JPH0636734B2 - 新規凝集性アルコ−ル発酵酵母 - Google Patents
新規凝集性アルコ−ル発酵酵母Info
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- JPH0636734B2 JPH0636734B2 JP4075725A JP7572592A JPH0636734B2 JP H0636734 B2 JPH0636734 B2 JP H0636734B2 JP 4075725 A JP4075725 A JP 4075725A JP 7572592 A JP7572592 A JP 7572592A JP H0636734 B2 JPH0636734 B2 JP H0636734B2
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- strain
- fusion
- alcohol
- yeast
- strains
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-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E50/00—Technologies for the production of fuel of non-fossil origin
- Y02E50/10—Biofuels, e.g. bio-diesel
Landscapes
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、実用的アルコ−ル生産
能と凝集性を兼備し、かつ遺伝的に安定である新規凝集
性アルコ−ル酵母の創製方法、該方法により創製された
酵母菌株、並びに該菌株を使用するアルコ−ル製造方法
に関する。
能と凝集性を兼備し、かつ遺伝的に安定である新規凝集
性アルコ−ル酵母の創製方法、該方法により創製された
酵母菌株、並びに該菌株を使用するアルコ−ル製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術およびその問題点】発酵法による工業的ア
ルコ−ル生産は、主として糖蜜等を原料として、回分法
によって行われて来たが、発酵を効率的に行うために、
酵母菌体を継続して使用する、酵母循環法(G. R. Cysew
ski et al.: Biotechnol. Bioeng., vol.20, p.1421(19
78)他)や、固定化酵母法(前田英勝:「エタノ−ル工業」
p.157(1982 発酵工業会)他)による連続発酵システムが
開発され、一部既に実用化されている。しかし、これら
の技術は、高濃度に酵母菌体を保持するように、工夫さ
れているため、工程が複雑であったり、維持管理に要す
るコストも高額となっている。これに対して、菌体回収
の容易な凝集性酵母を利用する方法は、酵母の分離ある
いは固定化の工程が省略できるため、全体の工程が単純
化ないし簡略化され、さらに効率的な発酵が可能とな
る。
ルコ−ル生産は、主として糖蜜等を原料として、回分法
によって行われて来たが、発酵を効率的に行うために、
酵母菌体を継続して使用する、酵母循環法(G. R. Cysew
ski et al.: Biotechnol. Bioeng., vol.20, p.1421(19
78)他)や、固定化酵母法(前田英勝:「エタノ−ル工業」
p.157(1982 発酵工業会)他)による連続発酵システムが
開発され、一部既に実用化されている。しかし、これら
の技術は、高濃度に酵母菌体を保持するように、工夫さ
れているため、工程が複雑であったり、維持管理に要す
るコストも高額となっている。これに対して、菌体回収
の容易な凝集性酵母を利用する方法は、酵母の分離ある
いは固定化の工程が省略できるため、全体の工程が単純
化ないし簡略化され、さらに効率的な発酵が可能とな
る。
【0003】また、従来の凝集性アルコ−ル発酵酵母と
しては、既にいくつかの株が得られ、例えば、特開昭59
-135896, 特開昭61-108376, 特開昭61-108379, 特開昭6
1-108380, 特開昭62-65679, 特開昭63-44880, 特開昭63
-240775等が公開されている。 これらの酵母株は、概
ね細胞融合等の方法で、創製された株で、公表された範
囲の効果を奏するものであるが、汎用される糖蜜培地で
の実証がされていなかったり、凝集能が不十分のものも
ある等、現実の高濃度糖蜜培地を使用する、工業的アル
コ−ル発酵において、長い世代にわたり安定した性能を
発揮する点で、実用性に疑問の残るものであった。本発
明は、上記の疑問点を克服し、性能が安定しているのみ
でなく、増殖速度も親株を上回る酵母菌株で、工業的ア
ルコ−ル生産に使用し得る、実用に耐える凝集性アルコ
−ル発酵酵母を提供しようとするものである。
しては、既にいくつかの株が得られ、例えば、特開昭59
-135896, 特開昭61-108376, 特開昭61-108379, 特開昭6
1-108380, 特開昭62-65679, 特開昭63-44880, 特開昭63
-240775等が公開されている。 これらの酵母株は、概
ね細胞融合等の方法で、創製された株で、公表された範
囲の効果を奏するものであるが、汎用される糖蜜培地で
の実証がされていなかったり、凝集能が不十分のものも
ある等、現実の高濃度糖蜜培地を使用する、工業的アル
コ−ル発酵において、長い世代にわたり安定した性能を
発揮する点で、実用性に疑問の残るものであった。本発
明は、上記の疑問点を克服し、性能が安定しているのみ
でなく、増殖速度も親株を上回る酵母菌株で、工業的ア
ルコ−ル生産に使用し得る、実用に耐える凝集性アルコ
−ル発酵酵母を提供しようとするものである。
【0004】
【問題点を解決するための手段】本発明者らは、前述の
