JPH04330288A - 微生物の育種方法 - Google Patents

微生物の育種方法

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JPH04330288A
JPH04330288A JP7914891A JP7914891A JPH04330288A JP H04330288 A JPH04330288 A JP H04330288A JP 7914891 A JP7914891 A JP 7914891A JP 7914891 A JP7914891 A JP 7914891A JP H04330288 A JPH04330288 A JP H04330288A
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dna
host
microorganism
strain
cells
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JP7914891A
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Yoko Ishino
石野 洋子
Toshio Yajima
敏夫 矢島
Jiyungo Okada
淳吾 岡田
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Lion Corp
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、宿主微生物に外来DN
Aを導入する微生物の育種方法に関し、より具体的には
宿主微生物に一定の大きさのDNA断片をベクターを用
いることなく直接導入する微生物の育種方法に関する。
【0002】
【従来の技術】産業上有用な物質を生産する微生物の育
種方法としては、従来以下のようなものがあった。 1)変異原物質処理およびUV照射による突然変異誘発
法。この方法は変異がアトランダムに導入される為に、
目的のものが複数の制御を受けている場合には有用菌を
得る確率が非常に小さくなる。また、目的としている箇
所以外に二次的な変異を起こし、ダメージを与えること
も往々にしてある。
【0003】2)接合のような自然に起こる組み換え法
。これは接合が起こる微生物にその適用限られ、接合時
の組み換えなので、導入される情報に限度があり、確率
が低い。 3)宿主−ベクター系を用いた形質転換法。この方法は
、目的とする遺伝子をプラスミドあるいはウィルスのよ
うなベクターに繋いでからプロトプラスト法または酢酸
リチウム法を用いて形質転換を行うというものである。 この方法は適当なベクターが知られている菌体にその適
用が限られ、また、形質転換の確率はそのベクターの取
り込まれやすさに依存する。また、取り込まれてもその
ベクターが脱落してしまうことも多く安定性に問題があ
る場合がある。
【0004】しかしながら、宿主−ベクター系を利用す
る育種方法は、クローン化遺伝子を用いてはじめて可能
となる遺伝子の操作方法を提供するものであり、有用物
質を生産する微生物作出の目的や遺伝子機能の解析研究
などに広く用いられている。真核細胞の一種として興味
を集める酵母を宿主とする場合の研究について概観する
と、通常のプラスミドによる形質転換を行う方法を初め
とし、線状プラスミドの利用を主目的に線状プラスミド
とミトコンドリアDNAの宿主細胞への導入が比較検討
(K. EsserおよびF. Kempken, P
rocess Biochemistry, 1986
, 69〜76ページ)され、そして酵母の染色体DN
Aそのものを宿主酵母に直接導入する方法(K. Go
to ら、Agric. Biol. Chem., 
54, 1499〜1504, 1990)も公表され
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、外来D
NAをベクターを用いて宿主細胞に導入して形質転換ま
たは形質導入を行う方法は、多様性のある微生物の有力
な育種手段であるが、適当な宿主−ベクター系が確立し
ていない系では適用ができない。そこで、本発明の目的
はベクターを使用することなく外来DNA断片を宿主微
生物に導入し、染色体に組み込む方法の提供にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ベクター
を用いることなく宿主微生物の形質転換を行うべく、鋭
意検討を重ねたところ、酵母の染色体DNA供与菌から
調製したDNAを物理的剪断あるいは酵素処理して得た
一定の大きさのDNA断片がそのまま直接宿主に導入で
き、かつ安定な形質転換体を高頻度で得ることができる
