JPH0421930Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、建築用型枠コンクリートブロツク
に関するものである。

（従来の技術） 建築用型枠コンクリートブロツクとして、前後
のフエースシエルを複数個のウエブシエルで一体
に接続したものが普及しつつあるが、縦配筋ピツ
チを均一化するためには、ウエブシエルの位置お
よび厚みに制限があつた。一方、上記の縦配筋ピ
ツチの均一化を可能にするものとして、前後のフ
エースシエルを中間の１個のウエブシエルで一体
に接続した平面形状Ｈ字形の、いわゆるＨ型コン
クリートブロツクが知られている。

（考案が解決しようとする問題点） 従来のＨ型コンクリートブロツクは、上下左右
に隣接するブロツク相互間の位置ずれを防止する
ため、組積みに際して隣接ブロツクとの接触面に
接合用の目地モルタルを塗布していた。したがつ
て、上記のコンクリートブロツクを上方へ数段積
重ねてブロツク内の空所に生コンクリートを充填
するには、上記の積重ねが終つてから目地モルタ
ルの乾燥を待つ必要があり、作業能率が低下する
一因になつていた。また、上記の目地モルタルを
塗布する作業は、熟練を要し、手間のかかる仕事
であつた。なお、フエースシエルの左右の一方の
端面に上下方向の突条を、他方の端面に凹溝をそ
れぞれ設け、またフエースシエルの上面に長さ方
向の突条を、また下面に凹溝をそれぞれ設け、組
積みの際に上記の突条と凹溝を嵌合することが試
みられているが、これらの場合は、左右に隣接す
るブロツクや上下に隣接するブロツク相互の厚さ
方向のずれを防止することができても、長さ方向
のずれを防止することができなかつた。

この考案は、組積みした際、上下のブロツクが
長さ方向にずれるのを防止することができ、目地
モルタルの塗布が不要であつて組積みに熟練を必
要とせず、しかも成型が容易なＨ字形の建築用型
枠コンクリートブロツクを提供するものである。

（問題点を解決するための手段） 第１図に示すように、前後のフエースシエル
１，２の中央をウエブシエル３で一体に接続した
平面形状Ｈ字形の建築用型枠コンクリートブロツ
クにおいて、ウエブシエル３を挟んで一方の側の
前部フエースシエル１および他方の側の後部フエ
ースシエル各内面に沿つて上端が上記のフエース
シエル１，２の上面から突出する突起４ａをそれ
ぞれ中心から全長の1/4の距離の位置に設け、一
方の側の後部フエースシエル２および他方の側の
前部フエースシエル１の各内面に沿つて上記の突
起４ａが嵌合可能な縦溝５を上記突起４の対向位
置に設ける。

（作用） 第１図の建築用型枠コンクリートブロツクＰを
複数個、向きを揃えて一列に並べ、その上面に同
じ建築用型枠コンクリートブロツクＰを半ピツチ
ずらして同様に向きを揃えて一列に並べると、す
なわち上下の建築用型枠コンクリートブロツクＰ
を千鳥状に組積みすると、下の列のブロツクＰの
突起４ａが上の列のブロツクＰの縦溝５の下部に
嵌合する。したがつて、下の列のブロツクＰに対
する上の列のブロツクＰの長さ方向のずれ、およ
び厚さ方向のずれの双方が防止される。

なお、建築用コンクリートブロツクの成型にお
いては、通常、上面が平滑なパレツト上に金型枠
を置き、その上方にプレスフレームを昇降自在に
設け、金型枠内にプレスフレームのプレス板を進
入させてコンクリートブロツクを成型し、次いで
金型枠およびプレスフレームを上方へ抜き取り、
パレツト上に残された成型済み生コンクリートブ
ロツクをパレツトと共に養生室へ運んで養生固化
し、しかるのちコンクリートブロツクをパレツト
から水平押出しによつてコンベヤに移している
が、この考案のブロツクＰは、下面に突起がな
く、かつパレツト上面に突起を設ける必要がない
ので、通常の成型機を用いて成型し、従来どおり
パレツトから押出しによつてコンベヤ上に移すこ
とができる。

