JPH0424351Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、自動車のベンチレーシヨンルーバー
に関するものである。

（従来技術） 従来、自動車のベンチレーシヨンルーバーとし
て、例えば実開昭58−110514号公報に示される公
知技術がある。この公知技術は、自動車のインス
トルメントパネル部に固定されたルーバーケース
内に左右方向に延びるシヤフトを設け、このシヤ
フトに対して複数枚の円板状の縦フインを上記シ
ヤフトに対し所定角度傾斜させ且つ相互に平行と
なるように並設し、上記シヤフトをモータにより
回転させて風の吹き出し方向を或る程度左右、上
下方向に自動的に可変するようにしてスイングル
ーバーとしての機能を実現したものである。

このような構成によつても或る程度は、左右上
下両方向への風向きの自動的且つ連続的な変更が
可能ではあるが、可変角度が小さいことや任意方
向への固定ができないなどの点で難点がある。

従つて、従来は自動車用の空調機器の場合、縦
フインと横フインとを組合わせて各々を別々に可
動調節する構成のものが一般的であつた。

（考案の目的） 本考案は、上記のような事情に基づいてなされ
たもので、左右上下両方向への風向きの調節を任
意かつ充分な可変角度をもつて行なうことがで
き、しかも風向き範囲を広く取ることができるよ
うにした自動車のベンチレーシヨンルーバーを提
供することを目的とするものである。

（目的を達成するための手段） 本考案は、上記の目的を達成するために、自動
車のインストルメントパネル部に左右方向に延び
る第１の回動軸を介してルーバーケースを上下方
向に回動自在に取付けるとともに該ルーバーケー
ス内に上下方向に延びる第２の回動軸を介して左
右方向に回動可能に複数の縦フインを設け、上記
ルーバーケースおよび縦フインを単一のモータに
よつて共通に回動駆動することによつて風の吹き
出し方向を自動的に上下左右に変化させるように
してなる自動車のベンチレーシヨンルーバーにお
いて、上記縦フインの一部に連係され当該縦フイ
ンを揺動作動させる縦フイン揺動機構と上記第１
の回動軸を回動作動させることによつて上記ルー
バケースを上下に回動させるルーバケース回動機
構とを設け、上記縦フイン揺動機構を複数の歯車
よりなる第１の動力伝達機構を介して上記モータ
に連結する一方、上記ルーバケース回動機構を上
記第１の動力伝達機構とは独立した複数の歯車よ
りなる第２の動力伝達機構を介して上記モータに
連結したことを特徴とするものである。

（作用） 以上の手段によると、縦フイン揺動機構並びに
第１の動力伝達機構を介して複数の歯車のギヤ比
で設定された所定の周期で縦フインを左右に揺動
駆動することにより左右方向の風の吹き出し方向
を自動的に可変できるようになつている当該ルー
バケース自体が、その両側部で第１の回動軸によ
り上下方向に回動自在に支持され、ルーバケース
回動機構と第２の動力伝達機構により、複数の歯
車のギヤ比によつて設定された周期で上下方向に
回動されるようになつているから、左右方向のみ
ならず当該ルーバーケース自体の上下方向の回転
により風の吹き出し方向を上下左右両方向にも任
意に可変設定することができる。

従つて、従来のような可動構造の横フインが不
要となり、ルーバーケース内部の構造も簡単にな
る。

しかも、上記上下方向の風向調節については、
ルーバーケース内の横フインのみの操作により風
の向きを変えるのと異なり、ルーバーケース自体
の方向の可変を上記フイン側の駆動機構とは独立
した別の駆動機構により行うことから、風向範囲
も充分に大きく取ることができるようになる。

（実施例） 図面は、本考案の自動車のベンチレーシヨンル
ーバーの実施例を示すもので、第１図は、同実施
例の一部切欠状態の平面図、第２図は、同実施例
の第１図Ａ−Ａ位置における縦断面図、第３図
は、同実施例の駆動機構部分の拡大側面図であ
る。また、第４図は、当該実施例の自動車に対す
る設置状態を示す斜視図である。

