JPH04214817A - 極低炭素・極低窒素鋼の溶製方法 - Google Patents

極低炭素・極低窒素鋼の溶製方法

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JPH04214817A
JPH04214817A JP120491A JP120491A JPH04214817A JP H04214817 A JPH04214817 A JP H04214817A JP 120491 A JP120491 A JP 120491A JP 120491 A JP120491 A JP 120491A JP H04214817 A JPH04214817 A JP H04214817A
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hydrogen
steel
molten steel
treatment
ultra
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JP120491A
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Inventor
Yasuo Kishimoto
康夫 岸本
Kimiharu Yamaguchi
公治 山口
Toshikazu Sakuratani
桜谷 敏和
Kazuhisa Hamagami
和久 浜上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、製鋼炉で溶製された未
脱酸もしくは弱脱酸溶鋼をRH法を用いて溶製して、炭
素濃度が10ppm未満の極低炭素鋼を迅速にかつ装置
の操業性を損なうことなく溶製すると共に、加工性改善
の面で炭素濃度と共に低下が要求される窒素濃度を、や
はり脱ガス装置において10〜15ppmに低減するこ
とができ、しかも表面性状改善のために必要な清浄度を
高めることができる、真空脱ガス装置を用いる清浄度の
高い極低炭素・極低窒素鋼の溶製方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】冷延鋼板の焼鈍プロセスの短期化及び能
率向上の観点から、連続焼鈍設備の採用が近年盛んであ
る。これに適合する素材として、炭素濃度(重量分率、
以下〔C〕と記す)<10ppmの極低炭素鋼が要求さ
れるようになってきた。極低炭素鋼は従来から、転炉に
おいて〔C〕0.02〜0.05重量%まで脱炭した溶
鋼を、RH法等の真空脱ガス装置を用いて減圧下で脱炭
する方法により溶製されてきた。真空脱ガス装置による
脱炭では、〔C〕<50ppmの極低炭素領域において
次第に脱炭速度が低下するため、〔C〕<10ppmと
いった極低炭素鋼を工業的に大量に溶製することは困難
であった。例えばRH真空脱ガス装置を用いて、転炉で
溶製された未脱酸溶鋼を〔C〕<10ppmまで脱炭す
る場合には、環流速度を増大するなどの対策をとったと
しても30〜40分以上といった長時間の脱炭処理を必
要としていた。
【0003】このような極低炭素濃度領域における反応
の律速過程は、溶鋼中の炭素の反応サイトへの物質移動
過程であると考えられていることから、反応界面積を増
大して反応速度を向上する試みがなされている。その場
合の反応サイトとしては、溶鋼内気泡/溶鋼界面、脱ガ
ス容器内鋼浴表面、気泡が鋼浴を離脱する際に随伴する
スプラッシュなどが想定されるが、その各々の寄与は必
ずしも明確ではなく撹拌用あるいは環流用のArガス量
を増すことが上記3点に有効であろうとの観点から、5
Nm3 /分にも及ぶ大量のArガスを溶鋼中へ吹き込
む技術がRH脱ガス装置において採用されている現状に
とどまる。
【0004】さらに、極低炭素濃度域での脱炭反応の促
進方法としては、真空脱炭処理中に溶鋼中に多量の水素
を添加して脱ガス容器内で気泡を活発に発生させること