凝集性アルコ−ル発酵酵母株を得るために、鋭意研究を
重ね、多数の高性能アルコ−ル酵母と凝集性酵母につい
て、その組合せを検討した結果、アルコ−ル高生産性酵
母株として、サッカロミセス・セレヴィシエ(Saccharom
yces cerevisiae) 396-9-6V (微工研菌寄第12804
号)と、凝集性酵母株として、優性の凝集性遺伝子(FLO
5)を保持する、サッカロミセス・セレヴィシエ(Sacchar
omyces cerevisiae) STX347-1D(微工研菌寄第1280
6号) またはサッカロミセス・セレヴィシエ(Saccharom
yces cerevisiae) ABXR-11A(微工研菌寄第12805
号)とを、細胞融合させることにより、本発明の目的と
する酵母菌株が、得られることを知り、本発明を完成す
るに至った。
凝集性アルコ−ル発酵酵母株を得るために、鋭意研究を
重ね、多数の高性能アルコ−ル酵母と凝集性酵母につい
て、その組合せを検討した結果、アルコ−ル高生産性酵
母株として、サッカロミセス・セレヴィシエ(Saccharom
yces cerevisiae) 396-9-6V (微工研菌寄第12804
号)と、凝集性酵母株として、優性の凝集性遺伝子(FLO
5)を保持する、サッカロミセス・セレヴィシエ(Sacchar
omyces cerevisiae) STX347-1D(微工研菌寄第1280
6号) またはサッカロミセス・セレヴィシエ(Saccharom
yces cerevisiae) ABXR-11A(微工研菌寄第12805
号)とを、細胞融合させることにより、本発明の目的と
する酵母菌株が、得られることを知り、本発明を完成す
るに至った。
【0005】細胞融合を行うに先立ち、これらの親株と
する酵母菌株に対し、突然変異処理によりアミノ酸要求
性、あるいは核酸要求性を標識のために付与した。ま
た、プロトプラスト融合は、ポリエチレングリコ−ル法
でも可能であるが、融合効率の高い電気融合法を採用し
た。得られた融合株の中から、培養試験、発酵試験を繰
り返し、強い凝集性と高いアルコ−ル生産性を併せ持
ち、それぞれの性能が、親株と同等以上であり、かつ両
方の性能が、ともに安定している株を選択し、新規凝集
性アルコ−ル酵母2株、サッカロミセス・セレヴィシエ
(Saccharomyces cerevisiae) F-5(微工研菌寄第128
07号)、およびサッカロミセス・セレヴィシエ(Saccha
romyces cerevisiae) F-28(微工研菌寄第12808号)
を得た。
する酵母菌株に対し、突然変異処理によりアミノ酸要求
性、あるいは核酸要求性を標識のために付与した。ま
た、プロトプラスト融合は、ポリエチレングリコ−ル法
でも可能であるが、融合効率の高い電気融合法を採用し
た。得られた融合株の中から、培養試験、発酵試験を繰
り返し、強い凝集性と高いアルコ−ル生産性を併せ持
ち、それぞれの性能が、親株と同等以上であり、かつ両
方の性能が、ともに安定している株を選択し、新規凝集
性アルコ−ル酵母2株、サッカロミセス・セレヴィシエ
(Saccharomyces cerevisiae) F-5(微工研菌寄第128
07号)、およびサッカロミセス・セレヴィシエ(Saccha
romyces cerevisiae) F-28(微工研菌寄第12808号)
を得た。
【0006】以下に、融合に供する株への遺伝標識の付
与、プロトプラスト融合、高性能融合株の選択、選択し
た融合株の発酵および安定性試験について説明する。
与、プロトプラスト融合、高性能融合株の選択、選択し
た融合株の発酵および安定性試験について説明する。
【0007】(1) 融合に供する親株への遺伝標識の付与 i) アルコ−ル高生産性実用株へのリジン要求性の付与 アルコ−ル高生産性実用株である、サッカロミセス・セ
レヴィシエ 396-9-6V株に、リジン要求性遺伝標識を付
与するため、公知のリジン要求性変異株の取得方法(小
田: 醸造協会誌 83巻, 614頁(1988); 北本: 醸造協会誌
84巻, 34頁(1989))に従って変異処理を行い、アミノア
ジピン酸に生育するリジン要求性変異株を選択する、ポ
ジティブセレクションで行った。すなわち、396-9-6V株
をYPD培地(酵母エキス 1g, ポリペプトン 2g, グル
コ−ス 2g, 水 100ml)で前培養して、得られた菌体を同
一培地に植菌し、30℃にて一夜振盪培養を行い、対数増
殖期(5×107細胞/ml)の菌体を集菌・洗浄し、エチルメ
タンスルホネ−ト(EMS)3%を含有する 0.1M-リン酸緩
衝液(pH 7.0)に懸濁して、30℃で30分間緩やかに振盪し
て、変異処理を行った。変異処理菌体を、集菌・洗浄
し、AAプレ−ト(lys2, lys5 変異株のみが生育可能な
培地: アミノアジピン酸 0.2g, L-リジン 3mg, イ−ス
トナイトロジェンベ−ス(アミノ酸、および硫酸アンモ
ニウムを含まない) 0.16g, グルコ−ス 2g,寒天 2g, 水
100ml)に塗布した。30℃にて、1-2週間培養した後、出
現したコロニ−を釣菌し、YPDプレ−ト(栄養培地:
酵母エキス 1g, ポリペプトン 2g, グルコ−ス 2g, 寒
天 2g, 水 100ml)上で、単一コロニ−として単離した。
レヴィシエ 396-9-6V株に、リジン要求性遺伝標識を付
与するため、公知のリジン要求性変異株の取得方法(小
田: 醸造協会誌 83巻, 614頁(1988); 北本: 醸造協会誌
84巻, 34頁(1989))に従って変異処理を行い、アミノア
ジピン酸に生育するリジン要求性変異株を選択する、ポ
ジティブセレクションで行った。すなわち、396-9-6V株
をYPD培地(酵母エキス 1g, ポリペプトン 2g, グル
コ−ス 2g, 水 100ml)で前培養して、得られた菌体を同
一培地に植菌し、30℃にて一夜振盪培養を行い、対数増
