JPH0433412B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、野菜、果物、花等の植物を育成栽培
する栽培用温室における結露水の排水構造に関す
るものである。

［従来技術及び発明が解決しようとする問題点］ 一般に、この種栽培用の温室は、冬季等の寒い
季節において、露地栽培ができないか、あるいは
促成栽培によつて植物を早期に育成できるよう、
透光性のフイルムや板材等の透光性部材で周囲を
囲繞し、室温が外気温よりも高く維持できるよう
になつているが、夜間等において外気温との温度
差で透光性部材の内面に結露が発生しやすく、該
発生した結露水がそのまま水滴となつて床土面に
落下しないよう配慮する必要がある。このため温
室の天井面を傾斜状として結露水が透光性部材の
内面を伝わつて裾部まで流れるようにしている
が、この様にした場合に、該伝わつて流れた結露
水は、そのまま透光性部材の裾周りにおいて室内
側に滴下されてしまうこととなり、この結果、温
室内の湿度管理が難しく、多湿状態になつてしま
うという欠点がある。そこで、実開昭47−15548
号のものの如く、透光性部材で囲繞形成される栽
培用温室の裾周りに、上辺が透光性部材の裾部よ
りも内側に浸入し、下辺が透光性部材下端よりも
下方を通つて温室外に延びる水切り板を組付けて
透光性部材の内面に付着した結露水の室外への排
水経路を形成すると共に、温室内の空気の漏れを
阻止すべく排水経路を通水性部材で閉塞したもの
が提案されている。しかるにこのものでは、通水
性部材が温室外に露出しているため、厳寒時にお
いては通水性部材が水を含んだ状態で凍結してし
まい、このため排水経路が塞がつて結露水を排水
できなくなる不具合があり、また積雪時において
は通水性部材に雪が積もつて排水機能が低下する
不具合であつた。

［問題を解決するための手段］ 本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの欠点
を一掃することができる栽培用温室における結露
水の排水構造を提供することを目的として創案さ
れたものであつて、透光性部材で囲繞形成される
栽培用温室の裾周りに、上辺が透光性部材の裾部
よりも内側に浸入し、下辺が透光性部材下端より
も下方を通つて温室外に延びる水切り板を組付け
て透光性部材の内面に付着した結露水の室外への
排水経路を形成すると共に、該排水経路を通水性
部材で閉塞してなる栽培用温室において、前記通
水性部材を、水切り板上辺の外側面と透光性部材
裾部の内側面との間の温室外に露出しない位置に
設ける一方、凍結防止用の配管を、水切り板下辺
の温室外に延びる部位の下方位置に敷設したこと
を特徴とするものである。

そして本発明は、この構成によつて、透光性部
材の裾周りから滴下する結露水を、仮令厳寒の冬
季であつても、凍結させることなく温室外に確実
に排出することができる様にしたものである。

［実施例］ 次に、本発明の一実施例を図面に基づいて説明
する。図面において、１は温室であつて、該温室
１は妻側が略東西を向くようにして東西の方向に
長く建付けられるものであり、そして南面側の垂
直状の支柱２、上端側ほど南面側に変位するよう
傾斜した北面側の支柱３、並びに両支柱２，３の
上端部間に南面側ほど低くなるよう傾斜状に支架
された屋根支柱４を用いて枠組形成されている。
そしてこれら支柱２，３，４、並びに図示しない
補助枠材に樹脂製フイルム（透光性部材）５が全
面に張設されていることによつて温室１が形成さ
れている。尚、このフイルム５は、天井面と南面
とが交叉する梁部がＲ状の湾曲面になつていて、
天井面に付着し、傾斜面を該側に向けて流れてき
た結露水が、そのまま南面側のフイルム５を伝わ
つて裾部側に流下するようになつている。

一方、６は反射板であつて、該反射板６は、そ
の表面にアルミ箔等の部材によつて形成される反
射面を有するものであるが、この反射板６は、北
側支柱３と略平行となるようにして温室内の北側
部に、北面側支柱３とは所定間隔を存するように
して、反射面Ｌが南面を向くようにして傾斜状に
立設されていて、太陽光線を反射し、その反射光
を温室内の床土面に向けて反射するようになつて
いる。

