JPH0427076B2 - - Google Patents

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JPH0427076B2
JPH0427076B2 JP3409688A JP3409688A JPH0427076B2 JP H0427076 B2 JPH0427076 B2 JP H0427076B2 JP 3409688 A JP3409688 A JP 3409688A JP 3409688 A JP3409688 A JP 3409688A JP H0427076 B2 JPH0427076 B2 JP H0427076B2
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water
sheet
resistance
sheets
test
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JP3409688A
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Kunio Maeda
Terumi Nakada
Yasuaki Kitazaki
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Nichiban Co Ltd
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Nichiban Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、各種海生生物の付着を防止すること
ができる船舶その他の接水構造物に関するもので
ある。
従来、船舶の接水表面には、フジツボ、ムラサ
キイガイ等の各種貝類及び藻類などの海生生物が
付着して摩擦抵抗が増え、航行その他の障害とな
るため、これらの海生生物の付着繁殖を防止する
ために種々の手段が講じられている。例えば、水
中において微量づつ溶出する海生生物に対して毒
性となるものを含有する塗料を、接水表面に塗布
する方法があるが、この塗料は半年から長くて2
年位で効果が無くなるので、その度に塗り替えな
ければならず、その手間と費用が大変である。そ
こで、こうした欠点を解消するために、海生生物
の付着防止効果のある銅板や銅合金板をタイル状
に細分化し、建築物において普通に行われている
壁面等の外装タイルとほぼ同様に絶縁性接着剤で
接水面に貼付けるようにしたものが提案されてい
るが、いわゆる目地に当る部分に海生生物が付着
し易いし、摩擦抵抗の増加を防ぐことなどについ
ても充分なものではない。また、銅薄板のテープ
を接着剤によつて接水表面を覆うように貼付ける
ものが提案されているが、貼付け方法に配慮が払
われておらず、抵抗の増大防止などについても充
分ではなく、未だ満足のいくものが少い。
本発明者は、銅または銅合金の薄板製の海生生
物付着防止用の帯状のシートを、船舶等の接水構
造物の接水表面に貼る場合の貼り方、水の流れ方
向に対する貼付け角度等が、水に対する抵抗に関
してどのような影響があるかについて種々研究し
た結果、上記シートの貼り方、貼付け角度等が水
に対する抵抗に影響していることを見出し、かゝ
る知見に基づいて本発明を完成したものである。
本発明は、海生生物付着防止用の帯状のシート
を、船舶等の接水構造物の接水面に順次貼付けて
これを覆うとき、該シートを船舶等の進行方向
(船首側)に向けて前下りに傾斜させ、喫水線に
対して約60度の角度を中心とするような状態に貼
付けるようにしたものである。
以下その詳細について述べれば、接水構造物の
接水面に接着する海生生物付着防止用のシート1
は、銅またはこれにニツケルを約0〜20重量部含
有させた銅・ニツケル合金等の銅合金製で、厚味
を約0.05〜0.5mm程度とし、例えば幅約10〜40cm、
長さ約1〜20m位にした帯状の基材2を有する。
この基材は更に広巾のものとしたり、適宜長さに
切断可能な更に長いものとすることができる。こ
の基材の一面に適宜プライマー層3を形成し、そ
の上に耐水性、耐候性に優れた粘着剤層4を設け
ており、更にその上に剥離紙5を重ねて帯状のシ
ートにしていいる。上記基材2の表面に剥離剤を
塗布すれば、剥離紙を要することなくこのシート
を巻回状態に保持することができる。
このシート1をヨツト、モーターボート、遊漁
