JPH0430286B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、電子レンジを用いたマイクロ波によ
る加熱の際に、極力突沸を防止しながら、内容物
を均一かつ効率的に加熱できる電子レンジで使用
する即席食品加熱用容器に関するものである。

〔従来の技術〕

電子レンジには、ガスレンジやオーブンでの使
用の際に要求されるよりはずつと耐熱性の低い容
器が使用できること、短時間で加熱できること、
内容物がこげないこと及び使い易いこと等種々の
利点があるので、家庭用はもとより商業用、工業
用に、広く加温、調理等種々の用途に用いられ
る。又電子レンジによる再加熱や調理を前提をし
た各種即席食品が販売されるに至つている。

電子レンジで食品を加熱する場合、食品を電子
レンジの金属製のキヤビテイー内におき、その壁
面にある照射口よりマイクロ波を照射すると、マ
イクロ波は壁面の金属によつて反射されるので、
食品は上下左右からマイクロ波の照射を受け、全
体が加熱される。

ところが実際には、例えば第４図に示すような
形状の容器１に液状の食品２を入れてこれを電子
レンジで加熱すると、以下のような現象が発生す
る。

即ち、容器１及び食品２の上面（液面）が接触
する部分３は、上面及び側面の二方からのマイク
ロ波ａ及びｂの照射を受けることになるが、容器
１内の他の部分では、食品２は上面或いは側面の
何れか一方からしかマイクロ波（ａ或いはｂ）を
受けない。この場合、容器１及び食品２の接触す
る部分３のみが過度に加熱され、この部分で沸騰
が起こる。一方、容器１内の他の部分、特に容器
下部の昇温が著しく遅れることになり、その結果
食品は均一に加熱されない。

従来、上記の問題の解決策としては、食品が過
度に加熱される部分の容器の外面にアルミ箔を被
覆することが行われている。これは、マイクロ波
がアルミ箔に当たると反射するので、この部分で
マイクロ波の透過を防いで食品の加熱を緩慢にす
るためである。さらにこの技術を利用して種々の
改良が行われている。例えば、実公昭51−2367に
は、蓋の外面又は内面にマイクロ波を反射する金
属皮膜を設け、かつ容器の低部にマイクロ波を吸
収する抵抗皮膜とを設けた茶わん蒸し器が開示さ
れている。又、実開昭58−189795及び特開昭56−
32261には、パツケージの側面にマイクロ波を遮
断する部材を設けた食品パツケージが開示され、
特開昭54−126743には、加熱されやすい食品の程
度に応じて、食品の周囲を金属箔で被覆すること
が記載されている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかしながら、上記の方法は、全て、容器或い
は内容物の多くの部分にわたつてアルミ箔等の金
属を密着させて被覆している。従つて、必要以上
にマイクロ波が遮断されてエネルギー損失が大き
くなり、内容物の昇温が著しく遅れることとな
る。また、食品が金属を被覆した部分で未加熱と
なり易く、このために均一加熱ができない場合が
しばしば発生する。さらに誘導加熱によつてアル
ミ箔の端部が異常昇温し、この部分に接している
容器の一部が溶けたり、又は焦げたりする現象が
生ずる。

従つて、本発明は、局部的な加熱を防止し、内
容物を均一かつ効率的に加熱できる電子レンジで
使用する即席食品加熱用容器を提供することを目
的とする。

さらに本発明は、加熱後に取り扱いやすく、保
温性のすぐれた電子レンジで使用する即席食品加
熱用容器を提供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は容器として２重構造の容器を用い、少
なくとも、外容器の側壁上緑部でかつ内容物の上
面が内容面本体の側面と接触する部分の周辺を覆
う位置にマイクロ波遮断層を設けると上記問題点
が有効に解決できるとの知見に基づいてなされた
ものである。

従つて、本発明は、内容物収納用内容器、該内
容器の外側に位置する外容器及びこれらの上部を
覆う蓋とを有する２重合器であつて少なくとも、
外容器の側壁上緑部でかつ内容物の上面が内容器
本体の側面と接触する部分の周辺を覆う位置に、
マイクロ波遮断層を設けたことを特徴とする電子
レンジで使用する即席食品加熱用容器を提供す
る。

