JPH04341185A - 新規ニトリラーゼ - Google Patents

新規ニトリラーゼ

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JPH04341185A
JPH04341185A JP3307360A JP30736091A JPH04341185A JP H04341185 A JPH04341185 A JP H04341185A JP 3307360 A JP3307360 A JP 3307360A JP 30736091 A JP30736091 A JP 30736091A JP H04341185 A JPH04341185 A JP H04341185A
Authority
JP
Japan
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nitrilase
ala
molecular weight
nitrile
aliphatic nitriles
Prior art date
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Pending
Application number
JP3307360A
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English (en)
Inventor
Keizo Yamamoto
敬三 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Industry Co Ltd
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  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ニトリル基をカルボン
酸基に加水分解させる触媒として有用な新規ニトリラー
ゼに関するものである。特に、医薬品の原料、農薬の原
料、超誘電特性を有する化合物の原料、さらには光学分
割剤として有用な化合物である光学活性な2−ヒドロキ
シカルボン酸を製造する際の触媒として有用なものであ
る。
【0002】
【従来の技術】光学活性な2−ヒドロキシカルボン酸を
製造する方法としては、ラセミ体の分別結晶による光学
分割法、クロマトグラフィーによる光学分割法、有機化
学的な不斉合成法等が知られているが、これらの方法は
、操作が煩雑、低収率、生成物の光学純度が低い等の欠
点を有している。
【0003】さらに、微生物を用いる方法については、
還元酵素を用いる方法(特開昭63−32492号)が
知られているが、高価な補酵素を必要とする欠点を有し
ている。さらに、ニトリルまたはアミドの加水分解作用
を用いる方法(特開昭61−88894号、特公昭54
−14668号および特開平2−84198号)が知ら
れている。これらは、ラセミ体のニトリルの一方の異性
体に特異的に作用する鏡像選択的ニトリラーゼを利用す
る方法であるが、反応率を50%以内で止めてしまって
いた。最近、我々は特願平2−288442号(発明の
名称;光学活性な2−ヒドロキシカルボン酸の製造法;
平成2年10月29日出願)において鏡像選択的ニトリ
ラーゼを用いて反応率を50%以上で行う方法を提示し
た。
【0004】一方、これらの方法で示される、ラセミ体
のニトリルを鏡像選択的に加水分解するニトリラーゼ自
体については、特開平2−84198号に記載されるア
シネトバクター(Acinetobacter)属の鏡
像選択的ニトリラーゼ以外は知られていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、工業
用原料として有用な光学活性な2−ヒドロキシカルボン
酸を生成する触媒としての、鏡像選択的ニトリラーゼを
見い出すことである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するため、鏡像選択的ニトリラーゼを微生物中
の酵素タンパクに求め、各種の精製技術を利用すること
により単離精製した。その結果、サブユニット分子量が
32,000±2,000で構成されるタンパクで、ニ
トリル基をカルボン酸基に加水分解する能力を持ち、か
つ、式(I)で示されるラセミ体の2−ヒドロキシニト
リルを式(II)で示される光学活性な2−ヒドロキシ
カルボン酸に鏡像選択的加水分解を行うことのできる新
規なニトリラーゼを見出し、本発明を完成した。
【0007】
【化1】
【0008】
【化2】
【0009】上記(I)および(II)式において、R
は置換または無置換のアリール基、置換または無置換の
複素環基を示す。さらに詳しく説明すると、アリール基
として、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。複素
環基としては、異種原子として、窒素、酸素、硫黄の少
なくとも1種を1ケ以上含むものが好ましく、また、炭
素数としては、3〜13が好ましく、3〜6が更に好ま
しい。また、置換基としては、炭素数1〜6、好ましく
は1〜3の低級アルキル基、フェニル基やナフチル基の
ようなアリール基、炭素数1〜6の低級アルコキシ基、
ヒドロキシ基、チオール基、ニトロ基、アミノ基、また
フッ素、塩素、ヨウ素、臭素等のハロゲン原子が好まし