により、気液界面積を増し脱炭反応を促進する方法が特
開昭57−194206号公報に開示されている。また
、表面性状の観点から、鋼種によっては窒化物の減少の
ために〔C〕の低下と共に窒素濃度(重量分率、以下〔
N〕と記す)の低減も要求されつつあり、〔C〕が<1
0ppm、〔N〕が10〜15ppmの極低炭素・極低
窒素鋼が必要とされる場合が生じてきた。
【0005】転炉出鋼時の〔N〕には若干のばらつきが
あり、〔N〕<20ppmの場合、このような極低炭素
鋼でさらに窒素濃度を低減させることは困難で、そのた
め所定の極低窒素鋼を確実に溶製することは困難であっ
た。従来技術は、わずかに、〔C〕が100ppm以下
の時点で酸素濃度(重量分率、以下〔C〕と記す)を5
0〜200ppmとし、かつ水素とArの混合ガスを吹
込み脱炭・脱窒反応を図る方法が、特開昭63−143
216号公報に開示されているのみである。
【0006】また、〔C〕が0.15%の低炭素キルド
鋼にプロパン,アセチレンなどを添加して水素濃度を上
昇させた後、脱ガス反応により脱窒素反応を図る方法も
特開昭61−223121号公報に開示されている。し
かし、この技術はプロパン,アセチレンの分解による加
炭を伴うため、極低炭素鋼には適用できない。脱炭促進
の観点からは特開昭57−194206号公報に示され
るように、溶鋼中に水素を添加し脱ガス容器内で気泡を
発生させることにより気液界面積を増し、脱炭を促進さ
せる方法が有効であろうと考えられるため、本発明者ら
はこの方法について250t規模のRH脱ガス装置を用
いて実験したところ、以下の問題点があることが明らか
となった。
【0007】すなわち、脱炭を効果的に促進させるには
鋼中水素濃度(重量分率、以下〔H〕と記す)を5pp
m程度まで上昇させ、かつ維持することが必要となるが
、実際には例えば水素添加法として容易なRH環流上昇
管から水素を吹込む方法では水素の溶解効率が低く、〔
H〕を5ppmまで増加させることは極めて困難である
ことが明らかとなった。
【0008】これは環流上昇管へ水素ガスを添加した際
には環流上昇管中のガス占有率が極めて高いために、水
素が溶鋼中へ溶解する効率が低くなるものと推察される
。その結果、水素吹込み量を5Nm3 /分以上もの大
流量としなければならず、しかもその際、環流上昇管内
の水素ガスの占有率が増々高くなるので水素の添加効率
は水素吹込み量の増加にしたがって低下する。したがっ
て、〔H〕を5ppmまで増加させることは困難であっ
た。また、このような大量の水素ガスの環流管内への吹
込みは真空槽内のスプラッシュの増加などの操業上の問
題点を招く。
【0009】そこで、特開昭61−223121号公報
に開示される水素ガスの溶解促進の見地から有利と考え
られる耐火物製多孔質プラグからの水素ガス吹込みを実
験したが、耐火物製多孔質プラグから水素ガスを大量に
吹込むと吹込み量の増加と共に溶損量が大きくなり工業
的には実施するのが困難であることが明らかとなった。
【0010】そこで本発明者らは、水素ガスを添加する
手段として水素ガスをインジェクションランスを用いて
取鍋へインジェクションする方法について検討を重ねた
。しかしながら、インジェクションランスから水素ガス
を吹込む方法についても大量に添加すると水素の添加効
率が低下し、未溶解の水素ガスが取鍋直上で燃焼すると
いう問題があった。
【0011】また、大量に水素ガスを添加すると溶鋼湯
面が変動し、環流管が損傷するなどの問題もあった。ま
た、弱脱酸して〔O〕を200〜50ppmとしH2 
とArの混合ガスを添加しながら真空脱炭処理する方法
では、本発明者らの試みでは脱窒効果は極めて小さかっ
た。また、このようなArとH2 の混合ガスを添加し
て脱炭・脱窒を試みる手段でも〔H〕を5ppm以上に
高めることは上記と同じ理由で事実上不可能であった。
【0012】さらに、特開昭61−223121号公報