船、漁船、遊覧船その他の接水構造物の接水面に
隙間なく貼る。この場合、FRP製、木製、コン
クリート製等の小型船舶において特に好ましい結
果が得られるが、鋼製の場合にも後記する処理を
すれば良好な結果が得られる。例えば、FRP製、
木製などのヨツト6の船底に貼る場合、予め適当
な方法で船底部分を清掃し、粘着剤の接着に有害
な汚染物質等を充分に除去し、傷がある場合には
これを補修するが、新造船の場合はこうした処理
が省略できる。
この清浄化した船底にはシートを直接貼つて行
つてもよいが、好ましくは先づ船底にプライマー
液を塗布し乾燥後、その上にシートを貼付けて行
くと、一層粘着剤の接着強度を増大し、耐水、耐
候性のある接着構造が得られる。このプライマー
液は、上記シートのプライマー層3に用いるもの
と同様に、後記するプライマー組成物を用いると
効果的である。また鋼製のものの場合には、船体
の表面に絶縁塗装をしてから、上記と同様にシー
トを貼るとよい。このシートは、剥離紙5を剥し
てその粘着剤層4を船体7の満載喫水線よりやゝ
上方から船体浸水表面の接水面8に強力に圧着
し、両者間に気泡が残らないように緊密に接着さ
せる。この場合、船体浸水接水面とシートの間に
気泡が残つていると、水温、気温の上昇に伴つて
気泡内の空気が膨張し、そこに水流や波の影響等
を受けるからシートが剥れる原因になる。
上記シートはその縁部を順次オーバーラツプさ
せながら、浸水表面の全面を覆うように貼つて行
く。この場合、船体の船尾(スターン)9から船
首(バウ)10に向つて、シートの船尾側の縁部
を先に貼付した隣接シートの上に重ね合わせる1
1ように次々と貼つて行き、これらのシートはそ
れぞれ船首側に向つて前下りに傾斜し、喫水線に
対して角度60度内外、すなわちその前後20度の範
囲内の角度となるように傾斜させて貼る。そし
て、船首側に向うと60度よりも角度が小さくなる
ようにし、船尾側に向うと60度よりも角度が大き
くなるように貼つて行くとよく、例えば第2図に
示す23フイート長のヨツトにおける喫水線に対す
るシートの傾斜角度を示すと第4図の説明図のよ
うになる。このようにシートを貼付することによ
り、シート縁部の重ね合せ部分が、船首側、船尾
側でそれぞれ水の流れに沿う方向に延びているの
で、航行速度、水の流れの速さの高低によらず、
水に対する摩擦抵抗が増えず、長期間シートの剥
離や脱落が起らず、スムーズな走行を維持するこ
とができる。上記シートの縁部を重ね合わせて貼
る場合、重ね合わされる部分のシート表面に上記
したプライマー液を塗布して貼付すると上記同様
接着が更に確実になる。船底の中央部分12には
両側方から貼つてきたシートが集つてくるので、
これらの端部を互いに重ね合わせるように貼付す
る。また、満載喫水線よりやゝ上方の部分13
は、斜めに貼つた多数のシートの端部を覆うよう
に船尾側から船首側に喫水線に平行させて貼ると
よい。又、キール14、ラダー15、スケグ16
等にもシートを貼るが、上記と同様前下りの状態
または喫水線と平行する状態に貼るとよく、それ
らの端部が剥れないようにシートを縦方向に貼つ
て覆うようにしたりする。高速遊漁船17、モー
ターボートなどの場合にも、上記ヨツトの場合に
準じて同様なシートを貼付するとよい。
上記シートの縁部を重ね合わせて貼つて行くと
き、上に位置するシート縁部の端面18において
は、粘着剤層4が僅かながら水に対して直接露出
している。そこで、銅または銅合金等の上記シー
トの基材と同様の金属を粉末にして含有させたエ
ポキシ樹脂その他の耐水性、耐候性の樹脂を、シ
ート1の縁部に沿つてその端面18を覆うように
すると、この被覆材19は端面部特にその粘着剤
層に海生生物が付着するのを防止し、接水表面の
水の流れを更にスムーズにすることができる。
上記したシートは、例えば次のようにして提供
される。
前記銅または銅合金製の基材2の上に設けられ
るプライマー層3はエラストマー100重量部に対
し、粘着付与性樹脂約20〜300重量部、エポキシ
樹脂約30〜200重量部およびエポキシ樹脂当量の
硬化剤を主成分とし、必要に応じて老化防止剤約
0.5〜5重量部、このプライマー層上に形成され
る粘着剤に対して銅による劣化促進作用を防止す
るための安定剤を約0.1〜3重量部等を配合する。
上記エラストマーにはエポキシ変性天然ゴム、
メチルメタクリレート変性天然ゴム、スチレン・
