JPH0433486B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

［産業上の利用分野］ 本発明は空気清浄用吸着ユニツトに関する。さ
らに詳しくは、人体に不快感を与える悪臭成分や
健康上好ましくないイオン性物質、微粒子状の塵
芥などを低圧力損失で効率よく素早く物理的、化
学的に吸着除去し、かつ吸着寿命が永く、吸着性
能の優れた空気清浄用吸着ユニツトに関する。 ［従来の技術］ 従来、天然繊維、合成繊維のフエルト状、網目
状シート状物あるいは、これらに予め電荷を理め
込んだり、装置内で高電圧下エレクトロンをチヤ
ージさせるなどしたエレクトレツト繊維シート状
物、あるいは素焼板のような多孔質無機成型品シ
ート状物から成るフイルターがあり、さらに二酸
化マンガン系化合物のような化学物質や、粒状、
繊維状活性炭フイルターが単独、あるいは前記シ
ート状物と組み合わせた状態で、フイルターユニ
ツトとして用いられ、数多く商品化されてきた。
これらユニツトは居室、病室、動物舎などの空気
清浄化に利用され、それなりの効果を挙げてき
た。 しかしながら、これらのフイルターユニツトは
十分満足すべき性能が得られるものではなかつ
た。 それというのも第１にこれらシート状物は、吸
着面が空気流に対して直角面に配位構成されたも
のであり、通気抵抗即ち、圧力損失が大きいとい
う欠点を有している。圧力損失を低く抑えるため
には網目構造を大きくするとか、シートの厚みを
薄くするなどの方法が一般に採用されるが、これ
は空気中の被吸着物質との接触チヤンスを少なく
することであり、リークが生じてしまい、吸着性
能を著しく低下させるという欠点を有していた。 さらにまた、これらフイルターユニツトは有効
表面積が十分大きくないために、表面吸着活性が
すぐに失活してしまい、効果の持続性という点で
も問題であり、実用上長期間フイルター寿命を保
持するものではなかつた。 さらにまた第２の欠点として、悪臭成分の除去
性能が乏しいことであつた。すなわち、電荷をチ
ヤージさせたフイルターの場合、微粒子状塵芥の
吸着にある程度の効果が認められるものの、悪臭
ガスの除去性能がなく、活性炭素フイルターの場
合、低分子量の極性ガスとりわけ悪臭成分の代表
であるアンモニアの除去性能が極めて小さい。 また、活性炭素フイルターや粒状二酸化マンガ
ン系吸着剤の場合は、これら自体から微粒子を発
生するので空気清浄用としては好ましくないなど
の欠点を有していた。 一方、人間の居住空間の清浄化、無臭化につい
ては益々高級化が求められるし、産業の高度化に
伴つて、フアイン産業、ハイテク産業においても
益々空気の高度の清浄化が必要とされるようにな
り、高性能吸着ユニツトの出現が強く望まれてい
る。 ［発明が解決しようとする問題点］ 本発明は圧力損失が少なく、かつ被吸着物質の
リークがなく、なおかつ吸着寿命の永い吸着ユニ
ツトであり、空気中の微粒子状塵芥は勿論、悪臭
ガスとりわけ悪臭の代表であるアンモニアの除去
性能に優れ、さらに空気中に浮遊するイオン性成
分まで除去する空気清浄用吸着ユニツトを安価に
提供することを目的とする。 ［問題点を解決するための手段］ 本発明は次の構成を有する。 すなわち、本発明の吸着ユニツトは、分子内に
カルボキシル基を２個以上有するオキシカルボン
酸化合物と第一鉄塩および第三成分として硫安ま
たは亜硫安を配合させた消臭剤が付与された吸着
シートが空間を介して多層積層され、かつ両端が
開口されていることを特徴とする空気清浄用吸着
ユニツトである。 また、かかる本発明の空気清浄用吸着ユニツト
において、両開口端間の長さＬと吸着シートが空
間を介する間隔Ｄとの関係がＬ／Ｄ≧２であるこ
とを特徴とする空気清浄用吸着ユニツトである。 以下、本発明を詳しく説明する。 本発明の吸着ユニツトは、次のシート状物から
構成される。シート状物とは木綿、レーヨン、麻
など天然繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリ
ル、ポリウレタンなどの合成繊維およびこれらの
混合、組合せの編織物、不織布、ペーパー、フエ
ルトなどであり、さらにセルローススポンジ、濾
紙、ダンボール、木製品などのシート状物であ
り、素焼板のような無機質多孔シート状物などを
挙げることができる。 本発明の吸着ユニツトはかかるシート状物に消
臭剤を含浸、噴霧などの方法でで付与することに
より、吸着シートが構成される。 消臭剤としては酒石酸、クエン酸、リンゴ酸な
どの分子内にカルボキシル基を２個以上有するオ
キシカルボン酸化合物と第一鉄塩および第三成分
として硫安または亜硫安を配合させた消臭剤が本
発明の目的を達成する上で最も好ましい。 シート状物に付与する消臭剤の割合は、特に限