において記述されている水素ガスの耐火物製プラグから
水素を吹込んだ後、脱ガス処理を行う方法では前述のと
おりプラグの溶損量が大きいだけでなく、脱水素速度が
大きいため取鍋内の溶鋼の水素濃度はすぐ低下してしま
い十分な効果は得られない。さらに、このような極低炭
素・極低窒素鋼は、主として冷延加工用の薄鋼板として
使われるため表面性状が極めて重要である。表面性状を
良好に維持するには、Al2 O3 等の脱酸生成物に
起因する大型介在物を低減させることが重要である。
【0013】このような介在物は脱酸処理を行った後の
溶鋼中の酸素化学分析値(重量分率、以下トータル〔O
〕と記す)と強い相関があり、トータル〔O〕を20p
pm以下望ましくは10ppm以下とすることが望まれ
る。しかしながら、酸化処理が必然的に必要となる極低
炭素鋼では、安定してトータル〔O〕を20ppm以下
といったレベルまで低減させることは困難であった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は〔C〕<10
ppmまでの極低炭素濃度領域での脱炭を迅速に行うと
共に、従来安定大量生産が困難であった〔C〕<10p
pmの極低炭素鋼を安定的に溶製可能な技術を、従来の
方法に見られるような地金付きによる操業性の悪化や、
羽口や耐火物の耐用性などの問題を生じることなく、工
業的規模において上記課題を達成できる方法を提供する
と共に、従来さらに困難であった〔N〕も低い、いわゆ
る極低炭素・極低窒素鋼の溶製を安定的に可能とするた
めに、脱炭反応と同時に脱窒反応の促進も図るものであ
る。また、これらの鋼の清浄度を高めるために、トータ
ル〔O〕を20ppm以下さらには10ppm以下まで
低減せしめるための方法を提供しようとするものである
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、真空脱ガス装置を用いて取鍋内の溶鋼を溶
製する方法において、所定鋼中炭素濃度まで脱炭処理を
行った後、脱炭処理終了時点に脱酸剤の添加を行い、次
いで溶鋼中の水素濃度を4ppm以上に維持しながら溶
鋼を真空脱ガス装置内を循環させて脱酸処理を行う極低
炭素・極低窒素鋼の溶製方法を提供するものである。
【0016】なお、上記の方法において、転炉における
出鋼時の溶鋼の炭素濃度を0.03重量%以上にすると
共に取鍋内のスラグを固体脱酸剤により還元した後、取
鍋内の溶鋼を脱ガス処理すること、所定鋼中炭素濃度ま
で脱炭処理を行った後、取鍋内の溶鋼中に浸漬したラン
ス及び/又は真空脱ガス装置上昇管の羽口より水素含有
物質を吹込むことにより溶鋼に水素添加処理を行いなが
ら真空脱炭処理を行うことにより脱炭処理すること、脱
酸処理中に溶鋼へ水素含有物質を吹込み、溶鋼に水素添
加処理を行うこと、脱酸処理における溶鋼中への水素含
有物質の吹込みを、取鍋内の溶鋼中に浸漬したランス及
び/又は真空脱ガス装置上昇管の羽口から行うこと、ラ
ンスの下端を真空脱ガス装置上昇管の真下に位置させ、
ランスから添加される水素含有物質による水素ガスの溶
鋼への未溶解分が上昇管内に入るように水素含有物質を
添加すること、及び脱酸処理において、真空脱ガス装置
内の圧力を20Torr以上としつつ水素含有物質を添
加することができる。
【0017】
【作用】極低炭素濃度域での脱炭反応の促進方法として
は、真空脱炭処理中に溶鋼中に多量の水素を添加して脱
ガス容器内で気泡を活発に発生させることにより気液界
面積を増し脱炭反応を促進する方法が、特開昭57−1
94206号公報に開示されている。しかし、本発明者
らがこの方法について主として250トン規模のRH脱
ガス装置で実験を行ったところ前述のように水素の添加
方法に問題があり、工業的規模においてこの方法を適用
することは困難であった。そこで脱炭を促進するための
効果的な水素添加方法について発明者らが研究を行った
