JPH0424509B2

JPH0424509B2 -

Info

Publication number: JPH0424509B2
Application number: JP59047209A
Authority: JP
Inventors: Kenji Tsuruta; Nobuo Kojima
Original assignee: Obayashi Corp
Current assignee: Obayashi Corp
Priority date: 1984-03-14
Filing date: 1984-03-14
Publication date: 1992-04-27
Also published as: JPS60195276A

Description

【発明の詳細な説明】この発明は、煙突の内筒設置工法に関する。

火力発電所、工場等に構築されている高煙突あ
るいは超高煙突は、鋼製筒身を鉄筋架構で支持す
る架構式煙突か、若しくは３〜４本の鋼製筒身を
構造体とする３〜４脚自立型集合煙突が主流であ
る。

この種の煙突は昭和30〜40年代に構築されたも
のが多く、構築された当時は排煙の拡散を図るた
めその高さが重視されていた。

その後、硫酸雨などの出現により環境汚染の意
識が高まり、公害防止上、排煙脱硫装置の設置が
行なわれ、煙突からのイオウ酸化物の排出は確実
に削減されたが、煙突には次のような問題が生じ
た。

すなわち、水と石灰石スラリーを用いた湿式の
脱硫装置の設置により、排煙温度が酸露点温度以
下に低下して煙突内で硫酸が生成され、これがい
わゆる酸露点腐蝕を惹起した。

これを防止するためアフターバーニング等を行
なつて、排煙温度の繊維、上昇をさせることでこ
の問題を解消しているものの、アフターバーニン
グに要する燃料費は、例えば発電所では発電に消
費する燃料費の５〜６％を占めるため、極めて不
経済となり、アフターバーニングを中止する煙突
が続出した。

このようなアフターバーニングを行なわない煙
突では、煙突内に施されたライニングが侵され、
煙突自体の耐久性は充分有しているにもかかわら
ず、その機能が喪失され、結果的に耐用年数が低
下する。

この問題を解決する手段として、耐酸性に優れ
た内筒例えば繊維強化プラスチツク製（F.R.P）
の内筒を設置することが考えられる。

この場合、設置方法として比較的低い煙突の場
合、クレーン等の懸吊によつて行えるが、高さが
100ｍ以上の高煙突あるいは超高煙突になるとこ
れが難しくなる。

一方、煙突内部の上端に懸吊用のリフトアツプ
装置を配設して、分割した内筒を内部で多段状に
積上げる方法も考えられるが、この方法では煙突
内に作業スペースを確保する必要があつて、内筒
の径が小さくなつて、設置前の断面積が大幅に小
さくなり、煙突の排煙機能が低下する。

また、特に複数の煙突が近接して立設された集
合型煙突では、内筒設置工事中に他の煙突を運転
することができないため、全部の排煙を停止しな
ければならず、設置工期は短時間が望まれるが、
これに対応できる工法が確立されていなかつた。

ここに、煙突の下端を切除し、この切除部分に
内筒ユニツトを位置させ、リフトアツプ装置で吊
り上げ、その下方に他の内筒ユニツトを順次連結
するようにした「鉄製煙突に耐蝕管を取付ける方
法」（特開昭58−224220号公報）が提案されてい
る。この提案では、内筒ユニツト間の連結方法
は、端部に係止用耳部を設け、その縁部を係合さ
せて接着剤で連結するようにしている。また、リ
フトアツプ方法としては、地上に設置した扛持具
を用いる場合と、ウインチにより煙突内をロープ
で引き上げる場合とが提案されている。しかしな
がら、この提案では内筒ユニツト相互の連結が、
接着剤の使用によるため面倒であると考えられ
る。またリフトアツプ装置として扛持具を採用す
ると、この扛持具は内筒ユニツトの外周に複数の
ジヤツキを配置するものなので、ジヤツキの配設
位置が煙突の内径よりもさらに内側となつて、内
筒ユニツトの内径が大幅に小さくなつてしまうと
考えられる。他方ウインチを採用する方法につい
ては詳しい説明はないが、一般的には内筒の内面
にロープの係止部を設けなければならず、このた
めには内筒が薄いので係止部は内筒内部に突出し
たものとなると考えられ、このような係止部には
煙突内面の腐蝕性の水が溜まつて不都合が生ずる
と考えられる。

