JPH0426209Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、研削盤の砥石修正装置に関するもの
である。

（従来技術） 一般に、研削盤においては、ワークを研削加工
する砥石の形状を適宜修正する必要があるところ
から、ダイヤモンドツールを有する修正工具を備
えた砥石修正装置（以下、ドレツサーという）が
設けられている。ところが、前記砥石の形状によ
つてワークの加工精度が決定されるため、その形
状修正には、高度の精密度が要求される。一方砥
石の形状は、クラウニング形状等とされているた
め、砥石修正のためには、前記ドレツサーの修正
工具を砥石の回転軸方向と直交する方向に微少量
進退させる必要がある。

従来公知の砥石修正手段としては、砥石形状を
拡大したカムを砥石テーブルに取付け、該カムの
移動に伴うパルス信号の発生により、それに応じ
た修正工具による切り込みを、モータに連結した
ネジ等により行うようにしたものがある（例え
ば、特公昭52−16839号公報参照）。

（考案が解決しようとする問題点） 上記従来技術においては、砥石変更毎にカムを
交換する必要があり、機構が複雑になるばかりで
なく、修正工具が前進作動から後退作動に移行す
る時におけるネジのバツクラツシユ（即ち、ネジ
における螺合隙間摺動）によつて砥石の形状がく
ずれるおそれがある。

本考案は、上記の点に鑑みてなされたもので、
高精度の形状修正を極めて簡易な構造の装置で行
い得るようにすることを目的とするものである。

（問題点を解決するための手段） 本考案では、上記問題点を解決するための手段
として、研削用砥石が該砥石の回転軸方向に移動
自在に支持されている研削盤本体に対して前記砥
石の移動方向と直交する方向に移動自在に支持さ
れたドレツサー本体と、該ドレツサー本体に対し
て前記砥石の移動方向と直交する方向に進退自在
となる如く支持された砥石形状修正用の修正工具
とを備えた研削盤の砥石修正装置において、前記
修正工具とドレツサー本体との間に、カム駆動装
置の駆動によつて回転作動し、前記修正工具を変
位させるべく作用するカム部材を介設するととも
に、前記砥石の回転軸方向の位置を検出する砥石
位置検出器と、該砥石位置検出器から得られた前
記砥石の回転軸方向位置に対応させて前記カム駆
動装置の回転速度をコントロールする制御装置と
を付設している。

（作用） 本考案では、上記手段によつて次のような作用
が得られる。

ワーク加工用の砥石の形状を修正しようとする
時、砥石を回転させながら研削盤本体上を砥石回
転軸方向に移動させ、該砥石の回転軸方向の位置
を砥石位置検出器によつて検出し、該砥石位置検
出器からのパルス信号により得られた砥石の回転
軸方向位置に対応させて制御装置によりカム駆動
装置の回転速度をコントロールすると、該カム駆
動装置によりカム部材の回転速度がコントロール
され、該カム部材カム面の偏心量によつて前記修
正工具が砥石回転軸と直交する方向から前記砥石
の形状に対応して進退せしめられ、前記修正工具
による砥石の形状修正が行なわれる。この時、前
記制御装置は、砥石の研削盤本体に対する移動量
と修正工具の進退量（換言すれば、カム部材の偏
心量）とにより予じめ演算された値により、砥石
の所望形状が得られるように、カム駆動装置の回
転速度コントロールをするように作用する。

（実施例） 以下、添付の図面を参照して本考案の好適な実
施例を説明する。

本実施例の研削盤は、研削盤本体１上において
互いに直交する方向に移動自在とされた切込テー
ブル２および砥石テーブル３を備えている。

前記切込テーブル２は、切込モータ４により移
動せしめられ、その上面には、主軸モータ５と該
主軸モータ５により駆動される主軸６とが設置さ
れている。該主軸６には、被加工物であるワーク
８を保持するためのワークチヤツク７が設けられ
ている。

前記砥石テーブル３上には、砥石１０を備えた
ホイールヘツド９が設けられており、この砥石テ
ーブル３は、前記砥石１０が前記主軸６に保持さ
れたワーク８と対向する如く（即ち、砥石１０の
回転軸方向に）移動せしめられるようになつてい
る。なお、前記砥石１０は、ホイールヘツド９の
駆動により回転軸１１を介して回転せしめられ
る。

また、前記切込テーブル２上には、前記砥石１
０の形状を修正するための砥石修正装置として作
用するドレツサー１２が設けられている。

該ドレツサー１２は、第２図および第３図図示
の如く、前記研削盤本体１に対して前記切込テー
ブル２と連動する如く移動自在に支持されたドレ
ツサー本体１３と、該ドレツサー本体１３に対し
て前記砥石１０の回転軸１１と直交する方向に進
退自在に支持された修正工具１５とによつて構成
されている。

該修正工具１５は、前記砥石１０の形状を修正
するダイヤモンドツール２２と、該ダイヤモンド
ツール２２を保持する保持具２３とからなつてお
り、該保持具２３は、前記ドレツサー本体１３に
対して一対の板バネ１６，１６を介して揺動可能
に連結されている。符号１７は板バネ１６と保持
具２３とを結合するための連結具である。

