JPH0421643B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は浴用水に常用量で添加される油性クリ
ーム浴用調剤であつて、皮膚を柔かく、絹のよう
に且つしなやかにする美容効果がその使用後長時
間に亘つて保たれるというばかりではなく、皮膚
に対し再生効果及び正常化効果をも及ぼす調剤に
関する。

適当な美容作用のある浴用調剤を加えた洗浴及
び潅注浴は使用者に益々好評を得つつあるが、そ
れは単に身体の清浄に役立つばかりではなく、浴
により清潔感、緊張緩和及び元気回復が同時に達
成されるからであり、このことは浴の生理学的及
び心理学的作用が生物体全組織に対して重要な意
義を有するものである。

現今可能な外用の皮膚用調剤は特にリピドベー
スの浴用調剤に属する。かかる浴によつて皮膚上
に活性リピドをもたらすことができる。皮膚の保
護及び皮膚殊に乾性皮膚に対するリピドの好まし
い影響の他に、油性浴がこの目的のために用いら
れ、リピドを脂肪の少ない皮膚上にもたらしその
際次いで下層部にも清浄化効果を屡々あらわすこ
とが以前から知られている。

既に、皮膚の表面フイルムを構造的及び機械的
に変えるための簡単な水性浴、即ちこの目的のた
め開発された浴用調剤を添加しない浴、が知られ
ている。この相互作用生成物は以学的に上皮細胞
がケラチン化した角質層物質から成り、これは有
極性水溶性皮膚内在物質に錯化構造で結びついた
無極性リピド溶解性皮脂及び遊離または結合され
た状態の水から成つている。このものは錯化し
た、それ自体閉じられた生理学的系を構成してい
る。

添加物のない簡単（純粋）な水性浴の場合で
も、先ず角質層の膨潤を来たすが、これは浴の持
続期間及び温度に依存する。同時に、皮膚表面の
水溶性物質（例えば水浴性不潔物）、ならびに角
質層の水結合能に寄与している物質が溶解によつ
てて除去される。その上身体清浄化乳化剤が存在
する場合脂肪溶解もまた起る。これらは初めの膨
潤の後に明らかな皮膚乾燥を生ぜしめ、これは洗
浄活性添加物により、特に脱脂の方向に、更に強
められる。これにより天然の内在物質の平衡が破
壊されそして残留物質はその性質を変える。かく
して最終的には皮膚表面フイルムの加水能は著し
く低減する。

かかる被害は無傷の皮膚の場合左程重大ではな
い。皮膚の保護機構はそのような皮膚上表面の軽
い被害をそれ以上進まないように補償する。しか
し既に、例えば環境的損傷即ち刺戟、光傷害、老
化皮膚その他の如き損傷が存在する場合には、皮
膚表面フイルムの保護機構は損なわれており例外
を除けば最早やこの問題を解決しえない。そのと
きは外部手段によつて再生されなければならな
い。

公知の美容浴調剤の公開された処方を通覧する
と、それらはリピドの簡単な混合物、即ち脂肪、
ワツクスエステル、高級アルコール、炭化水素及
び類似物の混合物から成り、それらは単独でまた
は互いに組合わせてつくられる。前述の使用目的
に応じてこれら脂肪または油性相は表面に作用す
る物質の添加によつて変化され、その際これらの
物質は比較的良好な清浄化作用と共に出来るだけ
小さい脱脂作用をあらわすような観点からえらば
れる。この際選択された成分の量及び方法に従つ
て、浴用水表面または拡がつた油フイルム上に水
中油−エマルジヨンまたは全溶解性を与えるよう
に処方することができ、そのとき泡立ちのない処
方も可能である。公知の浴添加調剤は多くの場合
比較的簡単な処方にも拘らずすぐれた皮膚効果を
達成することができるけれども、その効果は生物
物理学的に皮膚のパラメーターを測定することに
よつて客観化しうるだけであつて、これら油性ま
たは油性クリーム溶調剤の機能は今日まで単に一
番上層の皮膚層の再脂肪化、被覆脂肪化または過
剰脂肪化のみに限定されている。

今日まで、その使用によつてすぐれた皮膚養生
及び再脂肪化効果をあらわす機能的油性クリーム
溶剤を見出すための研究はどのようにしても不満
足のまま経過して所望の結果を与えなかつた。こ
こで看過することができずまたむずかしい考慮事
項は、浴中添加調剤の常用の適用濃度が浴添加剤
対水の希釈比が１：5000であることである。例え
ば100リツトル（）の浴用水量が硬度３（2.5〜
3.8ｍ mol／1GH）である場合、CaOとして計
算して15〜21ｇの全硬度形成物の化学的反応性を
考慮に入れるべきである。一般的に水の軽度アル
カリ性反応は知られている。

