JPH04289299A - 耐熱壁紙 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、難燃性を向上すると共
に火災時の安全性を向上した耐熱壁紙に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、市販されている代表的な壁紙は、
紙や編織物等の各種基材にカレンダー法やコーテング法
により可塑剤、着色剤、充填剤等を配合したポリ塩化ビ
ニル樹脂（以下ＰＶＣと略す）層を形成し、このＰＶＣ
層の表面に印刷、発泡プリント、機械的エンボス等の意
匠層を形成する構成を有している。

【０００３】しかしながら、この壁紙のＰＶＣ層は自己
消火性を有するものの熱により容易に溶融するため、タ
バコの火等のような火種と接触すると溶融ドリップして
穴を生じ、この穴を介して基材層等に延焼してゆくため
十分な難燃性を有するものではなかった。また、火災が
激しくなり高温になるとＰＶＣが熱分解して多量の有毒
性の塩素ガスを発生し、人命に危険が及ぶという問題が
あった。他方、壁紙としては、ＰＶＣ層は壁紙に良好な
成形性（意匠としてのエンボス性や柔軟性等）を付与す
るが、シミを取り込み易い可塑剤を含有するため汚れ易
く、しかもシンナーやベンジン等の溶剤に対する耐溶剤
性が劣るため、これら溶剤を用いて簡単に汚れを除去す
ることができない。また、この壁紙は、雰囲気温度が変
化すると寸法変化（伸び縮み）を生じ易く、その接続部
分に隙間を生じ、意匠効果を損なうという欠点があった
。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
したＰＶＣ層等の自己消火シートを有する壁紙の成形性
を損なうことなく、難燃性を強化し、火災時の燃焼速度
を減速して火災時の危険性を低減した耐汚染性に優れた
壁紙を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】このような本発明の目的
は、セラミック含浸基布Ａ、自己消火性シートＢ、不燃
・不融性の耐熱フィルムＣ、意匠層Ｄ及び硬度が鉛筆硬
度Ｈ以上である硬化層Ｅを、前記セラミック含浸基布Ａ
の上にＥ／Ｄ／Ｃ／Ｂ／Ａ又はＥ／Ｃ／Ｄ／Ｂ／Ａの順
に積層した耐熱壁紙により達成することができる。

【０００６】このセラミック含浸基布Ａは難燃性を有し
、しかも耐熱フィルムＣは溶融ドリップして穴を生ずる
ことがなく、熱分解して有毒ガスを発生することがない
ため、この耐熱フィルムＣを積層し、自己消火性シート
Ｂが高温の火種や炎に直接接触しないように保護するこ
とにより、壁紙の成形性を損なうことなく、その難燃性
の強化と火災時の燃焼速度の減速と共に安全性並びに耐
汚染性に優れたものにすることができる。

【０００７】本発明において、硬化層Ｅの硬度を示す鉛
筆硬度Ｈ以上とは、ＪＩＳＫ５４００に規定されている
鉛筆引っかき法に準じて測定した値をいう。図１は、こ
のような本発明の耐熱壁紙の１例を示す断面図である。 図１に示すように、本発明の耐熱壁紙１は、セラミック
含浸基布Ａの上に、自己消火性シートＢ、耐熱フィルム
Ｃ、意匠層Ｄ及び硬度が鉛筆硬度Ｈ以上の硬化層ＥをＥ
／Ｄ／Ｃ／Ｂ／Ａの順に積層した構成を有している。

【０００８】本発明の耐熱壁紙１を構成するセラミック
含浸基布Ａは、紙、織物、不織布等に無機化合物やシリ
コーン系化合物を含浸付着することにより、セラミック
化してある。このセラミック化により、紙、織物、不織
布等に難燃性を付与し、火災時の燃焼や延焼を防止する
。この無機化合物としては、リン酸アンモニウム等の無
機リン系化合物、無機酸アンモニウム塩等の含窒素化合
物、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、水ガラス等
の珪酸ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム
がある。紙、織物、不織布等の基布に対する無機化合物
やシリコーン系化合物の含浸量は、その表面をセラミッ
ク化し、難燃性を付与するに足る量であればよく、特に
限定されるものではない。

【０００９】また、自己消火性シートＢは、自己消火性
の各種重合体からなるシートがある。自己消火性重合体
としては、ポリフェニレンサルファイド（ＰＰＳ）、ポ
リビニルフルオライド（ＰＶＦ）、ポリビニルジフルオ
ライド（ＰＶＤＦ）、弗素化エチレン−プロピレン共重
合体（ＦＥＰ）、エチレン−弗化エチレン共重合体（Ｅ
ＴＦＥ）、ポリ塩化ビニル（ＰＶＣ）、ポリビニルジク
ロライド（ＰＶＤＣ）等の可塑性を有する重合体がある
。これらの中で、着火した後約１０秒間以内に消火する
性質を有するポリフェニレンサルファイド（ＰＰＳ）か
らなるシートを使用することが望ましい。これら自己消
火性シートＢの厚さは、特に限定されるものではないが
、好ましくは自己消火性を有する重合体からなる厚さが
２００μｍ以下の有毒ガスの発生量の少ない薄膜シート
を使用するのがよい。