また、内筒設置工法ではないが、関連する技術
として、煙突の上端近傍で、その内部に侵入可能
な懸吊用ワイヤを備えた「鉄塔型煙突の吊上架設
工法」（特公昭51−15339号公報）が提案されてい
る。この提案では、懸吊用ワイヤは排煙筒の内部
に挿入され、、排煙筒の内面に突設された補強梁
に設けられたアイピースと接続されるようになつ
ている。しかしながらこの提案では、構築された
排煙筒の内面に突出する環状梁が残り、このよう
な環状梁が残るとこれが腐蝕性の水によつて腐蝕
すると共に、仮に撤去できるとしてもその作業が
煩雑であると考えられる。

さらに、煙突と内筒との間に侵入可能な懸吊用
ワイヤと最上段の内筒ユニツトの外周に設けられ
た吊治具とを結合し、リフトアツプ装置でもつて
これを吊り上げるようにした「超高煙突の内筒施
工法」（特公昭58−2312号公報）が提案されてい
る。この提案では、外筒の頂部及び内部中間位置
に組んだ受梁に油圧ジヤツキを配設し、このジヤ
ツキから垂下した吊ワイヤを内筒に連結して、ジ
ヤツキにより内筒をリフトアツプするようにして
いる。しかしながらこの提案にあつては、外筒の
内部や頂部に受梁を特設し、これにジヤツキを設
置するようにしているため、例えば外筒内部にこ
れらを設備した状態では、受梁によるジヤツキの
配設スペース分だけ内筒の内径が狭められたり、
また上方に向かつて漸次窄まる外筒の内周面に対
してジヤツキストロークを確保する点から、ジヤ
ツキと外筒内周面との干渉を避けるべく、ジヤツ
キの配設位置が外筒内周面からさらに内側となつ
て、この面からも内筒の内径が狭められてしまう
ことになる。他方、外筒の頂部に設置する場合に
は、ジヤツキストロークの干渉の問題はないが、
ジヤツキの配設位置が外筒の頂部口径の内側とな
り、従つてこの頂部においてもジヤツキの配設ス
ペース分だけ内筒の内径が狭められてしまう。こ
れらの結果、本提案では、ジヤツキから繰り出さ
れるワイヤをできる限り外筒の内周面に沿わせて
接近させることができず、設置される内筒の内径
が狭められて、内筒設置前に比べて煙突の機能を
低下させてしまうと考えられる。

この発明は上述した背景に鑑みてなされたもの
であつて、その目的とするところは、高煙突ある
いは超高煙突内に耐酸性に優れた内筒を、設置前
の煙突の機能を余り低下させることなく、しかも
短期間に施工できる煙突の内筒設置工法を提供す
るところにある。

この目的を達成するため、この発明は、煙突内
に内筒を設置する工法において、該内筒を予め所
定長に分割し且つボルトナツトで相互に緊結可能
なリング状の連結金具をそれらの軸方向端部外周
に設けた内筒ユニツトを形成し、また該煙突の上
端近傍側面部に穿設した開口部の該煙突外側に位
置させて、該煙突と該内筒との間に侵入可能な懸
吊用ワイヤを備えたリフトアツプ装置を取付ける
と共に、さらに該煙突の下端近傍を該内筒ユニツ
トと略同一長で切除し、次に該切除部分に、最上
段に設置されるべき該内筒ユニツトを位置させ、
次いで該懸吊用ワイヤと該連結金具又は該最上段
の内筒ユニツトの外周にのみ設けられた吊治具と
を結合して該リフトアツプ装置でこれを所定高さ
吊り上げ、次いで該最上段の内筒ユニツトの下方
に他の内筒ユニツトを順次該連結金具を介して連
結して該煙突内に該内筒を形成し、その後該リフ
トアツプ装置を撤去すると共に該開口部並びに該
切除部分を修復することを特徴とする。

以下、この発明の好適な実施例について添付図
面を参照して詳細に説明する。

第１図から第４図は、この発明に係る煙突の内
筒設置工法の一実施例を示すものである。

この実施例では、既設の煙突１０内に内筒を設
置する場合を示しており、煙突１０は、外側が鋼
製でその内側にモルタル等のライニングが施され
ていて、その周囲にサポート用の支柱１２が立設
され、支柱１２の上端には点検用ステージ１４が
取付けられている。

この発明は上記煙突１０内に、耐酸性に優れた
内筒１６を設置する工法であつて、内筒１０とし
ては例えば、ガラス繊維、カーボン繊維等で補強
したF.R.Pあるいはステンレス等が用いられ、予
め所定長のユニツト１６ａ，１６ｂに分割されて
いるとともに、これらのユニツト１６ａ，１６ｂ
には第２図ａ，ｂに例示するように連結手段が設
けられている。

