JPH0424491Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は主に映像信号を記録、再生する磁気記
録再生装置の回転ヘツド装置に関する。

従来例の構成とその問題点 従来の磁気記録再生装置の回転ヘツド装置を第
１図の外観図及び第２図のビデオヘツド部分の断
面図を用いて記述する。第１図〜第２図において
１は回転上シリンダーであり外周面２の下端部の
ビデオヘツド取付窓部３にビデオヘツド４が数
10μm外周面２から突出して取り付けられている。
また同様にビデオヘツド４の反対側の回転上シリ
ンダー１の外周面２にも図示しないが、ビデオヘ
ツド取付窓部３′とビデオヘツド４′とが設けられ
ている。５は固定下シリンダーであり、上側に回
転上シリンダー１の外周面２と略々同外径で磁気
テープを接触案内する為の磁気テープ走行案内面
６と下側に磁気テープの走行高さ位置をヘリカル
状に規制するリード部７とが設けられている。８
は上シリンダー１の外周面２と固定下シリンダー
５の磁気テープ走行案内面６との間のスリツト部
である。９は固定下シリンダー５の下部に設けら
れた電動機であり、内部の回転軸１０に固定され
たマグネツトから成るローター１１とその外側に
通電する為のコイルから成るステーター１２で構
成され、ステーター１２のコイルに通電すればロ
ーター１１と回転軸１０は回転可能である。１３
は回転軸１０の軸受け、１４は回転軸１０の上端
に固定された回転デイスクで、ビス１５で上シリ
ンダー１の中央部を固定し、上シリンダー１は回
転軸１０とともに回転可能である。１６はビデオ
ヘツド４を一端に固定し、他端側をビス１７で上
シリンダー１の下面に固定されている。以上の如
く構成された従来の回転ヘツド装置で所望の映像
信号を磁気テープに記録（又は磁気テープから再
生）する場合、電動機９のステーター１２のコイ
ルに通電し、ローター１１に回転力を加え、回転
軸１０、回転デイスク１４、上シリンダー１、ビ
デオヘツド４を第１図の矢印ａ方向に回転させ、
続いて磁気テープを上シリンダー１の外周面２と
固定下シリンダー５の磁気テープ走行案内面６と
にヘリカル状に約180°巻回し、リード部７で磁気
テープ走行高さ位置を規制しながら走行させれ
ば、ビデオヘツド４，４′は磁気テープを走査し
て映像信号の磁化トラツクを形成（又は再生状態
の場合には磁気テープの磁化トラツクを走査して
再生映像信号を再生）可能である。この場合のビ
デオヘツド４，４′と磁気テープとの接触の状態
を拡大して示せば第３図に示す如くなる。すなわ
ち第３図で回転している上シリンダー１の外周面
２に巻回され走行している磁気テープ１８は上シ
リンダー１の外周面２から数10μm突出している
ビデオヘツド４の先端部を超えて、一定利用（
_０）だけ浮上することになる。この理由は、第１
図において矢印ａ方向に回転している上シリンダ
ー１の外周面２の周辺の空気が同様に矢印ａ方向
に移動し、巻回されている磁気テープとの間に空
気層１９が発生する為であり、その結果第３図に
示す磁気テープ１８と回転している上シリンダー
１の外周面２との状態に至る。またこの場合の磁
気テープ１８とビデオヘツド４との接触状態は第
３図に示す如く、ビデオヘツド４の先端部の上側
４ａにすき間δが発生することになる。この理由
は、前述した如く回転している上シリンダー１の
外周面２に巻回されている磁気テープ１８の上側
１８ａは磁気テープ１８と上シリンダー１の外周
面２との間の空気層１９の影響で上シリンダー１
の外周面２から（₀）だけ浮上している。一方
磁気テープ１８の下側１８ｂは図示の如くその端
部が固定下シリンダー５の磁気テープ走行案内面
６とリード部７に接触している。従がつて磁気テ
ープ１８とビデオヘツド４との接触は、ビデオヘ
ツド４の先端部が上シリンダー１の外周面２から
数10μm突出している為に、第３図の如くビデオ
ヘツド４の先端部の下側４ｂで可能と成り、ビデ
オヘツド４の先端部の上側４ａでは、上シリンダ
ー１の外周面２から磁気テープ１８が（₀）だ
け浮上している為に接触が不安定に成り、ビデオ
ヘツド４の先端部の上側４ａと磁気テープ１８と
の間にδのすき間を生じることに至る。