ブタジエンゴム、ニトリルゴム、塩素化ゴムおよ
びこれらの変性ゴム等がある。また上記粘着付与
性樹脂には、ポリテルペン系樹脂、フエノール樹
脂、テルペンフエノール樹脂、ロジン系樹脂、ロ
ジンエステル系樹脂およびこれらの水素添加樹脂
があり、また石油系樹脂には、C5系石油樹脂、
C5〜C9共重合系樹脂、C9系石油樹脂およびこれ
らの水素添加樹脂等があり、長期耐候性を必要と
する場合は水素添加樹脂が特に好ましい。また上
記エポキシ樹脂としては、エチレンングリコール
ジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジ
グリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオール
ジグリシジルエーテル等の多官能性エポキシ化合
物がある。これらのエポキシ樹脂の硬化剤には、
ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミ
ン、ジエチルアミノプロピルアミン等のポリアミ
ン類、バーサミド110、バーサミド125、およびバ
ーサミド140(バーサミドはゼネラル・ミルズ社商
品名)、ランキヤストA(チバ・ガイキー社商品
名)等のポリアミド類、無水フタル酸、ドデシル
コハク酸無水物、メチルナジツク酸無水物、メチ
ルテトラヒドロフタル酸無水物等のポリカルボン
酸無水物、その他のポリスルフイド類、ポリメル
カプタン類、ジシアンジアミド類、レゾール型ま
たはノボラツク型のフエノール樹脂、2−エチル
−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−
2−フエニルイミダゾール等のイミダゾール化合
物等がある。また、老化防止剤にはアミン系、ア
ルキルフエノール系、チオウレア系、ベンゾイミ
ダゾール系のものが使用できる。又、上記安定剤
としては、N−イソプロピル−N′−フエニル−
P−フエニレンジアミン、N,N′−ジフエニル
−P−フエニレンジアミン、N,N′−ジ−2−
ナフチル−P−フエニレンジアミン等がある。
上記のプライマー構成成分はその所要量を混合
し、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケト
ン、アセトン、イソプロパノール等の有機溶剤の
単独若しくは2種以上の混合物に溶解し、約1〜
50%(重量%)溶液に形成して基材の所要面に固
型分約1〜20g/m2、好ましくは約3〜10g/m2
になるように塗布し、所要のプライマー層が形成
される。
上記粘着剤層3はエラストマー、粘着付与性樹
脂、加硫剤、老化防止剤、充填剤等を適宜配合し
て構成され、長時間の耐久性を得るため架橋タイ
プのものが特に好ましい。粘着剤層を構成するエ
ラストマー成分としては、天然ゴム、メチルメタ
クリレート変性天然ゴム、ポリイソブチレンゴ
ム、ブチルゴム、スチレン−ブタジエン共重合体
ゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロツク
共重合体ゴム、スチレン−エチレン−ブチレン−
スチレンブロツク共重合体ゴム、再生天然ゴム、
再生ブチルゴム等の耐候性、耐水性の良好なもの
がある。
また粘着付与性樹脂および老化防止剤は前記の
プライマー層において挙げたものの中から適宜選
択して使用でき、また加硫剤および加硫助剤には
反応性フエノール樹脂等の樹脂系のものや、いお
う系のものがある。粘着剤には、クレー、亜鉛
華、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カーボ
ンブラツク、珪酸塩類等の充填剤を添加し、加硫
効果を助長すると共に増量補強効果を上げること
もできる。
本発明を完成するに至つた、接水面に対して上
記シートをどのような貼つたらよいか、貼り方に
よつてどのような差がでるかを検討する為に行つ
たモデル実験の結果を以下に示す。
(1) 試験結果 本試験に用いた試験平板は、シートを貼らな
い試験平板(滑面ということがある)1枚と、
シートを貼つた試験平板4枚の合金5枚であ
る。試験平板の素材として、等方性均質で塑形
変形をほとんど起さず、表面が滑らかなフロー
ト板ガラス(長さ3000mm×巾600mm×厚さ6mm)
20を用いた。この板ガラスの表面に銅製の巾
200mm、厚さ0.25〜0.29mmのシート1の縁部を
巾20mmづつ重ね合わせ、各シートが水面に対し
