが−O
H,−CONH2等も使用できる。 (6)その他
【0057】
【化21】
【0058】
【化22】
【0059】
【化23】
【0060】
【化24】
【0061】
【化25】
【0062】
【化26】 <有機高分子材料> (1)付加重合体
【0063】
【化27】
【0064】
【化28】
【0065】
【化29】
【0066】
【化30】
【0067】
【化31】
【0068】
【化32】 (2)縮合重合体
【0069】
【化33】
【0070】
【化34】
【0071】
【化35】 (3)開環重合体
【0072】
【化36】 ここで、R1は水面上で単分子膜を形成し易くするため
に導入された長鎖アルキル基で、その炭素数nは5≦n
≦30が好適である。
【0073】また、R5は短鎖アルキル基であり、炭素
数nは1≦n≦4が好適である。重合度mは100≦m
≦5000が好適である。
【0074】以上、具体例として挙げた化合物は基本構
造のみであり、これら化合物の種々の置換体も本発明に
於いて好適であることは言うまでもない。
【0075】尚、上記以外でもLB法に適している有機
材料、有機高分子材料であれば、本発明に好適なのは言
うまでもない。例えば、近年研究が盛んになりつつある
生体材料(例えばバクテリオロドプシンやチトクローム
C)や合成ポリペプチド(PBLG)等も適用が可能で
ある。
【0076】これらのπ電子準位を有する化合物の電気
メモリー効果は、数10μm以下の膜厚のもので観測さ
れているが、記録・再生時にプローブ電極と基板電極間
に流れるトンネル電流を用いるため、プローブ電極と基
板電極間にトンネル電流が流れるよう両者間の距離を近
ずけなければならないので、本発明の記録層と有機化合
物絶縁層を加えた膜厚は、数オングストローム以上10
0オングストローム以下、好ましくは、数オングストロ
ーム以上30オングストローム以下である。
【0077】本発明において、上記の如き有機材料が積
層された薄膜を支持するための基板としては、表面が平
滑であればどの様な材料を用いても良いが、前述したト
ラック形成法によってある程度利用できる基板材料は限
定される。
【0078】また、プローブ電極の材料は、導電性を示
すものであれば何を用いてもよく、例えばPt,Pt−
Ir,W,Au,Ag等が挙げられる。プローブ電極の
先端は、記録・再生・消去の分解能を上げるためできる
だけ尖らせる必要がある。本発明では、針状の導電性材
料を電界研磨法を用い先端形状を制御して、プローブ電
極を作製しているが、プローブ電極の作製方法及び形状
は何らこれに限定するものではない。
【0079】更には、プローブ電極の本数も一本に限る
必要もなく、位置検出用と記録・再生用とを分ける等、
複数のプローブ電極を用いても良い。
【0080】次に、本発明の記録媒体を用いる情報処理
装置を図2のブロック図を用いて説明する。図2中、5
は記録媒体に電圧を印加するためのプローブ電極であり
、このプローブ電極5から記録層1に電圧を印加するこ
とによって情報の記録・再生を行う。対象となる記録媒
体は、XYステージ12上に載置される。10はバイア
ス電圧源およびプローブ電流増幅器で、9はプローブ電
流を読み取りプローブ電極の高さが一定になるように圧
電素子を用いたZ方向微動制御機構7を制御するサーボ
回路であり、11はプローブ電極5と半導体性基板2と
の間に記録・消去用のパルス電圧を印加するための電源
である。
【0081】パルス電圧を印加するときにプローブ電流
が急激に変化するため、サーボ回路9は、その間出力電
流が一定になるように、HOLD回路をONにするよう
に制御している。
【0082】8はXY方向にプローブ電極5をXY方向
微動制御機構6を用いて移動制御するためのXY走査駆
動回路である。13と14は、あらかじめ10−9A程
度のプローブ電流が得られるようにプローブ電極5と記
録媒体との距離を粗動制御したり、プローブ電極と基板
とのXY方向相対変位を大きくとる(微動制御機構の範
囲外)のに用いられる。
【0083】これらの各機器は、全てマイクロコンピュ
ータ15により中央制御されている。また、16は表示
装置を表している。
【0084】次に、圧電素子を用いた移動制御における
機械的性能を下記に示す。 Z方向微動制御範囲  :0.1nm〜1μmZ方向粗
動制御範囲  :10nm〜10mmXY方向走査範囲
    :0.1nm〜1μmXY方向粗動制御範囲:
10nm〜10mm計測、制御許容誤差  :<0.1
nm(微動制御時)計測、制御許容誤差  :<1nm
    (粗動制御時)
【0085】
【実施例】以下、本発明を実施例に従って説明する。
【0086】実施例1 半導体性基板2として、P型GaAsウェハーを使用し
た。これは、Znをドーピングしたもので、キャリア濃
度約1019cm−3、抵抗率(ρ)約10−2Ω・c
mのものである。この基板を用いて、集束イオンビーム
装置によりH+イオンを20〜80KVで加速し、異元
素の注入を行い局所的に高抵抗化した。この際、約10
19cm−3のイオン注入により、幅約0.1μm、深
さ約1μm、長さ100μmのライン状の部分を、抵抗
率約103Ω・cmまで高めることができた。次に、上
記方法によりトラックを3μmピッチで作製した基板上