以上述べた従来例の回転ヘツド装置で磁気テー
プに映像信号を記録した場合、ビデオヘツド４，
４′による磁化トラツクは第４図に示す如くなる。

すなわち第４図でビデオヘツド４，４′は磁気
テープ１８の表面を矢印ａ方向に走査して磁化ト
ラツク４−１，４′−１，４−２，４′−２を順次
形成可能であるが、磁気テープ１８の下側部１８
ｂの磁化トラツクは第３図で述べたビデオヘツド
４，４′の先端部の上側４ａに磁気テープ１８と
のすき間δを生じている為に磁化されない部分４
−１ａ，４′−１ａ，４−２ａ，４′−２ａが認め
られる。従がつて記録すべき映像信号は磁気テー
プ１８の下側部１８ｂで完全なビデオヘツド幅で
記録磁化されない状態に至る。そして同様な構成
の従来の回転ヘツド装置で記録済の磁気テープを
再生する場合においては、第５図に示す如くのビ
デオヘツドからの再生映像信号になる。すなわち
第５図の再生映像信号４−１ｂ，４′−１ｂはビ
デオヘツド４，４′と磁気テープ１８との走査開
始部分４−１ｃ，４′−１ｃで出力低下する為に、
この部分での再生映像信号の画質劣化に至つてい
た。以上述べた従来例による回転ヘツド装置で記
録する場合の磁気テープ１８の下側部１８ｂでの
完全なビデオトラツク幅記録磁化が出来ない状態
及び再生する場合のビデオヘツドと磁気テープ１
８との走査開始部分での再生映像信号の出力低下
の原因は、第３図で述べた如く、ビデオヘツド
４，４′の先端部の上側４ａと磁気テープ１８と
の間のすき間δである。このすき間δを小さくす
る目的で従来から行なわれている方法としては、
磁気テープ１８の走行テンシヨンを上昇させて、
第３図で述べた回転している上シリンダー１の外
周面２に巻回され走行している磁気テープ１８の
上シリンダー１の外周面からの浮上量（₀）を
小さくすることが一般的であつた。しかし、磁気
テープ１８の走行テンシヨンを上昇させた場合に
は、磁気テープ１８とビデオヘツド４，４′との
接触力が増加し、ビデオヘツド４，４′の摩耗量
が増加し使用時間が短縮されることや磁気テープ
１８の表面にビデオヘツド４，４′との接触走査
する場合の傷の発生が増加する等の欠点があつ
た。

考案の目的 本考案は従来の欠点を除去し、磁気テープの走
行テンシヨンを増加させることなく、回転上シリ
ンダーの外周面に巻回されている磁気テープの浮
上量を低下させ、磁気テープの下側におけるビデ
オヘツドとの接触走査を安定に至らし、記録状態
における完全な磁化トラツクの形成と再生状態に
おける磁気テープとビデオヘツドとの接触開始部
の再生映像信号低下の無い回転磁気ヘツド装置を
提供することにある。

考案の構成 本考案は、ビデオヘツドの突出した外周面から
略々回転軸芯方向に向つて複数の貫通穴を有する
環状体で構成された上シリンダーを回転させ、こ
の環状体の外周面に磁気テープをヘリカル状に案
内走行させ、環状体の外周面と磁気テープとの間
に介在する空気の一部を環状体に設けられた貫通
穴に流出させることにより、磁気テープの環状体
の外周面からの浮上量を減少させ、磁気テープと
ビデオヘツドとの接触走査を安定に行なうことが
可能である。