定されない通常、消臭剤の固形分または有効成分
として、シート状物の重量に対して、0.5〜200％
付与される。 このようにして得られた吸着シート１は、第１
図〜第４図に示すように空間を介して多層積層さ
れ、かつ両端が開口された構造に成型し、本発明
の吸着ユニツトに成型する。そして該吸着ユニツ
トは第５図に示すように、収納ケース２内に吸着
シート１面が空気流に対して並行となるよう配位
セツトしなければならない。これにより開口され
た一端から空気は、矢印Ａ方向から吸入され、吸
着シート１面に対して並行流で流れ、開口された
他端に達し、矢印Ｂ方向に排気される。すなわち
空気は吸着シート１と直交貫流しないので圧力損
失を生じない。 かかる本発明の吸着ユニツトにおいて、両開口
端間の長さＬと吸着シートが空間を介する間隔Ｄ
との関係はＬ／Ｄ≧２であることが本発明の目的
達成のために好ましい。 Ｌ／Ｄが２より小さいと、悪臭成分を完全に除
去するという本発明の目的を達成できないし、さ
らに、吸着シートの表面積即ち吸着活性点が減少
するので効果の長期持続性の点で本発明を達成で
きない。通常、Ｌ／Ｄは２〜200のものが使用さ
れるが、上限は特に限定されない。上限値は、吸
着シートを収納するケースや設置場所などの外的
条件によつて設定される。 本発明を構成する吸着シート間の空間形成は、
螺旋状の針金など金属成型品、プラスチツク成型
品、ガラス成型品や金属、プラスチツク製の網
状、波状成型品などをスペーサとして吸着シート
間に部分的または全面に挿入することにより形成
される。また、かかるスペーサを挿入することな
く、吸着シートを加圧成型、加熱成型などの加工
により空間を形成させてもよい。また、横断面が
山／谷構造を有するダンボール波板の吸着シート
またはダンボール波板を吸着シート間の１部また
は全面に使用してもよい。さらに、ダンボール波
板自体に消臭剤を付与するのも好ましい実施態様
である。本発明の吸着ユニツトにおいて、空気流
は吸着ユニツトの吸入口から排気口まで並行流と
なり圧力損失を生じないにもかかわらず、該吸着
シートには前述の特殊な消臭剤を選択し付与させ
ているので、流速の速い空気流に対しても空気中
のアンモニア、トリメチルアミン、メチルメルカ
プタンなどの悪臭成分をほぼ完全に吸着除去する
ことができる。 また本発明の吸着ユニツトは、前述のＬ／Ｄ≧
２を採用することにより、消臭活性の比表面積が
非常に大きく、悪臭成分の吸着除去効果の持続性
が極めて永いという特徴を有する。 さらに、本発明の吸着ユニツトは前述の吸着シ
ート構造と特定の消臭剤を組み合わせたことによ
り破過点が極めてシヤープであるという特徴を有
する。 特に消臭剤は、分子内にカルボキシル基を２個
以上有するオキシカルボン酸化合物と第一鉄塩、
および第三成分として硫安または亜硫安を含有し
てなる脱臭剤である場合に限定されるのである
が、初め白色ないしは淡青色であつた吸着シート
が、悪臭成分の吸着により化学的に活性が破過す
ると茶褐色に変色するので吸着ユニツト取換え時
期が明確にわかるという利点を有する。さらに驚
くべきことに茶褐色を示す破過点は空気流に沿つ
てピストンフロー的に進行し、吸着シート全体が
破過するまで悪臭成分のリークがほとんどなく、
吸着活性は余すことなく十分に活用される。 本発明は、さらに必要に応じて、イオン交換
体、活性炭、エレクトレツト繊維などを併用ユニ
ツトとして組合わせ使用することも効果を高める
上で好ましい実施態様である。第６図は各々第５
図に示した吸着ユニツトの上にさらに併用ユニツ
トを組合わせた状態を示す。イオン交換体３、活
性炭４、エレクトレツト繊維５などの種類および
配置順序は使用環境に応じて定め、収納ケースご
と適宜取捨選択される。 併用ユニツトの形状はシート状物から一例とし
て第１〜４図に示した吸着ユニツト形状に成型す
るのが特に好ましいが、特に限定されない。な
お、２は吸着ユニツトの収納ケース、６，７，８
は併用ユニツト３，４，５のそれぞれ収納ケース
である。 以下実施例により詳しく説明する。 ［実施例］ 実施例 １ ナイロン不織布（目付100ｇ／m²）を硫酸第一
鉄139ｇ、クエン酸105ｇ、硫安99ｇ各々溶解した
１の消臭剤水溶液に浸漬し、ローラーを通して
絞つたあと120℃の熱風乾燥機により乾燥し、消
臭剤30重量％付与の白色〜淡青色の吸着シートを
得た。 該吸着シートを幅15cm、長さ47cmに切り、一部
分にダンボール波板を重ね、渦巻き状に巻いて両
端が開口されている多層積層構造とし、吸着シー
トが空間を介する間隔0.2cm両開口端間の長さ15
cmの吸着ユニツトを得た。外径は47mmであつた