また７は温室内に組付けられる開閉シヤツター
であつて、該開閉シヤツター７を構成するガイド
レール８は、温室１の両妻側面の支柱に直接かあ
るいは支持枠を介して一体的に取付けられてい
る。そして実施例において、ガイドレール８は、
内外に並設する二連のレール体８ａ，８ｂによつ
て構成されているものであるが、南面側において
は南面側支柱２と略平行な垂直方向を向き、天井
側においては屋根支柱４よりは緩傾斜であるが、
南面側が低くなるように敷設されている。さらに
北面側においては、反射板６と北面側支柱３との
間隙に形成される収納部に配され、かつ外周側レ
ール体８ａは支柱３と平行状に、また内周側レー
ル体８ｂはそれよりも急傾斜となるようにして敷
設されている。一方、シヤツターカーテンは、例
えば硬質発泡ポリウレタンフオーム等の断熱材を
注入方式、ラミネート方式等の適宜手段によつて
板体にしたものを用いて形成された板状のスラツ
ト９によつて構成されるものであるが、スラツト
９の左右両側縁には走行ローラ１０，１１が内外
両面に齟齬状にそれぞれ取付けられている。そし
て内面側走行ローラ１０は内周側レール体８ｂ
を、外面側走行ローラ１１は外周側レール体８ａ
をそれぞれ走行するように組付けられている。

一方、１２は内面側走行ローラ１０のローラ軸
１０ａに取付けられる作動チエンであつて、該作
動チエン１２は、互いに隣接するスラツト９の縁
部同志が所定の間隙Ｌを存して対向する関係でス
ラツト９を連続的に連結している。また、１３は
ガイドレール８の北面側コーナー部に設けた開閉
機であつて、該開閉機１３にチエン伝動された駆
動スプロケツト１４が前記作動チエン１２に噛合
するようになつており、開閉機１３の正逆駆動に
伴う駆動スプロケツト１４のチエン強制移送作動
によつて、シヤツターカーテンの開閉作動を行う
ことができるようになつている。即ち、シヤツタ
ーカーテンは、全開状態では、北面側に形成され
た前記収納部のガイドレール８に積層状に収納さ
れているが、開閉機１３の駆動によつて作動チエ
ン１２を南面側に移送することに連繋して上側の
スラツト９から順に送り出され、先頭スラツト９
がガイドレール８の先端部に達し、さらに各スラ
ツト９間の間隙Ｌが無くなる状態で全閉となり、
この状態を図示しない下限リミツトスイツチで検
知して開閉機１３の駆動を停止するようになつて
いる。逆に、開閉機１３を上記とは逆駆動させる
ことによつてスラツト９は北面側の収納部に順次
送り込まれて全開状態となり、これを前記とは別
の上限リミツトスイツチによつて検知し、開閉機
１３の駆動を停止するようになつており、この様
にして開閉シヤツター７の開閉制御を行うことが
できるようになつている。

一方、１６は前記支柱２，３を支持する基礎で
あつて、その基部は土中に埋設されるものである
が、該基礎１６の地面から突出する部位の外側に
前記フイルム５の裾周りが位置するようになつて
いる。さらに１７は側面視において略Ｌ字形に形
成された水切り板であつて、該水切り板１７は、
その上辺がフイルム５とは所定の間隙を存して離
間する状態でその内面側に入り込むように構成さ
れ、下辺は土面を這う状態で室外に延設されてい
る。そしてフイルム５の裾部と水切り板１７の上
辺との隙間には、軟質ポリウレタンフオーム等の
部材からなる通水性を有した詰物１８が温室外に
露出しないよう介装充填されて間隙を閉塞してお
り、この様にして、前記フイルム５の内面を流下
してきた結露水を、詰物１８を経由して水切り板
１７の外側面から室外に排水する排水経路が形成
されている。

さらに１９は地下に埋設された配管であつて、
該配管１９には適温の温水（地下水、温泉水、加
熱水等のもの）が流れるようになつていて、温室
内の温度をコントロールできるようになつている
が、この配管１９は、さらに基礎１６を越えて水
切り板１７の下面側にも埋設されている。即ち、
配管１９は、水切り板１７下辺の温室外に延びる
部位の下方位置に敷設され、そして前記水切り板
部の加温をして該部での水の凍結防止や融雪を計
るようになつている。さらにこの外側配管１９の
外側には、ポリスチレンや硬質ポリウレタン等の
部材によつて形成された断熱材２０が埋設されて
いて、配管１９からの熱が外部に無用に逃げない
よう構成されている。尚、２１は排水溝であり、
ここについても一部加温するように実施例では構
成されている。

叙述の如く構成された本発明の実施例におい
て、夜間等の室内外での温度差が大きい場合に、
フイルム５の内面に結露を生じるが、その結露水
は、天井面のものは水滴となつて滴下することな
くフイルム内面を伝わつて傾斜下側に向けて流れ
てくる。そしてＲ状となつた梁部を経由して南面
側フイルム面を今度は垂直状に流下することにな
る。この様にしてフイルム裾部まで達した結露水
は、詰物１８を経由して水切り板１７の外面に達
し、そのまま室外に排出されることとなる。