実施例の説明 以下本考案の回転ヘツド装置の実施例を図面と
ともに述べる。尚、本考案と直接関連の無い部分
は第１図、第２図と同一番号として重複説明を省
略する。第６図は本考案の一実施例の回転ヘツド
装置の外観図であり、第７図は同実施例の回転ヘ
ツド装置の断面図である。第６図、第７図で、２
０は回転上シリンダーであり、外周面２１の下端
部のビデオヘツド取付窓部３にビデオヘツド４が
数10μm外周面２１から突出して取付けられてい
る。同様にビデオヘツド４の反対側の回転上シリ
ンダー２０の外周面２１にも図示しないがビデオ
ヘツド取付窓部３′とビデオヘツド４′とが設けら
れている。２２は回転上シリンダー２０の外周面
２１のビデオヘツド取付窓部３の上側に設けられ
た複数個の貫通穴であり、外周面２１から回転上
シリンダー２０の外側に構成された環状体２３を
貫通して空気が流通可能に成されている。次に第
８図は、同実施例の回転上シリンダー２０の平面
図であり、外周面２１から環状体２３を貫通して
一点破線で示す如く設けられた複数個の貫通穴２
２は回転上シリンダー２０の回転中心０を含む直
線２４に対して所定の角度θに成されている。す
なわち貫通穴２２の方向は、外周面２１の開口部
２５に対して環状体２３の内側の開口部２６が回
転上シリンダー２０の回転方向である矢印ａ方向
に遅れて設けられている。従がつて回転上シリン
ダー２０が矢印ａ方向に回転すれば、外周面２１
の周辺の空気の一部が貫通穴２２に外周面２１側
から流出され、環状体２３の内側に放出可能であ
る。

以上述べた本考案実施例の回転ヘツド装置によ
つて映像信号等を磁気テープに記録（又は磁気テ
ープから再生）する場合は電動機９のステーター
コイル１２に通電し、回転上シリンダー２０を矢
印ａ方向に回転させ、磁気テープ１８を回転上シ
リンダー２０の外周面２１と固定下シリンダー５
の磁気テープ走行案内面６とにヘリカル状に約
180°巻回し、走行させれば第９図の様態に至る。
すなわち第９図は本考案実施例の回転ヘツド装置
の磁気テープ１８とビデオヘツド４との接触の状
態を示し、回転上シリンダー２０の外周面２１と
磁気テープ１８との間の空気の一部が貫通穴２２
に矢印ｂの如く流出する為に、磁気テープ１８と
回転上シリンダー２０の外周面２１との間の空気
層２７は第３図に示す従来の回転ヘツド装置の空
気層１９に対して減少することに成り、その結果
第９図の本考案実施例の回転ヘツド装置の回転上
シリンダー２０の外周面２１に巻回されている磁
気テープ１８の外周面２１からの浮上量は外周面
２１から数10μm突出しているビデオヘツド４の
先端部に対して十分小さい値に安定する。従が
つて、磁気テープ１８とビデオヘツド４の接触は
図示の如くビデオヘツド４の先端部の上側４ａに
おいてもすき間が発生せず、安定な状態にするこ
とが可能である。そして、本考案実施例の回転ヘ
ツド装置による記録状態の磁気テープ１８に記録
される磁化トラツクと再生状態のビデオヘツド
４，４′から再生される再生映像信号は第１０図、
第１１図にそれぞれ示す如く成る。すなわち第１
０図の如く、記録状態における磁気テープ１８の
下側部１８ｂの記録磁化トラツクの形成は磁気テ
ープ１８とビデオヘツド４，４′先端部とのすき
間が発生しない為に、ビデオトラツク幅で４−
５，４′−５，４−６，４′−６を順次完全に行な
うことが可能である。また第１１図の如く、再生
状態におけるビデオヘツド４，４′からの再生映
像信号４−５ｂ，４′−５ｂは磁気テープ１８と
ビデオヘツド４，４′先端部とのすき間が発生し
ない為に、磁気テープ１８とビデオヘツド４，
４′との走査開始部４−５ｃ，４′−５ｃで出力低
下することが無い。