本発明の容器は、スープ、おしるこ、コーヒ
ー、ジユース、煮物、等種々のものを収容できる
ものである。該内容物を収容する容器本体は、マ
イクロ波を透過し、かつ電子レンジの加熱に耐え
うる耐熱性材料（100℃で溶けないもの）でつく
られる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリカーボネート、ポリエステル、ナイロ
ン、紙及び前記ポリマーをコーテイングした紙が
好適に使用される。この際、外側容器を発泡ポリ
スチレンなどの断熱材料で形成すると保温性が、
良いので一層効果的である。尚、本発明の容器
は、内容物をあらかじめ充填し、容器の蓋で密封
した一体型の容器とすることもできるが、容器の
蓋をとりはずし可能な形態とすると、内容物とし
て固形、ペースト状、液状又はこれらの混合物な
どのものを入れておき調理の際に蓋を開けて水又
は湯をそそいでから調理できるので好ましい。

マイクロ波遮断層は、外側容器の側壁上緑部に
形成されており、マイクロ波を透過しないアルミ
ニウム、ニツケル、クロム、鉄、亜鉛、スズやこ
れらの合金などの金属材料からなる。そして、前
記のマイクロ波透過材料に、これら金属の薄膜を
接着、ラミネート、金属蒸着又は金属印刷等の手
段により設けてもよく、その部分全体を金属材料
自体で形成してもよい。マイクロ波遮断層は、外
側容器の側壁の内側及び外側のいずれに設けても
よい。

本発明に於いて、該遮断層と外容器間に0.5mm
以上の水平方向の空気層からなる距離（）を設
ける場合は、加熱効率が一層高まり、内容物の加
熱に要する時間が更に短縮される。

しかも、誘電加熱にマイクロ波の熱エネルギー
を有効に利用できるため、マイクロ波遮断層に発
生する誘電加熱が著しく低減し、尚且上記誘導加
熱が発生したとしても空気層によりこれが吸収さ
れ、これによる悪影響が内容物及び容器本体に及
ばない。さらに同距離（）を1.5mm以上とする
場合は、より好ましい。尚、空気層及び内容器側
壁あるいは空気層及び内容器側壁及び外容器壁の
厚みを含めた水平方向の距離（´）を1.8〜
20.5mmとした場合に、内容物の突沸防止及び加熱
効率の向上効果は最大となる。但し、上記距離範
囲内に占める空気層の距離が大きい程、誘導加熱
による内容物及び食品への悪影響を防止する効果
が大きくなる。

本発明に於いては、同マイクロ波遮断層を少な
くとも、外容器の側壁上緑部でかつ内容物の上面
が内容器本体の側面と接触する部分の周辺を覆う
位置に設けることを必要とする。これによつて内
容物の突沸を効果的に防ぎ、均一加熱を可能にす
ると共に、同突沸によるエネルギーロスを解消
し、以つて加熱効率を高めることが可能になる。

加えて、同マイクロ波遮断層の上下方向の距離
（ｈ）を４mm以上とすれば一層効果が高まり、又
８〜65mmがより好ましい。

さらに、電子レンジでの加熱による容器内の圧
力増加を防止するために容器の蓋に開孔部を設け
るのが望ましい。この場合、開孔部の直径は0.7
〜３mmとするのがよい。0.7mm未満だと目詰りが
発生しやすく、３mmを越えると加熱後の蒸らし効
果が期待できないからである。開孔部の構造とし
て、容器内の圧力が高まつた時に剥離する程度の
接着剤のついたシートで該開孔部を覆つたり、蓋
の上面又は下面に低密度ポリエチレンなどの易破
壊性の薄いフイルムをコーテイングし、開孔部を
ふさいだ構造などとすると内部圧力の調整ととも
に衛生上等の要求も満たされるので好ましい。

一方、内容物として固形又は粒状のものをあら
かじめ充填しておき、電子レンジで加熱する前に
水や湯などを入れる場合などのために最終液面を
示すための印を容器内に設けておくこともでき
る。

本発明の容器は円錐形、円筒形、立方体形等
種々の形とすることができるが、立方体の樣に鋭
角な箇所が存在せず、すべて曲面による形態とす
るのが内容物加熱防止の点から好ましい。そし
て、本発明の容器は、真空成形、圧縮成形、イン
ジエクシヨン成形等公知の成形方法により容易に
製造される。この場合、内容器の口部と外容器の
口部とを係合させ、内容器と外容器との側面間及
び底面間に空間を設けるのがよい。そして、内容
器の底面と外容器の底面との間の距離（高さ）を
２mm以上、より好ましくは３〜25mmとすると、マ
イクロ波による底面からの加熱が大きくなり効率
のよい対流が生じるので一層効率的な加熱が行え
る。この際、電子レンジテーブルがホーロー製あ
るいは鉄製の場合は、３〜15mmが、又該テーブル
がガラス製の場合は３〜９mmが望ましい。又所望
により該容器の底部を開放することもできる。