い。
【0010】次に、本発明を詳細に説明する。 (1)  酵素を含有する微生物及びこの培養方法目的
の新規なニトリラーゼは、アルカリゲネス  フェカリ
ス(Alcaligenes  faecalis)A
TCC  8750に含まれる。この微生物の培養は、
公知の培養方法に準じて行うことができる。使用する培
地は、一般微生物の栄養源として公知のものが利用でき
、グリセリン、クエン酸、酢酸、グルタミン酸等の炭素
源、硫酸アンモニウム、尿素、塩化アンモニウム等の窒
素源、肉エキス、酵母エキス、麦芽エキス、ペプトン等
の有機栄養源、リン酸、マグネシウム、カリウム、鉄、
コバルト等の無機栄養源、ビタミン類を適宜組み合わせ
て使用できる。また、微生物中の目的のニトリラーゼ酵
素の量を増大させる物質として、n−ブチロニトリル等
のニトリル化合物あるいはε−カプロラクタム等のアミ
ド化合物を添加するのが好ましい。培地のpHは5〜1
0の範囲で選べばよく、培養温度は10〜38℃、好ま
しくは25〜32℃である。培養日数は1〜5日の範囲
で目的のニトリラーゼ酵素の含量が最大になるまで培養
すればよい。 (2)  酵素の精製 酵素の精製は、通常の酵素精製法を用いることができる
。培養終了液より遠心分離等によって菌体を集め、超音
波処理、ダイノミル等の機械的方法によって菌体を破砕
する。細胞片等の固形物を遠心分離によって除き、粗酵
素を得る。次に、超遠心分離分画、塩析、有機溶媒沈澱
、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフ
ィー、ハイドロフォービッククロマトグラフィー、ゲル
ろ過クロマトグラフィー、結晶化等を行うことにより精
製される。これについては、実施例にて、一例を記載す
る。 (3)  酵素活性の測定法 マンデロニトリル10μmol、リン酸カリウム緩衝液
(pH7.5)0.1mmol、牛血清アルブミン1m
g、ジチオスレイトール1μmolおよび適当量の酵素
液を加え、1.0mlになるように混合して、30℃に
て30分反応させた後、80%酢酸0.2mlを添加し
て反応を停止させた。生成したマンデル酸は高速液体ク
ロマトグラフィーにより測定した。
【0011】その条件としては、ユニシルパックCl8
(ガスクロ工業(株))のカラムで、0.1Mリン酸1
アンモニウム(pH4.8)とメタノールを80:20
に混合した触媒を1分間に1mlずつ溶出させ、254
nmの吸光度にて検出した。基質特異性等の検討におい
ては反応により生成したアンモニアをJ.Clin.P
ath.13,156(1960)の方法にて測定した
。この場合の反応は、ニトリル化合物10μmol、リ
ン酸カリウム緩衝液(pH7.5)0.1mmol、牛
血清アルブミン1mg、ジチオスレイトール(DTT)
1μmol、および適当量の酵素液を加え、1.0ml
になるように混合し、30℃、30分反応を行わせた。
【0012】1分間に1μmolのマンデル酸またはア
ンモニアを生成する酵素量を1単位とした。 (4)  酵素の均一性 SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動をトリス−グ
リシン緩衝液を用い4〜12%ゲルにて、J.Biol
.Chem.,244,4406(1969)の方法に
て行った。均一な1本のタンパクバンドが見られ、公知
の標準タンパクとの比較よりこのタンパクの分子量は3
2,000±2,000となった。 (5)  酵素の性質 本発明のニトリラーゼは、均一に精製された後、次の性
質を有していることが解った。 (1)  酵素作用 ニトリル化合物のニトリル基に作用し、ニトリル基をカ
ルボン酸基とアンモニアに加水分解する反応の触媒とし
ての機能を示す。式(I)で示される2−ヒドロキシニ
トリルに対しては鏡像選択的加水分解を行ない、式(I
I)で示される光学活性な2−ヒドロキシカルボン酸を
生成する反応の触媒としての機能を示す。さらに式(I
)で示される2−ヒドロキシニトリルは、反応媒体中で
は下記式(III)の平衡状態にある。
【0013】
【化3】
【0014】よって、式(I)で示されるヒドロキシニ
トリルの代わりに(III)に示されるアルデヒドと青
酸(青酸ナトリウムまたは青酸カリウム等の塩でもよい
。)から、式(II)で示される光学活性な2−ヒドロ
キシカルボン酸を生成する反応の触媒としての機能をも
示す。これらの代表例については、実施例をもって示す
。 (2)  基質特異性 n−バレロニトリル等の飽和脂肪族ニトリル、アクリロ
ニトリル等の不飽和脂肪族ニトリル、クロロアセトニト
リル、2−クロロプロピオニトリル等のハロゲンで置換
された脂肪族ニトリル、ベンジルシアナイド等の芳香族
で置換された脂肪族ニトリル、3−チオフェンアセトニ
トリル、3−ピリジンアセトニトリル等の複素環で置換
された脂肪族ニトリル、サクシノニトリル等のジニトリ
ル化合物に作用する。特に、クロロアセトニトリル、ベ
ンジルシアナイド、p−アミノベンジルシアナイド、3
−チオフェンアセトニトリルの水和速度が大きい。
【0015】さらに、ベンゾニトリルに対する作用は低
く(マンデロニトリルに対する活性の1.1%)、芳香
族ニトリルへの作用は低い。公知のニトリラーゼはベン
ゾニトリル等の芳香族ニトリルに対する作用が最も強い
ことが知られている。参考文献−Biochem.J.