先ず、第１図〜第３図において、符号１，１
は、自動車のインストルメントパネル２の部分に
形成された後述するルーバーケース収納のための
左右一対の空間部であり、この空間部１，１は例
えば共通のダクトを通じて自動車前部の空気取入
れ口および暖房用のヒートコア、冷房用熱交換器
等にフアンを介して連通されている。

そして、上記各空間部１，１には、内部に複数
枚の縦フイン３および横フイン４を各々交差状態
に相嵌させて装架したルーバーケース５，５が、
その左右両側部に設けられた第１の回動軸６ａ，
６ｂによつて上下方向に回動自在な状態で収納さ
れている。第１の回動軸６ａ，６ｂは、各々一端
を上記ルーバーケース５，５に対して固定すると
ともに他端をインストルメントパネル２の収納空
間部１，１の側壁部１ａ，１ａに遊嵌状態で貫挿
して枢支されており、中央側に位置する第１の回
動軸６ｂは上記側壁部１ａ，１ａを貫通して上記
一対の空間部１，１間に形成されたモータ等駆動
機構アツシー用の筺体７を収納した収納室１３内
で共通な一本の軸となつている。一方、上記ルー
バーケース５，５内の縦フイン３および横フイン
４は、例えば横フイン４が上下に平行な状態でル
ーバーケース５自体に固定される一方、他方縦フ
イン３は上記横フイン４を貫通して左右方向に所
定間隔で上下方向に立設された第２の回動軸８に
よつて左右方向に回動自在に枢支されている。そ
して、上記各縦フイン３は、例えばその上端部の
上記第２の回動軸８よりも後方側に寄せた位置で
連接手段９により相互に連接されているとともに
当該縦フイン３の内のいずれか一つ３ａには前面
側に扇形の操作レバー１０が設けられている。従
つて、上記各縦フイン３は、上記操作レバー１０
の左右への操作により、全てが連動して同方向に
移動させられることになり、左右方向への風吹き
出し方向のマニユアル調整が可能となつている。

また、上記縦フイン３の内のいずれかひとつの
もの３ｂには、さらに後方に延出された延出部１
１が形成されており、この延出部１１の延出端に
は上下方向にピン１２が貫挿されている。そし
て、このピン１２に対して、先端側にＵ状孔１６
ａを有し後端側を作動レバー１５に係止された作
動片１６の上記Ｕ状孔１６ａが係合されている。
この作動片１６と作動レバー１５との係止状態
は、例えば第２図、第３図により詳細に示される
ように、例えば金属板で形成された作動片１６の
両側突縁部１６ｂ，１６ｂを折り曲げることによ
つて先ずＵ状のバネ片１７を挟着し、このバネ片
１７内に摩擦材（すべり止め）としての樹脂部材
１８を介して作動レバー１５を挟圧した構成とな
つている。従つて、上記作動片１６と作動レバー
１５との間に過大な応力が作用したような場合に
は両者は相対的に摺動することになり破壊が防止
される。これら作動レバー１５と作動片１６が、
実用新案登録請求の範囲中の縦フイン揺動機構を
形成している。一方、作動レバー１５は、その他
端側がさらに延長され左右一対のルーバーケース
５，５の上記各作動片１６を相互に連結してお
り、その略中央部に位置して前後方向に延びるＵ
状溝１９が設けられている。このＵ状溝１９に
は、その下方の上記筺体７の底面上に水平状態で
軸支された第１のベベルギヤ２０の上面側に設け
られた偏心ピン２１の上端が係合されている。一
方、上記第１のベベルギヤ２０は、当該第１のベ
ベルギヤ２０と直交する方向に軸支された第２の
ベベルギヤ２２を介して第３のベベルギヤ２３と
連結され、さらに第３のベベルギヤ２３にはその
同軸上に第１のスパーギヤ２４が固定されてい
る。この第１のスパーギヤ２４は、さらに第２の
スパーギヤ２５を介してモータ２７のロータギヤ
２６に連結されている。そして、上記偏心ピン２
１、第１のベベルギヤ２０、第２のベベルギヤ２
２、第３のベベルギヤ２３、第１のスパーギヤ２
４、第２のスパーギヤ２５が実用新案登録請求の
範囲中の第１の動力伝達機構を形成している。従
つて、モータ２７の回転によりロータギヤ２６が
回転すると、上記第１のベベルギヤ２０が回転し
偏心ピン２１も回転することになり、当該偏心ピ
ン２１の偏心回転により作動レバー１５は、矢印
で示すように左右方向に往復動を繰り返すことに
なり、作動片１６を介して上記縦フイン３は左右
方向に回動させられる。

