JPH04235286A - 溶接性の良好な電気絶縁被膜を有する電磁鋼板 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、絶縁被膜、特に有機樹
脂を含む電気絶縁被膜を有する電磁鋼板に関し、溶接性
を改良した電気絶縁被膜を有する電磁鋼板に関する。

【０００２】

【従来の技術】電磁鋼板の絶縁被膜に要求される特性は
、電気絶縁性、密着性、溶接性、追加コートとの密着性
、打抜性、耐食性、耐冷媒性など数多く挙げられる。 これらの諸要求を満たすための研究がなされており、電
磁鋼板の表面に絶縁被膜を形成させる方法や絶縁被膜組
成物に関して多数の技術が提案されている。

【０００３】特に、クロム酸系と有機樹脂の積層被膜ま
たは複合被膜は鋼板の打抜性を従来のりん酸塩系および
クロム酸塩系無機被膜に比べて格段に向上させることが
できるので大いに利用されている。

【０００４】例えば、特公昭６０−３６４７６号公報に
は、少くとも一種の２価金属を含む重クロム酸塩系水溶
液に、該水溶液中のＣｒＯ３　：１００重量部に対し有
機樹脂として酢酸ビニル／ベオバ比が９０／１０〜４０
／６０の比率になる樹脂エマルジョンを樹脂固形分で５
〜１２０重量部および有機還元剤を１０〜６０重量部の
割合で配合した処理液を基地鉄板の表面に塗布し、常法
による焼付け工程を経て得たものであることを特徴とす
る絶縁被膜形成法が、また特開昭６０−３８０６７号公
報には、無水クロム酸、重クロム酸塩等のクロム化合物
と、２価または３価金属の水酸化物または酸化物と、焼
付被膜重量の０．１〜５ｗｔ％に相当する樹脂分を有す
るふっ素樹脂またはポリエチレン樹脂の一種または二種
の樹脂エマルジョンとを含有する処理液とを電磁鋼板に
塗布、焼付けすることを特徴とする絶縁皮膜形成法が、
また特開昭６２−１００５６１号公報には、アクリル系
樹脂およびアクリル−スチレン系樹脂のいずれか一方ま
たは両方から成る有機物系皮膜形成性樹脂を乳化分散せ
しめたｐＨ２〜８の水性エマルジョンとアクリロニトリ
ル系樹脂を分散せしめた実質的に乳化分散剤を含有しな
いｐＨ６〜８の水性分散液とを両者の不揮発物の合計量
に対して後者の不揮発物が１０〜９０重量％となるよう
に混合して得た混合樹脂液を、クロム酸塩を酸成分とす
る無機質系皮膜形成性物質の水溶液に該水溶液中のクロ
ム酸塩のＣｒＯ２　換算量１００重量部に対し上記混合
樹脂液の不揮発物が１５〜１２０重量部となるように添
加混合し、かくして得られた電磁鋼板絶縁皮膜形成用組
成物を電磁鋼板に塗布し、３００〜５００℃の温度で加
熱して絶縁皮膜を０．４〜２．０ｇ／ｍ２の範囲に形成
させることを特徴とする電磁鋼板絶縁皮膜形成方法が夫
々開示されている。

【０００５】しかしながら、上述した方法などにより得
られる絶縁被膜を有する電磁鋼板の絶縁皮膜の種類と皮
膜量によっては、打抜き加工後、積層して端面にＴＩＧ
溶接を施した場合には、絶縁被膜中の有機質が熱分解し
てガスを発生し、溶接ビードにブローホールが生じ易い
という問題があった。

【０００６】上記の問題の解決策としては、基地鋼板の
表面を２０Ｈｒ．ｍ．ｓ．　μｉｎｃｈ（Ｒａに換算す
ると約０．５μｍ）以上の表面粗さに仕上げた後、有機
樹脂を含む絶縁被膜を形成する方法（特公昭４９−６７
４４号公報）や、焼付け中の有機樹脂を含む絶縁被膜が
硬化する前に、表面の粗いロールで処理するか、または
処理液中に約２μｍ以上の有機物粒子を添加して塗布、
焼付けることにより絶縁被膜自体を２μＨｍａｘ以上の
粗さに仕上げる方法（特公昭４９−１９０７８号公報）
などが提案されている。

【０００７】これらの方法は、いずれも溶接時に発生し
たガスが溶接部周辺から逸散し易いようにガス通過間げ
きを形成させることによって、ブローホールの発生を防
止しようとするものである。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上述した
方法は、両者とも電磁鋼板の表面粗さを、通常得られる
電磁鋼板の表面標準粗さ（Ｒａ　で約０．１〜０．５μ
ｍ）よりも粗くする方法であるため、占積率が低下する
という問題があった。

