JPH0434193Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《考案の分野》 この考案は、水害時等の防潮に好適で、かつ収
納にも便利な防潮扉に関する。

《考案の背景》 集中豪雨等による急激な増水によつて、ビルの
地下等に濁流が流れ込むのを防止するものとし
て、防潮板等が知られている。

この種の防潮板は、一般的に、ドアのように入
り口に蝶番等により回動可能に配設され、収納時
には開け広げて壁側に固定している。

また、使用時には、入口を塞ぐべく回動させ、
左右両端面および下端面が入り口周壁に形成され
た段部と圧接するように構成されている。

従つて、濁流が急激に入り込んできたような場
合には、防潮板を回動させている間に相当の濁流
が流れ込んでしまうという問題がある。

また、防潮板一側は、蝶番等により回動可能に
壁面に配設、固定する構成であるので、濁流等に
抗するだけの充分な固定強度が得られないという
問題がある。

加えて、防潮板の収納時にあつては、入口の段
部が見栄えの低下を招来するとともに、防潮板の
厚さ分だけ入り口が狭くなるので、通りの邪魔に
なる等の不都合があつた。

《考案の目的》 この考案の目的は、上記のような防潮板が、床
面から起立するように構成し、これにより、水害
時等の急激な増水時にあつても、即時防潮対策が
行なえるようにするとともに、使用時の固定強度
も充分にし、かつ収納時の見栄えも良い防潮扉を
提供することにある。

《考案の構成と効果》 上記目的を達成するために、この考案は、箱状
ケース上面が、床面と面一に露呈された状態で床
と一体的に配設されるものであつて； 上記ケース上面の一部を構成し、起立可能に配
設されてなる防潮板と： 上記ケース内に配設され、上記起立した防潮板
と当接して、防潮板の表側と裏側とを遮断するた
めのシール部材と： 上記ケース内に配設され、上記防潮板を可逆的
に起立または横臥させるための防潮板動作機構
と： 一端が上記ケース内底面に枢支されるととも
に、他端が上記防潮板の下面一側に枢支されてな
る左右一対のリンク板と： 上記ケース上面の一部を構成し、上記防潮板の
一側と当接する一側を有するとともに、他側がケ
ース一側に蝶着されてなる板状蓋体と： を具備することを特徴とする。

この考案に係る防潮扉にあつては、スクリユー
ネジの回転によりナツトを介して左右一対のスラ
イド板がスライドすると、そのスライドに追従し
て押し上げ枠が防潮板を起立または横臥させる、
即ち、その防潮板は可逆的に起立または横臥する
ため、防潮対策は防潮板の起立動作開始時から行
なわれるので、急激な増水時にあつてもに防潮対
策を即時行うことが可能な防潮扉を提供すること
ができる。

特に、このような防潮扉では、防潮板の起立や
横臥は上記の如く左右一対の押し上げ枠によるも
ので、しかも、その押し上げ枠については何等継
ぎ目もなく一部品で形成されるため、押し上げ枠
の機械的強度は高く、濁流等の押圧力が防潮板を
介して押し上げ枠に作用しても、その押圧力に抗
するだけの充分な固定強度を長期に亘り得ること
ができる。

さらに、防潮板はケース上面の一部を構成する
ものであるから、床面と面一になるとともに、防
潮板と当接するシール部材をケース内に配設した
ので、防潮板の収納時の見栄えも良好であり、か
つ従来のように通りの邪魔になる等の不都合がな
い。

《実施例の説明》 以下、この考案の一実施例について説明する。

第１図は、この考案に係る防潮扉１の全体概略
図を示し、第２図は第１図における−線断面
図である。

この防潮扉１は、箱状ケース２の内部に各種機
構を有し、ケース２の上面は、防潮板３、板状の
蓋体４および５により、開閉自在に閉塞されてお
り、ケース２の上面を露呈させた状態で床面６と
面一となるように埋設されるものである。

上記ケース２内には防潮板動作機構として左右
一対の押し上げ枠７，７が配設されており、これ
らの押し上げ枠７の各一端は支持板８を介して防
潮板３の裏面に回転可能にそれぞれ支持されてい
るとともに、その各他端はケース２内に位置する
左右一対のスライド板９，９に軸１０を介して回
転可能にそれぞれ支持されている。

また、上記ケース２の底面には一対のレール状
のリニアウエイ１１，１１が左右に設置されてい
るとともに、このリニアウエイ１１，１１に上記
スライド板９，９が摺動可能に取り付けられてい
る。即ち、このようなスライド板９，９は、起立
した状態の防潮板３に対して垂直に左右のリニア
ウエイ１１，１１上をそれぞれスライドできるよ
うに構成されている。またこのスライド板９，９
にはナツト１２が設けられている。

１３，１３はケース２の左右内底面に支持具１
５，１６を介して懸架されている一対のスクリユ
ーネジで、このスクリユーネジ１３，１３には上
記ナツト１２，１２が螺合されているとともに、
上記スクリユーネジ１３，１３の一端にはスプロ
ケツト１４，１４が取付けられている。

また、上記ケース２の内底面中央には、クラツ
チブレーキおよび減速機付きAC200Vモータ等の
モータ１７、スパイラルベベルボツクス１８が設
置されており、両者はカツプリング１９により接
続されている。