また、上記ロータギヤ２６には、さらに第３の
スパーギヤ３０が噛合されている（第３図参照）。
この第３のスパーギヤ３０の一側面には、偏心ピ
ン３１が設けられており、その偏心ピン３１は、
さらにその上方の第４のスパーギヤ３２の回転軸
３３に上端を固定した揺動レバー３４下端のＵ状
溝３５内に係合されている。また、上記第４のス
パーギヤ３２は、上述のルーバーケース５，５の
共通な第１の回動軸６ｂに固定された第５のスパ
ーギヤ３６に噛合されている。上記第３のスパー
ギヤ３０、偏心ピン３１は、実用新案登録請求の
範囲中のルーバケース回動機構を、また揺動レバ
ー３４、回転軸３３、第４のスパーギヤ３２、第
５のスパーギヤ３６は同第２の動力伝達機構を
各々形成している。従つて、上記ロータギヤ２６
の回転は、先ず第３のスパーギヤ３０に伝達され
て偏心ピン３１を回動し、偏心ピン３１はその回
転により揺動レバー３４を所定角度で揺動させ
る。その結果、第４のスパーギヤ３２も所定回動
角範囲内で正逆方向に回動することになり、その
回動が第５のスパーギヤ３６を介してルーバーケ
ース５，５にそのまま伝えられることになる。従
つて、ルーバーケース５，５は、上記第１の回動
軸６ａ，６ｂを中心として上下方向に繰り返し回
動させられる。

従つて、上記の構成によると、単一のモータに
より上下左右に自動的に連続して風向きを可変す
ることができるスイングルーバーを実現すること
ができる。

そして、以上のように構成された自動車のベン
チレーシヨンルーバーは、例えば第４図に示すよ
うな状態で自動車のインストルメントパネル２に
組込まれ、左右一対のルーバーケース５，５間の
駆動機構アツシー用の収納室１３前面側に設けら
れた操作スイツチ３７のON，OFF操作によりコ
ントロールされる。操作スイツチ３７がOFFの
状態では、操作レバー１０の操作により任意方向
への風吹き出し方向の固定が可能となる。

なお、以上の構成では左右方向に縦フインを回
動するための作動レバーとルーバーケースを上下
方向に回動させる第１の回動軸とを別々に設けた
が、他の実施例として、第１の回動軸を縦フイン
の枢着軸に対して後方側に偏位させて設け、且つ
その軸自体をスラスト軸に構成してルーバーケー
ス内を貫通させるようにすると、第１の回動軸と
作動レバーとを一本の軸によつて兼用することも
また可能である。

