JPH0423070Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本考案はハツチバツク型自動車やバン型自動車
のように、リアシート後部に形成された荷室をカ
バーするトノカバー装置に関する。

＜従来の技術＞ 一般に、トノカバー装置は車体後部の荷室をカ
バーリングして、搭載された荷物の盗難防止およ
び美感の向上のために使用される。

第４図乃至第６図はこのトノカバーを車体に取
り付けるための従来例の構造を示している。カバ
ーシートが巻回状態で内部に収納される収納ケー
ス１は本体３と、本体３の両端部に嵌着されるキ
ヤツプ２とからなり、これらにカバーシートの引
出口４が開口されている。車体５の後部荷室６に
はリアシート７背部の左右の側壁に取付溝８が形
成され、取付溝８内に上部開放の「コ」字形クリ
ツプ９がビス１０によつて止着されている。トノ
カバー装置の装着は、収納ケース１のキヤツプを
クリツプ内に嵌め込むことで行われ、第６図Ｂの
ように、収納ケース１内からカバーシート１１を
引き出し、このカバーシート１１の引出し端部を
車体５に取り付けられたフツク１２に掛止させる
ことで荷室がカバーリングされるようになつてい
る。（日産自動車株式会社発行Ｚ−31型サービス
周報第489号参照） ＜考案が解決しようとする問題点＞ しかしながら、この従来装置では、収納ケース
１を掛着するクリツプ９およびカバーシートの引
き出し端部が掛着されるフツク１２がいずれも車
体５に固定的に装着されるため、車体の前後方向
に対して左右のクリツプ又はフツクの取付位置が
ばらついた場合には、第６図Ａのように引き出さ
れたカバーシート１１の一部に弛み部分１１ａが
生じて、外観が劣ると共に、確実な荷室のカバー
リングができない、という問題点を有していた。

本考案は上記事情を考慮してなされ、クリツプ
の取付精度に関係なく、カバーシートに弛みを生
じることのないトノカバー装置を提供するもので
ある。

＜問題点を解決するための手段＞ 本考案は収納ケースおよびカバーシートの引出
し端部を掛着する掛着手段の内、少なくとも一方
の掛着手段を車体の前後方向にスライド可能に形
成してカバーシートの弛みを吸収するようにした
ものである。すなわち、本考案に係るトノカバー
装置は車体の荷室の前後に掛着手段が設けられて
おり、一方の掛着手段に収納ケースの両端部のキ
ヤツプが掛着され、他方の掛着手段に前記収納ケ
ースから引き出された型保持性のないカバーシー
トの引き出し端部が掛着されて荷室をカバーリン
グするトノカバー装置において、少なくとも一方
の掛着手段の前後方向に形成された長孔にスライ
ド可能に取り付けられたクリツプと、一端が車体
側に係止され他端がクリツプに係止されたばねと
よりなり、前記クリツプを前記カバーシートを引
つ張る如く車体の前後方向に附勢するようにした
ことを特徴とする。

＜実施例＞ 第１図、第２図および第３図は本考案の一実施
例の要部の断面図、その−線断面図および底
面図である。この実施例は車体の前後に設けられ
る掛着手段の内、収納ケースを掛着する手段を示
すものである。車体５の荷室の前方側の左右側壁
に形成された取付溝８の底部には車体５の前後方
向に長孔２０が形成され、長孔２０に、収納ケー
ス両端のキヤツプ（図示せず）を掛着する掛着手
段が取り付けられている。この掛着手段はクリツ
プ３０および弾性体としてのばね２１とからなつ
ている。クリツプ３０は上部開放「コ」字形のク
リツプ体３１と、クリツプ体３１の下面にビス３
２で連結された軸体３３とからなり、クリツプ体
３１に収納ケースのキヤツプが嵌め込まれて収納
ケースの取付けを行うと共に、軸体３３が長孔２
０内にスライド可能に挿入されている。軸体３３
は長孔２０を貫通して取付溝８下方に垂下してお
り、垂下された部分にばね２１の一端のフツク部
２１ａが掛着されている。

尚、クリツプ３０はクリツプ体３１の下面と軸
体３３のフランジ部とで車体を挾持することによ
つて長孔２０からの脱落が防止されている。前記
ばね２１は本実施例では引張りばねからなり、他
端のフツク部２１ｂは、クリツプ３０よりも車体
５の前方に取り付けられた固定軸２２に掛着され
ており、これにより、クリツプ３０を車体５の前
部方向にスライドするように附勢している。

前記収納ケース内には型保持性のないカバーシ
ートが巻回状態で収納されており、カバーシート
の端部を引き出し、その端部を荷室後部の掛着手
段に引掛けることでカバーシートが荷室をカバー
リングするようになつている。この荷室後部の掛
着手段は図示しないが、車体に固定的に取り付け
られる構造とすることができ、例えば従来例と同
様なフツクを使用することができる。

このような実施例では、収納ケース両端部のキ
ヤツプが掛着されるクリツプ３０が常に車体の前
部方向にスライドするように附勢されているか
ら、収納ケース内から引き出されて荷室をカバー
リングするカバーシートには一定の緊張力が付与
され、カバーシートに弛みが生じることがなくな
る。

なお、以上の実施例では収納ケースのキヤツプ
を掛着する荷室前方側の掛着手段をスライド可能
に形成したが、本考案ではカバーケースの引き出
し端部を掛着する荷室後方側の掛着手段をクリツ
プとばねとで構成してスライド可能に形成しても
よく、双方の掛着手段をスライド可能に形成して
もよい。さらには、クリツプを附勢するばねを捩
りばねあるいは圧縮ばねに変更してもよく、要は
弾性体であればよい。また、長孔の形状，長さも
適宜、変更することができる。

＜考案の効果＞ 以上のとおり本考案によれば、収納ケースの両
端部およびカバーシートの引き出し端部を掛着す
る掛着手段の内、少なくとも一方の掛着手段を車
体の前後方向にスライドするように附勢して取り
付けたから、簡単な構造で収納ケースから引き出
される型保持性のないカバーシートの弛みが防止
でき、使用状態の外観が向上すると共に、荷室の
確実なカバーリングが可能となる、という実用的
な効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の断面図、第２図お
よび第３図はその−線断面図および底面図、
第４図および第５図は従来例の斜視図および要部
の斜視図、第６図Ａ，Ｂはその使用状態の斜視図
である。 １……収納ケース、２……キヤツプ、３……本
体、１１……カバーシート、２０……長孔、２１
……ばね、３０……クリツプ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 車体の荷室の前後に掛着手段が設けられてお
   り、一方の掛着手段に収納ケースの両端部のキヤ
   ツプが掛着され、他方の掛着手段に前記収納ケー
   スから引き出された型保持性のないカバーシート
   の引き出し端部が掛着されて荷室をカバーリング
   するトノカバー装置において、 少なくとも一方の掛着手段が車体の前後方向に
   形成された長孔にスライド可能に取り付けられた
   クリツプと、一端が車体側に係止され他端がクリ
   ツプに係止されたばねとよりなり、前記クリツプ
   を前記カバーシートを引つ張る如く車体の前後方
   向に附勢するようにしたことを特徴とするトノカ
   バー装置。