（実施例） 第１図の建築用型枠コンクリートブロツクＰ
は、前後のフエースシエル１，２を中間の１個の
ウエブシエル３で一体に接続し、前部フエースシ
エル１の左側内面および後部フエースシエル２の
右側内面のそれぞれに沿つて横断面長方形の突条
４を上下方向の柱状に突設し、かつその上端を上
方へ延長して突起４ａを形成し、前部フエースシ
エル１の右側内面および後部フエースシエルの左
側内面のそれぞれに断面長方形の縦溝５を形成し
たものである。

この実施例では、フエースシエル１，２の上面
の内側縁に沿つて水平段部１ａ，２ａが凹設され
るが、上記の突条４の上端の突起４ａは、上記の
水平段部１ａ，２ａよりも高所に位置する外側縁
１ｂ，２ｂよりも更に上方へ突出するように形成
され（第３図参照）、ブロツクＰを上下に重ねた
場合、上側のブロツクＰのフエースシエル１，２
の下面に下側のブロツクＰの上面の外側縁１ｂ，
２ｂが接し、上下のブロツク間に横溝Ｗが形成さ
れると共に、上側のブロツクＰの縦溝５の下部に
下側のブロツクＰの突起４ａが支障なく進入可能
になつている。

また、第１図および第２図に示すように、前部
フエースシエル１の左端面および後部フエースシ
エル２の右端面の各内側縁に沿つて上下方向の端
面段部１ｃ，２ｃがそれぞれ凹設され、かつ前部
フエースシエル１の右端面および後部フエースシ
エル２の左端面の各内側縁に沿つて上下方向の端
面突条１ｄ，２ｄがそれぞれ突設され、複数個の
ブロツクＰを左右に並べたとき、隣接部のフエー
スシエル１，２の端面段部１ｃ，２ｃおよび端面
突条１ｄ，２ｄが互いにかみ合うようになつてい
る。しかも、端面段部１ｃ，２ｃの深さに比べて
端面突条１ｄ，２ｄの高さが小さく設定されてお
り、上記のようにかみ合わしたとき、両者間に上
下方向の縦溝Ｔが形成される。

ウエブシエル３の上下両面には、ウエブシエル
３の左右両側空間を連通させる溝状凹部３ａ，３
ｂが形成されている。ただし、上面側の溝状凹部
３ａに比べて下面側の溝状凹部３ｂは深く形成さ
れており、上面側の凹部３ａの底部には、横筋設
置用の横溝３ｃが２本、前後に並設されている。

上記の構成において、その多数個を千鳥状に積
重ねる際、左右の隣接部は、端面段部１ｃ，２ｃ
と端面突条１ｄ，２ｄのかみ合いによつて厚さ方
向の位置ずれが防止され、上下の隣接部は、突起
４ａと縦溝５の嵌合によつて長さ方向および厚さ
方向の双方の位置ずれが防止される。したがつ
て、目地モルタルの塗布を必要とせず、組積みを
容易に行なうことができる。そして、上下のブロ
ツクＰ，Ｐの隣接部内側に横溝Ｗが、また左右の
ブロツクＰ，Ｐの隣接部内側に縦溝Ｔがそれぞれ
設けられるので、組積み終了後に生コンクリート
またはモルタルを打設することによつて打込み目
地が形成される。

上記の第１図ないし第３図に示した基本型の建
築用型枠コンクリートブロツクＰを組積みした
際、コーナ部または端部を形成するためのブロツ
クを第４図および第５図に示す。第４図は、コー
ナ用ブロツクＱを示し，前記Ｈ字形の基本型ブロ
ツクＰの一端に端部フエースシエル７を設け、前
部フエースシエル１および後部フエースシエル２
を接続したものである。また、第５図は、基本型
ブロツクＰを直線上に配列した場合の端部に置く
ための端部用ブロツクＲを示し、第１図の基本型
ブロツクＰまたは第４図のコーナ用ブロツクＱの
左半部を除去して右半部を残し、ウエブシエル３
を第４図の端部フエースシエル７で置換したもの
に相当する。すなわち、前部フエースシエル１
Ａ、後部フエースシエル２Ａおよび端部フエース
シエル７によつてコ字形に形成されている。