殖期(5×107細胞/ml)の菌体を集菌・洗浄し、エチルメ
タンスルホネ−ト(EMS)3%を含有する 0.1M-リン酸緩
衝液(pH 7.0)に懸濁して、30℃で30分間緩やかに振盪し
て、変異処理を行った。変異処理菌体を、集菌・洗浄
し、AAプレ−ト(lys2, lys5 変異株のみが生育可能な
培地: アミノアジピン酸 0.2g, L-リジン 3mg, イ−ス
トナイトロジェンベ−ス(アミノ酸、および硫酸アンモ
ニウムを含まない) 0.16g, グルコ−ス 2g,寒天 2g, 水
100ml)に塗布した。30℃にて、1-2週間培養した後、出
現したコロニ−を釣菌し、YPDプレ−ト(栄養培地:
酵母エキス 1g, ポリペプトン 2g, グルコ−ス 2g, 寒
天 2g, 水 100ml)上で、単一コロニ−として単離した。
【0008】単離したコロニ−を、SDプレ−ト(最小
培地: イ−ストナイトロジェンベ−ス(アミノ酸を含ま
ないもの) 0.67g, グルコ−ス 2g, 寒天 2g, 水 100ml)
で生育せず、SD+Lysプレ−ト(リジンを添加した
最小培地: SDプレ−トにリジン 3mg/100mlを添加)で
生育することが確認された、リジン要求性変異株10株を
取得した。これらの変異株を糖蜜培地で発酵試験して、
親株(396-9-6V株)に匹敵あるいはそれ以上の発酵性能を
持つ株として 396-G-4株を選択した。親株と変異株につ
いて、パルスフィ−ルド電気泳動法により、染色体DN
Aの分離パタ−ンを比較したところ、両者の染色体DN
Aの電気泳動パタ−ンは、全く同一であり、変異処理に
よって染色体DNAに、変化のないことが確認された
(図5の写真参照)。
培地: イ−ストナイトロジェンベ−ス(アミノ酸を含ま
ないもの) 0.67g, グルコ−ス 2g, 寒天 2g, 水 100ml)
で生育せず、SD+Lysプレ−ト(リジンを添加した
最小培地: SDプレ−トにリジン 3mg/100mlを添加)で
生育することが確認された、リジン要求性変異株10株を
取得した。これらの変異株を糖蜜培地で発酵試験して、
親株(396-9-6V株)に匹敵あるいはそれ以上の発酵性能を
持つ株として 396-G-4株を選択した。親株と変異株につ
いて、パルスフィ−ルド電気泳動法により、染色体DN
Aの分離パタ−ンを比較したところ、両者の染色体DN
Aの電気泳動パタ−ンは、全く同一であり、変異処理に
よって染色体DNAに、変化のないことが確認された
(図5の写真参照)。
【0009】ii) 凝集性酵母菌株へのウラシル要求性遺
伝標識の付与 優性の凝集性遺伝子(FLO5)を保持する酵母株、サッカロ
ミセス・セレヴィシエABXR-11A 株(Matα, FLO5)に、ウ
ラシル要求性遺伝標識を付与するため、公知の方法(北
本: 醸造協会誌 84巻, 849頁(1989); 小田他: 醗酵工学
会誌 68巻, 399頁(1990))による処理を施し、5-フルオ
ロオロチン酸(FOA)に生育する、ウラシル要求性株を
選択する、ポジティブセレクションを行った。すなわ
ち、ABXR-11A株をYPD培地に前培養し、得られた菌体
を同一培地に植菌して、30℃一夜振盪培養を行い、対数
増殖期(5×107細胞/ml)の菌体を集菌・洗浄し、EMS3
%を含有する0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)中で、30℃、45分
間緩やかに振盪して変異処理を行った。変異処理を施し
た菌体を、FOAプレ−ト(ura3, ura5 変異株のみが生
育可能な培地: 5-フルオロオロチン酸 0.1g, イ−スト
ナイトロジェンベ−ス(アミノ酸を含まない) 0.67g, ウ
ラシル 5mg, グルコ−ス 2g, 寒天 2g, 水 100ml)に塗
布した。30℃における1週間の培養で、出現したコロニ
−を釣菌し、FOAプレ−ト上で単一コロニ−として単
離して、SDプレ−ト(最小培地)で生育せず、SD+Ur
aプレ−ト(ウラシルを添加した最小培地: SDプレ−ト
にウラシル 5mg/100mlを添加)で生育することが確認さ
れた、ウラシル要求性変異株3株を分離した。取得した
ウラシル要求性変異株3株について、凝集性の試験を行
い、親株(ABXR-11A)と比較して、同等ないしそれ以上の
強い凝集性を示す株として、ABXR-11A-2を選択した。変
異株と親株について、パルスフィ−ルド電気泳動法によ
り、染色体DNAの分離パタ−ンを調べたところ、両者
のパタ−ンは全く同一であって、変異処理により染色体
DNAに変化がないことが確認された(図5の写真参
照)。以下、親株に遺伝標識し融合に供した変異株も、
単に親株と呼ぶ。
伝標識の付与 優性の凝集性遺伝子(FLO5)を保持する酵母株、サッカロ
ミセス・セレヴィシエABXR-11A 株(Matα, FLO5)に、ウ
ラシル要求性遺伝標識を付与するため、公知の方法(北
本: 醸造協会誌 84巻, 849頁(1989); 小田他: 醗酵工学
会誌 68巻, 399頁(1990))による処理を施し、5-フルオ
ロオロチン酸(FOA)に生育する、ウラシル要求性株を
選択する、ポジティブセレクションを行った。すなわ
ち、ABXR-11A株をYPD培地に前培養し、得られた菌体
を同一培地に植菌して、30℃一夜振盪培養を行い、対数
増殖期(5×107細胞/ml)の菌体を集菌・洗浄し、EMS3
%を含有する0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)中で、30℃、45分
間緩やかに振盪して変異処理を行った。変異処理を施し
た菌体を、FOAプレ−ト(ura3, ura5 変異株のみが生
育可能な培地: 5-フルオロオロチン酸 0.1g, イ−スト
ナイトロジェンベ−ス(アミノ酸を含まない) 0.67g, ウ