ことを見い出した。さらに、かかる方法は酵母以外の微
生物へも適用可能であることを確認して本発明を完成し
た。
【0007】従って、上記課題は、本発明の宿主微生物
に外来DNAを導入する微生物の育種方法であって、(
a)外来DNAが染色体に由来し、かつその大きさが 
100kb以下であるDNA断片またはその等価なDN
A断片であり、そして(b)前記DNA断片を宿主微生
物に直接導入してその微生物の染色体に組み込む、こと
を特徴とする方法によって解決される。
【0008】以下、本発明を具体的に説明する。本発明
で宿主微生物に導入できる外来DNA断片は、本発明の
目的に沿うDNA断片を供給できる微生物であればいず
れの微生物の染色体に由来するものであってもよく、起
源となりうる微生物としては、例えば、酵母、糸状菌お
よび枯草菌が挙げられる。これらのうち、好ましいDN
A断片は酵母染色体に由来するものである。また、本発
明では、それ自体既知のDNA合成法などにより調製し
た上記DNA断片と等価なものもその範囲内に包含され
る。等価とは、DNA断片が宿主染色体に組み込まれた
とき、染色体由来の対応するDNA断片と同等の機能を
発揮できる特性をいう。かかるDNA断片の大きさは、
特定遺伝子の発現を可能にする大きさであれば特に限定
されるものでないが、 100kb以下、具体的には5
0kb以下、好ましくは3〜20kbの範囲内にある。
【0009】上記DNA断片は、微生物細胞からのそれ
自体公知のDNA抽出方法に準じて採取したDNAを物
理的剪断力あるいは制限酵素処理によって切断すること
によって調製することができる。こうして調製したDN
A断片は、特定の断片を単離したものとして、または単
離することなく処理混合物の状態で宿主への導入工程に
供することができる。例えば、適当な細胞壁溶解酵素を
用いてDNA供与菌をプロトプラスト(またはスフェロ
プラスト)化した後、常法によりそれらを破壊し、次い
でタンパク質変性、フェノール・クロロホルム抽出、イ
ソアミルアルコール・クロロホルム洗浄、エタノール沈
殿、RNase 処理、エタノール沈殿という一連の操
作を行ってDNAを得る。
【0010】本発明で用いるDNAの切断方法の具体例
のうち、物理的剪断としては、DNA溶液をパスツール
ピペットに数回(3〜5回程度)通すか、注射針(16
G〜26G程度だが通常のものならどれでも可)に1〜
2回通して切断するなどの方法を挙げることができ、そ
して制限酵素による方法としては、クラスI、クラスI
Iに属するいずれの酵素も用いることができるが、クラ
スIIが好ましく、より具体的には、ECoRI,Ba
mHI,HindIII , PstI, XbaI,
 SacIなど6塩基認識の制限酵素による切断あるい
は Sau3AI, TaqI, AluIなど4塩基
認識の制限酵素による部分切断などの方法が挙げられる
。切断されたDNA断片は、例えばTris−EDTA
バッファー中にて4℃で保存する。
【0011】本発明に用いる宿主微生物は、上記DNA
断片の起源となりうる微生物のいずれでもよいが、酵母
、糸状菌および枯草菌が好ましく、特にファフィア(P
haffia )属およびサッカロミセス(Sacch
aromyces )属に属するものが好ましい。より
具体的には色素アスタキサンチン産生菌であるファフィ
ア・ロドチーマ(Phaffia   rhodozy
ma )および酵母の宿主として広く使用されているサ
ッカロミセス・セルビシェ(Saccharomyce
s   cerevisiae)が特に好ましい。
【0012】これらの宿主に上記DNA断片を導入する
方法としては、宿主細胞をプロトプラスト化することな
く、酢酸リチウム溶液を用いてDNA断片を挿入するか
、エレクトロポレーションもしくはエレクトロインジェ
クション法によりDNA断片を挿入するか、あるいは宿
主細胞を予めプロトプラスト化して、通常のプラスミド
の導入に用いられるPEG(ポリエチレングリコール)
法によるか、またはさらにエレクトロポレーション法を
用いてもよい。
【0013】例えば、プロトプラスト化のための細胞壁
の除去には、各種生物の生産する任意の細胞壁溶解酵素
、例えば、ザイモリアーゼ、ノボザイム、リゾチーム、
マセロザイム、ドリセラーゼ、キチナーゼ、キトサナー
ゼ、ヘリカーゼ、キタラーゼ、セルラーゼもしくはかた
つむりの消化液を単独または組み合わせて使用すること
ができる。上述のように、プロトプラスト化した宿主に
エレクトロポレーションによりDNA断片を導入するこ
とが好ましいが、例えばその方法は以下のように行うこ
とができる。すなわち、プロトプラスト化(またはスフ
ェロプラスト化)した宿主を、等張液(0.6M〜1.