（考案の効果） 本考案は、以上に説明したように、自動車のイ
ンストルメントパネル部に左右方向に延びる第１
の回動軸を介してルーバーケースを上下方向に回
動自在に取付けるとともに該ルーバーケース内に
上下方向に延びる第２の回動軸を介して左右方向
に回動可能に複数の縦フインを設け、上記ルーバ
ーケースおよび縦フインを単一のモータによつて
共通に回動駆動することによつて風の吹き出し方
向を自動的に上下左右に変化させるようにしてな
る自動車のベンチレーシヨンルーバーにおいて、
上記縦フインの一部に連係され当該縦フインを揺
動作動させる縦フイン揺動機構と上記第１の回動
軸を回動作動させることによつて上記ルーバケー
スを上下に回動させるルーバケース回動機構とを
設け、上記縦フイン揺動機構を複数の歯車よりな
る第１の動力伝達機構を介して上記モータに連結
する一方、上記ルーバケース回動機構を上記第１
の動力伝達機構とは独立した複数の歯車よりなる
第２の動力伝達機構を介して上記モータに連結し
たことを特徴とするものである。

従つて、本考案によると、縦フイン揺動機構並
びに第１の動力伝達機構を介して複数の歯車のギ
ヤ比で設定された所定の周期で縦フインを左右に
揺動駆動することにより左右方向の風の吹き出し
方向を自動的に可変できるようになつている当該
ルーバケース自体が、その両側部で第１の回動軸
により上下方向に回動自在に支持され、ルーバケ
ース回動機構と第２の動力伝達機構により、複数
の歯車のギヤ比で設定された周期で上下方向に回
動駆動されるようになつているから、左右方向の
みならず当該ルーバケース自体の上下方向の回転
により風の吹き出し方向を上下左右両方向にも任
意に可変設定することができる。

従つて、従来のような可動構造の横フインが不
要となり、ルーバーケースの内部の構造も簡単に
なる。

しかも、上記上下方向の風向調節については、
ルーバーケース内の横フインのみの操作により風
の向きを変えるのと異なり、ルーバーケース自体
の方向が可変されるようになつつていることに加
え、該ルーバケースの方向の可変を上記フイン側
の駆動機構とは独立した別の駆動機構により行う
ことから風向範囲も十分に大きく取ることができ
るようになる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の実施例の自動車のベンチレ
ーシヨンルーバーを示す一部切欠状態の平面図、
第２図は、同実施例の第１図Ａ−Ａ位置における
その中央縦断面図、第３図は、同実施例の駆動機
構部分の拡大側面図、第４図は、同実施例の自動
車に対する装着状態の斜視図である。 １……ルーバーケース収納空間部、２……イン
ストルメントパネル、３……縦フイン、４……横
フイン、５……ルーバーケース、６ａ，６ｂ……
第１の回動軸、１５……作動レバー、１６……作
動片、２０……第１のベベルギヤ、２１……偏心
ピン、２２……第２のベベルギヤ、２３……第３
のベベルギヤ、２４……第１のスパーギヤ、２５
……第２のスパーギヤ、２７……モータ、３０…
…第３のスパーギヤ、３１……偏心ピン、３２…
…第４のスパーギヤ、３３……回転軸、３４……
揺動レバー、３６……第５のスパーギヤ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 自動車のインストルメントパネル部に左右方向
   の延びる第１の回動軸を介してルーバーケースを
   上下方向に回動自在に取付けるとともに該ルーバ
   ーケース内に上下方向に延びる第２の回動軸を介
   して左右方向に回動可能に複数の縦フインを設
   け、上記ルーバーケースおよび縦フインを単一の
   モータによつて共通に回動駆動することによつて
   風の吹き出し方向を自動的に上下左右に変化させ
   るようにしてなる自動車のベンチレーシヨンルー
   バーにおいて、上記縦フインの一部に連係され当
   該縦フインを揺動作動させる縦フイン揺動機構と
   上記第１の回動軸を回動作動させることによつて
   上記ルーバーケースを上下に回動させるルーバー
   ケース回動機構とを設け、上記縦フイン揺動機構
   を複数の歯車よりなる第１の動力伝達機構を介し
   て上記モータに連結する一方、上記ルーバーケー
   ス回動機構を上記第１の動力伝達機構とは独立し
   た複数の歯車よりなる第２の動力伝達機構を介し
   て上記モータに連結したことを特徴とする自動車
   のベンチレーシヨンルーバー。