,165,309(1977)、Biochem.J.
,167,685(1977)、Int.J.Bioc
hem.,17,677(1985)、Appl.En
v.Microbiol.,51,302(1986)
、Eur.J.Biol.,182,349(1989
)、Biotechnol.Appl.Biochem
.,11,581(1989)。よって、本発明のニト
リラーゼは、公知のニトリラーゼとは全くタイプの異な
るものである。これについては、実施例に記載する。 (3)  分子量 公知の方法にてSDS−PAGEで電気泳動を行い、標
準タンパク質と比較することにより、ニトリラーゼのサ
ブユニットの分子量は32,000±2,000である
【0016】また、活性発現時の会合した状態の分子量
をみるために、AsahipakGS−620のカラム
を用い、0.3M  NaCl、1mM  DTT、0
.1mMEDTAを含む0.1M  リン酸カリウム緩
衝液(pH7.5)を溶媒とするHPLC法によりニト
リラーゼを溶出させた。標準タンパク質との比較よりそ
の分子量は460,000±30,000である。これ
は、ニトリラーゼの活性型、つまり本来の分子量が約4
6万であることを示している。 (4)  N末アミノ酸配列 ニトリラーゼを脱塩濃縮乾固した後、トリフルオロ酢酸
を加えて溶解し、Edman分解反応を応用したApp
lied  Biosystems社の気相プロテイン
・シーケンサーに適用した。PTH(フェニルチオヒダ
ントイン)アミノ酸の同定にはHPLCを用い、各サイ
クルで得られたPTH−アミノ酸のピーク位置、ピーク
高さを標準PTH−アミノ酸のそれと比較して、定性、
定量を行った。得られたN末端アミノ酸配列は次のよう
である。
【0017】Met−Gln−Thr−Arg−Lys
−Ile−Val−Arg−Ala−Ala−Ala−
Val−Gln−Ala−Ala−Ser−Pro−A
sn−Tyr−Asp−Leu−Ala−Thr−Gl
y−Val−Asp−Lys−Thr−(5)  至適
pH及び至適温度 各pHにおける活性を測定したところ、至適pHは7.
5である。これについては、実施例に記載する。また、
至適温度は40〜45℃である。 (6)  温度安定性 pH7.0の緩衝液にニトリラーゼを入れ10〜70℃
、10分間放置した後、加水分解活性をみたところ、4
5℃まで95%以上の活性が残存している。 (7)  pH安定性 0.1Mの各pH緩衝液にニトリラーゼを入れ40℃、
30分間放置した後、加水分解活性をみたところ、pH
6.5〜8.0が安定領域である。これについては実施
例に記載する。 (8)  阻害剤 各種金属イオン及び各種阻害剤を反応時に共存させて活
性をみたところ、ニトリラーゼは、Hg+ 、Co2+
、Zn2+、Pb2+、Cu2+、p−クロロマーキュ
リーベンゾエイト等で阻害される。これについては、実
施例に記載する。 (9)  安定化剤 pH7.5の緩衝液にニトリラーゼと、各種酵素安定化
剤を入れ、50℃、15分間放置した後、加水分解活性
をみたところ、1mM  DTT(ジチオスレイトール
)にニトリラーゼ安定化効果がみられる。 (10)吸収スペクトル ニトリラーゼの吸収スペクトルを250〜850nmに
おいてみたところ、279nm付近の吸収以外は見られ
ない。
【0018】以上の様に、本酵素は、飽和及び不飽和脂
肪族ニトリル、ハロゲン、複素環及び芳香族で置換され
た脂肪族ニトリル、ジニトリル化合物に作用する新しい
ニトリラーゼであり、さらに、2−ヒドロキシニトリル
を光学活性な2−ヒドロキシカルボン酸に鏡像選択的加
水分解するというすぐれた効果を有する酵素である。
【0019】
【実施例】次に、実施例により本発明をより詳細に説明
する。ただし、これら実施例は本発明の範囲を限定する
ものではない。なお、特に説明がない限りは、実施例中
の%は重量%を示す。
【0020】
【実施例1】ニトリラーゼ含有菌体の培養酢酸アンモニ
ウム1%、酵母エキス0.5%、ペプトン0.5%、リ