結果、本方法を発明するに到った。
【0018】真空脱炭処理を継続しながら水素含有物質
を添加する方法では、脱炭反応と同時に脱水素反応が起
こるために脱炭促進に効果的な高水素濃度を維持するに
は高速で水素を添加する必要があった。しかし本発明者
らは、適切な〔C〕域において高い〔H〕を得られれば
脱炭を促進するのに十分な効果が得られ、必ずしも長時
間にわたって高い〔H〕を維持する必要はないことを見
出した。真空脱ガス処理中に〔H〕を高値に保つことは
、前述のように水素添加速度の問題から既存の設備では
操業上の困難を伴うが、適切な〔C〕にて水素を添加す
ること及び水素の添加方法について以下の方法を用いる
ことで、操業上の困難及び経済性の問題点を解決できる
ことを見出した。
【0019】本発明者らは250t規模のRH脱ガス装
置で実験を行い、取鍋内の溶鋼中に浸漬したインジェク
ションランス及びRH還流上昇管内の複数箇所に水素の
添加箇所を分散することにより、水素高速添加時の問題
を軽減しつつ脱炭を促進することができることを見出し
た。上記の水素含有物質としては水素ガスを含む気体の
ほか、水、水蒸気、水酸化カルシウムなどでも直ちに解
離して水素として溶鋼中に溶解するので同等の効果が得
られる。
【0020】本発明者らは水素添加に関して種々の方法
の実験を行い、添加された水素の溶鋼への溶解効率を調
べ、まず、環流上昇管において水素を添加する方法につ
いては羽口本数と溶解効率に相関があることを見出した
。図3に環流上昇管羽口の内で水素を添加する羽口本数
と水素の溶解効率の関係を示した。羽口本数が多いほど
水素の鋼中への溶解効率が高くなることがわかる。ただ
し羽口本数が多くなるほどその増分は小さくなり、18
本以上では飽和傾向に近づく。その結果、水素の溶解量
は環流上昇管のみより水素を吹込む実験では1.4Nm
3 /分程度以上増加させることは困難であった。
【0021】次に、溶鋼中へインジェクションランスを
浸漬して水素を添加する方法についても水素の鋼中への
溶解効率を調査した。その結果水素の添加方法について
は、水素を添加するインジェクションランスの浸漬深さ
と添加位置が重要であることが明らかとなった。すなわ
ち、図4に示すように水素ガスを1.0Nm3 /分添
加するとインジェクションランスの浸漬深さを2.0m
以上にすれば水素をほぼ100%溶解することができる
ことがわかった。しかし、水素を2.0Nm3 /分ま
で増加させた場合は水素の溶解効率は同一のインジェク
ションランス浸漬深さでは低下した。インジェクション
ランスを用いて水素を添加する方法では、水素の溶解効
率が低下すると溶解しなかった水素は取鍋直上で燃焼し
操業が困難であった。3.0Nm3 /分添加した場合
でもインジェクションランスの浸漬深さを3.0m以上
とると水素の溶解は100%となったが、今回の実験で
用いた取鍋では浴深は3.2mであり、インジェクショ
ンランス浸漬深さを3.0m以上とした場合は鍋の底部
に溶損が生じた。実験で確認したところ、インジェクシ
ョンランスの浸漬深さは取鍋の底部から0.4m以上離
すことが取鍋の底部溶損防止に肝要であることがわかっ
た。
【0022】水素の添加量に従い、上記の知見に基づき
インジェクションランスの浸漬深さを設定することによ
って水素の溶解効率を100%にして操業に支障なく水
素を溶鋼中へ添加することが可能となる。しかしながら
実際上浸漬させるインジェクションランスの深さは制限
があるので本実験では操業に支障なくインジェクション
ランスから吹込むことができる水素量は図1に示すイン
ジェクションランスではせいぜい1Nm3 /分であっ
た。
【0023】そこで本発明者らは以上の実験結果に基づ
いてさらに改善を進め、インジェクションランスと環流
上昇管の羽口から同時に水素を添加することにより、後
に示す目的の水素濃度まで上昇可能なことを見出したの
である。その際に環流上昇管から水素を添加する羽口は