に、以下の方法で記録層1を積層した。
【0087】先ず、スクアリリウムービス−6−オクチ
ルアズレン(以下SOAZと略す)を濃度0.2mg/
mlで溶かしたクロロホルム溶液を20℃の水相上に展
開し、水面上に単分子膜を形成した。溶媒の蒸発を待ち
、かかる単分子膜の表面圧を20mN/mまで高め、更
にこれを一定に保ちながら前記のトラックを形成した基
板を、水面を横切るように速度5mm/分で静かに浸漬
し、更に引き上げて、2層のY形単分子膜の累積を行い
、前記基板上に2層(厚さ30オングストローム)の累
積膜を形成して、記録層1とした。
【0088】以上の様な方法により作製した記録媒体に
、図2に示した情報処理装置を用いて記録・再生、消去
の実験を行った。ただし、プローブ電極5として電解研
磨法によって作製した白金/ロジウム製のプローブ電極
を用いており、このプローブ電極5は記録層1に電圧を
印加できるように、圧電素子によりその距離(Z)が制
御されている。さらに、上記機能を持ったままプローブ
電極5が面内(X,Y)方向にも移動制御できるように
、微動制御機構系が設計されている。
【0089】また、プローブ電極5は直接記録・再生・
消去を行うことができる。また、記録媒体は高精度のX
Yステージ12の上に置かれ、任意の位置に移動させる
ことができる。よって、この移動制御機構によりプロー
ブ電極5で任意の位置のトラック上に記録・再生及び消
去を行うことができる。
【0090】さて、前述したSOAZ2層を累積した記
録層1を持つ記録媒体を情報処理装置にセットした。こ
の時、トラックの長さ方向と記録・再生装置のY方向が
ほぼ平行となる様に設置した。次に、プローブ電極5と
半導体性基板2との間に+1.5Vの電圧を印加し、記
録層1に流れる電流をモニターしながらプローブ電極5
と記録媒体との距離(Z)を調整した。この時、距離Z
を制御するためのプローブ電流IPを10−8A≧IP
≧10−10Aになるように設定した。次に、距離Zを
一定に保ちながら、プローブ電極5をX方向、即ちトラ
ックを横切る方向に走査させ、記録媒体にトラックが形
成されていることを確認した後、プローブ電極5を任意
のトラック上方で保持した。次に、距離Zを一定に保ち
ながら、プローブ電極5をY方向に走査させた。この時
、前述した方法によりトラッキングを行うことにより、
任意のトラック上をこれから外れることなくプローブ電
極5を走査させることが可能であることが分かった。
【0091】次に、プローブ電極をトラック上で走査さ
せながら、30nmピッチで情報の記録を行った。かか
る情報の記録は、プローブ電極5を+側、半導体性基板
2を−側にして、電気メモリー材料(SOAZ−LB膜
2層)が低抵抗状態(ON状態)に変化する様に、図3
に示すしきい値電圧Vth−ON以上の三角波パルス電
圧を印加した。その後、プローブ電極5を記録開始点に
戻し、再びトラック上を走査させた。その結果、記録ビ
ットに於いては0.7mA程度のプローブ電流が流れ、
ON状態となっていることが示された。以上の再生実験
に於いて、ビットエラーレートは3×10−6であった
【0092】なお、プローブ電極5を、電気メモリー材
料がON状態からOFF状態に変化するしきい値電圧V
thOFF以上の10Vに設定し、再び記録位置をトレ
ースした結果、全ての記録状態が消去されOFF状態に
遷移したことも確認した。
【0093】実施例2 本実施例においては、半導体性基板2にSiをドープし
たn型GaAsとし、注入するイオン種をB+とした以
外は実施例1と同様にして記録媒体の作製を行った。そ
の結果、実施例1と同様なトラックを形成することがで
きた。
【0094】この時、イオン非注入部の抵抗率は3×1
0−2Ω・cm、イオン注入部(トラック部)のそれは
4×103Ω・cmであった。また、イオンの加速電圧
は20〜70KV、注入量は約1018cm−3であっ
た。
【0095】かかる記録媒体を用い、実施例1と同様に
して記録・再生実験を行ったところ、ビットエラーレー
トは2×10−6であり、消去も可能であった。
【0096】実施例3 実施例1にて記録層として用いた2層のSOAZ単分子
累積膜の代わりに、ルテチウムジフタロシアニン[Lu
H(Pc)2]のt−ブチル誘導体の2層単分子累積膜
を用いた以外は実施例1と同様にして、記録媒体を作製
し実験を行った。その結果、ビットエラーレートは5×
10−6であり、消去も可能であった。
【0097】なお、LuH(Pc)2のt−ブチル誘導
体の累積条件は、 溶媒:クロロホルム/トリメチルベンゼン/アセトン(
1/1/2) 濃度:0.5mg/ml 水相:純水、水温20℃ 表面圧:20mN/m、基板上下速度3mm/分の通り
である。
【0098】実施例4 本実施例では、記録層1としてポリイミドLB膜を2層
累積した以外は実施例1と同様にして記録媒体を作製し
た。なお、ポリイミドLB膜の形成方法は以下の通りで
ある。
【0099】ポリアミック酸(分子量約20万)を濃度
1×10−3%(g/g)で溶かしたジメチルアセトア
ミド溶液を、水温20℃の純粋の水相上に展開し、水面
上に単分子膜を形成した。この単分子膜の表面圧を25
mN/mまで高め、更にこれを一定に保ちながら、前記