【００１０】また、耐熱フィルムＣとしては、不燃・不
融性の有機重合体、好ましくは少なくとも５００℃の温
度で炭化する性質を有する有機重合体からなるものが望
ましい。このような有機重合体の例としては、芳香族ポ
リアミド、ポリイミド、ポリアミドイミドがある。この
耐熱フィルムＣは厚くなると壁紙の可撓性又は柔軟性を
低下させるためクッション性や触感並びに成形性が悪化
する。このため、自己消火性シートＢの溶融ドリップ及
び熱分解の抑制効果を悪化させない限り、できるだけ薄
くすることが望ましい。通常２００μｍ以下、好ましく
は６〜１００μｍ程度にするのがよい。

【００１１】また、意匠層Ｄは、着色層、印刷層、金属
等の蒸着層や金属箔並びにエンボス等の凹凸模様層等の
壁紙表面に意匠効果を付与するものであればよく、特に
限定されるものではない。この意匠層Ｄは耐熱フィルム
Ｃと硬化層Ｅとの間又は耐熱フィルムＣと自己消火性シ
ートＢとの間に介在するように積層することができる。 また、これらを組み合わせてＥ／Ｄ／Ｃ／Ｄ／Ｂ／Ａに
なるように積層してもよい。着色層としては、着色剤の
塗布層、着色剤を添加した合成樹脂からなる塗膜層等が
ある。また、印刷層としては、グラビヤ、オフセット、
スクリーン等の印刷により版面にインキを塗布して形成
した絵柄や文字等を転写した層がある。この転写層のイ
ンキとして耐熱フィルムＣに対する密着性の良好な有機
溶剤タイプのインキ、油性インキ又はＵＶインキ等を使
用し、印刷は全面印刷であっても部分印刷であってもよ
い。さらに蒸着層としては、アルミ等の高真空中で加熱
蒸発し、上記耐熱フィルムＣ面に凝着した薄膜を形成す
るものがある。

【００１２】本発明の耐熱壁紙は、その意匠層Ｄ面上に
硬度が鉛筆硬度Ｈ以上である硬化層Ｅが設けられる。こ
の硬化層Ｅを設けることにより意匠層Ｄの保護効果を高
めると共に壁紙表面に傷等が付き難くし（耐擦傷性）、
耐汚染性、耐溶剤性、耐熱性等を向上し、光沢を付与す
ることができる。この硬化層Ｅとしては、プラスチック
の表面を硬化、保護するために適用されている各種ハー
ドコート剤からなる層がある。上記ハードコート剤の例
としては、たとえばメチルトリエトキシシランやフェニ
ルトリエトキシシラン等のオルガノシラン系化合物、エ
ーテル化メチロールメラミン等のメラミン系化合物、ク
ロルトリフルオロエチレンやテトラフルオロエチレン等
の含弗素系化合物がある。この硬化層Ｅは、耐熱壁紙の
意匠層Ｄの上に前述のハードコート剤を塗布して熱的に
硬化する法（熱硬化法）、ポリオールアクリレート、ポ
リエステルアクリレート、ウレタンアクリレート等の多
官能アクリレート系化合物又は前記オルガノシラン系化
合物を紫外線、電子線、放射線等の活性化エネルギー線
を用いて硬化する法（活性化エネルギー線硬化法）、各
種有機化合物やオルガノシラン等のプラズマ重合法、含
金属化合物、サーメット、セラミックス高分子のスパッ
タリング法、金属や合金等のイオンプレーテング法等の
デポジット法と総称される方法により形成することがで
きる。

【００１３】本発明の耐熱壁紙の製造方法は、上述した
セラミック含浸基布Ａの上に自己消火性シートＢを接合
し、その上に耐熱フィルムＣを接合した後、その表面に
意匠層Ｄを、順次形成する方法が一般的である。しかし
、耐熱フィルムＣには予め自己消火性シートＢや意匠層
Ｄを貼り合わせ、一体化したものを使用してもよい。 また、セラミック含浸基布Ａは、紙、不織布等に予め自
己消火性シートＢを接合し、さらにその上に耐熱フィル
ムＣを接合した後、前記紙、不織布等に無機化合物やシ
リコーン化合物等を含浸付着せしめてセラミック含浸基
布Ａを形成することができる。