ン酸1カリウム0.12%、リン酸2カリウム0.08
%、硫酸マグネシウム0.02%、硫酸第1鉄0.00
3%、塩化ナトリウム0.1%,n−ブチロニトリル0
.3%を含み、pHを7.2とした殺菌培地2000m
lに、酢酸アンモニウムの代りにL−グルタミン酸ナト
リウムを同量添加した上記培地で培養したアルカリゲネ
ス  フェカリス  ATCC  8750を2%植菌
し、32℃で20時間振盪培養した。遠心分離にて、湿
菌体28.3gを得た。取得した菌体の酵素活性は、マ
ンデロニトリルをマンデル酸に変換する活性でみると、
0.060μmole/乾菌体mg/minであった。
【0021】
【実施例2】ニトリラーゼの精製 実施例1で取得した菌体を、1mM  DTT,0.1
mM  EDTAを含む0.05Mリン酸カリウム緩衝
液(pH7.0)〔以後、バッファーと略す。〕で洗浄
後、バッファー150mlに懸濁し、9KHzにおける
超音波処理を約30分行い、菌体を破砕した。破砕菌体
は、15,000×g、20分間の遠心分離で除去し、
無細胞抽出液を得た。これに硫酸アンモニウムが10%
になる様に添加した後、遠心分離により上清液を取得し
た。これに硫酸アンモニウムをさらに35%になる様に
添加し、遠心分離により活性画分を沈澱として取得した
。この沈澱は、20mlバッファーに溶解後、バッファ
ーに十分透析し、硫安10〜35%画分とした。次に、
100,000×g,2時間の超遠心分離を行い、上清
液をPhenyl−sepharose  CL−4B
のカラムを通過させ、30%エチレングリコールを含む
バッファーと、70%エチレングリコールを含むバッフ
ァーの直線的な濃度勾配で酵素を溶出させた。活性画分
を熱め、濃縮しバッファーで透析した後、DEAE−c
elluloseのカラムを通過させ、バッファーと0
.5M  NaClを含むバッファーの直線的な濃度勾
配で酵素を溶出させた。活性画分は、限外ろ過により濃
縮し、バッファーに透析した。このようにして、ニトリ
ラーゼを均一に精製した。この精製過程を表1に示す。
【0022】
【実施例3】マンデロニトリルからのR−(−)−マン
デル酸の生成 実施例2で均一に精製されたニトリラーゼを用いて、以
下の条件にて反応経過をみた。リン酸カリウム緩衝液(
pH7.5)1mmol、マンデロニトリル0.4mm
ol、牛血清アルブミン10mg、DTT0.01mm
ol、ニトリラーゼ0.3単位を含む反応液10mlを
30℃にて攪拌しながら反応させた。マンデロニトリル
、マンデルアミド、ベンズアルデヒド、R−(−)−マ
ンデル酸、およびアンモニアを定量した。結果は図1に
示すとおりであり、基質の減少にともない、R−(−)
−マンデル酸とアンモニアが等モル生成され、マンデル
アミドは検出されないことにより、明らかにニトリラー
ゼであることを示していた。また、生成されたR−(−
)−マンデル酸の光学純度は、Journal  of
  Chromatography,216,406(
1981)の方法により高速液体クロマトグラフィー分
析を行ったところ、反応1,2,4,6時間とも100
%e.e.となった。反応終了液のpHを8.5に調整
した後、ジエチルエ−テル10mlを加えて有機層を抽
出除去した。水層のpHを1.5に調整した後、ジエチ
ルエーテル10mlを加えて、目的物の抽出を2回行っ
た抽出液を減圧乾燥させた後、70℃ベンゼン約3ml
に溶かして室温放置したところ49mg(0.322m
mol)のR−(−)−マンデル酸を得た。
【0023】
【化4】
【0024】融点:132℃ 比旋光度より光学純度は100%e.e.であった。
【0025】
【実施例4】ベンズアルデヒドとKCNからのR−(−
)−マンデル酸の生成 実施例2で均一に精製されたニトリラーゼを用いて以下
の条件にて反応経過をみた。リン酸カリウム緩衝液(p
H7.5)1mmol、ベンズアルデヒド0.4mmo
l、KCN0.45mmol(あらかじめpH8.0に