第２図ａ，ｂに示す連結手段は、F.R.P.内筒ユ
ニツト１６ａ，１６ｂを用いた場合であつて、同
図ａでは各ユニツト１６ａ，１６ｂの端部近傍
を、若干肉厚にするとともに、この部分に略Ｕ字
形に折曲された連結金具１８が、それぞれ埋め込
み固定され、これらを連通してボルトナツトを用
いて緊結するとともに、連結される端部は一方端
が他方端に侵入するようにして嵌合され、適宜な
接着剤２０でシールする。

また、同図ｂに示す手段は、各ユニツト１６
ａ，１６ｂの端部近傍を肉厚とし、且つこの部分
に連結金具１８をそれぞれ埋設固定し、連結され
る端部は外方に突出したフランジ部２２を形成
し、このフランジ部２２を挾み込むようにして連
結金具１８−１８間をボルトナツトで緊結する。
この場合にも接着剤２０でシールしてもよい。

なお、上記連結金具１８は、連続したリング状
として設けてある。

一方、上記煙突１０の上端近傍側面部には、煙
突１０の外側に位置させて、第３図および第４図
に示すリフトアツプ装置２４が取付けられてい
る。

リフトアツプ装置２４は、上記煙突１０に細長
な開口部２６を穿設するとともに、この上下端に
対向するように一対の環状のリングプレート２
８，２８を固設し、且つ該開口部２６の左右端に
は一対の剪断プレート３０，３０を固設し、この
剪断プレート３０，３０間に回転可能な転向シー
ブ３２を軸支し、さらに、剪断プレート３０，３
０の上端にはワイヤ式リフトアツプジヤツキ３４
が係止されている。

リフトアツプジヤツキ３４のワイヤ３６は、上
記転向シーブ３２に当接されて開口部２６から煙
突１０の内面と内筒１６の外面との間に挿入さ
れ、取り外し用のターンバツクル３８を介して定
着ボルト４０と連結されている。

また、定着ボルト４０は、上記剪断プレート３
０，３０の内面にそれぞれ添接固定された定着リ
ブプレート４２，４２に支持された定着プレート
４４を貫通し、定着ナツト４６を螺着して、この
プレート４４に係止されている。

なお、上記リフトアツプ装置２４は、設置する
内筒１６の内径、高さ、ユニツト１６ａ，１６ｂ
の重量等によつて少なくとも２基以上、望ましく
は３基周方向に等間隔で取付ける。

さらに、リフトアツプ装置２４は、例えば本実
施例のように煙突１０に点検用ステージ１４が設
けられている場合には、このステージ１４上で後
述するリフトアツプ作業ができるような位置にセ
ツトする。

次に煙突１０内に内筒１６を設置する方法につ
いて説明する。

先ず、煙突１０を支柱１２あるいは別の架台
（図示せず）を設けて仮受けし、第５図に示すよ
うに、煙突１０の下端近傍を上記内筒ユニツト１
６ａ，１６ｂと略同一長切除する。

次いで、この切除部分に煙突１０内に設置され
る内筒１６の最上段のユニツト１６ａを位置さ
せ、上記リフトアツプ装置２４の定着ボルト４０
の下端と、この最上段ユニツト１６ａにのみ形成
された吊治具４８とを連結して、リフトアツプジ
ヤツキ３４を駆動し、ワヤ３６を上方に引き上げ
ることでユニツト１６ａを、その長さに相当する
分だけ上昇させた後、このユニツト１６ａの下方
に他の内筒ユニツト１６ｂを位置させる。

なお、上記吊治具４８は、上記連結金具１８で
兼用できることは言うまでもない。

この後に、これらのユニツト１６ａ，１６ｂ
を、上述したようにボルトナツトを用いて緊結し
て、これを再び上昇させる。

そして、このような操作を順次繰返すことで、
煙突１０内にユニツト１６ａ，１６ｂ…が連結さ
れた内筒１６を設置することができる。

しかる後、上記ターンバツクル３８、転向シー
ブ３２、リフトアツプジヤツキ３４等を取り外
し、内筒１６を定着リブプレート４２に固定した
状態で、剪断プレート３０，３０の上面をプレー
ト５０で閉塞した後に、煙突１０の下端切除部分
を鉄板等で修復することで工事が完了する。