基板を水面に横切るように5mm/分で移動させて浸漬
、引き上げを行い、Y型単分子膜の累積を行った。更に
これらの膜を300℃で10分加熱を行うことによりポ
リイミドにした。なお、ポリイミド1層あたりの厚さは
、エリプソメトリー法により約4オングストロームと求
められた。
【0100】この記録媒体について、実施例1と同様に
、記録・再生・消去の実験を行ったところ、ビットエラ
ーレートは3×10−6であり、消去も可能であった。
【0101】以上述べてきた実施例中では、トラック形
成時に、イオン注入法を用いて異種元素を注入し、導電
率を変化させるという方法を取ったが、この他熱拡散法
を用いて異種元素を注入する方法を用いることも可能で
あり、また、導電率を部分的に所望の位置で変化させら
れる方法であれば、これらに限定する必要はない。また
、トラックの形状についても直線状のものについて述べ
てきたが、これに限ることはなく、螺旋状、円状等他の
形態であっても全く構わない。また、記録層の形成にL
B法を使用してきたが、極めて薄く均一な膜が作製でき
る成膜法であればLB法に限らず使用可能であり、具体
的にはMBEやCVD法等の成膜法が挙げられる。更に
基板材料やその形状も本発明は何ら限定するものではな
い。さらには、本実施例に於いてはプローブ電極を1本
としたが、記録・再生用のものとトラッキング用のもの
を各々分けて2本以上としても良い。
【0102】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の記録媒体及
びその製造方法,情報処理装置によれば、■光記録に比
べて、はるかに高密度な記録が可能な全く新しい記録媒
体を提供することができる。■記録・再生時のトラッキ
ングが容易に行え、記録・再生装置の簡素化が可能にな
る。それと同時に、記録・再生の応答速度も改善される
。■トラック部に凹凸がないのでプローブが媒体に衝突
せず、耐久性,安定性等が向上する。といった効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いた記録媒体の構成図の一例である
【図2】本発明で用いた情報処理装置の構成を表わすブ
ロック図である。
【図3】本発明の記録媒体に記録を行う際に加えるパル
ス信号波形である。
【符号の説明】
1  記録層 2  半導体性基板 3  トラック 4  記録ビット 5  プローブ電極 6  XY方向微動制御機構 7  Z方向微動制御機構 8  XY方向走査駆動回路 9  サーボ回路 10  プローブ電流増幅器 11  パルス電源 12  XYステージ 13  粗動機構 14  粗動駆動回路 15  マイクロコンピュータ 16  表示装置

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  プローブ電極を対向配置し、その間に
    流れるトンネル電流により情報の記録・再生・消去を行
    える記録媒体であって、半導体性基板上面に該基板に対
    し導電率を異ならしめたトラックを形成し、その上から
    電気メモリー効果を有する記録層を積層したことを特徴
    とする記録媒体。
  2. 【請求項2】  前記トラックが、半導体性基板を構成
    する元素とは異なる元素を、該半導体性基板に局所的に
    注入することにより形成されたものであることを特徴と
    する請求項1記載の記録媒体。
  3. 【請求項3】  前記記録層の膜厚が、数オングストロ
    ーム以上100オングストローム以下であることを特徴
    とする請求項1又は2記載の記録媒体。
  4. 【請求項4】  前記記録層が、有機化合物の単分子膜
    または該単分子膜を累積した累積膜を有していることを
    特徴とする請求項1〜3いずれか一つに記載の記録媒体
  5. 【請求項5】  前記記録層が、LB法によって成膜し
    た膜であることを特徴とする請求項4記載の記録媒体。
  6. 【請求項6】  前記記録層が、有機化合物を有し、そ
    の分子中にπ電子準位を持つ群とσ電子準位を持つ群と
    を有することを特徴とする請求項1〜3いずれか一つに
    記載の記録媒体。
  7. 【請求項7】  請求項1〜6いずれか一つに記載の記
    録媒体と、プローブ電極を対向配置させたことを特徴と
    する情報処理装置。
  8. 【請求項8】  請求項2〜6いずれか一つに記載の記
    録媒体の製造に際し、半導体性基板への異種元素の注入
    手段として、イオン注入法又は熱拡散法を用いることを
    特徴とする記録媒体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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FR2870978A1 (fr) * 2004-05-28 2005-12-02 Commissariat Energie Atomique Dispositif d'enregistrement a barriere thermique poreuse
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