【０００９】また、特に絶縁被膜自体を２μＨｍａｘ以
上に仕上げる方法については、種々改良が試みられた（
特公昭５５−２１１１１号公報、特公昭６２−３４８３
２号公報等）が、これらもまた本質的に表面を粗くする
ことに変わりはなく、したがって、占積率の低下は免れ
得なかった。

【００１０】そこでこのような問題を引きおこすことの
ない電磁鋼板の開発が強く望まれていた。

【００１１】本発明は、かかる要望に有利に応えるもの
で、有機樹脂を含む絶縁被膜を形成させた場合でも占積
率を損なうことなしに溶接性を向上させ得る積層鉄心用
電磁鋼板を提供することを目的としている。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明は上述の問題を有
利に解決すべく鋭意研究を重ねた結果開発されたもので
ある。すなわち、上記目的を達成するために本発明によ
れば、表面に電気絶縁性の被膜を有する電磁鋼板であっ
て、前記被膜は、少なくとも一種類の２価金属を含む重
クロム酸系水溶液に、前記水溶液中のＣｒＯ３　：１０
０重量部に対し有機樹脂エマルジョンを固形分で５〜１
２０重量部、有機発泡剤を固形分で１〜３０重量部並び
に有機還元剤を１０〜６０重量部の割合で配合した処理
液を、基地鋼板の表面に塗布し、常法による焼付け工程
を経て形成したものであることを特徴とする溶接性の良
好な電気絶縁被膜を有する電磁鋼板が提供される。

【００１３】以下に本発明をさらに詳細に説明する。

【００１４】本発明で用いる処理液は、少くとも一種類
の２価金属を含む重クロム酸塩を用いるが、無水クロム
酸、クロム酸塩および重クロム酸塩の少なくとも一種を
主剤に用いた水溶液である。

【００１５】重クロム酸塩としてはナトリウム、カリウ
ム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛等の塩を用いるこ
とができる。

【００１６】溶解させる２価金属の酸化物としては、例
えばＭｇＯ，ＣａＯ，ＺｎＯ等を、水酸化物としては、
例えばＭｇ（ＯＨ）２，Ｃａ（ＯＨ）２，Ｚｎ（ＯＨ）
２，等を、炭酸塩としては、ＭｇＣＯ３，ＣａＣＯ３，
ＺｎＣＯ３　等をそれぞれ挙げることができる。

【００１７】これらを無水クロム酸、クロム酸塩および
重クロム酸塩の少なくとも一種を主剤に用いた水溶液に
溶解させて所望の重クロム酸塩水溶液とする。

【００１８】次に、本発明に用いる有機樹脂エマルジョ
ンは、アクリル樹脂、酢酸ビニール樹脂、ポリエステル
樹脂、ウレタン樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂など
が利用できるが、これらに限定するものではない。これ
らの樹脂を、重クロム酸系水溶液中のＣｒＯ３　：１０
０重量部に対して固形分として５〜１２０重量部となる
ように添加する。固形分が５重量部より少ないと十分な
半有機コートの被膜性能が得られず、一方１２０重量部
より多くなると経済効果が薄れる。

【００１９】有機発泡剤としては、アゾジカルボンアミ
ド、アゾビスイソ−ブチロニトリル、Ｎ，Ｎ´−ジント
ロソペンタンメチレンテトラミン、ｐ−トルエンスルホ
ニルヒドラジド、ｐｐ´−オキシビス（ベンゼンスルホ
ニルヒドラジド）などが利用できる。しかし、特にこれ
らに限定するものではなく、有機発泡剤固有の温度で熱
分解してガスを発生するものであれば良い。

【００２０】前記発泡剤は、前記水溶液中のＣｒＯ３　
：１００重量部に対して固形分で１〜３０重量部とする
。 固形分が１重量部以下では発泡の効果が発揮されず、３
０重量部を超えると発泡が過剰で被膜表面が荒れてしま
い被膜性能が低下してしまう。

【００２１】さらに、被膜を不溶性化するために６価ク
ロムの還元剤として、グリセリン、エチレングリコール
、しょ糖などの多価アルコール類を添加する。これら有
機還元剤の添加量は、前記水溶液中のＣｒＯ３　：１０
０重量部に対して１０〜６０重量部とする。

【００２２】有機還元剤の配合量が１０重量部より少な
いと、被膜の耐水性が劣化し、一方６０重量部より多い
と処理液中で還元反応が進行し処理液がゲル化する不利
が生じる。