ラシル 5mg, グルコ−ス 2g, 寒天 2g, 水 100ml)に塗
布した。30℃における1週間の培養で、出現したコロニ
−を釣菌し、FOAプレ−ト上で単一コロニ−として単
離して、SDプレ−ト(最小培地)で生育せず、SD+Ur
aプレ−ト(ウラシルを添加した最小培地: SDプレ−ト
にウラシル 5mg/100mlを添加)で生育することが確認さ
れた、ウラシル要求性変異株3株を分離した。取得した
ウラシル要求性変異株3株について、凝集性の試験を行
い、親株(ABXR-11A)と比較して、同等ないしそれ以上の
強い凝集性を示す株として、ABXR-11A-2を選択した。変
異株と親株について、パルスフィ−ルド電気泳動法によ
り、染色体DNAの分離パタ−ンを調べたところ、両者
のパタ−ンは全く同一であって、変異処理により染色体
DNAに変化がないことが確認された(図5の写真参
照)。以下、親株に遺伝標識し融合に供した変異株も、
単に親株と呼ぶ。
【0010】(2) プロトプラストの調製 プロトプラストの調製は、基本的には野田らの方法(Ag
r. Biol. Chem., 54巻,2023頁(1990))に準じて行った。
すなわち、親株である396-G-4株(リジン要求性)およびA
BXR-11A-2株(ウラシル要求性)あるいはSTX347-1D株(ウ
ラシル要求性)を、それぞれYPD培地で27℃で、対数
増殖期(5×107細胞/ml)まで振盪培養し、得られた菌体
を無菌蒸留水で洗浄し、ついでKEMT溶液(0.45M KC
l, 2mM EDTA, 57.3mM メルカプトエタノ−ル, 10mM Tri
s-HCl(pH 7.5))中で、35℃, 30分間振盪した。酵母細胞
を回収し、ザイモリア−ゼ酵素液(Zymolyase 1mg/ml,
0.45M KCl, 1mM EDTA, 28.7mM メルカプトエタノ−ル,
10mM Tris-HCl(pH 7.5))を加えて、35℃で、60分間処理
してプロトプラスト化した。プロトプラストを遠心分離
して集め(1600×g)、融合用緩衝液(0.7M ソルビト−ル,
0.1mM CaCl2, 0.1mM MgCl2, 0.2mM Tris-HCl(pH 7.5))
中に、それぞれ5×107プロトプラスト/mlの濃度で懸濁
した。
r. Biol. Chem., 54巻,2023頁(1990))に準じて行った。
すなわち、親株である396-G-4株(リジン要求性)およびA
BXR-11A-2株(ウラシル要求性)あるいはSTX347-1D株(ウ
ラシル要求性)を、それぞれYPD培地で27℃で、対数
増殖期(5×107細胞/ml)まで振盪培養し、得られた菌体
を無菌蒸留水で洗浄し、ついでKEMT溶液(0.45M KC
l, 2mM EDTA, 57.3mM メルカプトエタノ−ル, 10mM Tri
s-HCl(pH 7.5))中で、35℃, 30分間振盪した。酵母細胞
を回収し、ザイモリア−ゼ酵素液(Zymolyase 1mg/ml,
0.45M KCl, 1mM EDTA, 28.7mM メルカプトエタノ−ル,
10mM Tris-HCl(pH 7.5))を加えて、35℃で、60分間処理
してプロトプラスト化した。プロトプラストを遠心分離
して集め(1600×g)、融合用緩衝液(0.7M ソルビト−ル,
0.1mM CaCl2, 0.1mM MgCl2, 0.2mM Tris-HCl(pH 7.5))
中に、それぞれ5×107プロトプラスト/mlの濃度で懸濁
した。
【0011】(3) プロトプラスト融合 プロトプラスト融合は、電気融合法で行った。すなわ
ち、島津製細胞融合装置SSH-10を用い、融合条件は、電
極間隔 2.0mm, 交流周波数 1MHz, 交流初期印加電圧 40
V, パルス幅 35μS, パルス電圧 700V, パルス電界強度
3.50KV/cm, 交流2次印加電圧 40Vとした。印加処理液
を、MMプレ−ト(選択用最小培地: イ−ストナイトロ
ジェンベ−ス(アミノ酸を含まないもの) 0.67g, グルコ
−ス 2g, 0.5M KCl, 寒天 2g, 水 100ml(pH 5.8))に塗
布し、同一培地を重層して、27℃、7〜8日間培養して再
生させた。ここに取得された融合株について、アルコ−
ルの生産性、凝集性、DNA含量、DNAの電気泳動パ
タ−ン、核の観察、比増殖速度等の試験を行った。
ち、島津製細胞融合装置SSH-10を用い、融合条件は、電
極間隔 2.0mm, 交流周波数 1MHz, 交流初期印加電圧 40
V, パルス幅 35μS, パルス電圧 700V, パルス電界強度
3.50KV/cm, 交流2次印加電圧 40Vとした。印加処理液
を、MMプレ−ト(選択用最小培地: イ−ストナイトロ
ジェンベ−ス(アミノ酸を含まないもの) 0.67g, グルコ
−ス 2g, 0.5M KCl, 寒天 2g, 水 100ml(pH 5.8))に塗
布し、同一培地を重層して、27℃、7〜8日間培養して再
生させた。ここに取得された融合株について、アルコ−
ルの生産性、凝集性、DNA含量、DNAの電気泳動パ
タ−ン、核の観察、比増殖速度等の試験を行った。
【0012】(4) アルコ−ル生産性(発酵能)の評価 アルコ−ル生産性の評価は、攪拌培養によるフラスコ発
酵試験(標準発酵試験)により行った。供試菌株をYM培
地(麦芽エキス(Difco) 0.3g, 酵母エキス(Difco) 0.3g,
バクトペプトン(Difco) 0.5g, KH2PO4 0.2g, MgSO4・7H
2O 0.1g, グルコ−ス 2g)で、30℃、24時間振盪培養し
て、その培養液3mlを、試験用本培地(インドネシア産糖
蜜(全糖として) 25%, 硫酸アンモニウム 0.2%) 300mlを
分注した、500ml容エルレンマイヤ−フラスコに接種
し、マイセル管を付し、30℃において並列連動スタ−ラ
−(ADVANTEC SR-506型)上で、定速攪拌培養した。培養