2Mソルビトール、好ましくは、1.0〜1.2Mソル
ビトールを緩衝液に含む)に、103 〜109 個/
mL好ましくは105 〜108 個/mL懸濁し、そ
こに上記の方法で準備したDNA断片を、0.01μg
/mL〜 100μg/mL、好ましくは0.1μg/
mL〜50μg/mL入れて4℃でしばらく静置した後
、エレクトロポレーションを行う。パルスの波形として
は、指数減衰波、方形波のいずれも用いることができる
が、望ましくは方形波がよい。電極間隔、パルス幅、パ
ルス強度、パルス回数については、宿主微生物の種類に
よって適宜異なるが、通常、電極間隔0.1〜3mm、
好ましくは0.5〜2mm、パルス幅30〜 500μ
s、好ましくは50〜 200μs、パルス強度1〜3
0kV/cm、好ましくは3〜7kV/cm、パルス回
数1〜15回、好ましくは1〜10回の範囲で選ぶこと
ができる。
【0014】こうしてDNA断片を導入した宿主微生物
のプロトプラスト再生は、各種のプロトプラスト再生培
地を用いて行う。培地を工夫することにより、各種の特
性を持つ優良菌株の獲得が可能になる。DNA断片が取
り込まれ、形質転換した株の選択は、アミノ酸要求性等
のマーカーや表現型を利用するか、またはサザン法によ
るDNA解析により行うことができる。選択された株に
ついて、アミノ酸要求性の回復、ウラシルなど他の栄養
要求性の回復、薬剤や金属耐性の獲得およびアスタキサ
ンチン生産能向上による表現型、すなわち赤色コロニー
の獲得により確認したところによれば、高い確度でDN
A断片が宿主菌の染色体に取り込まれたものと確認でき
た。
【0015】
【実施例】以下の例により本発明をより具体的に説明す
るが、これらの例示は本発明の範囲の限定を意図するも
のでない。 例1:ファフィア酵母同士の形質転換 (1)DNAの調製 酵母エキス0.3%、麦芽エキス0.3%、バクトペプ
トン0.5%およびグルコース0.5%からなる液体合
成培地を坂口フラスコに50mLずつ分注し、 120
℃、20分間オートクレーブで加熱滅菌した。ファフィ
ア・ロドチーマ(ATCC 24203株)を保存スラ
ントから一白金耳とり、上記培地1本に接種し、20℃
、3日間振盪培養した。
【0016】培養液を遠心分離して得た菌体を50mM
  EDTA(pH7.5)溶液で1回洗浄した後、バ
ッファー(0.02M  EDTA、0.1M2−メル
カプトエタノール、1.2Mソルビトールを含む0.0
2Mのトリス−塩酸緩衝液、pH7.8)5mLに懸濁
し、次いで20℃で1時間プレインキュベーションを行
った。この後、50mM  EDTA、1.2Mソルビ
トール溶液で1度洗浄後、次にプロトプラスト化溶液(
0.016Mクエン酸ソーダと0.08Mリン酸1カリ
ウムからなるpH5.8のクエン酸緩衝液、1.2Mソ
ルビトールと1.6mg/mLのノボザイム234 を
含む)5mLに菌体を懸濁して、20℃で2時間インキ
ュベーションを行った。
【0017】この状態で菌体が球状のプロトプラストに
なっていることを検鏡して確認した。0.1M  ED
TA、1.2Mソルビトール溶液で1回洗浄し、5mL
の0.15M  NaCl、0.1M  EDTA(p
H7.0)に均一に懸濁し、プロナーゼPを最終濃度 
500μg/mLになるように加えた。これに、さらに
25%SDS溶液を徐々に加え最終濃度1%にし、よく
混合させて、スフェロプラストを破裂させた後、37℃
で4時間放置した。その後、60〜65℃で30分間加
熱し、氷で冷した後、5mLのフェノール−クロロホル
ム(1:1)溶液に加え、よく混合し、次いで遠心(1
0,000rpm 、10分間)した。上層をとり、イ
ソアミルアルコール−クロロホルム(1:24)で2回
洗い、得られた上層に2倍量の冷エタノールを加え、D
NAを巻きつけて得た。RNase 50μg/mLで
37℃、1.5時間処理した後、再びタンパク質除去、
