JPH0434061B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は搬送法、更に詳しくは被処理物を無菌
または無塵状態で搬送する搬送法に関する。

従来、雑菌や塵埃から隔絶して原料や中間処理
物等の被処理物を処理するには、室の壁の中や天
井裏等に送風機と無菌又は無塵用のエアフイルタ
とを設置し、清浄空気を該室内に送風循環せしめ
るようにしたクリーン室内で行い、或は別の手段
として、室内にクリーンブースを固設し、このブ
ース内で処理することが行われているが、この無
菌又は無塵処理されたものを所定の場所に搬送す
る場合には、別個に搬送用の台車を必要とする。
又、これをその密閉状態で台車に載せて所定の場
所に運ぶ場合にはこの搬送中に外気中に含まれる
雑菌や塵埃がその密閉状態の容器を通してその被
処理物に付着する危険がある。この汚染の危険性
は、上記のようなクリーンユニツトを備えない室
で例えば純粋に培養した菌や、加熱殺菌した被処
理物を容器内に収容密栓した状態で運搬する場合
にも同様に有する。

本発明は上記の従来の事情に鑑みて、別個の台
車を必要とすることなく、被処理物を無菌又は無
塵状態で保存し得ると共に、これを直ちにそのま
ま所定の場所に運ぶことができる搬送法を提供す
るもので、送風機とこれにより生成される空気流
を浄化するためのエアフイルタとから成る清浄空
気流発生装置と、該発生装置からの空気を外側方
に吹出す吹出口を備える側板を立設せる底壁と該
底壁上に載置した機枠と該機枠の周面に囲繞され
た開閉自在の柔軟シートを備えた被処理物を収容
する清浄室と、移動用の車輪とから成る搬送用ク
リーンユニツトの該清浄室内に被処理物を収容し
た時、該清浄空気流発生装置によつて生成された
清浄空気流を該清浄室内に流入させて被処理物に
吹き付けると共に、該清浄空気流を底壁の側板の
吹出口からクリーンユニツトの外側方へ排出させ
ながら搬送することを特徴とする。

以下添付図面に従つて本発明について説明す
る。

図示のものは、本発明搬送法に用いる搬送用ク
リーンユニツトの１実施例を示す。

図示例では搬送用クリーンユニツトを次のよう
に容筐状に構成する。即ち、矩形の底壁１の上に
機枠２を載置して、該機枠２の上面に区劃板３を
横設すると共に、該機枠２の周面を透明なビニー
ルカーテン等の柔軟シート４で囲繞して、該機枠
２内に被処理物ａを収容するための清浄室５を区
劃形成すると共に、該区劃板３の上方に取外し自
在の筐形のカバー６を載置して該カバー６内に区
劃室７を区劃形成する。該区劃室７内には送風機
８とエアフイルタ９とから成る清浄空気流発生装
置１０を収容した。該エアフイルタ９は用途に応
じて無菌用又は無塵用フイルタで構成し、区劃板
３に設けた図示しない通気口に対面してその周囲
を気密に固設する。又該送風機８は図示しないが
搬送用クリーンユニツト内に備えられる電池等の
内部電源によつて、或いは外部の商用電源によつ
て駆動されるものとした。又、該清浄空気流発生
装置１０によつて生成される清浄空気を下方の清
浄室５内に流入させ乍ら、底壁１の各側縁に立設
される各側板１２に設けられた吹出口１３より外
部に排出するようにして、作動中、その清浄室５
内を陽圧に保持できるものとした。又、該清浄室
５の柔軟シート４はその上下両端を夫々カーテン
レール１４で支持して開閉自在とした。又、該清
浄室５の底壁１の下面の４隅に車輪１６を設ける
と共に、該底壁１の一側に該清浄室５に沿つて上
方に延びるハンドル１７を付設して前記構成の搬
送用クリーンユニツトを搬送出来るようにした。

