JPH0434291Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (a) 産業上の利用分野 本考案は、過流出安全機構付ガスコツク（以下
「ヒユーズコツク」という）の改良に関するもの
である。

(b) 従来の技術 従来より過流防止機構を備えたガスコツクには
種々の方式のものがある。その内最も一般的に普
及しているのは、ガスの過流出が生じたときに球
状弁やダイヤフラム弁等がガス通過孔を塞いでガ
スの流出をストツプさせる構造のものである。ま
た、これはガスの流出を完全に遮断した後、つま
りガスホースが抜けた場合等に適切な処理を施し
た後に再びガスを使用する場合にはコツクのツマ
ミを「閉」の状態に戻すことにより球状弁等をガ
ス通過孔から離反させて再び通常の使用状態に
（リセツト）できるようにしたものである。

このようにガスを完全に遮断してから再度使用
状態に戻す方法としては、コツクのツマミに連動
するリセツト用の突条体・板・バネ・カム・テコ
等を設けたり、或いは閉止弁のガス流入口を回転
軸より偏心させた構造によつて球状弁をガス通過
孔から離反させるのが一般的である。

(c) 考案が解決しようとする問題点 しかし、従来のヒユーズコツクにおいては、前
述した如くリセツト機構を備えることにより、再
使用を簡便なにものとしているが、このようなリ
セツト機構により、ヒユーズコツク本来の機能で
ある過流出時におけるガス遮断機能を全く無能に
する欠点が生じていた。すなわち、リセツト棒等
で弁座に嵌り込んだ球状弁等を押し出す構造のも
のであるため、閉止弁が反開き状態のときにはリ
セツト棒等が邪魔になつて球状弁等が確実に弁座
に嵌り込まず、ガスの流出を防止できないためで
あつた。つまり、従来のヒユーズコツクを適正な
状態で使用するためには、閉止弁つまりツマミを
全開位置に廻す必要があり、このときにのみ球状
弁等が確実に弁座に接当することが可能となる。
ところが、このヒユーズコツクの使用者において
はこのヒユーズコツクの適正使用がいまだ浸透し
ておらず、閉止弁のツマミを誤つて反開き状態で
使用したり又、ガス量の調整をガス器具のコツク
の他に元コツクであるヒユーズコツクで行なう場
合もあつて、何等安全装置としての機能を果たす
ことができないのが実情であつた。このことは、
安全装置を内蔵しているガス器具が持つ安全上の
過信から生じる重大な事故をも予想することがで
きる。

(d) 問題点を解決するための手段 そこで本考案は、鋭意研究の結果、従来のヒユ
ーズコツクを適正な状態でのみ使用可能としたガ
スコツクを開発するに至つた。つまり、本考案に
係るガスコツクの特徴とするところは、ツマミ連
動型のリセツト機構を備えた過流出安全機構付ガ
スコツクにおいて、ツマミと閉止弁を連結するカ
ム軸と該カム軸を可回転に支持するカムより成る
閉止弁操作機構の内、該カム軸の胴部に設けられ
たストツパーと係合し該閉止弁を全開位置及び全
閉位置で固定するためのストツパー受を該カムに
設け、かつ、該閉止弁を全閉位置に付勢したリタ
ーンバネを設けたことにある。

ここで、本考案の概略を説明すると、閉止弁は
全開位置及び全閉位置にある場合に、ストツパー
とストツパー受が係合し、回動不能に支持される
ようにしている。そしてさらに、閉止弁はリター
ンバネにより全閉位置に復帰されるよう付勢され
ている。このように構成したことにより、閉止弁
は全閉位置か或いは全開位置のみでしかその状態
を保つことができないこととなり、かつ、全開位
置以外の位置にあるときは、リターンバネによつ
て常に全閉位置に戻される。従つて、ガスの使用
時においては、閉止弁が全閉位置にあり、球状弁
等が確実に通過孔を塞ぐことが可能となる。また
使用者が誤つて半開き状態で使用してもリターン
バネにより閉止弁が全閉位置に戻されるという構
造のものである。

尚、本明細書中でいう「ヒユーズコツク」と
は、ガスホースが抜けた場合等ガスの過流出時に
球状弁等によつて、ガスの通過孔を塞ぎガスの流
出を防止するよう構成した安全機構付のガスコツ
クをいう。ガスを遮断するための弁体は、ボール
形状ロケツト型、或いはダイヤフラム等のものを
いいガスの過流出が生じた時に作動するものであ
る。

「ツマミ連動型」とは、過流出が生じたとき球
状弁等が通過孔の弁座に接当してガスを遮断した
場合において、この球状弁等を弁座から離反させ
るリセツト機構の形式をいう。つまり、ツマミと
連動する閉止弁に設けたリセツト機構により球状
弁等を機械的に離反させる構造のものをいう。