中、経時的に炭酸ガス放出による重量の減少を測定し
て、発酵能を評価した。また、アルコ−ルの生成量はガ
スクロマトグラフィ−で、残糖量は高速液体クロマトグ
ラフィ−で分析した。
酵試験(標準発酵試験)により行った。供試菌株をYM培
地(麦芽エキス(Difco) 0.3g, 酵母エキス(Difco) 0.3g,
バクトペプトン(Difco) 0.5g, KH2PO4 0.2g, MgSO4・7H
2O 0.1g, グルコ−ス 2g)で、30℃、24時間振盪培養し
て、その培養液3mlを、試験用本培地(インドネシア産糖
蜜(全糖として) 25%, 硫酸アンモニウム 0.2%) 300mlを
分注した、500ml容エルレンマイヤ−フラスコに接種
し、マイセル管を付し、30℃において並列連動スタ−ラ
−(ADVANTEC SR-506型)上で、定速攪拌培養した。培養
中、経時的に炭酸ガス放出による重量の減少を測定し
て、発酵能を評価した。また、アルコ−ルの生成量はガ
スクロマトグラフィ−で、残糖量は高速液体クロマトグ
ラフィ−で分析した。
【0013】(5) 凝集性の評価 試験用本培地、あるいはYM培地で培養した酵母菌体を
集菌し、菌体容量の20倍量の20mM EDTAで2回洗浄し
た後、さらに20倍量の蒸留水で洗浄した。洗浄菌体を、
4mlの蒸留水に湿潤菌体濃度が2%となるように懸濁し、
これに塩化カルシウムを10mMとなるように添加した後、
ボルテックス攪拌を20秒行って、分光光度計セル(光路
長10mm)に移し入れ、軽く振盪してから、660nmの吸光度
変化を記録計によりモニタ−した。
集菌し、菌体容量の20倍量の20mM EDTAで2回洗浄し
た後、さらに20倍量の蒸留水で洗浄した。洗浄菌体を、
4mlの蒸留水に湿潤菌体濃度が2%となるように懸濁し、
これに塩化カルシウムを10mMとなるように添加した後、
ボルテックス攪拌を20秒行って、分光光度計セル(光路
長10mm)に移し入れ、軽く振盪してから、660nmの吸光度
変化を記録計によりモニタ−した。
【0014】(6) DNA含量の測定 シュナイダ−の方法(Schneider: J. Biol. Chem., 164
巻, 747頁(1946))により核酸を抽出し、Salmon-Testes
DNA-Na(Sigma社製)をDNA標準品として用い、バ−ト
ンの方法(Burton: Biochem. J., 62巻, 315頁(1956))で
DNAを測定した。
巻, 747頁(1946))により核酸を抽出し、Salmon-Testes
DNA-Na(Sigma社製)をDNA標準品として用い、バ−ト
ンの方法(Burton: Biochem. J., 62巻, 315頁(1956))で
DNAを測定した。
【0015】(7) パルスフィ−ルド電気泳動 酵母菌株をYPD培地で、30℃, 36時間培養して得られ
る菌体を、集菌洗浄して使用した。試料の調製は、シュ
ワルツらの方法(D. C. Schwartz et al.: Cell, 37巻,
67頁(1984))に準じて行い、染色体DNAの断片化を防
止するために、可能な全ての過程をアガロ−スゲル中で
処理して、サンプルブロックを作製した。ゲルは、1%ア
ガロ−スを用い、泳動緩衝液には、TBE緩衝液(0.02M
Tris-Borate buffer, 1mM EDTA, pH 8.0)を使用した。
装置はCHEF(Bio-Rad Co., Ltd.製)を使用し、電圧 200
V, パルス時間 60秒で15時間の後、90秒で9時間泳動し
た。泳動槽の温度は、14℃とした。
る菌体を、集菌洗浄して使用した。試料の調製は、シュ
ワルツらの方法(D. C. Schwartz et al.: Cell, 37巻,
67頁(1984))に準じて行い、染色体DNAの断片化を防
止するために、可能な全ての過程をアガロ−スゲル中で
処理して、サンプルブロックを作製した。ゲルは、1%ア
ガロ−スを用い、泳動緩衝液には、TBE緩衝液(0.02M
Tris-Borate buffer, 1mM EDTA, pH 8.0)を使用した。
装置はCHEF(Bio-Rad Co., Ltd.製)を使用し、電圧 200
V, パルス時間 60秒で15時間の後、90秒で9時間泳動し
た。泳動槽の温度は、14℃とした。
【0016】(8) 核融合の確認 酵母菌株を、Kuroiwaらの方法(T. Kuroiwa et al.: Ex
p. Cell Res., 134巻,457頁(1981))に準じて、DAPI
(4,6-Diamidino-2-phenylindole)染色を行い、蛍光顕微
鏡で核DNAを観察し、核が融合されていることを確認
した。
p. Cell Res., 134巻,457頁(1981))に準じて、DAPI
(4,6-Diamidino-2-phenylindole)染色を行い、蛍光顕微
鏡で核DNAを観察し、核が融合されていることを確認
した。
【0017】(9) 比増殖速度 親株および融合株について、試験用本培地における単位
細胞数当りの増殖速度を測定し、融合の結果が増殖速度
に及ぼす影響の有無を検討した。
細胞数当りの増殖速度を測定し、融合の結果が増殖速度
に及ぼす影響の有無を検討した。
【0018】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、これによって本発明が限定されるものではな
い。
するが、これによって本発明が限定されるものではな
い。
【0019】実施例1 融合酵母株の創製(その1) アルコ−ル高生産性株、サッカロミセス・セレヴィシエ
396-9-6V (微工研菌寄第12804号)に、前記(1)-i)
に記載した方法により、リジン要求性の遺伝標識を付与
した変異株 396-G-4株と、強い凝集性を示し、優性の凝
集性遺伝子FLO5を保持する酵母株、サッカロミセス・セ