さて、上述した如き工法で煙突１０内に内筒１
６を設置すると、高煙突あるいは超高煙突１０内
に耐酸性に優れた内筒１６を比較的簡単に設置で
きるとともに、煙突１０の内壁と内筒１６間は、
連結部分の幅に相当する間隔が保たれればよく、
従つて内筒１６の断面積は、設置以前の断面積を
大幅に削減することなく設置でき、煙突１０の機
能は実用上支障がある程度低下しない。すなわ
ち、煙突の頂部や内部中間位置にリフトアツプ装
置を設備するものと異なり、煙突１０の上端近傍
側面部に穿設した開口部２６の煙突１０外側に位
置させて、煙突１０と内筒１６との間に侵入可能
な懸吊用ワイヤ３６を備えたリフトアツプ装置２
４を取付けるようにしたので、ジヤツキストロー
クと煙突内壁との干渉や煙突１０の頂部口径の制
限に起因するリフトアツプ装置２４と煙突構造と
の干渉を回避して、リフトアツプ装置２４から繰
り出されるワイヤ３６をできる限り煙突内壁に沿
わせて接近させることができ、より大径の内筒１
６を設置することができて煙突１０の機能を余り
低下させることがない。

また、設置作業は、煙突１０の外部から点検用
ステージ１４等を利用してでき、内筒１０は予め
ユニツト化されているため、設置期間は比較的短
くでき、集合型の煙突においても停止期間は短く
て済む。さらに、内筒１６を形成するユニツト１
６ａ，ｂ間の連結がボルト・ナツトにより簡単に
行えるとともに、形成される内筒１６の内面に
は、突出する部分が全く発生しないので、排煙が
円滑に行え、突出した部分に、排煙に含まれてい
る水が凝縮付着して腐蝕させることもなくなる。

さらに、リフトアツプ装置２４を煙突１０の上
端近傍側面部の外側に位置させるようにしたの
で、内筒設置作業時の作業管理や作業に使用され
る機器のメンテナンスを容易且つ適切に実施する
ことができる。

なお、煙突の形状は、上記実施例のものに限ら
れず、各種のものに適用できることは言うまでも
なく、既設、新設の煙突を問わず、実施例で詳述
した設置方法で内筒を取付けることができる。

以上、実施例で詳細に説明したように、この発
明に係る煙突の内筒設置工法にあつては、高煙突
あるいは超高煙突内に耐酸性に優れた内筒を、設
置前の煙突機能を余り低下させることなく、しか
も短時間に施工でき、煙突の耐用年数を建替える
ことなく蘇生させることが可能となる。また、リ
フトアツプ装置を煙突の上端近傍側面部の外側に
位置させるようにしたので、内筒設置作業時の作
業管理や作業に使用される機器のメンテナンスを
容易且つ適切に実施することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明が適用される煙突の一例を示
す全体図、第２図は内筒の連結部分の断面図、第
３図はリフトアツプ装置の断面図、第４図は第３
図の正面図、第５図は第１図の煙突下端近傍を切
除した説明図である。１０……煙突、１２……支柱、１４……点検用
ステージ、１６……内筒、１８……連結金具、２
０……接着材、２２……フランジ部、２４……リ
フトアツプ装置、２６……開口部、２８……リン
グプレート、３０……剪断プレート、３２……転
向シーブ、３４……リフトアツプジヤツキ、３６
……ワイヤ、３８……ターンバツクル、４０……
定着ボルト、４２……定着リブプレート、４４…
…定着プレート、４８……吊治具、５０……プレ
ート。

Claims

【特許請求の範囲】

１煙突内に内筒を設置する工法において、該内
筒を予め所定長に分割し且つボルトナツトで相互
に緊結可能なリング状の連結金具をそれらの軸方
向端部外周に設けた内筒ユニツトを形成し、また
該煙突の上端近傍側面部に穿設した開口部の該煙
突外側に位置させて、該煙突と該内筒との間に侵
入可能な懸吊用ワイヤを備えたリフトアツプ装置
を取付けると共に、さらに該煙突の下端近傍を該
内筒ユニツトと略同一長で切除し、次に該切除部
分に、最上段に設置されるべき該内筒ユニツトを
位置させ、次いで該懸吊用ワイヤと該連結金具又
は該最上段の内筒ユニツトの外周にのみ設けられ
た吊治具とを結合して該リフトアツプ装置でこれ
を所定高さ吊り上げ、次いで該最上段の内筒ユニ
ツトの下方に他の内筒ユニツトを順次該連結金具
を介して連結して該煙突内に該内筒を形成し、そ
の後該リフトアツプ装置を撤去すると共に該開口
部並びに該切除部分を修復することを特徴とする
煙突の内筒設置工法。