【００２３】なお、被膜の耐熱性を一層向上させるため
に、硼酸、りん酸塩等を配合したり、歪取り焼鈍後の層
間抵抗を向上させるためにコロイダルシリカなどのコロ
イド状物質を配合するなどをしても良い。

【００２４】上述した配合組成の処理液を連続的に電磁
鋼板表面にロールコーター等で均一に塗布した後、通常
行われているような、３００〜７００℃の乾燥炉雰囲気
温度で短時間焼付硬化させることによって、目的とする
良好な電気絶縁被膜が形成される。このとき、焼付け後
の被膜付着量は０．２〜６ｇ／ｍ２程度とすることが好
ましい。０．２ｇ／ｍ２未満では絶縁被膜の被覆率が低
下し、６ｇ／ｍ２を超えると絶縁被膜の密着性が劣化す
る。

【００２５】かくして得られた絶縁被膜は、溶接性に優
れているだけではなく該被膜として要求される他の諸特
性、例えば密着性、電気絶縁性、耐食性、耐熱性、耐化
学薬品性などの面で十分満足のいくものであることも確
められている。

【００２６】

【作用】前記処理液を塗布焼付け時に、有機発泡剤を熱
分解させて微細なガスを発生させ、このガスにより絶縁
被膜層内に均一な気泡構造を生じさせ、一方被膜表面は
平滑に保たれる。これによりＴＩＧ溶接時に発生したガ
スは前記気泡中に貯えられ、溶接ビードのブローホール
を防ぐことができる。また、被膜表面は平滑なので占積
率の低下もなく良好な被膜性能を示す。

【００２７】

【実施例】以下に本発明を実施例に基づき具体的に説明
する。 （実施例１）板厚０．５ｍｍの電磁鋼板の表面に表１の
種々の成分からなる処理液を塗布した後、４５０℃の熱
風炉にて８０秒間焼付けて前記鋼板表面に絶縁被膜を形
成した。

【００２８】このときの塗布作業性および処理液の経時
安定性は極めて良好であり、しかも均一な表２に示す付
着量の被膜が得られた。

【００２９】ついで得られた絶縁被膜付き電磁鋼板から
圧延方向が幅方向になるように幅３０ｍｍ、長さ１３０
ｍｍ、厚さ０．５ｍｍの板をせん断機にて打抜き、締付
圧１００Ｋｇ／ｃｍ２で締付けたのち、得られた積層体
の重ね断面を電流１２０Ａ、シールドガス；Ａｒ（流量
６ｌ／ｍｉｎ　）の条件でＴＩＧ溶接したときの、ブロ
ーホールの発生状況について調べ、その他の被膜諸特性
とともに表２に示す。それらの測定法と判定基準を下に
示す。 （１）層間抵抗　　　　　　　　　　ＪＩＳ第２法層間
抵抗値が大きい程電気絶縁性が良い。 （２）密着性 焼鈍前：屈曲して被膜の剥離しない直径焼鈍後：平板で
の被膜のテープ剥離の有無剥離が少い程密着性が良い。 （３）耐食性 塩水噴霧試験　　　　　　　　　　７時間後発錆率の少
い程耐食性が良い。 （４）耐冷媒性 フロン２２：冷凍機油＝９：１　　８０℃×１０日間重
量減少が少い程耐冷媒性が良い。 （５）耐油性 １号絶縁油　　１２０℃×７２時間 重量減少が少い程耐油性が良い。 （６）打抜性 １５ｍｍφスチールダイスにおいて、かえり高さが５０
μｍに達するまでの打抜数 打抜性はかえり高さが５０μｍに達するまでの打抜回数
が多い程良好。

【００３０】

【表１】

【００３１】

【表２】

【００３２】

【表３】

【００３３】

【表４】

【００３４】

【発明の効果】本発明は以上説明したように構成されて
いるので、本発明の電磁鋼板は、溶接時のブローホール
発生を防止でき、溶接性に優れている。しかも、前記被
膜に要求される他の特性の劣化も全くなく良好である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　表面に電気絶縁性の被膜を有する電磁
   鋼板であって、前記被膜は、少なくとも一種類の２価金
   属を含む重クロム酸系水溶液に、前記水溶液中のＣｒＯ
   ３　：１００重量部に対し有機樹脂エマルジョンを固形
   分で５〜１２０重量部、有機発泡剤を固形分で１〜３０
   重量部並びに有機還元剤を１０〜６０重量部の割合で配
   合した処理液を、基地鋼板の表面に塗布し、常法による
   焼付け工程を経て形成したものであることを特徴とする
   溶接性の良好な電気絶縁被膜を有する電磁鋼板。