て0度(第7図)、30度(第8図)、60度(第9
図)、90度(第10図、第11図)の角度とな
るように図面の右側より左側に向つて順次貼付
けた。尚、この板ガラスの前端面と後端面に
は、水切りをよくするために巾50mmの三角形状
の木片21を接着しており、全体の長さは3100
mmになつている(第12図)。
(2) 試験装置と計測機器 (2‐1) 試験水槽 試験水槽22は、観測部寸法が長さ6.0m
×巾2.0m×深さ1.0mである(第13図)。イ
ンペラ(図示略)の回転数を変えることによ
つて流速を変えることができ、流速分布の不
均一性は水深180〜380mmで最大±1%以下
で、試験の評価には影響しない。
(2‐2) 抵抗動力計 試験平板が示す抵抗値の検出には、第15
図に示す船舶用の抵抗動力計23を用いた。
この抵抗動力計はくさり分銅24による自動
平衡方式である。25はくさり分銅を巻取る
回転ドラム、26は差動トランス、27はオ
イルダンバ、28はコイルバネである。
この抵抗動力計の仕様は次のとおりであ
る。
Γ容量 2Kgf Γ精度 ±0.02%F.S.(±0.5g) 尚、この精度は後述のフロート装置を含め
た計測系全体における値である。
(3) 試験方法 (3‐1) 抵抗試験 抵抗試験は、試験平板を試験水槽中に浸る
ように試験装置30にクランプ31で固定
し、試験水槽の一方から、また逆方向から水
を流し、抵抗動力計によつて測定した。この
試験装置は、試験平板20を含めた装置の重
量が、試験水槽の上部両側に設けたタンク3
2に浮かした前後、左右の合計4個のフロー
ト33によつて支持されており、試験平板の
重量が抵抗値に影響するおそれがない(第1
3図、第14図)。
(3‐2) トリツピングワイヤによる乱流促進 本試験は実船における摩擦抵抗の推定を目
的としているから、乱流状態における試験平
板の摩擦抵抗が必要となる。そのために試験
平板の先端部(三角状木片を含めて)から80
mm内側の両側に、直径2.5mmのトリツピング
ワイヤ34を垂直方向に常法により粘着剤で
取付け、流れにかく乱を与えて乱流状態にし
た(第12図、第16図)。
(4) 摩擦抵抗の算出方法 (4‐1) エツジエフエクトと造波抵抗の影響の除
去 有限幅の平板の抵抗値には、摩擦抵抗以外
に平板の底部に発生する渦による抵抗(通
常、エツジエフエクト(Eedge effect)と称
する。)と水面に発生する波による抵抗(造
波抵抗)も含まれており、これらの抵抗を差
し引く必要がある。
エツジエフエクトは一般的にはレイノルズ
数(Rn)の関数であり、造波抵抗はフルー
ド数(En)の関数である。
本試験では、同一の試験平板で喫水をかえ
て抵抗試験を行なうことにより、上記の影響
を考慮した。つまり深い喫水の場合の計測さ
れた抵抗値をRTdとし、浅い喫水の場合の
計測された抵抗値をRTsとすると、それぞ
れ次式で表される。
RTd=RFd+RWd(Fn)+REd(Rn) RHs=RFs+RWs(Fn)+REs(Rn) …… RT:全抵抗 RF:エツジエフエクトと造波抵抗を除
いた抵抗値 RW:造波抵抗 RE:エツジエフエクトによる抵抗増加 Rn:レイノルズ数 Fn:フルード数 ※添字のdは深い喫水の場合、sは浅い喫
水の場合を示す。
ここで流速がほとんど均一であることか
ら、フルード数(Fn)、レイノルズ数(Rn)
共に等しくRWd=RWs、REd=REsと考え
られ、全抵抗の差をとるとエツジエフエクト
と造波抵抗を除去した事になる。
(4‐2) 平板の厚みとトリツピングワイヤの固有
抵抗の考慮 上記エツジエフエクトと造波抵抗以外に、
平板の厚さの影響、乱流促進用のトリツピン
グワイヤの固有抵抗の影響及び平板の前縁近
傍が層流であることを考慮する必要がある。
実際には平板に厚みがあり、これによる抵
抗増加がある。この抵抗増加の係数はジー・
ヒユーズ(G.HUGHES)によつて見出され
ており、ここでも、この修正方法を用いるこ
ととした。同氏の「フリクシヨン アンド
フオーム、レジスタンス イン ターブレン
トフロー、ンド プロポーズド フオーミユ
レーシヨン フオー ユース モデル アン
ド シツプ コリレーシヨン」(1954、
VOL.96 テイアイエヌエイ)〔Eriction and
Form Resistance in Turbulent Flow、
and Proposed Formulation for Use
