JPH0426433Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案はランスパイプの製造工程における流
し込み成形時に用いる型枠に関するものである。

［従来の技術］ 製鉄業における精錬過程において、溶融金属中
に含まれるシリコンSi、硫黄Ｓ、リンＰなどの不
純成分を除去するために、溶融金属中に窒素等の
不活性ガス又はガスと粉体処理剤とを吹き込むこ
とが行われており、この際、金属パイプの外周を
耐火物で被覆したランスパイプが使用されてい
る。

この耐火物の被覆は、通常キヤスタブル耐火物
と水とをミキサーで混練した材料を型枠を用いて
流し込むことによつて行い、しかる後に耐火物を
加温養生して硬化させている。

ところがキヤスタブル耐火物は一般に温度５℃
以下になると硬化が起きなくなり、製造上支障を
きたすことになる。

従つて従来は、気温が低下する冬期にはランス
パイプの養生場所に間仕切りを作つて、この間仕
切り室内全体の気温を10〜15℃に高めるよう暖房
を行なつていた。

［考案が解決しようとする問題点］ 通常、ランスパイプは長さが6m以上もある長
尺物であり、この長さ方向が上下を向くように金
属パイプを成形型枠内に立てて両者の間隙にキヤ
スタブル耐火物の流し込みを行つた後、ハンドリ
ングは型枠ごとクレーンで行なう。従つて前記の
ような加温養生方法では、ハンドリング作業の面
から加温養生に十分な間仕切りができず、また間
仕切り内のボリームが大きいので熱エネルギー効
率が悪いという問題点があつた。

この考案はかかる問題点を解決するためになさ
れたのものであり、暖房室を必要とすることなく
加温養生ができ、しかも熱効率が良好で、温度コ
ントロールも容易な加温養生を可能とするランス
パイプの成形用型枠を提供しようとするものであ
る。

［問題点を解決するための手段］ この考案では、金属パイプの外周にキヤスタブ
ル耐火物を被覆してランスパイプを成形する際に
前記キヤスタブル耐火物の流し込みと養生のため
に前記金属パイプをその外周面から間隙を介して
取囲む成形用型枠において、前記型枠の外面側に
加温または冷却用の水の循環用流路を配設するこ
とによつて前述の問題点を解決したものである。

［作用］ この考案に係るランスパイプの成形用型枠おい
ては、型枠の外面側に加温または冷却用の水を通
す循環用流路を配設したから、ランスパイプの成
形に際して、例えば長さ方向が上下を向くように
金属パイプを成形型枠内に立てて両者の間隙にキ
ヤスタブル耐火物の流し込みを行つた後、冬季で
あれば前記循環用流路内に温水を循環させて流し
込み後のキヤスタブル耐火物を加温養生し、夏期
であれば冷水を循環させて流し込み後のキヤスタ
ブル耐火物を冷却養生することができる。

［実施例］ 第１図はこの考案の一実施例に係る成形型枠を
一部切り欠いて関連設備と共に示した正面図であ
り、第２図は第１図のＡ−Ａ断面を示す。

図において、流し込み用の金属製の型枠１は縦
に二つ割りの筒体を構成し、筒体の状態で内部に
配置されたランスパイプ用金属パイプ１４の外周
面と型枠内周面との間にキヤスタブル耐火物を流
し込み充填するための間隙を形成する。型枠１の
一方の側面には、前記二つ割りの筒体を前記金属
パイプの配置および成形後のランスパイプの取出
しのために開閉可能とするために複数の蝶番３が
設けられ、対向する他方の側面には型枠１を筒体
の状態に閉止するための着脱可能な例えばボルト
ナツトを有する止め具４が設けられている。型枠
１の外面には、キヤスタブル耐火物の流し込み施
工時に作動される充填用バイブレータ２が取付け
られると共に、温水循環用流路を形成する一対の
Ｕ字状パイプ５が型枠１の外面長手方向に密着配
管されている。

図示の実施例では、Ｕ字状パイプ５に対する温
水源として温水タンク６が示されており、温水タ
ンク６からポンプ７で吸い上げた温水を現場配管
１１を介して一方のＵ字状パイプ５の一端に供給
し、このＵ字状パイプ５の他端と他方のＵ字状パ
イプ（第１図では型枠１の向こう側にあつて現れ
ていない）の一端との間をフレキシブルホース１
３で連通させ、この他方のＵ字状パイプの他端か
ら別の現場配管１２によつて前記温水タンク６に
還流させるようになつている。

すなわち、第２図に示すように、温水循環用パ
イプ５は、縦パイプ５ａおよび５ｂを下部でＵ字
状に連通させたものと、縦パイプ５ｃおよび５ｄ
を下部でＵ字状に連通させたものとの２セツトが
左右相対して配設されており、パイプ５ｂと５ｃ
はフレキシブルホース１３で互いに接続されてお
り、ポンプ７で送られてきた温水はパイプ５ｄ→
５ｃ→５ｂ→５ａを巡つてタンク６へ循環する。