レヴィシエ STX347-1D(微工研菌寄第12806号)(ウ
ラシル要求性)とを、(2)および(3)に記載の方法に従っ
て、プロトプラスト化し、電気融合処理を施し、さらに
再生化することにより、9個の融合株が得られた。この
中から、アルコ−ル生産性と凝集性が、優れた3個の融
合株(F-1株、F-5株、およびF-9株)が選ばれたが、特に
優れたF-5株を発明株とし、他を参考株とした。これら
の株が融合株であることは、以下の事実から確認され
た。 a. MMプレ−ト(選択用最小培地)における生育が良好
であり、栄養的相補性が獲得されたものと認められる。 b. DAPI(4,6-Diamidino-2-phenylinndole)による核
染色の結果、蛍光顕微鏡により、1個の核を有すること
が観察された。 c. DNA含量が、それぞれの親株より多く、融合株の
特徴を示した。(表1参照) d. 染色体DNAを、前記(7)に記載の方法により、分子
遺伝学的に解析したところ、選択した3株は、同一の泳
動パタ−ンを示し、染色体DNAのバンドのサイズは、
いずれも、どちらかの親株のそれと一致する。(図5の
写真参照)
396-9-6V (微工研菌寄第12804号)に、前記(1)-i)
に記載した方法により、リジン要求性の遺伝標識を付与
した変異株 396-G-4株と、強い凝集性を示し、優性の凝
集性遺伝子FLO5を保持する酵母株、サッカロミセス・セ
レヴィシエ STX347-1D(微工研菌寄第12806号)(ウ
ラシル要求性)とを、(2)および(3)に記載の方法に従っ
て、プロトプラスト化し、電気融合処理を施し、さらに
再生化することにより、9個の融合株が得られた。この
中から、アルコ−ル生産性と凝集性が、優れた3個の融
合株(F-1株、F-5株、およびF-9株)が選ばれたが、特に
優れたF-5株を発明株とし、他を参考株とした。これら
の株が融合株であることは、以下の事実から確認され
た。 a. MMプレ−ト(選択用最小培地)における生育が良好
であり、栄養的相補性が獲得されたものと認められる。 b. DAPI(4,6-Diamidino-2-phenylinndole)による核
染色の結果、蛍光顕微鏡により、1個の核を有すること
が観察された。 c. DNA含量が、それぞれの親株より多く、融合株の
特徴を示した。(表1参照) d. 染色体DNAを、前記(7)に記載の方法により、分子
遺伝学的に解析したところ、選択した3株は、同一の泳
動パタ−ンを示し、染色体DNAのバンドのサイズは、
いずれも、どちらかの親株のそれと一致する。(図5の
写真参照)
【0020】
【表1】
【0021】実施例2 融合酵母株の創製(その2) アルコ−ル高生産性株、サッカロミセス・セレヴィシエ
396-9-6V (微工研菌寄第12804号)に、前記(1)-i)
に記載した方法により、リジン要求性の遺伝標識を付与
した変異株 396-G-4株と、強い凝集性を示し、優性の凝
集性遺伝子FLO5を保持する酵母株、サッカロミセス・セ
レヴィシエ ABXR-11A(微工研菌寄第12805号)に、
前記(1)-ii)に記載の方法により、ウラシル要求性の遺
伝標識を付与した変異株 ABXR-11A-2株とを親株とし、
(2)および(3)に記載の方法に従って、プロトプラスト化
し、電気融合処理を施し、さらに再生化することによ
り、6個の融合株が得られた。この中から、アルコ−ル
生産性と凝集性が、特に優れた1個の融合株(F-28株)を
選択した。このF-28株が融合株であることは、実施例1
と同様にして確認した。すなわち、MMプレ−ト上の生
育から、栄養的相補性が獲得されていること、DAPI
染色による核の蛍光顕微鏡観察から、1個の核を保持す
ること、DNA含量は親株より多く、融合株の特徴を示
すこと(表1参照)、さらに染色体DNAの電気泳動パタ
−ンから、バンドのサイズがいずれかの親株のバンドと
一致すること(図5の写真参照)などにより、融合が成功
していることは明らかである。
396-9-6V (微工研菌寄第12804号)に、前記(1)-i)
に記載した方法により、リジン要求性の遺伝標識を付与
した変異株 396-G-4株と、強い凝集性を示し、優性の凝
集性遺伝子FLO5を保持する酵母株、サッカロミセス・セ
レヴィシエ ABXR-11A(微工研菌寄第12805号)に、
前記(1)-ii)に記載の方法により、ウラシル要求性の遺
伝標識を付与した変異株 ABXR-11A-2株とを親株とし、
(2)および(3)に記載の方法に従って、プロトプラスト化
し、電気融合処理を施し、さらに再生化することによ
り、6個の融合株が得られた。この中から、アルコ−ル
生産性と凝集性が、特に優れた1個の融合株(F-28株)を
選択した。このF-28株が融合株であることは、実施例1
と同様にして確認した。すなわち、MMプレ−ト上の生
育から、栄養的相補性が獲得されていること、DAPI
染色による核の蛍光顕微鏡観察から、1個の核を保持す
ること、DNA含量は親株より多く、融合株の特徴を示
すこと(表1参照)、さらに染色体DNAの電気泳動パタ
−ンから、バンドのサイズがいずれかの親株のバンドと
一致すること(図5の写真参照)などにより、融合が成功
していることは明らかである。
【0022】実施例3 選択した融合酵母株の性能 実施例1および実施例2において選択した融合株につい
て、その諸性能を親株と比較した。融合株 F-5株、およ
びF-28株のアルコ−ル生産性を、前記(4)に記載の方法
で試験した。試験用本培地(糖蜜, 全糖25%)に、5日間攪
拌培養し、親株(396-9-6V株)ならびに標準株(IFO 0224
株)と比較した結果を、図1と図2に示した。F-5株およ
びF-28株は、発酵経過も良好で、最終炭酸ガス発生量
は、親株ならびに標準株と、同等もしくはそれ以上であ
った。アルコ−ル生成量は、F-5株は13.73%, F-28株は