エタノール沈殿を行ってDNA分画を得た。DNAは、
10mM  Tris−HCl、1mM  EDTA溶
液に溶かし、4℃で保存した。
【0018】(2)栄養要求性変異株の調製ファフィア
・ロドチーマ(ATCC 24201)株をYM培地 
(Difco 社製) を用い20℃で45時間培養し
、集菌後、蒸留水で2回洗浄したのちリン酸緩衝液(0
.02Mリン酸緩衝液、pH7.5 )5mLに懸濁さ
せた。この懸濁液に変異誘発剤として、N−メチル−N
´−ニトロ−ニトロソゲアニジンを5μg/mLとなる
ように添加し、懸濁液を20℃で1時間振盪した。つい
で、集菌後、蒸留水で2回菌体を洗浄した。
【0019】変異処理後、懸濁液を蒸留水で1000倍
程度希釈し、希釈懸濁液0.1mL をYM寒天培地 
(Difco 社製) に塗株して20℃で72時間培
養し、コロニーを得た。 このコロニーのプレートをマスタープレートとしてレプ
リカ法により変異株の検出を行なった。すなわち、滅菌
したベルベット生地を用いて、前記マスタープレートの
コロニーを最少培地〔Difco−Yeast Nit
rogen Base w/o Amino Acid
s  (Difco 社製) 6.7g/L、グルコー
ス20g/Lおよび寒天20g/L〕にレプリカし、2
0℃で72時間培養した。最少培地で増殖できない菌株
を栄養要求性変異株としてマスタープレートから釣菌し
た。
【0020】その結果、マスタープレートからリジン要
求性変異株24201−Lys (FERM P−12
120)を得た。なお、FERM P番号は、工業技術
院微生物工業技術研究所への寄託番号であり、本菌株は
平成3年3月22日付で寄託された(以下、同様の意味
を有する)。この24201−Lys を宿主に用いる
ために、坂口フラスコで20℃、3日間振盪培養した後
、集菌して上述と同様な方法で、プロトプラスト化を行
った。
【0021】こうして得た24201−Lys のプロ
トプラストを107 個/mLになるようにし、そこへ
ATCC 24203由来のDNAを50μg加えた。 加えたDNAはあらかじめ注射針に3回通すことにより
、約10kbの長さに切断した。4℃で10分間静置し
た後、島津製作所社製細胞融合・遺伝子導入装置SSH
−2 を用いてエレクトロポレーションを行った。電極
間隔1mm、パルス幅60μs、パルス強度7kV/c
m、パルス回数3回で行った。
【0022】電気パルスを印加し、次いで20〜30分
間静置した後、ソルビトール1.2Mを含むYPDA培
地(酵母エキス1%、ポリペプトン2%、グルコース2
%、アデニン0.04%、寒天2%)と、同様にソルビ
トール1.2Mを含むMM培地(Yeast Nitr
ogen Base w/o Amino Acids
 0.67%、グルコース2%、寒天2%)のプレート
上に希釈して 100μLずつ撒いた。ひき続き、MM
培地溶液(寒天を除いたもの)に1%低融点アガーを加
えて作った培地を重層してプロトプラストを埋設した。 このようにして調製したプレートを20℃で7日間培養
して再生した形質転換株を得ることができた。
【0023】宿主のプロトプラスト化率は99%以上、
再生率は3.2%であり、リジン要求性を相補して最少
培地上に生育するコロニーは、2.5×102 個/p
late の割合で得ることができた。なお、リジン要
求性を失う復帰突然変異株は得られなかった。すなわち
、1.0×103 個/μgDNAの頻度で形質転換体
が得られることを示す。 得られた形質転換株は3カ月間4℃で保存した後も最少
培地上で生育することができることを確認した。すなわ
ち導入された遺伝子は染色体DNAに組み込まれて安定
に保持されていると考えられる。
【0024】例2:サッカロミセス・セルビシェのファ
フィア酵母DNAによる形質転換 酵母エキス0.3%、麦芽エキス0.3%、バクトペプ
トン0.5%およびグルコース1.0%からなる液体合
