JPH0427517Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はドライクリーニング機全般に応用でき
るドライクリーニング機用ドラムに関するもので
ある。

（従来の技術） 第３図に従来のドライクリーニング機の処理槽
の断面図を示す。図において１はドラム、２はド
ラム外周多孔板、３は孔、４は処理槽、５はシヤ
フト、６はドア、７は排出口、８はスプレーノズ
ルである。

ここで操作について説明すると、ドア６を解放
して、シヤフト５に固定されたドラム１内へ処理
衣料を投入する。次いで溶剤による洗浄、脱液
後、ドラム１を回転させながらドア６に固定され
たスプレーノズル８から、仕上剤が衣料に散布さ
れる。この仕上剤は衣料に付着し、付着しない余
分の仕上剤は、ドラム１外周の多孔板２の孔３か
ら流出し、処理槽４の下部に設けられた排出口７
から排出される。そしてスプレーした後は、処理
槽４の外部からドラム１内へ吹込まれる熱風によ
る乾燥が行なわれる。

以上の如く従来のドラムでは、仕上剤をスプレ
ーノズル８により散布するが、シリコン樹脂系仕
上剤等のように仕上剤の粘度が高い場合には、衣
料から出る羽毛と仕上剤とが固着し、ドラム１の
内外面、処理槽４の内面に厚い槽となつて付着す
る。これによりドラム１の多孔板２の孔３が埋め
られる。この現象により次の不具合が生じてい
た。

即ち、ドラム１を処理槽４から取り出して掃除
する必要が生じ、そのサイクルが短くなつて経費
がかかると共に、仕上剤の付着しすぎによる処理
衣料の商品価値が低下する欠点があつた。

また溶剤の流れが悪くなり、洗浄効果の低下を
きたすと共に、脱液による溶剤の振り切りが不充
分となり、乾燥時間が長くなる欠点があつた。更
に乾燥熱風の通過が悪くなつて乾燥不充分とな
り、かつ処理工程時間が長くなる欠点があつた。

更に従来も実開昭和56−14584号公報において、
洗濯兼脱水槽の外表面に撥水コーテイングを施し
た洗濯機が提案されている。この公報に示すもの
は逆汚染を防止する目的で、洗濯兼脱水槽の外表
面のみに四弗化エチレンなどをコーテイングした
ことにより、石けんかすの滞留を困難にし、石け
んかすが溜まつて洗濯物の逆汚染となる事態を回
避するものであるが、ドラムの内周面にはコーテ
イングはされておらず、付着物の剥離は不充分で
あつた。

また従来も実開昭56−6387号公報において、回
転槽を有する脱水兼用洗濯機が提案されている
が、前記回転槽は回転軸が垂直にもうけられてい
て、水平方向に配設されたものではない。従つて
回転槽の外周面の水平方向位置は回転槽が回転し
ても前後左右に変化するだけである。

また回転槽と水受槽間の同回転槽の高さ一杯の
長さをもつたブラシが配設されており、このブラ
シで水受槽と回転槽間の付着物を除去するもので
ある。そしてブラシによつて掻き取られた付着物
はそのまま下方の槽底に落下してしまつて、横置
きのドラムのようにスクレーパにより付着剤が持
ち上げられるような動作はしない。従つて実開昭
56−6387号公報に示しものも付着物の剥離は十分
ではない。

（考案が解決しようとする問題点） 前記従来の技術の如くドラムの外周面に撥水コ
ーテイングを施しただけのものは、付着物の剥離
は十分でなく、また外周にブラシを配設したもの
は、ドラムが垂直配置であるため、掻き落とされ
た付着物は全て下方に落下して上方に持ち上げら
れるような作用はせず、またブラシは摩耗の問題
もあり、付着物の剥離が十分には出来ない等の問
題があつた。

本考案は前記従来の問題を解消し商品価値の向
上と、経費低減を図ると共に、効率よく付着物の
剥離ができるドライクリーニング機用ドラムを提
供しようとするものである。

（問題点を解決するための手段） このため本考案は、処理槽内に回転自在に配設
された多孔のドライクリーニング機用ドラムにお
いて、同ドラムは水平方向に配設されたシヤフト
によつて回転すると共に、内外周面全域にわたつ
てエチレン樹脂がコーテイングされており、かつ
同ドラムにはドラム軸方向に上下に階段状で、か
つ左右に隣接するものとの左右間隔があかないよ
うに、複数個の直方体状のスクレーパを外周に固
着してなるもので、これを問題点解決のための手
段とするものである。

（作用） 本考案は前記の如くドラムの内外周面に付着物
に対して剥離性のよい、例えばテトラフロルエチ
レン樹脂のようなエチレン樹脂をコーテイングす
ることにより、付着物の剥離が容易になり、ドラ
ムの掃除のサイクルを大巾に延ばすことができ
る。またドラムの外周にスクレーパを固着したこ
とにより、ドラムと処理槽の間の付着物を除去
し、洗浄効率の向上と、乾燥効率の向上を図り、
処理時間の短縮を図ることができる。即ち、ドラ
ムの外周にはドラム軸方向の上下に階段状で、か
つ左右に隣接するものとの左右間隔があかないよ
うに、複数個の直方体状のスクレーパが固着して
あるので、ドラムが回転すると、処理槽とドラム
間に滞留している付着物は、軸方向にわたり全て
掻き取られ、しかも直方体状のスクレーパの角に
より効率的に掻き落とされる。またスクレーパは
複数個が軸方向に上下に階段状に固着されている
ため、スクレーパにより掻き取られて持ち上げら
れても、スクレーパの側部から落下するものもか
なりある。従つてスクレーパで掻き取つた付着物
を持ち上げるための大きな動力は必要ではない。