第１図に示すように温水タンク６には内部の温
水温度を検出する温度センサー８が取付けられ、
温度センサー８による検出結果を温度調節器９に
与えて、温水タンク６内へのスチームの供給量を
制御する電磁弁１０を前記温度調節器９で調節す
るようにしてある。これら符号６〜１２で示す各
機器設備は、温度コントロールされた温水を循環
用パイプ５に供給するために必要な付帯設備であ
り、例えば前記スチームなどは余熱源として製鉄
所内で容易に入手できるものである。

この実施例のランスパイプ成形用型枠１による
成形作業においては、まずキヤスタブル耐火物の
流し込みに際して循環用パイプ５にはフレキシブ
ルホース１３を接続して現場配管１１と１２は循
環用パイプ５から外した状態にしておき、この状
態で止め具４を外して型枠１を開き、内部に金属
パイプ１４を同軸状に立てて固定したのち、型枠
１を閉じて止め具４で固定し、型枠１の内周面と
パイプ１４の外周面との間隙にキヤスタブル耐火
物の流し込みを行う。その後、必要に応じて型枠
１を内容物ごと別の養生場所へクレーンなどによ
つて移動し、養生場所で現場配管１１と１２を循
環用パイプ５に接続する。

温水タンク６には予め水を供給しておき、その
温度を予め設定された温水温度にしておく。すな
わち、温度調節器９に所望の温水温度を設定する
と、タンク６内の水温が設定温度より低い場合は
電磁弁１０が開かれ、タンク６内の水中へスチー
ムが放出される。水温は温度センサー８によつて
検出され、これは温度調節器９により監視されて
いる。センサー８で検出した水温が設定温度にな
れば、温度調節器９は電磁弁１０を閉じ、スチー
ム供給を断つ。このようなサーモスタツト動作に
よつてタンク６内の水温が略一定に保たれる。

さて、現場配管１１と１２を循環用パイプ５に
接続し、タンク６内の温水をポンプ７によつて循
環用パイプ５に流すと、水温が略一定に保たれる
ようになつているので、型枠１は外面から加温さ
れる。この加温を所定の養生期間の間に適宜継続
することにより、冬季における周囲暖房の必要な
く型枠内のキヤスタブル耐火物を加温養生するこ
とができる。

型枠１は、成形および加温養生されたランスパ
イプを取出す際には止め具４の開放により蝶番３
を回動中心にして二つ割りに開かれる。この場合
は現場配管１１，１２を循環用パイプ５から外し
ておくことは述べるまでもない。

尚、図示の実施例では循環パイプ５はむき出し
のパイプを型枠外面に沿わせて固定してあるが、
例えば型枠外面に溝型材などを伏せて溶接して循
環用流路を形成してもよく、更にはその外側を断
熱処理すればより省エネ効果が大きくなる。

なお温水用熱源として実施例ではスチームを用
いているが電気ヒーターでもよく、使用する現場
で入手できる適宜の熱源を用いればよい。

更に循環用流路の流すのは温水に限られるわけ
ではなく、例えば夏期または作業現場の環境によ
つて型枠の温度が上りすぎると流し込み耐火物の
硬化が早すぎて強度に悪影響を与えるが、このよ
うな場合は、循環用流路に冷水を通せば型枠を冷
却することができる。

［考案の効果］ 以上に述べたように、この考案によれば、型枠
に温水または冷水循環用流路を配設するという簡
単な構造により、例えば冬季には暖房のための間
仕切りを必要とせずに耐火物を加温養生すること
ができ、また夏期等の高温時にも冷却が行えるか
ら最適な養生が可能になるものであり、型枠を個
別に加温または冷却できるので省エネルギーの効
果も期待できるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例に係る成形型枠を
一部切り欠いて関連設備と共に示した正面図、第
２図は第１図のＡ−Ａ断面図である。 主要部分の符号の説明、１……成形用型枠、２
……バイブレータ、３……蝶番、４……止め具、
５……Ｕ字状パイプ、５ａ，５ｂ，５ｃ，５ｄ…
…縦パイプ、６……温水タンク、７……ポンプ、
８……温度センサー、９……温度調節器、１０…
…電磁弁、１１，１２……現場配管、１３……フ
レキシブルホース。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 金属パイプの外周にキヤスタブル耐火物を被覆
   してランスパイプを成形する際に前記キヤスタブ
   ル耐火物の流し込みと養生のために前記金属パイ
   プをその外周面から間隙を介して取囲む成形用型
   枠において、前記型枠の外面側に加温または冷却
   用の水の循環用流路を配設したことを特徴とする
   ランスパイプに成形用型枠。