上記スパイラルベベルボツクス１８とケース内
底面に設けた支持板２０，２０には回転軸２２が
懸架されているとともに、この回転軸２２には、
一対のスプロケツト２３ａ，２３ｂが取付けられ
ている。これらスプロケツト２３ａと２３ｂとに
は、それぞれ上記スプロケツト１４，１４とに渡
つてチエーン２１，２１が掛渡されている。

また、上記スパイラルベベルボツクス１８の一
端には手動ハンドル２４が設けられ、停電時にお
いて切替操作できるように構成されている。

上記防潮板３の裏面左右には、リンク板２５，
２５が回動可能に支持されているとともに、この
リンク板２５，２５の一端はケース内底面に設け
た支持板２６，２６により回動可能に支持されて
いる。

またケース２内一側の幅方向には、パツキング
ゴム等のシール部材２７が固着されているととも
に、このシール部材２７の両端のそれぞれに対向
するケース２には、防潮板３が完全に起立した状
態で同一の高さとなり、防潮板３の幅方向両側と
圧接する板状の突片２８が一体に形成されてい
る。

この考案に係る防潮扉１は、上記の如く構成さ
れるものであるが、次にその動作について説明す
る。

図示しない電源スイツチをONすると、モータ
１７が駆動され、このモータ１７の駆動力はスパ
イラルベベルボツクス１８を介して回転軸２２の
回転動作へと変換される。

回転軸２２が回転するのに伴いスプロケツト２
３ａ，２３ｂも回転し、これらスプロケツト２３
ａ，２３ｂの回転動作はチエーン２１，２１を介
して左右のスプロケツト１４，１４へと伝達され
るので、スクリユーネジ１３，１３もこれに伴つ
て回転される。従つて、各スクリユーネジ１３に
螺合されているナツト１２は、スクリユーネジ１
３の回転に伴いスクリユーネジ１３の軸方向に移
動する。

またナツト１２と一体に形成されているスライ
ド板９もナツト１２とともにスクリユーネジ１３
の軸方向、すなわちリニアウエイ１１上を摺動す
る。

このようにして、スライド板９が摺動すると、
これに伴つて押し上げ杆７が摺動し、この押し上
げ杆７は防潮板３を起立させるべく摺動する。す
なわち、押し上げ杆７は、その一端が防潮板３の
裏面に枢支され、かつ防潮板３の裏面一側にはリ
ンク板２５が配設されているので、押し上げ杆７
が摺動し始めると防潮板３のリンク板２５の配設
側一側は蓋体４の下面に潜り込んだ状態で起立し
始め、防潮板３の表面は蓋体４を持ち上げつつ起
立状態に移行される。

防潮板３が完全に起立した状態では、防潮板３
の表面とシール部材２７とが圧接し、かつ防潮板
３の幅方向両側と突片２８とが圧接するので、防
潮板の表面側と裏面側とが完全に遮断される。

なおこの実施例においては、スライド板９と一
体にスライド杆２９が形成され、かつこのスライ
ド杆２９と適宜な位置で当接する図示しないリミ
ツトスイツチが配設されている。すなわち、防潮
板３が完全に起立した状態でスライド杆２９と当
接してモータ１７を停止させるためのリミツトス
イツチと、防潮板３が逆に完全に横臥した状態で
スライド杆２９と当接してモータ１７を停止させ
るためのリミツトスイツチがそれぞれ所定箇所に
設けられて、これらのリミツトスイツチのスイツ
チ動作信号は、図示しない制御部へと伝達され、
モータ１７を制御するように構成されている。

以上説明したように、この実施例にあつては、
押し上げ杆７が防潮板３を起立させるので、防潮
板３が起立した状態では、押し上げ杆７が支えと
なり、かつ押し上げ杆７はスクリユーネジ１３が
回転しない限り移動することはないので、防潮板
３は、濁流等の水圧に抗するだけの充分な固定強
度を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る防潮扉の全体概略図、
第２図は第１図における−線断面図である。 １……防潮扉、２……ケース、３……防潮板、
４……蓋体、７……押し上げ杆、９……スライド
板、１１……リニアウエイ、１２……ナツト、１
３……スクリユーネジ、２５……リンク板、２７
……シール部材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 箱状ケース上面が、床面と面一に露呈された状
   態で床と一体的に配設されるものであつて； 上記ケース上面の一部を構成し、起立可能に配
   設されてなる防潮板と： 上記ケース内に配設され、上記起立した防潮板
   と当接して、防潮板の表側と裏側とを遮断するた
   めのシール部材と： 上記ケース内に設置されるとともに上記起立し
   た防潮板に対して垂直にスライド可能に設けた左
   右一対のスライド板と、このスライド板に取り付
   けられたナツトに螺合しかつそのスライド板をス
   ライドさせるスクリユーネジと、上記防潮板の裏
   面に一端が回転可能に支持されるとともに他端が
   上記スライド板に回転可能に支持された左右一対
   の押し上げ枠とからなる防潮板動作機構と： 一端が上記ケース内底面に枢支されるととも
   に、他端が上記防潮板の下面一側に枢支されてな
   る左右一対のリンク板と： 上記ケース上面の一部を構成し、上部防潮板の
   一側と当接する一側を有するとともに、他端がケ
   ース一側に蝶着されてなる板状蓋体と： を具備することを特徴とする防潮扉。