成培地を坂口フラスコに50mL分注し、 120℃、
20分間オートクレーブで加熱滅菌した。
【0025】サッカロミセス・セルビシェL−3C(L
eu− ,Ura− )(FERM P−12116)
 を宿主とするため、保存スラントから一白金耳とり、
上記培地に接種し、30℃、24時間振盪培養した。遠
沈して菌体を集め、溶液A(1.2Mソルビトール、0
.01M  EDTA、0.1Mクエン酸ナトリウム溶
液(pH5.8))で洗浄し、5mlの溶液Aに懸濁す
る。これに、0.1M2−メルカプトエタノールと、ザ
イモリアーゼ1mg/mLを加え、30℃、1時間イン
キュベートした。検鏡してプロトプラストになっている
ことを確認した後、洗浄し、実施例1と同様にして、フ
ァフィアATCC 24203の約10kbに断片化さ
れたDNAを用いてベクターに連結することなく直接形
質転換を行った。
【0026】その結果、宿主のプロトプラスト化率は、
99%以上、再生率は8.2%、形質転換株は5.8×
101 個/μgDNAの割合で得ることができた。得
られた形質転換株のうち5株を任意に選択し、次いでこ
れらの株をウラシルを添加した最少培地中(液体)で1
0世代継続培養した後も良好な生育を示し、これらの形
質転換株が安定であることが確認された。
【0027】例3:ファフィア酵母の形質転換(1)1
3−Leu株、6−10−Arg株の調製ファフィア・
ロドチーマ(ATCC 24201)株について例1と
同様に変異処理を行った。
【0028】変異処理後、得られたコロニーの中から肉
眼で色調の濃くなったものを選択した。さらに、前述の
変異処理を施して得られたYM寒天培地上のコロニーを
最少培地上にレプリカしてアミノ酸要求性の変異株の検
出を行なった。選択したコロニーの中から、乾燥菌体重
量当りのアスタキサンチン量が親株の4倍程度に増加し
た変異株13−Leu (FERM P−12118)
 と20倍程度に増加した変異株6−10−Arg (
FERM P−12117) を得た。
【0029】(2)DNAの調製 (1)で得られた6−10−Arg株から例1の(1)
と同様にして染色体DNAを調製した。 DNAは、10mM  Tris−HCl、1mM  
EDTA溶液に溶かし、4℃で保存した。
【0030】(3)6−10株のDNAによる13−L
euの形質転換 宿主にする6−10−Arg株を坂口フラスコで20℃
、3日間振盪培養し、上述と同様な方法でプロトプラス
ト化を行った。13−Leu (FERM P−121
18) のプロトプラストを107 個/mLになるよ
うにし、そこへ6−10−Arg由来のDNA断片を5
0μg加えた。加えたDNAはあらかじめ注射針に3回
通すことにより、10kbの長さに切断したものである
。 4℃で10分間静置した後、島津製作所社製細胞融合・
遺伝子導入装置SSH−2 を用いてエレクトロポレー
ションを行った。電極間隔1mm、パルス幅60μs、
パルス強度7kV/cm、パルス回数3回で行った。電
気パルスを印加後20〜30分間静置した後ソルビトー
ル1.2Mを含むYPDA培地(酵母エキス1%、ポリ
ペプトン2%、グルコース2%、アデニン0.04%、
寒天2%)と、同様にソルビトール1.2M−MM培地
(Yeast Nitrogen Base w/o 
Amino Acids 0.67%、グルコース2%
、寒天2%)のプレート上に希釈して 100μLずつ
撒いた。ひき続き、MM培地溶液(寒天を除いたもの)
に1%低融点アガーを加えて作った培地を重層してプロ
トプラストを埋設した。このようにして調製したプレー
トを20℃で7日間培養して再生した形質転換株を得る
ことができた。宿主のプロトプラスト化率は99%以上
、再生率は3.5%であった。アミノ酸要求性の相補で
求めた形質転換株は、1.8×103 個/μgDNA
の頻度であった。そして、この操作で得られた形質転換