尚、図中、１１はカバー６の側面に設け、外気
と送風機８との間に介在せしめたプレフイルタ、
１５はシール用カーテンを示す。

次にその作動を説明すれば、まず清浄空気発生
装置１０の送風機８を作動させて生成した空気を
エアフイルタ９で清浄化せしめ、これを清浄室５
内に流入して無菌又は無塵状態で陽圧に保持す
る。又、必要によりこれを所定の場所に運ぶ場合
は、従来のように別個に台車を用意し、これに移
して運ぶ手間を省き、底壁１に設けた車輪１６に
よりレール等の軌道がない場所であつても直ちに
そのまま運ぶことができると共に、清浄室５内に
流入した清浄空気流を底壁１の側板１２に設けら
れている吹出口１３よりクリーンユニツトの外側
方に吹出して排出させるので、クリーンユニツト
が通過する床面等が汚れていたとしても排出され
た空気は直接床面等に吹き付けられないから床面
等の塵埃等を舞い上がらせて巻き込み、これを再
び清浄室５内に還流させることがない。かくし
て、清浄室５内に被処理物ａを収容し、これを無
菌又は無塵状態で保存しながら任意の場所に搬送
することができる。

次に本発明をエノキダケの栽培における、殺菌
処理された培養基の搬送に適用する場合について
説明する。

先ず、密栓したビン入り培養基ａを殺菌室の殺
菌釜で常法に従つて殺菌処理し、これを次の接種
室に搬送するに当り、予め、前記構成の搬送用ク
リーンユニツトの清浄空気発生装置１０の送風機
８を作動させエアフイルタ９で清浄化された空気
流を清浄室５内に吹き込んで清浄化させた後、該
清浄室５内に殺菌処理されたビン入り培養基ａを
収容し、該送風機８を引続き作動させると共に、
清浄空気流を底壁１の側板１２の吹出口１３より
外方に排出させながら、作業者がハンドル１７を
掴んでの手押しで車輪１６の回動で接種室に搬送
する。

かくして、この搬送中、殺菌処理されたビン入
り培養基ａは清浄室５内に流入された清浄空気に
より包み込まれた外気に含まれ雑菌、塵埃から完
全に隔絶され雑菌、塵埃による汚染から確実に保
護される。

又、この間に、送風機８により流入され、清浄
室５内を通過した後、吹出口１３より外側方に排
出される空気流によつて、高温状態のビン入り培
養基ａは強制冷却されるので、爾後の所定の接種
温度まで冷却時間が短縮できる効果を併せ有す
る。

その後、培養基にエキノダケの種菌を接種し
て、常法に従つて菌まわし室、芽出し室、抑制
室、生育室に順次移して培養、生育させ、これを
収穫したところ雑菌で汚染されたビン入り培養基
ａは100本中僅か0.7本であつた。これに対して従
来のような台車を用いてビン入り培養基ａを殺菌
室から接種室に搬送した場合、雑菌で汚染された
ビン入り培養基ａは100本中7.5本であつた。

又、本発明搬送法は、あらゆる生産試験、研究
分野での無菌又は無塵状態で物品を保存し、搬送
する際に使用することが出来る。

このように本発明の搬送法によれば、清浄空気
流発生装置より清浄室内に流入した空気を底壁の
側板の吹出口からユニツトの外側方へ排出しなが
ら搬送するようにしたから、一旦外方に排出され
た空気が再び清浄室内に舞い戻ることがなく、被
処理物をその清浄室内で常時清浄空気流によつて
包み込んだ状態で搬送できて、被処理物を搬送中
に雑菌又は塵埃によつて汚染されることから防止
すると共に、底壁に車輪が設けられているので、
別個に台車を用意することなく、レール等の軌道
がない場所であつても被処理物をそのまま所定の
場所に任意の経路で搬送することができ、更に清
浄室内を流通する清浄空気流で被処理物に冷却を
与える効果を併せ有する。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明搬送法に用いるクリーンユニツト
の１実施例を示し、清浄室内に被処理物を収容し
た状態の正面図である。 １……底壁、２……機枠、４……柔軟シート、
５……清浄室、８……送風機、９……エアフイル
タ、１０……清浄空気流発生装置、１３……吹出
口、１６……車輪。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 送風機とこれにより生成される空気流を浄化
   するためのエアフイルタとから成る清浄空気流発
   生装置と、該発生装置からの空気を外側方に吹出
   す吹出口を備える側板を立設せる底壁と該底壁上
   に載置した機枠と該機枠の周面に囲繞された開閉
   自在の柔軟シートを備えた被処理物を収容する清
   浄室と、移動用の車輪とから成る搬送用クリーン
   ユニツトの該清浄室内に被処理物を収容した時、
   該清浄空気流発生装置によつて生成された清浄空
   気流を該清浄室内に流入させて被処理物に吹き付
   けると共に、該清浄空気流を底壁の側板の吹出口
   からクリーンユニツトの外側方へ排出させながら
   搬送することを特徴とする搬送法。