第６図〜第８図は、コーナ部の組積み状態を示
し、第６図、第８図下段左端にコーナ用ブロツク
Ｑがその長さ方向を紙面に垂直に向けて置かれ、
その右側にコーナ用ブロツクＱがその端面用フエ
ースシエル７を左側に向けて置かれ、更にその右
側には基本型ブロツクＰの多数個が順に配列され
る。２段目の左端にはコーナ用ブロツクＱが前部
フエースシエル１を手前に向けて置かれ、その右
側には基本型ブロツクＰの多数個が順に配列され
る。そして、３段目には、１段目と同様にコーナ
用ブロツクＱおよび基本型ブロツクＰが配列され
る。なお、第７図において、二点鎖線で示したウ
エブシエル３は、実線で示したブロツクＰ，Ｑの
下側に位置するブロツクのもである。

第９図は、直線状ブロツク塀の端部を示し、左
端に端部用ブロツクＲが置かれ、その右方に多数
個の基本型ブロツクＰが順に配列される。そし
て、その上段および下段においては、左端に前記
のコーナー用ブロツクＱが置かれ、その右方に多
数個の基本型ブロツクＰが配列される。

（考案の効果） この考案の建築用型枠ブロツクは、千鳥状に組
積みした際に、上側のブロツク内面の凹溝に下側
ブロツク上面の突起が嵌合するので、上下のブロ
ツクの厚さ方向および長さ方向の双方のずれを防
止することができる。したがつて、目地モルタル
を塗布することなく組積みを行ない、その終了後
に生コンクリートまたはモルタルの打設が可能で
あり、そのため組積みに熟練を要せず、かつ工期
が大幅に短縮される。そして、実施例に示すよう
に後部フエースシエルの周囲に段部を凹設して隣
接ブロツクとの間に縦溝および横溝が形成される
ようにしたときは、生コンクリートまたはモルタ
ルの打設によつて打込目地が形成され、強度が向
上する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例の斜視図、第２図は
左右に隣接するブロツクの隣接部分の平面図、第
３図は上下に隣接するブロツクの隣接部の断面
図、第４図はコーナ用ブロツクの平面図、第５図
は端部用ブロツクの平面図、第６図はＬ字形に組
積みしたブロツクのコーナ部の正面図、第７図は
第６図の平面図、第８図は第７図の−線断面
図、第９図は直線上に組積みしたブロツクの平面
図である。 Ｐ……実施例の建築用型枠コンクリートブロツ
ク、１……前部フエースシエル、２……後部フエ
ースシエル、３……ウエブシエル、４……突条、
４ａ……突起、５……縦溝。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 〔１〕 前後のフエースシエルの中央をウエブシ
   エルで一体に接続し平面形状をＨ字形に形成し
   た建築用型枠コンクリートブロツクにおいて、
   ウエブシエルを挟んで一方の側の前部フエース
   シエルおよび他方の側の後部フエースシエルの
   各内面に沿つて上端が上記のフエースシエル上
   面から突出する突起をそれぞれ中心から全長の
   １／４の距離の位置に設け、一方の側の後部フエ
   ースシエルおよび他方の側の前部フエースシエ
   ルの各内面に沿つて上記の突起が嵌合可能な縦
   溝を上記突起の対向位置に設けたことを特徴と
   する建築用型枠コンクリートブロツク。 〔２〕 前後のフエースシエルの上面の内側縁に
   沿つて上面段部が凹設され、上面の突起が外側
   縁の上面よりも上へ突出しており、前部フエー
   スシエルの左右の一方の端面および後部フエー
   スシエルの他方の端面の各内側縁に沿つて端面
   段部が上下方方に凹設され、前部フエースシエ
   ルの他方の端面および後部フエースシエルの一
   方の端面の各内側縁に沿つて上記垂直段部に嵌
   合可能な端面突条が上下方向に突設されている
   ことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１
   項記載の建築用型枠コンクリートブロツク。