Model and Ship Correlation(1954、
VOL.96 TINA)により、 P=0.486×1/2ρAV2 ……… P:厚みによる抵抗増加 ρ:水の密度 A:流れに直角な平面への物体の投影面
積(=平板の厚さ×平板の喫水) V:流速 次にトリツピングワイヤの固有抵抗の修正
は次式により修正した。
Rst=1/2ρAVX 2CD ……… A :トリツピングワイヤの流れに直角
な平面の投影面積 VX:トリツピングワイヤの径kにおけ
る流速 CD:抵抗係数 この抵抗係数(CD)の値は、上記ジー・
ヒユーズ(G.HUGHES)の文献と、田古里
哲夫著「乱流促進について」(昭和36年、造
船協会論文集第109号)を参考にしてCD
0.65とした。
前縁からトリツピングワイヤ34の間の流
れは層流である。これは抵抗低下となつて現
われている。既存の摩擦抵抗係数は乱流に対
して求められており、この修正を行う必要が
ある。摩擦抵抗は、境界層の運動量厚さθに
よつて表示することができる。
Df=ρθV2 ……… θ=1/V2 0u(V−u)dy ……… この運動量厚さは、粘性抵抗によつて失わ
れる運動量∫ 0ρu(V−u)dyが、非粘性流れ
の場合に壁面からθの点により内部にある流
体の運動量ρV2θに相当する(第16図参
照)。乱流と層流で運動量厚さの発達は異な
るが運動量厚さが等しければ摩擦抵抗は等し
いことがいえる。
平板の前方の層流境界層厚さ35とトリツ
ピングワイヤによる運動量厚さの増加36の
和を乱流境界層の運動量厚さ37と等価にお
きかえるようにする。そこでトリツピングワ
イヤによる運動量厚さの増加は式より、平
板の前縁から乱流になる点(遷移点と称す。)
までの層流の運動量厚さはブラシウス
(Blasius)による平板層流境界層の計算結果
より求めた。
第16図に平板と運動量厚さの関係を示
す。
図中の乱流の仮想原点38とは、層流部分
の運動量厚さθLとトリツピングワイヤによ
る運動量厚さの増加△θの和が乱流の運動量
厚さθTDが等しくなるよう仮想原点を決めら
れている。このような表現にすると遷移点
XTより後方の乱流摩擦抵抗係数は実質的な
レイノルズ数Rex(VXT/〓)によつて容易に求
めることができる。
遷移点は、エツチ・シユリヒテイング「バ
ンダリー レイヤー セオリー」(1978、マ
ツク グローヒル カンパニ)〔H.
Schlchting:Boundary Layer Theory
(1978、Mac Graw−Hill Co.)〕の文献より XKT=2×104×K/V・ν ……… XKT:トリツピングワイヤから遷移点ま
での距離 ν :動粘性係数 k :トリツピングワイヤの径 仮想原点の概念により、本試験摩擦抵抗係数
CFは式を考慮して次のようにして求めた。
CF=RFd−RFs−P/1/2ρSV2 ……… P:厚みによる抵抗増加 式より S:仮想原点から平板の後縁までの長さ
(第16図のXEL)の浸水表面積 (5) 試験結果 シートを貼付した各試験平板と、対称のシー
トを点付しない滑面の試験平板(フロート板ガ
ラスのみ)の摩擦抵抗係数の差を、レイノルズ
数(Rn)が3.0×106、5.0×106及び7.0×106
場合について調べたところ第17図〜第19図
に示す結果を得た。この図中シートの傾斜角度
が「+」とは第8図〜第10図において矢印3
9方向に水が流れている状態のときを指し、そ
の角度が「−」とは矢印39の逆方向に水が流
れている状態のときを指す。
この試験の結果によれば次のことが判る。
シート材の貼付け角度が「−」の場合の方
が、「+」の場合よりもレイノルズ数の大小
によらず摩擦抵抗が小さい。すなわち、水の
流れの上流側に向つて前下りに傾斜させてシ
ートを貼着した方が摩擦抵抗が小さい。
シートの貼付け角度は−(60±20)度程度
のときに更に摩擦抵抗が小さくなる。
シート材を貼付けた試験平板の摩擦抵抗係
数は、レイノルズ数が大きくなるほど滑面に
近づく傾向がある。これは通常の粗度平板の
傾向とは異なつている。
(6) 考 察 シートの貼付け角度が「−」の場合には、
シートの重ね合せ部においてその角度に沿つ
た流れが上方の水面側に向つて生じ、水面側
は下方の船底側よりも密度が小さい為にこの
流れがスムーズになり、抵抗が減少している
ものと考えられ、また、シートの貼付け角度
が−60度を中心としてその前後20度の範囲内
で、その流れが一層水面側に抜け易いものと
考えられる。