調整して添加する。)、牛血清アルブミン10mg、D
TT0.01mmol、ニトリラーゼ0.3単位を含む
反応液10mlを30℃にて攪拌しながら反応させた。 マンデロニトリル、マンデルアミド、ベンズアルデヒド
、青酸、R−(−)−マンデル酸、およびアンモニアを
定量した(青酸の定量は、J.Assoc.Off.A
nal.Chem.,67,641(1984)の方法
による発色法にて行った。)。その結果、基質の減少に
ともない、R−(−)−マンデル酸とアンモニアが等モ
ル生成されており、マンデルアミドは検出されなかった
。生成されるR−(−)−マンデル酸の濃度は、反応1
,2,4,6時間でそれぞれ16,30,33,35m
Mであった。さらに、生成されるR−(−)−マンデル
酸の光学純度は、高速液体クロマトグラフィー分析によ
り、反応1,2,4,6時間とも100%e.e.とな
った。反応終了液より、実施例3と同様にして、R−(
−)−マンデル酸47.5mg(0.313mmol)
を得た。
【0026】
【化5】
【0027】融点:132℃ 比旋光度より光学純度は100%e.e.であった。
【0028】
【実施例5】基質特異性の検討 実施例2で均一に精製されたニトリラーゼを用いて、基
質特異性を検討した。ニトリル化合物10μmol、リ
ン酸カリウム緩衝液(pH7.5)0.1mmol、牛
血清アルブミン1mg、DTT1μmol、およびニト
リラーゼ0.0005〜0.01単位を加え、1.0m
lになるように混合し、30℃、30分間反応を行わせ
、生成するアンモニアを定量することにより活性を求め
た。各種ニトリル化合物に対する基質特異性は、マンデ
ロニトリルに対する活性(3.10単位/mg)を10
0%とした場合の結果を表2に示す。本ニトリラーゼは
、n−バレロニトリル等の飽和脂肪族ニトリル、アクリ
ロニトリル等の不飽和脂肪族ニトリル、クロロアセトニ
トリル、2−クロロプロピオニトリル、2−ブロモプロ
ピオニトリル等のハロゲンで置換された脂肪族ニトリル
、ベンジルシアナイド、フェニルグリシノニトリル等の
芳香族で置換された脂肪族ニトリル、3−チオフェンア
セトニトリル、3−ピリジンアセトニトリル等の複素環
で置換された脂肪族ニトリル、サクシノニトリル等のジ
ニトリル化合物に作用する。特に、クロロアセトニトリ
ル、ベンジルシアナイド、p−アミノベンジルシアナイ
ド、3−チオフェンアセトニトリルに強く作用する。 さらに、ベンゾニトリル等の芳香族ニトリルへの作用は
低かった。
【0029】
【実施例6】至適pHの検討 実施例2で均一に精製されたニトリラーゼを用いて、至
適pHを検討した。マンデロニトリル10μmol、各
種緩衝液0.1mmol、牛血清アルブミン1mg、D
TT1μmol、およびニトリラーゼ0.01単位を加
え、1.0mlになるように混合し、30℃、30分間
反応を行わせ、生成するR−(−)−マンデル酸を定量
することにより活性を求めた。緩衝液は、pH5.5〜
8.0のリン酸カリウム緩衝液、pH7.5〜9.0の
トリス−塩酸緩衝液、pH8.5〜11.0のホウ酸−
NaOH緩衝液を用いた。結果は図2に示すとおりであ
り、至適pHは7.5であった。
【0030】
【実施例7】pH安定性の検討 実施例2で均一に精製されたニトリラーゼを用いて、p
H安定性について検討した。ニトリラーゼ0.1単位を
0.1Mの各種緩衝液に入れ、40℃、30分間放置し
た後、ニトリラーゼ0.01単位を用いて、マンデロニ
トリルを基質とする標準活性測定法にて活性を測定した
。熱処理をしないニトリラーゼ活性を相対活性100%
とした結果は、pH6.5〜8.0で約100%となり
、pH5.5、6.0、8.5、9.0ではそれぞれ4
2、81、72、31%となった。
【0031】
【実施例8】阻害剤の検討 実施例2で均一に精製されたニトリラーゼを用いて、各
種阻害剤の影響をみた。リン酸カリウム緩衝液(pH7
.5)0.1mmol、牛血清アルブミン1mg、ニト
リラーゼ0.01単位、および各種阻害剤0.1μmo