【００１４】このセラミック含浸基布Ａと自己消火性シ
ートＢとの間や自己消火性シートＢと耐熱フィルムＣと
の間を、それぞれ貼り合わせ一体化する接着剤としては
、たとえば反応型又は自己架橋型のポリアクリル酸エス
テル系接着剤、熱硬化性ウレタン系接着剤、エポキシ系
接着剤、耐熱性に優れたポリイミド系接着剤やポリアミ
ド・イミド系接着剤並びに難燃剤を配合し、難燃性を付
与した接着剤、エチレン−酢酸ビニル共重合体やポリア
ミド等の熱溶融型接着剤を挙げることができる。また、
硬化層Ｅは、意匠層Ｄの上に前述のハードコート剤を塗
布、スプレ−等によりコーテングし、硬化させることに
より形成することができる。

【００１５】

【実施例】ポリエステル繊維とレ−ヨンとの混紡比５０
／５０のポリエステル繊維／レ−ヨン混繊糸からなる平
織物に（水酸化アルミニウム）を含浸したセラミック含
浸基布Ａに、自己消火性シートＢの厚さ５０μｍのポリ
フェニルサルファイドシート（東レ製“トレニナ”）を
貼り合わせ、その上にデュポン社製の厚さが約２５μｍ
のポリイミドからなる耐熱フィルムＣを接合した。基布
Ａと自己消火性シートＢとの接着並びに自己消火性シー
トＢと耐熱フィルムＣとの接着には、いずれも大日精化
工業株式会社製のウレタン系接着剤　”セイカボンド”
　Ｅ２６０／Ｘ２６）を用いた。

【００１６】次いで前記ポリイミドからなる耐熱フィル
ムＣ面に柄プリント，機械的エンボス加工を施し凹凸模
様からなる意匠層Ｄを形成した。この意匠層Ｄ表面にメ
チルトリエトキシシランとフェニルトリエトキシシラン
との混合物からなるオルガノシランに硬化触媒等を配合
した固形分濃度が約３０％のハードコート液をスプレー
し、１１０　℃で約１時間加熱し、厚さが約２μｍの硬
化層Ｅを形成した。

【００１７】得られた本発明の壁紙について、次のタバ
コ火種溶融テスト、４５度表面着火テスト、表面試験、
燃焼試験及び耐汚染性試験を行い、その結果を表１に示
した。また、比較のため、市販のポリ塩化ビニル製壁紙
（本発明品において硬化層Ｅと耐熱フィルムＣを除いた
壁紙に相当する）にいて同様の試験を行い、結果を表１
に示した。 タバコ火種溶融テスト：着火したタバコの灰を壁紙表面
に落とし溶融及び穴の発生の有無を観察した。 ４５度表面着火テスト：ＪＩＳＡ１３２２に規定されて
いる方法に準じて、２５ｃｍ×３０ｃｍの試験片を４５
度に傾斜させて、空気中で都市ガス炎を１０秒間接触さ
せ燃焼状態を観察して評価した。 表面試験：ＪＩＳＡ１３２１に規定されている方法に準
じて、排気温度曲線と標準温度曲線で囲まれた部分の面
積ｔｄθ（℃×分）と煙係数ＣＡとを測定した。 燃焼試験：ガスライターによより燃焼したときの刺激臭
の有無を調べた。 耐汚染性試験：複写機に使用するトナー粉を壁紙表面に
付着させ、４０℃，８０％ＲＨの雰囲気に２４時間放置
した後、雑巾で拭き取りトナー粉の除去状態を調べた。

【００１８】 　　表１から、本発明品は従来品に比べて難燃性及び火
災時の安全性が著しく向上し、耐汚染性にも優れている
。

【００１９】

【発明の効果】本発明によれば、難燃性のセラミック含
浸基布Ａ上の自己消火性シートＢを設けてその良好な成
形性を確保すると共に、この自己消火性シートＢに不燃
・不燃性の耐熱フィルムＣを積層保護することにより、
自己消火性シートＢに高温の火種や炎が直接接触して溶
融ドリップするのを抑制し、熱分解して有毒ガスが発生
するのを抑制することができ、さらに難燃性の強化と共
に火災時の燃焼速度の減速による安全性を向上する。し
かも、耐汚染性や寸法安定性を向上することができる。

【００２０】さらに、この耐熱壁紙の意匠層Ｄの上に硬
化層Ｅを設けたので、意匠層Ｄの保護効果と表面の耐擦
傷性をより一層向上すると共に光沢、耐汚染性、耐溶剤
性、耐熱性等の優れたものにすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の耐熱壁紙の１例を示す断面図である。

【符号の説明】

１　　耐熱壁紙　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　Ａ　　セラミック含浸基布 Ｂ　　自己消火性シート　　　　　　　　　　　　　　
　　Ｃ　　耐熱フィルム

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　セラミック含浸基布Ａ、自己消火性シ
   ートＢ、不燃・不融性の耐熱フィルムＣ、意匠層Ｄ及び
   硬度が鉛筆硬度Ｈ以上である硬化層Ｅを、前記セラミッ
   ク含浸基布Ａの上にＥ／Ｄ／Ｃ／Ｂ／Ａ又はＥ／Ｃ／Ｄ
   ／Ｂ／Ａの順に積層した耐熱壁紙。