「閉止弁操作機構」とは、ガスの遮断、解放を
行なうバルブである閉止弁の開閉を行なうための
機構部分をいう。ここでは、閉止弁はツマミと連
動して操作され、該閉止弁と該ツマミの間にはカ
ム軸が設けられており、該カム軸はカムに可回転
に支持されている。また、カムはコツク本体に固
定されている。通常、カム軸にはストツパーが設
けるられ、カムのストツパー受と係合することに
より固定される構造としている。

「ストツパー」とは、カム軸の胴部に設けられ
たものであり、カムに設けられたストツパー受と
係合して固定されるものをいう。ストツパーとス
トツパー受は、例えばいずれか一方を凸部、他方
を凹部とし、互いに係合するものであればよい。
また、これらの係合を解除するにはツマミを押し
てカム軸のストツパーをカムのストツパー受から
外す方法が一般的である。

「リターンバネ」とは、ツマミとカムとの間や
コツク本体と閉止弁との間などに設けて、閉止弁
を全閉位置に付勢するためのものをいう。

(e) 実施例 以下、本考案を図面に示す実施例につ基づいて
詳細に説明する。

第１図は本考案に係るガスコツク１の一実施例
を示すもので、閉止弁２と、該閉止弁２に嵌着さ
れたカム軸３と、該カム軸３を回動させるための
ツマミ４より成るものである。ここで、カム軸３
はカム５に回動可能に支持されており、該カム５
はコツク本体６にスナツプリング７で固定されて
いる。本図に示すガスコツク１は、閉止弁２が全
開位置にある状態を示すものである。この場合、
カム軸３のストツパー８がカム５のストツパー受
Ａ９に係合しており、ツマミ４を右方向に回動す
るよう付勢したリターンバネ１０に抗して、全開
位置に保持されている。この状態でガスの過流出
が生じたときには、球型のフロート弁１３が鎖線
で示した位置まで上昇してガス通過孔の弁座１４
を塞いでガスを遮断することとなる。そして、こ
のフロート弁１３は閉止弁２の下端部に設けられ
たリセツト棒１５によつて、閉止弁２が閉の方向
に廻されて弁座１４から押し出され元の位置に戻
される。

カム軸３及びカム５を第２図に示すと、カム軸
３のストツパー８がストツパー受Ａ９に嵌り込ん
でいるときが、第１図に示した全開位置であり、
ストツパー受Ｂ１１に嵌り込んでいるときが全閉
位置である。カム軸３はバネ１２で常に上方に付
勢されているため、閉止弁２を回動させる場合に
は、一旦ツマミ４を下方に押し付けてストツパー
８をストツパー受Ａ９或いはストツパー受Ｂ１１
から外してからツマミ４を廻す必要がある。従つ
て、閉止弁２は全開位置か全閉位置のみしか保持
し得ず、又その他の位置ではリターンバネ１０に
よつて常に全閉位置に保持される。

本実施例において、リターンバネ１０はツマミ
４とカム５を連結し、ツマミ４を全閉位置に付勢
しているが、要はツマミ４、カム軸３及び閉止弁
２の回動部材と、カム５やコツク本体６などの固
定部材とを連結して設けたものであればよい。こ
れは、例えば第３図に示すように閉止弁２とコツ
ク本体６の両者をリターンバネ１０で連結しても
同様の効果を有することとなる。

(f) 考案の効果 以上のように本考案に係るガスコツクは、従来
のヒユーズコツクを最も適正な状態でのみ使用で
きるよう改良したものであり、ヒユーズコツクと
いう安全装置を内蔵したガス器具による、安全上
の過信から生ずる事故が未然に防止するという実
用上極めて有益な効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るスコツクの一実施例を示
す断面図、第２図はカム軸及びカムの一例を示す
斜視図、第３図は本考案の他の実施例を示す部分
断面図である。 １……ガスコツク、２……閉止弁、３……カム
軸、４……ツマミ、５……カム、６……コツク本
体、７……スナツプリング、８……ストツパー、
９……ストツパー受Ａ、１０……リターンバネ、
１１……ストツパー受Ｂ、１２……バネ、１３…
…フロート弁、１４……弁座、１５……リセツト
棒。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ツマミ連動型のリセツト機構を備えた過流出安
   全機構付ガスコツクにおいて、ツマミと閉止弁を
   連結するカム軸と該カム軸を可回転に支持するカ
   ムより成る閉止弁操作機構の内、該カム軸の胴部
   に設けられたストツパーと係合し該閉止弁を全開
   位置及び全閉位置で固定するためのストツパー受
   を該カムに設け、かつ、該閉止弁を全閉位置に付
   勢したリターンバネを設けたことを特徴とするガ
   スコツク。