この様に本発明にあつては、結露水は、室外に
確実に排出されることとなるため、多湿状態にな
つてしまうことがなく、最適な湿度コントロール
を行うことができる。しかも水切り板１７とフイ
ルム５の裾部との間は、詰物１８によつて通水状
態ではあるが閉塞されているため、室内の空気が
ここから大量に逃げてしまうことがなく、特に詰
物１８が湿つているほどその気密性が増すことと
なる。

一方、冬季等の厳寒時においては、室外に排出
されようとする結露水は、水切り板１７の外面を
伝わる段階で凍結したり、酷いときには詰物部に
おいても凍結する心配があるが、本発明ではこの
心配を確実に回避している。即ち、詰物１８を温
室外に露出しないよう介装充填し、また加温用の
配管１９を、水切り板１７下辺の温室外に延びる
部位の下方位置に敷設しているため、水切り板部
を伝わつて室外に排出されようとする結露水の凍
結を確実に防止できることとなる。しかもこれ
は、融雪作用も併せて成すこととなるので、雪か
らの温室１の有効な保護を計ることもできる。

そのうえ、室外に配設された配管１９は、その
外側に断熱材２０が設けられていて、熱の無用な
浪費を避けるようになつているので、水切り板１
７部での配管１９による加温効率が極めて向上す
ることとなつて、例えば北海道の様な地方におい
て冬季での温室栽培を可能にし得るものである。

尚、実施例において、昼間は、開閉シヤツター
７を全開状態としておくことによつて太陽光線を
一重の樹脂製フイルム５から極めて効率良く入射
して必要な日照を確保することができる。一方、
夜間等になつて外気温が低下する惧れのある場合
には、開閉機１３を駆動して開閉シヤツター７を
全閉状態とする。この様にすることによつて、温
室１は、外側の透光性フイルム５と内側の全閉状
態となつたシヤツターカーテンとによる二重断熱
層となり、従つて、開閉シヤツター７内の室温の
低下を確実に防止できて、保温性を頗る向上でき
るものである。

［作用効果］ 以上要するに、本発明は叙述の如く構成された
ものであるから、透光性部材の内面に付着した結
露水がその裾部に達した場合に、該結露水は、詰
物を経由して水切り板の外面に流れ、ここから室
外に確実に排出されることとなり、従つて室内が
多湿となつてしまうことがなく、湿度コントロー
ルが出来ることになる。しかも透光性部材の内面
と水切り板の外面との間隙には、通水性ではある
が詰物が設けられているので、ここから室内の空
気が漏れてしまうことを効果的に防止できて、温
室の温度管理を確実なものにできる。そのうえ、
詰物は温室外に露出しないよう設けられるので、
仮令冬季等の厳寒時においても凍結してしまうこ
とがない。さらに、水切り板下辺の温室外に延び
る部位の下方位置には、凍結防止用の配管が敷設
されているので、温室外に排出されようとする結
露水が水切り板下辺の温室外部位で凍結してしま
う不具合も防止でき、この結果、結露水の排水を
四季を通して確実ならしめ得て、生産性の極めて
優れた温室とすることができる。またさらに、上
記凍結防止用の配管は、水切り板下辺の積雪も融
雪することになるので、積雪による排水機能の低
下も確実に防止することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は、本発明に係る栽培用温室における結露
水の排水構造の実施例を示したものであつて、第
１図は開閉シヤツターを全開した状態を示す温室
の縦断面図、第２図は開閉シヤツターを全閉した
状態を示す温室の縦断面図作用説明図、第３図は
シヤツターカーテンの要部斜視図、第４図は裾周
り部の縦断面図である。 図中、１は温室、５はフイルム、１７は水切り
板、１８は詰物、１９は配管である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 透光性部材で囲繞形成される栽培用温室の裾
   周りに、上辺が透光性部材の裾部よりも内側に浸
   入し、下辺が透光性部材下端よりも下方を通つて
   温室外に延びる水切り板を組付けて透光性部材の
   内面に付着した結露水の室外への排水経路を形成
   すると共に、該排水経路を通水性部材で閉塞して
   なる栽培用温室において、前記通水性部材を、水
   切り板上辺の外側面と透光性部材裾部の内側面と
   の間の温室外に露出しない位置に設ける一方、凍
   結防止用の配管を、水切り板下辺の温室外に延び
   る部位の下方位置に敷設したことを特徴とする栽
   培用温室における結露水の排水構造。