前述したように羽口本数は少なくとも8本以上、望まし
くは12本以上にすることが肝要であり、かつ浸漬する
インジェクションランスの深さは2.0m以上とする。
【0024】このようにすれば〔C〕≦25ppmでの
脱炭促進に必要な後に示す目的の〔H〕となるまで水素
を鋼中に添加することが可能となる。水素添加による〔
H〕の増加が大きければ大きいほど極低炭素濃度域まで
、より高速で脱炭可能となるが、一方、繰返し述べたよ
うに、鋼中への水素の添加は〔H〕が高くなると添加効
率の低下と操業上の弊害の2点から困難となる。
【0025】上述の図1に示すインジェクションランス
と環流上昇管からの水素同時添加によっても〔H〕を約
5ppm程度までしか上昇させることはできない。これ
は環流上昇管から水素を添加した場合は、水素添加量を
増加させた場合ガスのホールドアップが高くなり水素溶
解量が増加しないためであり、インジェクションランス
から添加した場合でも水素の溶解効率は水素添加量の増
加に従い低下するためである。インジェクションランス
からの水素添加の場合は水素添加量の増加に従い、水素
の溶解量は増加するが、前述したように溶解効率が10
0%未満となると未溶解の水素が取鍋直上で燃焼し操業
上の支障をきたすためである。
【0026】そこでさらに本発明者らは改善を進めRH
操業上の支障を来すことなく、〔H〕を高める方法とし
図2に示すようにインジェクションランスの吹込口を環
流上昇管の直下に位置させればよいことを見出した。す
なわち、インジェクションランスからの水素添加を環流
上昇管直下で行えば、水素添加量を増加させた場合でも
未溶解の水素は環流上昇管内へ入り、取鍋直上での水素
の燃焼はなく操業上の問題はなくなることを見出したの
である。図5に示すようにガスの吹込み時のインジェク
ションランス5aの吹込ガス流の広がり角度θは実験時
の観察から10〜11度であり、その結果、インジェク
ションランスの浸漬位置は幾何学的に環流上昇管内にガ
スが吹込まれるように、還流上昇管の直下に設定すれば
よいことがわかった。
【0027】また、水素添加の時期についても検討し、
水素添加により脱炭に効果があるのは従来考えていたよ
りも低〔C〕レベルであることを見出した。従って脱炭
処理中の適切な時期において適切な〔C〕に調節した後
、水素を添加する水素添加処理により〔H〕を制御しな
がら脱ガス反応を活性化する方法によって効果的な脱炭
の促進が可能である。
【0028】図6に、250t規模のRH装置において
〔H〕を高めた場合の脱炭速度定数Kcと〔C〕の関係
を示した。 −d〔C〕/dt=Kc〔C〕 通常の脱ガス処理法では〔C〕<25〜35ppmで脱
炭速度が急速に低下する。水素添加により〔H〕を高め
た場合は〔C〕<25ppmの脱炭速度が著しく改善さ
れることがわかる。ただし〔C〕≧25ppmでは〔H
〕を高めてもそれほど脱炭速度は向上しない。そこで通
常は、前述の水素添加の問題点や図6の結果から勘案し
て〔C〕<25ppmの領域において本発明法を用いる
ことが有利であることがわかった。
【0029】次に〔C〕<25ppmとして水素を添加
して脱炭への影響を調査した。通常のRH操業では脱炭
処理で10〜12分で〔C〕を20〜30ppmまで脱
炭可能である。一方で、下工程の連続鋳造とのマッチン
グの観点からRH操業での脱炭処理時間は最大20分程
度であり、そうした観点から水素添加時の〔C〕を種々
変更させて8分間水素添加を行いながら脱炭処理を行っ
た。結果を図7に示す。水素添加開始時〔C〕が25p
pmで、脱炭目標値が〔C〕<10ppmの場合およそ
〔H〕≧4.0ppm、〔C〕<6ppmの場合およそ
〔H〕≧6.3ppm必要である。
【0030】水素添加開始時の〔C〕がさらに低い場合
は8分の水素添加処理でもっと低い〔H〕でも目標〔C
〕まで低下可能である。〔H〕を高める際には〔H〕を
高めること自体が困難だけでなく、前述したような種々