本発明の課題は、常用の量で浴用水に添加さ
れ、皮膚養生及び再脂肪化効果と共に皮膚の再生
効果をもあらわす機能的油性クリーム浴剤を開発
することであつた。ここで“皮膚再生とは、皮膚
を健康な状態へと再びつくりあげそして戻すこと
及びそれに結びつく特別の性質を意味するものと
理解されるべきである。

従つて本発明の対象は、常用量において常用成
分の他に有用物質としてペラルゴン酸（ｎ−ノニ
ル酸）を含有することを特徴とする機能的油性ク
リーム浴剤である。

この際油性クリーム浴剤に添加されるペラルゴ
ン酸の量は調剤全量に基づき0.5〜70重量％であ
ることができ、好ましくは0.5〜11重量％、更に
好ましくは２〜５重量％である。

生物学的データならびに物理的及び化学的性質
に関する特殊状況の制約のため、同様の構造の化
合物のうちペラルゴン酸のみが本発明による使用
に適合するすべての条件を満たす。このことは相
当する比較実験により確認することができた。

皮膚パラメーターに影響を及ぼすためめに酸ま
たは酸性緩衝混合剤を適用することが一般に知ら
れている。しかし、水性浴の条件下では酸（炭酸
浴を除く）の使用は種々の理由から皮膚病学的ま
たは毒物学的に不利に結びついた。これに反して
油性クリーム浴中におけるペラルゴン酸の使用は
これらの不利を最大限に回避せしめる。なぜな
ら、かかる特殊の使用においては次の如き有用な
諸性質の組合せが有利に働くからである。例えば
ペラルゴン酸の水に対する少量但し測りうる程度
の溶解性；リピド中への非常に良好な優先的溶解
性；小さいがしかし使用目的のためには十分な化
学的反応性；リピド的特性；生理学的領域にある
濃厚水溶液PH値；抗菌性特性；水硬化性物質と結
合して美容性質を有するペラルゴン酸塩混合物の
生成；皮膚のPH値を安定化するプロトン遊離のた
めの優れた能力ならびに浴用水のPH値に対する無
影響性。

しかし作用能力に対する決定的事項はなかんず
く（油中ペラルゴン酸）：水の間の分配係数であ
る。これは実施に対し次の点で重要である：ペラ
ルゴン酸が浴調剤のリピド相中への溶解性が著し
くすぐれた水相中への移動が最小であることが相
応する処方によつて確実にされなければならな
い。かような浴は１またはそれ以上の美容作用用
物質の整然とした遊離状態の実現を可能にする。

本発明の油性クリーム浴用調剤は約80〜90％の
油性物質（リピド）、好ましくは植物油例えば大
豆油、胡麻油、落花生油、向日葵油、綿実油及び
ひまし油を含有し、これらは個別にまたは混合し
て用いることができる。これら植物油はその全部
または一部を鉱油（パラフイン油及びワセリン油
の如き薬物学的高品質の白油）で置きかえること
ができる。更に再脂肪化剤及び溶解剤または柔軟
化剤として少量の天然または合成のエステル例え
ばミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソ
プロピル、オイル酸デシルエステル、または２−
オクチルドデカノールを含有することができ、そ
の他ラノリン−及びコレステリン誘導体ならびに
香油及び他の抗腐敗性、殺菌性または静菌性をあ
らわす水不溶性物質をこのような調剤に常用され
ている量で含むことができる。

本発明の油性クリーム浴調剤は好ましくはポリ
エチレングリコールモノ−もしくはジ−エステル
またはその他の乳化剤を調剤全量に基づき12重量
％までの量で含有する。その際ポリエチレングリ
コール（400）−ジオレエートの使用が特に有用で
あることが判つた。その他に追加の表面活性剤と
して例えばアミン中和されたラウリルエーテルサ
ルフエートの如きアルキルエーテルサルフエート
を含有することができ、これは塩の形で使用され
高希釈度で硬質の使用水中において良好な泡立ち
性を示しそしてすぐれた脂肪−及びカルキ石鹸分
散性をあらわす。成分の選択は、総体に無毒で無
刺戟性であることを要し、油性部分含量ができる
だけ高く、乳化剤または表面活性物質部分の含量
ができるだけ低いように行なわれなければならな
い。その上油性クリーム浴の粘度安定性ができる
だけ高温領域においても確保されなければならな
い。