13.68%を示し、工業的実用株である親株の396-9-6V株に
匹敵する優良株であることが判明した。次に、試験用本
培地(同前)で2日間培養した酵母菌体について、凝集性
を前記(5)の方法に従って、対比した。(図3および図4
参照)親株のSTX347-1D株、またはABXR-11A株と較べて、
F-5株、およびF-28株は、ともに顕著な凝集能を示し
た。融合株の諸性能を親株と対比して表1に示した。
て、その諸性能を親株と比較した。融合株 F-5株、およ
びF-28株のアルコ−ル生産性を、前記(4)に記載の方法
で試験した。試験用本培地(糖蜜, 全糖25%)に、5日間攪
拌培養し、親株(396-9-6V株)ならびに標準株(IFO 0224
株)と比較した結果を、図1と図2に示した。F-5株およ
びF-28株は、発酵経過も良好で、最終炭酸ガス発生量
は、親株ならびに標準株と、同等もしくはそれ以上であ
った。アルコ−ル生成量は、F-5株は13.73%, F-28株は
13.68%を示し、工業的実用株である親株の396-9-6V株に
匹敵する優良株であることが判明した。次に、試験用本
培地(同前)で2日間培養した酵母菌体について、凝集性
を前記(5)の方法に従って、対比した。(図3および図4
参照)親株のSTX347-1D株、またはABXR-11A株と較べて、
F-5株、およびF-28株は、ともに顕著な凝集能を示し
た。融合株の諸性能を親株と対比して表1に示した。
【0023】実施例4 融合株の安定性 融合株 F-5株、およびF-28株について、獲得した二つの
機能、すなわち、アルコ−ル高生産性ならびに強い凝集
性の、安定性の確認試験を行った。融合株をYM培地に
接種し、30℃, 24時間の振盪培養を、15回繰り返し、15
代目の継代培養から得られた培養液を、試験用本培地に
植菌し、攪拌培養による標準発酵試験を行った。二酸化
炭素発生量、アルコ−ル生産性、および凝集性について
の試験結果は、表2に示したとおりである。
機能、すなわち、アルコ−ル高生産性ならびに強い凝集
性の、安定性の確認試験を行った。融合株をYM培地に
接種し、30℃, 24時間の振盪培養を、15回繰り返し、15
代目の継代培養から得られた培養液を、試験用本培地に
植菌し、攪拌培養による標準発酵試験を行った。二酸化
炭素発生量、アルコ−ル生産性、および凝集性について
の試験結果は、表2に示したとおりである。
【0024】
【表2】
【0025】
【発明の効果】本発明により、アルコ−ル高生産性と強
い凝集性を併せて保持し、糖蜜培地等による工業生産に
適し、長い世代にわたって安定して性能を発揮できる、
実用的酵母株を得る方法が確立された。また、この方法
により2個の高性能株が分離取得され、これらによる効
率的アルコ−ル発酵法が可能となった。
い凝集性を併せて保持し、糖蜜培地等による工業生産に
適し、長い世代にわたって安定して性能を発揮できる、
実用的酵母株を得る方法が確立された。また、この方法
により2個の高性能株が分離取得され、これらによる効
率的アルコ−ル発酵法が可能となった。
【図1】融合株(F-5)と親株(396-9-6V; STX347-1D)なら
びに標準株(IFO 0224)の発酵能の比較を示す。縦軸は、
二酸化炭素発生量(g)、横軸は、培養時間(日)である。
びに標準株(IFO 0224)の発酵能の比較を示す。縦軸は、
二酸化炭素発生量(g)、横軸は、培養時間(日)である。
1 F−5 2 396−9−6V 3 IFO 0224 4 STX347−1D
【図2】融合株(F-28)と親株(396-9-6V; ABXR-11A)なら
びに標準株(IFO 0224)の発酵能の比較を示す。縦軸は、
二酸化炭素発生量(g)、横軸は、培養時間(日)である。
びに標準株(IFO 0224)の発酵能の比較を示す。縦軸は、
二酸化炭素発生量(g)、横軸は、培養時間(日)である。
1 F−28 2 396−9−6V 3 IFO 0224 4 ABXR−11A
【図3】融合株(F-5)と親株(396-9-6V; STX347-1D)の凝
集能の比較を示す。縦軸は、660nmにおける吸光
度)、横軸は、経過時間(秒)である。
集能の比較を示す。縦軸は、660nmにおける吸光
度)、横軸は、経過時間(秒)である。
1 396−9−6V 2 STX347−1D 3 F−5
【図4】融合株(F-28)と親株(396-9-6V; ABXR-11A)の凝
集能の比較を示す。縦軸は、660nmにおける吸光
度)、横軸は、経過時間(秒)である。
集能の比較を示す。縦軸は、660nmにおける吸光
度)、横軸は、経過時間(秒)である。
1 396−9−6V 2 ABXR−11A 3 F−28
【図5】親株、標識株および融合株の、染色体DNAの
電気泳動パタ−ンである。
電気泳動パタ−ンである。
1 ABXR−11A(親株) 2 ABXR−11A−2(標識株) 3 F−28 (融合株) 4 396−G−4(標識株) 5 396−9−6V(親株) 6 396−G−4(標識株) 7 F−1(融合株) 8 F−5(融合株) 9 F−9(融合株) 10 STX374−1D(標識保有親株)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:865) (C12P 7/06 C12R 1:865) (56)参考文献 特開 昭59−135896(JP,A) 特開 昭61−108376(JP,A) 特開 昭61−108379(JP,A) 特開 昭61−108380(JP,A) 特開 昭63−44880(JP,A)
Claims (4)
- 【請求項1】 アルコ−ル酵母株、サッカロミセス・セ
レヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae) 396-9-6V (微
工研菌寄第12804号)と、凝集性酵母株、サッカロ
ミセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae) STX
347-1D(微工研菌寄第12806号) またはサッカロミ
セス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae) ABXR-
11A(微工研菌寄第12805号)とを融合させることを
特徴とする、実用的アルコ−ル生産能と凝集性を兼備
し、かつ遺伝的に安定である新規凝集性アルコ−ル酵母
の創製方法。 - 【請求項2】 請求項1に記載の方法により創製され
た、新規凝集性アルコ−ル酵母株、サッカロミセス・セ
レヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae) F-5(微工研菌
寄第12807号)。 - 【請求項3】 請求項1に記載の方法により創製され
た、新規凝集性アルコ−ル酵母株、サッカロミセス・セ
レヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae) F-28(微工研菌
寄第12808号)。 - 【請求項4】 請求項2または請求項3に記載の、新規
凝集性アルコ−ル酵母株を使用する、アルコ−ル製造
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4075725A JPH0636734B2 (ja) | 1992-02-27 | 1992-02-27 | 新規凝集性アルコ−ル発酵酵母 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4075725A JPH0636734B2 (ja) | 1992-02-27 | 1992-02-27 | 新規凝集性アルコ−ル発酵酵母 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05236942A JPH05236942A (ja) | 1993-09-17 |
JPH0636734B2 true JPH0636734B2 (ja) | 1994-05-18 |
Family
ID=13584537
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4075725A Expired - Lifetime JPH0636734B2 (ja) | 1992-02-27 | 1992-02-27 | 新規凝集性アルコ−ル発酵酵母 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0636734B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007097113A1 (en) | 2006-02-24 | 2007-08-30 | Suntory Limited | Gene encoding protein responsible for flocculation property of yeast and use thereof |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002042483A1 (fr) * | 2000-11-27 | 2002-05-30 | Kansai Chemical Engineering Co., Ltd. | Procédé de production d'éthanol à partir de l'amidon |
WO2003016524A1 (fr) * | 2001-08-16 | 2003-02-27 | Kansai Chemical Engineering Co., Ltd. | Procede de production d'alcool a partir d'amidon |
JP2007124902A (ja) * | 2005-11-01 | 2007-05-24 | Japan Alcohol Corp | アルコール製造方法及びアルコール製造装置 |
FR2935985B1 (fr) * | 2008-09-16 | 2014-11-07 | Lesaffre & Cie | Nouvelles souches de levure pour la production d'alcool. |
JP5694426B2 (ja) * | 2013-05-09 | 2015-04-01 | アサヒグループホールディングス株式会社 | 新規ショ糖非資化性凝集性酵母 |
KR102256699B1 (ko) * | 2019-11-07 | 2021-05-27 | 강원도 | 응집성 및 알코올 발효능이 우수한 신규 사카로마이세스 세레비지애 afy-7 및 이를 포함하는 주류 |
-
1992
- 1992-02-27 JP JP4075725A patent/JPH0636734B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007097113A1 (en) | 2006-02-24 | 2007-08-30 | Suntory Limited | Gene encoding protein responsible for flocculation property of yeast and use thereof |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05236942A (ja) | 1993-09-17 |
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---|---|---|---|
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