（実施例１の吸着ユニツト）。 該吸着ユニツトを内径47mmのアルミ管から成る
空気清浄機ユニツトに挿入充填し、空気吸入口か
らアンモニア400ppmを含有する空気を毎分1000
ml送風した。圧力損失はなく、排気口のアンモニ
ア濃度は0ppmで、10時間運転後もこの性能をキ
ープした。ここで吸着ユニツトを取り出してみる
と、空気吸入口から５cmのところまで茶褐色に変
色し、アンモニアを吸着し破過していることが認
められ、５cmから15cmまでの残りの部分は最初の
白〜淡青色のままであり吸着余力がまだまだ健在
であることを示した。 比較例 １ 一方、前記の実施例１の消臭剤付与の吸着シー
トを径47cmの丸型に切り、これを３放重ねてフイ
ルターとした（比較例１のフイルター）。該フイ
ルターについて実施例１と同じ方法で空気清浄機
としての性能を評価した。送風初期からアンモニ
アのリークが認められ、５時間後には吸着能がほ
とんど破風してしまつた。 実施例１、比較例１の圧力損失とアンモニア除
去率について第１表に示す。

【表】 実施例 ２ 第６図の如くして試作した。実施例１の吸着ユ
ニツトを収納ケースに充填し、さらにイオン交換
繊維（ポリスチレン系多芯海島構造のスルホン酸
型カチオンタイプ）のフエルトシート（目付100
ｇ／m²）から実施例１の吸着ユニツトと同じ構造
でイオン交換繊維からなる併用ユニツト３を作
り、これを収納ケース６に充填した。さらに、市
販のエレクトレツト繊維（目付50ｇ／m²）からイ
オン交換繊維と同様にして、エレクトレツト繊維
からなる併用ユニツト４を作り、収納ケース７に
充填した。 該収納ケースを有する空気清浄機をアンモニア
濃度１〜2ppm、タバコ煙の充満する部屋におき、
３ケ月間運転した。３ケ月間を通してアンモニア
濃度は0ppmであり、タバコの煙および刺激臭は
感じられなかつた。 比較例 ２ 一方、ポリエステル不織布、エレクトレツト不
織布、活性炭素繊維を組合わせたシートからなる
フイルターを空気流に対して直角面に配置した市
販の室内用空気清浄機について、実施例２と同様
に３月間の運転を行なつた。アンモニア濃度は運
転開始初期に1ppmが検出され、１ケ月後には全
く効果が認められなかつた。タバコ煙および刺激
臭も除去が不十分で不快感が残つた。 ［発明の効果］ 本発明の空気清浄用吸着ユニツトは空気の送風
による圧力損失が極めて少なく、悪臭成分とりわ
けアンモニア、トリメチルアミン、メチルメルカ
プタンの消臭性能に優れている。これら悪臭ガス
のリークがほとんどなく、かつその性能保持寿命
が永いユニツトであり、手軽に持ち運びの出来る
卓上型から動物舎のように大型の清浄用装置に適
したユニツトである。 さらに、微粒子状塵芥、イオン性物質を吸着除
去できるほか、さらにイオン交換体、活性炭、エ
レクトレツト繊維など併用ユニツトを設けること
により、万一人体に有害な重金属イオンであつて
も除去できるし、タバコ煙のような最近とみに嫌
悪感の高いものの除去にも優れた効果が得られ
る。 本発明の空気清浄用吸着ユニツトは居室、トイ
レなど家庭用、会議室、休憩室など事務所、工場
や病院、老人ホームなどヘルスケアー関連用途、
電車、航空機、船舶など交通機関、娯楽施設、公
共施設、動物舎、フアイン、ハイテク産業の室内
清浄化に優れた効果を発揮する。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第４図は本発明に係る空気清浄用吸着
ユニツトの一例をあらわす斜視図である。第５図
は空気清浄機の一部を示すものであり、本発明に
係る吸着ユニツトが収納ケースに充填された状態
をあらわす斜視図である。第６図は本発明に係る
第５図に示した吸着ユニツトの上に併用ユニツト
を組合わせた空気清浄機の状態をあらわす側面図
である。 １……吸着シート、２……収納ケース、３……
イオン交換体併用ユニツト、４……活性炭併用ユ
ニツト、５……エレクトレツト繊維併用ユニツ
ト、６，７，８……各併用ユニツトの収納ケー
ス、９……プレフイルター、Ａ……空気の吸入方
向、Ｂ……空気の排気方向、Ｄ……吸着シートが
空間を介する間隔、Ｌ……両開口端間の長さ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 分子内にカルボキシル基を２個以上有するオ
   キシカルボン酸化合物と第一鉄塩および第三成分
   として硫安または亜硫安を配合させた消臭剤が付
   与された吸着シートが空間を介して多層積層さ
   れ、かつ両端が開口されていることを特徴とする
   空気清浄用吸着ユニツト。 ２ 両開口端間の長さＬと吸着シートが空間を介
   する間隔Ｄとの関係がＬ／Ｄ≧２である特許請求
   の範囲第１項に記載の空気清浄用吸着ユニツト。