lを加え、30℃、10分間放置後、マンデロニトリル
10μmolを加え、1.0mlにして、30℃、30
分間反応を行わせて、生成するR−(−)−マンデル酸
を定量することにより活性をもとめた。阻害剤を添加し
ない活性を相対活性100%とした結果は、表3に示す
とおりである。Hg+ 、Co2+、Zn2+、Pb2
+、Cu2+、P−クロロマーキュリーベンゾエイトで
阻害され、SH阻害剤のほとんどのもので阻害をうけた
。この阻害は、DTTの添加により弱くなった。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【発明の効果】ニトリル基をカルボン酸基に加水分解す
る上で、極めて微量の触媒量で、しかも常温常圧におい
て加水分解を促進させることができ、さらに反応系に不
純物や副生物を生じさせることのない、新規なニトリラ
ーゼを見い出すに至った。このニトリラーゼにより、各
種有用なカルボン酸を安価に作ることができる。特に、
光学活性な2−ヒドロキシカルボン酸を製造する際に、
対応するニトリル化合物の鏡像選択的加水分解を行う触
媒として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のニトリラーゼを用いた、マンデロニト
リルからのR−(−)−マンデル酸の生成例である。
【図2】本発明のニトリラーゼを用いた、至適pHの検
討結果である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  アルカリゲネス(Alcaligen
    es)属細菌から調製され、下記の理化学的性質を有す
    るニトリラーゼ。 (1)  酵素作用 ニトリル化合物のニトリル基に作用し、ニトリル基をカ
    ルボン酸基とアンモニアに加水分解する反応の触媒とし
    ての機能を示す。2−ヒドロキシニトリルに対しては、
    鏡像選択的加水分解を行ない、光学活性な2−ヒドロキ
    シカルボン酸を生成する反応の触媒としての機能を示す
    。 (2)  基質特異性 n−バレロニトリル等の飽和脂肪族ニトリル、アクリロ
    ニトリル等の不飽和脂肪族ニトリル、クロロアセトニト
    リル、2−クロロプロピオニトリル等のハロゲンで置換
    された脂肪族ニトリル、ベンジルシアナイド等の芳香族
    で置換された脂肪族ニトリル、3−チオフェンアセトニ
    トリル、3−ピリジンアセトニトリル等の複素環で置換
    された脂肪族ニトリル、サクシノニトリル等のジニトリ
    ル化合物に作用する。特に、クロロアセトニトリル、ベ
    ンジルシアナイド、p−アミノベンジルシアナイド、3
    −チオフェンアセトニトリルの水和速度が大きい。 (3)  分子量 分子量は460,000±30,000である。サブユ
    ニットの分子量は32,000±2,000(SDS−
    PAGE)である。 (4)  N末アミノ酸配列 Met−Gln−Thr−Arg−Lys−Ile−V
    al−Arg−Ala−Ala−Ala−Val−Gl
    n−Ala−Ala−Ser−Pro−Asn−Tyr
    −Asp−Leu−Ala−Thr−Gly−Val−
    Asp−Lys−Thr− (5)  至適pH及び至適温度 pH7.5、40〜45℃でニトリル基の加水分解作用
    は至適である。 (6)  温度安定性 pH7.0で10〜45℃、10分間放置しても、ニト
    リル基の加水分解活性は95%以上残存している。 (7)  pH安定性 pH6.5〜8.0が安定領域である。 (8)  阻害剤 Hg+ 、Co2+、Zn2+、Pb2+、Cu2+、
    p−クロロマーキュリーベンゾエイト等で阻害される。 (9)  安定化剤 ジチオスレイトールにて安定化される。 (10)吸収スペクトル 279nm以外の吸収はない。
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