次に第１２図は本考案実施例の回転ヘツド装置
の回転上シリンダー２０の外周面２１からの磁気
テープ１８の浮上量と第８図で述べた回転上シ
リンダー２０の環状体２３に設けられている貫通
穴２２の回転上シリンダー２０の回転中心０を含
む直線２４に対する角度θとの関係を示した磁気
テープ１８の浮上量の特性図である。すなわち
第１２図において回転上シリンダー２０の外周面
２１からの磁気テープ１８の浮上量の値は第８
図で述べた回転上シリンダー２０の環状体２３に
設けられている貫通穴２２の回転上シリンダー２
０の回転中心０を含む直線２４に対する角度θを
大きくすれば第９図に示した如く貫通穴２２を矢
印ｂ方向に流出する空気量が増加する為に、第１
２図の曲線２８ａの如く小さく成る。また第１２
図に示す回転上シリンダー２０の外周面２１から
の磁気テープ１８の浮上量の値は、回転上シリ
ンダー２０の回転速度、回転上シリンダー２０の
環状体２３に設けられている貫通穴２２の穴径、
回転上シリンダー２０の外周面２１の直径、貫通
穴２２の数量、磁気テープ１８の走行テンシヨン
の値等によつて変化する。従がつて第１２図の曲
線２８ａの状態に対して、貫通穴２２の穴径を小
さく、貫通穴２２の数量を少なく、磁気テープ１
８の走行テンシヨンを小さくすれば、曲線２８ｂ
に示す状態に至り、磁気テープ１８の回転上シリ
ンダー２０の外周面２１からの浮上量の値は増
加する。結局本考案実施例の回転ヘツド装置の場
合、回転上シリンダー２０の外周面２１からの磁
気テープ１８の浮上量の値は、第１２図の一点
破線２９で示される回転上シリンダー２０の外周
面２１からのビデオヘツド４，４′先端部の突出
量に対して小さく成る如く設定されている。次に
第１３，１４図は本考案の他の実施例の回転ヘツ
ド装置であり、第１３図では回転上シリンダー２
０の外周面２１に設けられた貫通穴３０をテーパ
ー状に形成し、外周面２１の周辺の空気を環状体
２３の内側に流出させる構成である。また第１４
図は環状体２３の下側の所望の位置に多孔質層３
１を構成し、同様に外周面２１の周辺の空気を環
状体２３の内側に多孔質層３１を通じて流出可能
に成されている。

考案の効果 以上述べた如く、本考案によればビデオヘツド
の突出した外周面から略々回転軸芯方向に向つて
複数の貫通穴を有する環状体で構成された上シリ
ンダーを回転させ、この上シリンダーの外周面に
磁気テープをヘリカル状に案内走行させ、上シリ
ンダーの外周面と磁気テープとの間に介在する空
気の一部を貫通穴に流出させることによつて、磁
気テープの上シリンダー外周面からの浮上量を上
シリンダーの外周面から突出しているビデオヘツ
ドの先端部より小さくする構成であるから、ビデ
オヘツドの先端部と磁気テープとの接触走査によ
るすき間を完全に除去出来る為に、記録状態にお
ける磁気テープとビデオヘツドとの接触開始部で
の完全な磁化トラツクが形成可能に成るとともに
再生状態においては、磁気テープとビデオヘツド
との接触開始部の再生映像信号低下の無い高品質
な再生信号を得ることが可能になる等、この種の
磁気記録再生装置の普及に寄与出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例の磁気記録再生装置の回転ヘツ
ド装置の外観斜視図、第２図は同ビデオヘツド部
分の断面図、第３図は同ビデオヘツドと磁気テー
プとの接触状態の拡大図、第４図は同記録状態に
おける磁化トラツク形成の様子を示す図、第５図
は同再生状態における再生映像信号を示す図、第
６図は本考案における一実施例の磁気記録再生装
置の回転ヘツド装置の外観斜視図、第７図は同ビ
デオヘツド部分の断面図、第８図は同回転上シリ
ンダーの平面図、第９図は同ビデオヘツドと磁気
テープとの接触状態の拡大図、第１０図は同記録
状態における磁化トラツク形成の様子を示す図、
第１１図は同再生状態における再生映像信号を示
す図、第１２図は同回転上シリンダー外周面から
の磁気テープ浮上量を示す特性図、第１３，１４
図は本考案における他の実施例の断面図である。 ４，４′……ビデオヘツド、５……固定下シリ
ンダー、６……磁気テープ走行案内面、２０……
回転上シリンダー、２１……回転上シリンダー外
周面、２２……貫通穴、２３……環状体部、２４
……回転上シリンダーの回転中心を含む直線、２
５……貫通穴の環状体体外周面開口部、２６……
貫通穴の環状体内側開口部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 磁気テープを巻回する環状体の外周面に設けた
   開口部に対して回転遅れ方向のほぼ回転軸芯に向
   かつて貫通穴を複数個設けた回転上シリンダと、
   前記回転上シリンダの環状体外周面から突出した
   ビデオヘツドと、前記回転上シリンダの環状体外
   周面に巻回される磁気テープの走行高さ位置をヘ
   リカル状に規制するリードを有する固定下シリン
   ダとを備え、前記回転上シリンダの回転によつて
   環状体外周と前記磁気テープとの間に介在する空
   気の一部を前記回転上シリンダの環状体に設けた
   複数の貫通穴に流出させることを特徴とする磁気
   記録再生装置の回転ヘツド装置。