株の1つは、次のような高いアスタキサンチン生産性を
示したうえに、菌体の増殖速度も宿主と同等であった。 ―────────────────────────
──────―                  
          比増殖速度    アスタキサン
チン含量                     
           μmax(YR) (mg/乾
燥菌体g)―───────────────────
───────────―  宿主         
   13−Leu株      0.08     
       0.60  形質転換株       
 T−1 株      0.08         
   3.17―─────────────────
─────────────―この形質転換株T−1 
株を10回植えついだ後、アスタキサンチンの含量を測
定したがアスタキサンチン含量に有意の変化は認められ
なかった。
【0031】
【発明の効果】本発明の方法に従うと、適当なベクター
が知られていない宿主菌体についても、形質転換を行う
ことができるうえに、ベクターに導入すべきDNAを繋
ぐ等の操作が不要なので、形質転換効率が上がり、また
、外来DNAが直接宿主の染色体DNAに組み込まれ、
脱落の心配もなく安定に保持されるため、産業上有用な
優良株の育種方法として好適である。
【0032】本発明の方法をUV照射、あるいは NT
G,EMS などの薬剤による処理によって変異が誘発
された菌株や、異属に属する菌株等の種々の組み合わせ
に応用することにより、よりバラエティーに富んだ産業
上有用な物質を高生産する菌株を育種することが可能に
なり、生産された物質を、医薬、化粧品、食品、飼料分
野等へ応用することが可能である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  宿主微生物に外来DNAを導入する微
    生物の育種方法であって、(a)外来DNAが染色体に
    由来し、かつその大きさが 100kb以下であるDN
    A断片またはその等価なDNA断片であり、そして(b
    )前記DNA断片を宿主微生物に直接導入してその微生
    物の染色体に組み込む、ことを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】  前記DNA断片がファフィア(Pha
    ffia )属およびサッカロミセス(Sacchar
    omyces )属に属する微生物からなる群より選ば
    れる微生物の染色体に由来するものであり、そして宿主
    微生物が前記微生物のいずれかより選ばれる請求項1記
    載の方法。
  3. 【請求項3】  DNA断片を宿主微生物に直接導入す
    る工程を、宿主微生物のプロトプラストを用い、かつエ
    レクトロポレーション法によって行う請求項2記載の方
    法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1994006918A2 (en) * 1992-09-11 1994-03-31 Gist-Brocades N.V. Transformation of phaffia rhodozyma
JP2013198637A (ja) * 2012-03-26 2013-10-03 Toshiyuki Moriizumi エレクロトポレーター用電源

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO1994006918A2 (en) * 1992-09-11 1994-03-31 Gist-Brocades N.V. Transformation of phaffia rhodozyma
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