本発明の油性クリーム浴の植物油含量が比較的
高いことに基づき、保存剤または抗酸化剤をこの
ような組成物に常用されている量で添加すること
を要し、この際添加量は製品の細菌による腐敗が
貯蔵、輸送の間及び使用者のもとで防止されるよ
うに注意しなければならない。この目的のために
は例えば安息香酸塩、安息香酸誘導体及びソルビ
ン酸塩、ならびに２，６−ジ−ｔ−ブチル−４−
メチルフエノール（“アイオノール”）または５−
ブロム−５−ニトロ−１，３−ジオキサンの如き
化合物を用いることができる。その他にこの油性
クリーム浴は染料及び濃化剤をも含むことができ
る。

添加される香料及び場合により染料及び濃化剤
の量は、製品の特定組成に応じて専門家の簡単な
吟味により容易に定めることができる。

本発明の油性クリーム浴の調製は常法に従い成
分を軽い撹拌のもとに簡単に混合することによつ
て行なわれる。何ら困難を生じない。

本発明によるペラルゴン酸を含む油性クリーム
浴がこの添加物を含まない公知の同一組成の油性
浴にくらべて優秀であることを実証するため、浴
組成基準及び油性乃至油性クリーム浴添加物によ
る規制が皮膚表面のPH値に及ぼす影響を測定する
実験を行なつた。この目的のため、特に“油性浴
必要”の対象群に属する20名の被検婦人が総体人
数の中からえらばれた。これらのえらばれた元々
リピドが少なく乾性皮膚を有する被検婦人は平均
年齢48歳（ｓ＝5.7a；Ｎ＝10）で、平均皮膚リピ
ド含量Ｅ＝0.227（ｓ＝0.095：Ｎ＝56）（著しく顕
著な乾性皮膚に対する値：Ｅ≧0.25）を有した。
水道水の浴直後には、試験区域における皮膚表面
の酸性度は平均PH5.24からPH5.8〜6.0へと上昇す
ることが可成り確実に（99.9％確率、一組づつの
比較）示される。皮膚のこの相対的アルカリ性化
は長時間経過中に皮膚の逆反応で最初の値の方向
へ進行（逆行規制）する。ペラルゴン酸を含まな
い浴剤及び本発明によるペラルゴン酸含有（調剤
全量基準で2.5％）油性クリーム浴剤をそれぞれ
同量で水道水浴に加えたとき、浴後45分の皮膚PH
値規制はペラルゴン酸含有油性クリーム浴の場合
が純粋な水浴及び公知の油性浴剤添加の水浴の場
合よりも明らかに著しく良好であることを確認し
得た。この際PH値が最初の値に逆行規制される時
間の半分の値は、純粋な水道水浴の場合３時間以
上、従来の油性浴剤添加の水道水浴の場合約50
分、そして本発明のペラルゴン酸含有油性クリー
ム浴剤添加の水道水浴の場合実に20分であること
が確認された。かかる実験結果から、本発明によ
る油性クリーム浴剤は従来知られた油性浴剤より
も明らかに優れていることが判る。

下記の実施例は本発明を更に詳しく説明するも
のであるが、これらに限定されるものではない。

実施例 １ 重量％ 大豆油 38.75 ひまし油 2.00 ワセリン油 37.00 ペラルゴン酸 2.50 ２−オクチルドデカノール 2.00 ポリエチレングリコール（400）−ジオレエート
10.00 助剤、染料、香料 以上合計100.00 （安定剤） 実施例 ２ 重量％ くるみ油 40.00 パラフイン油 40.00 ペラルゴン酸 5.00 ポリエチレングリコール（400）−ジオレエート
12.00 助剤、安定剤、香料 以上合計100.00

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 常用成分の他にペラルゴン酸を有効物質とし
   て含有することを特徴とする機能的油性クリーム
   浴剤。 ２ ペラルゴン酸を調剤全量に基づき0.5〜11重
   量％、好ましくは２〜５重量％の量で含有するこ
   とを特徴とする、特許請求の範囲第１項記載の機
   能的油性クリーム浴剤。 ３ 調剤全量に基づき更に12重量％までの乳化
   剤、好ましくはポリエチレングリコールモノ−ま
   たはジ−エステルを含有することを特徴とする、
   特許請求の範囲第１項または第２項記載の機能的
   油性クリーム浴剤。