また、前記保持具２３後端には、ガイド部２４
が突設されており、該ガイド部２４は、前記ドレ
ツサー本体１３に形成されたガイド溝１４に摺動
可能に嵌挿されている。

さらに、前記ドレツサー本体１３と修正工具１
５との間には、前記ドレツサー本体１３に対して
水平回転可能に枢支されたカム部材１８が介設さ
れている。本実施例では、このカム部材１８とし
て、カム面が対称形状をなすアルキメデススパイ
ラルカムが採用されている。一方前記修正工具１
５のガイド部２４後端には、前記カム部材１８に
当接されるカムフオロア２５が設けられている。
しかして、該カム部材１８が一回転すると、それ
に伴つて修正工具１５が同量進退するようになつ
ている。

前記カム部材１８の回転軸２６には、ドレツサ
ー本体１３上部に設けられたサーボモータ１９の
回転軸２７が連結されており、該サーボモータ１
９の駆動により前記カム部材１８が回転せしめら
れるように構成されている。本実施例では、サー
ボモータ１９がカム部材１８を回転させるための
カム駆動装置として用いられている。

上記の如く構成したことにより、このドレツサ
ー１２においては、サーボモータ１９の駆動によ
り回転せしめられるカム部材１８のカム面の偏心
量に応じて修正工具１５が砥石１０に向つて進退
するようになつているのである。

前記サーボモータ１９の回転速度は、砥石１０
の回転軸方向の位置（換言すれば、砥石テーブル
３の位置）を検出する砥石位置検出器２０からの
パルス信号を受けた制御装置２１からの指令によ
りコントロールされる。前記砥石位置検出器２０
としては、前記砥石テーブル３の単位移動量毎に
パルス信号を発するリニアスケールが採用されて
いる。

図面中、符号２８はサーボモータ１９のカバ
ー、２９はカム部材１８の原点検出用の近接スイ
ツチである。

次に、図示の研削盤の砥石修正装置の作用を説
明する。

ワーク加工用の砥石１０の形状を修正しようと
する時、砥石１０を回転させながら研削盤本体１
上を移動させ、該砥石１０の回転軸方向の位置を
リニアスケール２０によつて検出し、該リニアス
ケール２０からのパルス信号を受けた制御装置２
１により砥石１０の回転軸方向位置に対応させて
サーボモータ１９の回転速度をコントロールする
と、該サーボモータ１９により回転せしめられる
カム部材１８のカム面形状に応じて修正工具１５
が砥石回転軸１１と直交する方向に進退せしめら
れる。従つて、修正工具１５のダイヤモンドツー
ル２２により前記砥石１０の形状修正が行なわれ
る。即ち、サーボモータ１９の回転速度コントロ
ールという極めて簡易な制御手段によつて、微少
量で高精度な任意のプロフイールをもつた砥石１
０の形状修正を行うことができるのである。

なお、前記制御装置２１においては、砥石１０
の研削盤本体１に対する移動量と修正工具１０の
進退量（換言すれば、カム部材１８の偏心量）と
により予じめ演算された設定値により、砥石１０
の所望形状が得られるように、サーボモータ１９
の回転速度コントロールがなされる。

本実施例では、カム部材１８として、アルキメ
デススパイラルカムを用いているため、前記設定
が極めて容易に行えるが、アルキメデススパイラ
ルカムに代えて一般の偏心カムを用いてもよいこ
とは勿論である。

本考案は、上記実施例に限定されるものではな
く、考案の要旨を逸脱しない範囲において適宜設
計変更可能なことは勿論である。

（考案の効果） 叙上の如く、本考案によれば、ドレツサー本体
に対して砥石の回転軸に直交する方向に進退自在
となる如く支持された修正工具と前記ドレツサー
本体との間に、カム駆動装置により回転され、前
記修正工具を変位させるべく作用するカム部材を
介設し、前記砥石の回転軸方向の位置を検出する
砥石位置検出器からの信号を受けた制御装置によ
つて、前記砥石の回転軸方向位置に対応させて前
記カム部材を回転制御せしめるようにしたので、
従来例の如く、カムの変更をする必要もなく、し
かもネジ送りのようにバツクラツシユの影響も考
慮することなく、カム駆動装置の回転速度制御と
いう極めて簡易な制御手段によつて、修正工具を
微少量変位させることができることとなり、高精
度な任意のプロフイールをもつた砥石の形状修正
を極めて容易に行うことができるという実用的な
効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の実施例にかかる研削盤の概
略を示す平面図、第２図は、第１図の研削盤にお
ける砥石修正装置の一部を断面とした平面図、第
３図は、第１図の研削盤における砥石修正装置の
一部を断面とした側面図である。 １……研削盤本体、１０……砥石、１１……回
転軸、１３……ドレツサー本体、１５……修正工
具、１８……カム部材、１９……カム駆動装置
（サーボモータ）、２０……砥石位置検出器（リニ
アスケール）、２１……制御装置。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 研削用砥石が該砥石の回転軸方向に移動自在に
   支持されている研削盤本体に対して前記砥石の移
   動方向と直交する方向に移動自在に支持されたド
   レツサー本体と、該ドレツサー本体に対して前記
   砥石の移動方向と直交する方向に進退自在となる
   如く支持された砥石形状修正用の修正工具と、前
   記修正工具とドレツサー本体との間に介設され、
   自身の回転作動により前記修正工具を変位させる
   べく作用するカム部材と、該カム部材を回転駆動
   させるカム駆動装置と、前記砥石の回転軸方向の
   位置を検出する砥石位置検出器と、該砥石位置検
   出器から得られた前記砥石の回転軸方向位置に対
   応させて前記カム駆動装置の回転速度をコントロ
   ールする制御装置とを備えていることを特徴とす
   る研削盤の砥石修正装置。