（実施例） 以下本考案の実施例を図面について説明する
と、第１図は本考案のドライクリーニング機用ド
ラムの実施例を示し、図中２はドラム外周多孔
板、３は孔、４は処理槽、５はシヤフト、６はド
ア、７は排出口、８はスプレーノズルで、これら
は第３図の従来のものと同一であるので、これら
の詳細な説明は省略する。

第１図において、第３図と相違する点は、ドラ
ム１ａの内外周面全域にわたつてテトラフロルエ
チレン樹脂のようなエチレン樹脂をコーテイング
すると共に、ドラム軸方向に上下に階段状で、か
つ左右に隣接するものと左右間隔があかないよう
に、複数個の直方体状のスクレーパ９を外周に固
着した点である。このスクレーパ９はドラム１ａ
の回転方向ａに対して、第２図の如くｂの角度で
固着してもよい。

次に第１図の実施例について作用を説明する
と、ドア６を開放してシヤフト５に固定されたド
ラム１ａ内に処理衣料を投入し、溶剤により洗浄
し、脱液する。脱液後ドラム１ａを回転させなが
らドア６に固定されたスプレーノズル８から仕上
剤を衣料に散布して付着させ、付着しない余分の
仕上剤は、ドラム１ａの外周の多孔板２の孔３よ
り流出し、処理槽４の排出口７より排出される。
この場合、スクレーパ９は処理槽４とドラム１ａ
間の付着物を除去する。

即ち、ドラム１ａが回転すると、処理槽４とド
ラム１ａ間に滞留している付着物は、スクレーパ
９により除去されるが、同スクレーパ９は左右間
隔があかないように複数個設けられ、かつ直方体
状に形成されているので、軸方向にわたり付着物
は効率よく全て掻き取られる。またスクレーパ９
により掻き取られ、かつドラム１ａの半周部にお
いて持ち上げられる付着物は、スクレーパ９の側
部から落下するものが多く、スクレーパ９により
付着物を持ち上げるための大きな動力は必要でな
い。また第２図の場合は、除去された固形分を角
度ｂによる分力の矢印ｃの方向、即ち排出口７の
方向へ移動させる。

（考案の効果） 以上詳細に説明した如く本考案は、ドライクリ
ーニング機用ドラムの内外周面全域にわたつてエ
チレン樹脂をコーテイングすると共に、同ドラム
の外周にスクレーパを固着したので、積極的に付
着物の剥離を図り、ドラムを処理槽より取出して
掃除するサイクルを大巾に延ばすことができる。

またドラムが回転すると、処理槽とドラム間に
滞留している付着物は、ドラム外周に固着された
スクレーパにより除去される。即ち、スクレーパ
は左右に隣接するものと左右間隔があかないよう
に複数個設けられ、かつ直方体状物で形成されて
いるので、前記の付着物は全て掻き取られ、しか
も直方体状の角により付着物を効率よく掻き落と
すことができる。またスクレーパはドラム軸方向
に上下に階段状に設けられているので、ドラムの
回転の半分の位置では付着物をスクレーパで持ち
上げるようにして掻き取ることになる。そこでド
ラム軸方向、即ち左右に連続した１本のスクレー
パであれば、付着物を持ち上げるために大きな動
力を必要とするが、本考案ではスクレーパは複数
個に分割してあるため、１個のスクレーパで掻き
取られた付着物は、その側部から落下するものが
かなりある。従つて付着物の持ち上げのための大
きな動力の必要はない。

従つて本考案よると、溶剤の流れがよくなつて
洗浄効率が向上し、かつ脱液の振り切りが向上し
て乾燥時間の短縮を図ることができる。更にドラ
ム内に乾燥熱風が通過し易くなり、乾燥状態が良
好になると共に、処理工程時間の短縮を図ること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示すドライクリーニ
ング機用ドラムの側断面図、第２図はスクレーパ
の第１図と異なる取付状態を示す説明図、第３図
は従来のドライクリーニング機用ドラムの側断面
図である。 図の主要部分の説明、１ａ……ドラム、２……
ドラム外周多孔板、３……孔、４……処理槽、５
……シヤフト、７……排出口、９……スクレー
パ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 処理槽内に回転自在に配設された多孔のドライ
   クリーニング機用ドラムにおいて、同ドラムは水
   平方向に配設されたシヤフトによつて回転すると
   共に、内外周面全域にわたつてエチレン樹脂がコ
   ーテイングされており、かつ同ドラムにはドラム
   軸方向に上下に階段状で、左右に隣接するものと
   の左右間隔があかないように、複数個の直方体状
   のスクレーパを外周に固着したことを特徴とする
   ドライクリーニング機用ドラム。