JPH0434064Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、軸筒に空気孔が設けられ軸筒内には
直接インキを貯溜するタンクと、該タンクから過
剰流出するインキを吸収して空気孔やペン先から
の溢出を防止するインキ保溜体とが設けられた筆
記具本体と、該筆記具本体に着脱自在で内部に筆
記具本体のペン先部と空気孔を密閉する中キヤツ
プを備えたキヤツプとからなる筆記具に関する。

（従来の技術） 従来のこの種の筆記具は第２図に示すように、
キヤツプ１の内部に更に筒状の中キヤツプ２が一
体に設けられていて、キヤツプ１と筆記具本体３
とが嵌着した状態では筆記具本体３の先端のペン
先４から軸筒５の空気孔６が設けられた筒所より
やや後方位置までが中キヤツプ２内に挿入される
構造となつており、これによりペン先４や空気孔
６からのインキの蒸発が防止されていた。

（考案が解決しようとする問題点） 上記の従来構造の筆記具に於て、先ず筆記具本
体３にキヤツプ１を嵌着する場合に、筆記具本体
３の先端部が中キヤツプ２に挿入して中キヤツプ
２の開口端部と軸筒５とが接触した状態から更に
多少の距離だけ軸筒５は中キヤツプ２内に侵入す
る。従つて中キヤツプ２内の空気は若干圧縮さ
れ、筆記具本体３が下向きになつている場合は空
気が空気孔６からインキタンク（図は省略）内へ
気泡となつて入り、その置換作用によりインキが
インキタンクから押し出されてインキ保溜体７に
蓄積される。又、筆記具本体３からキヤツプ１を
外す場合は、中キヤツプ２の開口縁部と軸筒５と
が接触した状態で軸筒５が多少後退してから中キ
ヤツプ２内の空気が外部と通気するので、その間
に中キヤツプ２内の空気は体積膨張により減圧さ
れることになり、筆記具本体３が下向きになつて
いるとインキタンク内のインキが吸引されて同様
にインキ保溜体７に蓄積される結果となる。イン
キ保溜体７は本来、筆記に際して消費するインキ
タンク内のインキと空気との置換、温度上昇等に
よるインキタンク内空気の膨張等によつてインキ
タンクから過剰流出するインキをペン先や空気孔
からボタ落ちさせないように一時的に保溜する作
用を有するものであるが、上記したようにキヤツ
プの着脱の毎にもインキ保溜体にはインキが蓄積
されていくのでやがてインキ保溜体の収容能力を
超過してペン先や空気孔からのインキのボタ落ち
を発生させることになる。本考案の目的はこの種
の筆記具に於て、キヤツプの着脱によるインキ保
溜体へのインキの蓄積を防止し、然も中キヤツプ
の密閉性を完全になすことである。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するために案出された本願の筆
記具は、軸筒に空気孔が設けられ軸筒内には直接
インキを貯溜するタンクと、該タンクから過剰流
出するインキを収容して空気孔やペン先からの溢
出を防止するインキ保溜体が設けられた筆記具本
体と、該筆記具本体に着脱自在で内部に筆記具本
体のペン先部と空気孔を密閉する中キヤツプを備
えたキヤツプとからなる筆記具に於て、中キヤツ
プをキヤツプに対し軸方向に移動自在として該中
キヤツプをキヤツプの開口端方向に付勢するスプ
リングを該中キヤツプに装着すると共に、キヤツ
プと筆記具本体の嵌着状態に於て中キヤツプの開
口縁部に当接する弾性シール体を筆記具本体に装
着したことを特徴とするものである。

（実施例） 第１図は本考案の一実施例を示したものであ
る。筆記具本体８は、軸筒９とインキ保溜体１０
とゴム製弾性シール体１１と先軸１２とインキ誘
導棒１３とボールペンチツプ１４とを構成部品と
し、軸筒９はその後半内孔部をインキタンク１５
となし、その前半内孔部にはインキ保溜体１０を
装着している。インキ保溜体１０は軸筒９に挿入
されるその後半外周部に軸方向に縦列した多数の
周溝１６……を有しており、これら周溝１６……
は軸方向の縦溝１７により連通されている。縦溝
１７はその後端部にインキ保溜体１０の中心部に
設けられた軸方向の縦孔１８の後端部に開口する
導入口１９を有しここからインキタンク１５に連
通している。インキ保溜体１０の前端部は軸筒９
の前端開口部より突出しておりその突出部では前
記縦孔１８が内径を拡大して前端面に開口してい
る。インキ保溜体１０の外周面で軸筒９の前端開
口部に対応する位置には溝２０が周設されて該溝
２にはゴム製の弾性シール体１１が嵌着されてい
る。この弾性シール体１１の前端部外面は傾斜面
となつておりここに後記する中キヤツプ２４の開
口縁部が当接する。インキ保溜体１０の前端部の
縦孔１８の内径拡大部にはボールペンチツプ１４
を固定した先軸１２が圧入され、先軸１２の中心
部に設けられた後端面に開口した縦孔２１と前記
インキ保溜体１０の縦孔１８にはインキ誘導棒１
３が挿通され、該インキ誘導棒１３はその前端を
ボールペンチツプ１４に接続している。従つてイ
ンキはインキタンク１５からこのインキ誘導棒１
３を介してボールペンチツプ１４へ供給される。
インキタンク内空気の膨張等によつてインキタン
ク１５から過剰流出するインキはインキ保溜体１
０の導入口１９から縦溝１７を通つて毛細管作用
により各周溝１６……へ蓄積される。インキ保溜
体１０の弾性シール体１１の内部位置には空気孔
２２が設けられ該空気孔２２は弾性シール体１１
の前方位置に於て外部に開口している。次にキヤ
ツプ２３はその内孔奥部に中キヤツプ２４を装着
しており、該中キヤツプ２４はキヤツプ２３に対
して軸方向に移動自在でスプリング２５によりキ
ヤツプ２３の開口端方向へ付勢されている。中キ
ヤツプ２４はその外面に設けた突起２６がキヤツ
プ２３の内面に設けた突起２７に衝止するため抜
出不能である。キヤツプ２３の開口端近傍の内面
には弾性変形可能な係合突起２８が設けられ、
又、軸筒９の前端開口縁部より所要距離後方位置
の外面にも係合突起２９が設けられ、これら係合
突起２８，２９は、キヤツプ２３内に筆記具本体
８が挿入されて弾性シール体１１の傾斜面が中キ
ヤツプ２４の開口縁部に当接して押圧しスプリン
グ２５を圧縮して若干中キヤツプ２４を奥部方向
へ移動させた状態で互に係合するような位置関係
を有している。

