JPH0427082Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 この考案は直進形大電力用に適するクライスト
ロン可変周波数共振空胴に関する。

〔考案の技術的背景およびその問題点〕

直進形クライストロンは複数の共振空胴がドリ
フト管により接続され、電子ビームが速度変調さ
れる。このうち、所定の共振空胴として周波数可
変チューナ板が装着された空胴が用いられる。空
胴部がセラミツクのような誘電体で真空気密が保
たれ、それの外周にいわゆる箱形の外付空胴が取
り付けられるものがあるが、特に周波数が比較的
高い場合や、セラミツク電力損失が不都合を招く
場合などではむしろ内部空胴形、すなわち、空胴
壁が真空容器を兼ねる構造のものが有利である。

この内部空胴形の場合、空胴壁が箱形であると
一般的に気密接合箇所が多くなり、高周波損失に
よる過熱が生じ易い。このため信頼性に乏しく且
つ高いＱ値を得にくい不都合がある。またドリフ
ト管間隙部の高周波電磁界分布が所望のTM₀₁モ
ードが得にくい傾向がある。

〔考案の目的〕

この考案の目的は、上記の不都合を解消し、真
空気密接合箇所が比較的少なく、組立も容易で且
つ比較的安定なTM₀₁モードを得やすいクライス
トロンの可変周波数共振空胴を提供することにあ
る。

〔考案の概要〕

この考案は円筒状の空胴ブロツクの外側面一部
を平坦面状に切削し、この面から内方に矩形状に
チユーナ板装着用孔を形成し、両端開口部にドリ
フト管をもつ一対の空胴端板を気密接合した構造
を有するものである。そして孔の内部にダイヤフ
ラムを有するチユーナ板が設けられ、チユーナ板
可動軸が真空ベローズにより気密に且つ可動的に
支えられてなるものである。

〔考案の実施例〕 以下図面によりこの考案の実施例を説明する。
なお、同一部分は同一符号であらわす。

第１図乃至第５図に示す実施例は直進形大電力
クライストロンの入力空胴およびそのすぐ下流の
空胴にこの考案を適用した場合である。

電子銃側のポールピース１１に入力側の第１ド
リフト管１２が接続され、入力空胴１３を構成す
る円筒状空胴ブロツク１４、第２ドリフト管１
５、第２の空胴ブロツク１６、第３ドリフト管１
７が縦列に接続されている。各空胴ブロツクの開
口端部には空胴内に突出する円筒状ドリフト管部
１８，１９を有する一対のリング状空胴壁端板２
０，２１が気密鑞接されている。各端板はドリフ
ト管に各々適合され、内部に電子ビームが通され
る。なお、図中の符号２２は入力結合用の同軸端
子、２３はチユーナ、２４はチユーナ板をあらわ
している。

この考案の空胴構造について第２空胴２５も実
質的に同じ構造であるが、入力空胴１３で説明す
る。空胴ブロツク１４は所定の内、外径寸法をも
つ銅の円筒を所定の長さ寸法に切断した部品か
ら、その外側一部を平坦面に切削して平坦切削面
２６を形成してある。この平坦切削面２６から内
方に向けて矩形状のチユーナ板装着用孔２７が内
面まで連通して穿設されている。そしてこの切削
面２６にチユーナ２３の支持基板２８が気密鑞接
により接合、固定される。円筒状の空胴ブロツク
１４の両開口端部には、前述の一対の端板１８，
１９が気密接合され、これらによつて空胴壁が構
成されている。そして孔２７の内壁及び又は端板
１８，１９の、管軸Ｃに垂直な方向の相対向面１
８ａ，１９ａに、チユーナ板２４の両翼のダイヤ
フラム２４ａが鑞付け固定され、電気的に結合さ
れている。チユーナ板２４の側面はわずかな間隙
ｇを保って設けられている。チユーナ板支持体２
４ｂに可動軸２９が固定され同軸状に設けられた
真空ベローズ３０、可動軸支持体３１により真空
が保たれ、ギア３２により図の左右に移動させら
れるようになつている。なお、図中の符号３３は
チユーナのカバー、３４は入力結合同軸端子の支
持ブロツク、３５はその結合ループ、３６は端子
カバーをあらわしている。

〔考案の効果〕

この考案によれば、共振空胴は単一の円筒状空
胴ブロツクと一対の端板、およびチューナとの気
密接合部により真空容器が構成されているため、
気密接合箇所が比較的少なく、したがつて信頼性
が高い。そして空胴のTM₀₁モードの高周波電流
の一部は第４図に点線矢印ｉで示すように両端板
に結合されたチユーナ板のダイヤフラムを通して
流れる。このため、高周波電流はダイヤフラムの
鑞接部、および空胴ブロツクと端板との鑞接部を
流れるだけであるため、不所望な過熱を生じる可
能性が従来のものに比べて格段に少ない。そして
所定のTM₀₁モードを乱すおそれも少ないなど、
実用性にすぐれている。そして空胴ブロツクの切
削や孔の穿設、チユーナの取付けも平面状切削面
部での接合でよいので、組立てがきわめて容易で
あり、また、機械的強度も強く、信頼性も高い。
なお、切削面は、一部に階段状の段差を有する形
状、あるいは一部にテーパ面又は曲面を有してい
てもよく、要するに円筒状ブロツクの外周面に対
して実質的に平面状をなす形状であれば、以上の
効果を有するのでそのようにしてもよいことは当
然である。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例を示す縦断面図、第
２図はその要部横断面図、第３図は同じくその要
部斜視図、第４図はその要部拡大縦断面図、第５
図はその要部斜視図である。 １３，２５……共振空胴、２３……チユーナ、
１８，１９……ドリフト管部、２０，２１……端
板、１４，１６……空胴ブロツク、２４……チユ
ーナ板、２４ａ……ダイヤフラム、２７……孔、
２８……チユーナ支持基板、２９……可動軸、３
０……真空ベローズ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 単一の筒状空胴ブロツクの外側面の一部が平面
   状に切削され、この切削面から内方に向けて矩形
   状にチユーナ板装着用孔が穿設されて筒状空胴壁
   が構成され、上記筒状空胴壁の両端開口部にドリ
   フト管部をもつ一対の空胴端板が気密接合され、
   上記チユーナ板装着用孔の内部にダイヤフラムを
   有するチユーナ板が設けられるとともに前記ダイ
   ヤフラムの端部が該孔の内壁及び又は上記端板の
   管軸に垂直な方向の相対向面に電気的に短絡固定
   されてなり、上記チユーナ板に可動軸の一端が固
   定され、他端が空胴壁から外方に突出させられ、
   上記平坦切削面に真空ベローズが設けられたチユ
   ーナ支持基板が気密接合され、前記真空ベローズ
   の外端部に上記可動軸の外方端が機械的に固定さ
   れ、且つ気密封止されてなることを特徴とするク
   ライストロンの可変周波数共振空胴。