本発明の容器は、基本的に上記の構成を有する
ものであるが、本発明の範囲内で種々の変形を行
うことができる。

〔実施例〕

以下図面を参照して、本発明の実施例につき説
明する。

第１図は本発明に容器１１の断面図を示すもの
であり、内容器１２の中に内容物１３を収容し、
内容物１３の上面が内容器１２の側面と接触する
箇所１４から水平方向に0.5mm以上（₁）の空気
層を介した外容器１５の側壁上緑部にマイクロ波
遮断層１６が内容器をとりかこむ形で設けられて
いる。第１図に示すようにマイクロ波遮断層を外
容器内壁に設けると電子レンジ加熱後に容器をと
り出す際熱くなくて好ましいが外容器の外壁に設
けることもできる。尚、容器本体の厚さを含めた
水平距離₂は１，８mm以上、マイクロ波遮断層
の垂直方向の距離h₁は４mm以上になつており、容
器の蓋１７に蒸気抜きの開孔部１８が設けられて
いる。又、内容器と外容器との底部間距離h₂は２
mm以上となつている。

第２図は、第１図Ｃ部の別の態様を示す拡大断
面図であり、容器の蓋２７の開孔部２８を部材２
９でふさいぎ、部材２９が容器内の圧力が高まつ
た時に剥離する程度の接着力を有する接着剤で蓋
に接着されている。

第３図は、本発明の容器の別の実施例を示す断
面図を示すものであり、マイクロ波遮断層３６が
外容器３５の外壁のみではなくて蓋３７の上面の
端部にまで及んでいる。このような構造とすると
上部からのマイクロ波が遮断されるので突沸防止
効果がさらに大きくなるので好ましい。又、蓋の
端部だけでなく蓋の上部全体をマイクロ波遮断層
で覆うことも可能である。内容器３２に収容され
ている内容物３３が固型又は粉体などであつて、
電子レンジで加熱する前に蓋３７をあけて水又は
湯をそそぐ場合の便宜のために、最終的な内容物
の上面と内容器３２の側面との接点３４を指示す
る印３８が容器内面に設けられている。外容器３
５の底面３９は開放されている。マイクロ波遮断
層の高さh₁₁は外容器の高さのほぼ1/2となつてい
る。

〔発明の効果〕

本発明によれば、内容物の局部的な加熱を防止
できるので、電子レンジで内容物を短時間加熱す
る場合に効率的かつ均一な加熱を行うことができ
る。又、電子レンジで用いるので、簡易な形態の
容器とすることができ、容器中にスープ、おしる
こ、ジユース等を充填した即席食品入り容器をし
て好適に使用される。さらに本発明の容器におい
ては、内容器の壁面にマイクロ波遮断層が設けら
れていないので、内容器に内容物を入れた形でレ
トルト殺菌してもマイクロ波遮断層がはがれるこ
とがなく、レトルト食品入りの容器として特に好
ましいものである。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第３図は本発明に係る容器の断面
図、第２図は第１図Ｃ部の別の態様を示す拡大断
面図を示す。第４図は従来の容器の断面図であ
る。 図中、１３，３３……内容物、１６，３６……
マイクロ波遮断層、１８，２８……開孔部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 内容物収納用内容器、該内容器の外側に位置
   する外容器及びこれらの上部を覆う蓋とを有する
   ２重容器であつて、少なくとも、外容器の側壁上
   縁部であつて、かつ内容物の上面が内容器本体の
   側面と接触する部分の周辺を覆う位置に、マイク
   ロ波遮断層を設けたことを特徴とする電子レンジ
   で使用する即席食品加熱用容器。 ２ 前記２重容器が、ポリエチレン、ポリプロピ
   レン、ポリカーボネート、ポリエステル、ナイロ
   ン、紙、及びポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
   リカーボネート、ポリエステル又はナイロンを被
   覆した紙からなる群より選ばれた材料により作ら
   れている特許請求の範囲第１項記載の容器。 ３ 内容器底部と外容器底部との間に、少なくと
   も高さ２mm以上の空間を有する特許請求 の範囲
   第１項記載の容器。 ４ 蓋が開口部を有するものである特許請求の範
   囲第１項記載の容器。