（作用） 先ずキヤツプ２３と筆記具本体８を嵌着する場
合は、筆記具本体８の先端部が中キヤツプ２４内
に挿入して弾性シール体１１の傾斜面が中キヤツ
プ２４の開口縁部に当接し、更に筆記具本体８の
挿入を進めると中キヤツプ２４は弾性シール体１
１により押圧されてスプリングを圧縮しながら奥
部方向へ移動し、軸筒９の係合突起２９とキヤツ
プ２３の係合突起２８が係合した時点でその移動
を停止し、中キヤツプ２４はスプリング２５の弾
性力によつてその開口縁部を弾性シール体１１の
傾斜面に当接し続ける。即ち本考案の構造では、
筆記具本体８の弾性シール体１１が中キヤツプ２
４の開口縁部に当接した後に更に中キヤツプ２４
の内部へ侵入することがないので中キヤツプ２４
の内部空気の圧縮が回避される。従つてインキタ
ンク１５内への空気の侵入も防止されインキ保溜
体１０へのインキの蓄積もない。キヤツプ２３を
筆記具本体８から外す場合も同様に中キヤツプ２
４の内部空気の体積は一定を保ち膨張による減圧
がないのでインキタンク１５からインキが引き出
されてインキ保溜体１０に蓄積されることもな
い。

中キヤツプ２４の開口縁部には筆記具本体８の
弾性シール体１１が当接するのみで従来のように
嵌入しない構造でも中キヤツプ２４の気密性は十
分に保たれる。即ち中キヤツプ２４の開口縁部は
スプリングの弾性力によつて常に筆記具本体８の
弾性シール体１１に圧接される上に、弾性シール
体１１の変形性により中キヤツプ２１の開口縁部
に多少の変形が存在してもその変形に倣いながら
密着するからである。又、中キヤツプ２４は軸方
向に移動自在なので筆記具本体８又は中キヤツプ
２４に軸方向の寸法のバラツキが存在してもその
バラツキを吸収して確実に中キヤツプ２４の開口
縁部と弾性シール体１１とが密着する。よつて中
キヤツプ２４の密閉性はより向上するものであつ
て、ペン先や空気孔からのインキ蒸発は確実に防
止される。

（考案の効果） 本考案の構成及び作用は以上の通りであり、キ
ヤツプの着脱時に於ける中キヤツプ内の空気の圧
縮、膨張に基づくインキタンクからのインキ保溜
体へのインキの移動を零にしてインキ保溜体の収
容能力を超過させるインキ蓄積を回避して過剰イ
ンキのペン先や空気孔からのボタ落ちを防止する
と共に、中キヤツプの密閉性を向上してペン先や
空気孔からのインキ蒸発を完全に防止する効果が
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の要部縦断面図、第
２図は従来例の要部縦断面図である。 １……キヤツプ、２……中キヤツプ、３……筆
記具本体、４……ペン先、５……軸筒、６……空
気孔、７……インキ保溜体、８……筆記具本体、
９……軸筒、１０……インキ保溜体、１１……弾
性シール体、１２……先軸、１３……インキ誘導
棒、１４……ボールペンチツプ、１５……インキ
タンク、１６……周溝、１７……縦溝、１８……
縦孔、１９……導入口、２０……溝、２１……縦
孔、２２……空気孔、２３……キヤツプ、２４…
…中キヤツプ、２５……スプリング、２６，２７
……突起、２８，２９……係合突起。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 軸筒に空気孔が設けられ軸筒内には直接インキ
   を貯溜するタンクと、該タンクから過剰流出する
   インキを収容して空気孔やペン先からの溢出を防
   止するインキ保溜体が設けられた筆記具本体と、
   該筆記具本体に着脱自在で内部に筆記具本体のペ
   ン先部と空気孔を密閉する中キヤツプを備えたキ
   ヤツプとからなる筆記具に於て、中キヤツプをキ
   ヤツプに対し軸方向に移動自在として該中キヤツ
   プをキヤツプの開口端方向に付勢するスプリング
   を該中キヤツプに装着すると共に、キヤツプと筆
   記具本体の嵌着状態に於て中キヤツプの開口縁部
   に当接する弾性シール体を筆記具本体に装着した
   ことを特徴とする筆記具。