船舶(実船)の場合には、厳密には船体近
傍の圧力勾配も考慮する必要があるが、圧力
勾配を考慮した場合と圧力勾配がない平板を
比較計算した結果大きな差が無いことが知ら
れているので、この試験の結果はそのまま実
船(船舶)に適用することができる。
シート材の貼付け角度が0゜となる第7図に
示す貼り方も上記試験において、概略好まし
い結果が得られているが、実船の場合には船
体自体が彎曲(小型船舶、ヨツト等の場合に
は特にこれが著しい)しているので、貼着さ
れるシートに皺が生じ、その部分で接水面と
の間に隙間ができ、これが剥離、脱落の原因
となるから一般的に好ましいとは考えられな
いが、そうしたおそれのないところでは使用
することもよい。
上記〜等のことから、船舶等にシートを
貼る場合には、 (i) シートは船尾より船首側に向つて前下りに
傾斜するように浸水接水面に貼着するとよ
い。
(ii) このシートを船首側に向つて前下りに貼着
するとき、喫水線に対して60±20度の角度を為
すように貼ると好ましい。
(iii) 船の船首側は上下動が激しく喫水が浅くな
つた状態で航行するのでシートの傾斜角度が
60度よりも小さく30度に近い方がシート縁部
の重ね合せ部が水の流れに沿うようになり、
船尾側ではシート縁部の重ね合せ部に沿つた
流れが速やかに水面側に抜けるように60度よ
りも大きい角度にする方が実際的である。
(iv) シートは、船尾側から船首側に向つて順次
その縁部を上に重ねながら貼る方が、シート
縁部の端面に直接水の流れが作用しないの
で、シートが剥れるおそれが少なく、実際上
から見て好ましい。
ことが判つた。
上記第2図及び第4図に示す23フイートのヨツ
トによつて1年間航行試験をしたところ、船底に
海生生物の付着が見られず、航行もスムーズであ
り、シートの剥れ等もみられず良好な結果が得ら
れた。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第6図は本発明の実施例を示し、第1
図は海生生物付着防止用のシートの一部切欠斜面
図、第2図はシートを貼つたヨツトの海面図、第
3図は第2図の拡大一部横断面図、第4図は第2
図におけるシートの貼り方の説明図、第5図はシ
ートを貼つた高速遊漁船の側面図、第6図は他の
例の拡大一部省略横断面図、第7図〜第19図は
モデル実験の内容を示し、第7図〜第10図は試
験平板の側面図、第11図は第10図の拡大一部
横断面図、第12図はトリツピングワイヤを取付
けた試験平板の一部省略平面図、第13図は試験
水槽の一部省略断面図、第14図は試験装置の一
部省略側面図、第15図は抵抗動力計の側面図、
第16図は試験平板の壁面近傍の境界層の説明
図、第17図〜第19図は試験結果のグラフであ
る。 1はシート、2は基材、3はプライマー層、4
は粘着剤層、5は剥離紙、6はヨツト、7は船
体、8は接水面、9は船尾、10は船首、14は
キール、15はラダー、16はスケグ、17は高
速遊漁船、18はシート端面、19は被覆材。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 船舶その他の接水構造物の接水面に粘着剤を
    介して、銅または銅合金製の海生生物付着防止用
    の実質的に帯状の複数のシートをそれらの隣接縁
    部を相互に重ね合わせ、該シートが船舶等の進行
    方向に向つて前下りに喫水線に対して60±20度の
    角度に傾斜させて粘着して海生生物の付着を防止
    する接水構造物。 2 上記請求項1に記載の接水構造物が小型船舶
    で、前記シートは船舶の船首側に向うと喫水線に
    対する角度が60度より小さくなり、船尾側に向う
    と60度より大きい角度となるようにして接水面を
    覆つた小型船舶。 3 上記シートの隣接縁部を相互に重ね合わせて
    粘着するとき、進行方向の後方のシートの上に隣
    接前方のシート縁部が載るようにして順次粘着し
    た請求項1または2に記載の船舶等の接水構造
    物。 4 上記シート縁部の重ね合せ部分において、上
    に載つているシート縁部の端面部分を、銅または
    銅合金の粉末が混入された耐水、耐候性の合成樹
    脂で覆つた請求項1〜3項のいずれか1項に記載
    の船舶等の接水構造物。
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