の問題点がある。また、水素添加開始時の〔C〕が高い
程使用水素量が増加し経済的に不利となる。一方、水素
添加開始時の〔C〕を低く設定する際には、適切な〔C
〕までは通常の処理法で脱炭することになるので設定し
た水素添加開始の〔C〕を低くする程、処理時間が長く
なる。特に〔C〕<25ppmでは脱炭速度が急速に低
下するので処理時間が長くなる。このような経済的な問
題、設備上の問題、処理時間等を勘案して水素添加開始
時期を定めることになる。
【0031】以上の結果から連続鋳造の工程を乱すこと
なく〔C〕<10ppmといった極低炭素鋼を溶製する
ためには〔C〕<25ppmでおよそ〔H〕が次式を満
たすようにすることが必要となる。
【0032】
【数1】   〔H〕≧(8−0.5〔C〕f )+(〔C〕i 
−〔C〕f )/15ここで、〔C〕i は水素添加時
の〔C〕、〔C〕f は水素添加による脱炭処理終了時
の〔C〕である。なお、水素添加に伴う水素ボイリング
による真空槽内のスプラッシュは〔C〕>50ppmと
いった領域では大きく問題となったが、〔C〕<25p
pmといった極低炭素濃度域に限定した場合問題とはな
らなかった。
【0033】本発明者らはさらに引き続いて極低炭素鋼
の極低窒素化を進めるための研究を進めた。先に述べた
ように特開昭63−143216号公報に示されるよう
に弱脱酸状態で水素を添加する試みは、本発明者らの実
験では脱窒の効果は小さかった。そこでさらに研究を進
めたところ、Alなどの脱酸剤により溶鋼の溶存酸素を
数ppm以下とするいわゆる脱酸処理を行った後に、溶
鋼中に水素が溶存していれば脱水素反応によるH2 気
泡による脱窒反応が進行し得ることを見いだしたのであ
る。
【0034】その脱窒効果は〔H〕が高いほど大きく、
極低炭素鋼の〔N〕は15ppm以下、望ましくは10
ppm以下とすることが望まれることと、転炉における
未脱酸鋼の〔N〕が10数ppm〜20数ppmである
ことから、脱窒効率は30%以上、望ましくは40%以
上が必要で図8に示すように〔H〕は少なくとも4pp
m以上、望ましくは5ppm以上にする必要がある。
【0035】これを実現するには脱炭中に水素を添加し
脱炭促進を図った後、〔H〕を高めた状態のまま脱酸し
ても当然よいが、これまでに述べたように〔H〕を高め
ることは〔H〕レベルが高くなるにつれて操業上の困難
を伴うことになるので、脱炭処理中に極端に〔H〕を高
めることは困難である。また脱酸開始の時点で〔H〕が
高くても水素を添加しない場合は脱水素反応が進行し、
脱酸処理中に水素濃度が低下してしまうことになるので
処理中に水素を添加するのが望ましい。
【0036】ただし、繰返して述べるように、例えば取
鍋内に取り付けたプラグより水素ガスを単に大流量吹込
むだけでは好適な水素濃度に高めることは困難であり、
しかも弊害が大きい。そこで好適な水素濃度に高めて脱
窒反応を促進させることが可能で、しかも他の弊害を生
じない新しい水素の添加方法を提供することが本発明の
目的のひとつである。
【0037】具体的な脱酸処理において溶鋼へ水素添加
を行う好適な手段としては、第一にこれまでに述べたよ
うに、水素を効率よく溶鋼中へ添加する方法として図1
あるいは図2に示すように、上昇管羽口4とインジェク
ションランス5の両方から水素を添加するのが有効であ
る。しかしながら脱酸処理過程は脱炭処理時に比して高
真空度を維持する必要はなく還流を維持するのに必要な
低真空を維持するだけでよいことに着目し、発明者らは
低真空下での水素添加が添加効率の点で好適であること
を見いだしたのである。そのため、脱酸時の水素添加法
として必ずしも上記の2カ所から水素を添加するのは必
須ではない。
【0038】図9は250t規模のRH脱ガス装置にお
いて、上昇管の還流ガス用羽口からH2 ガスを6.0
Nm3 /分、Arガスを1.0Nm3 /分吹込んだ
場合の、脱ガス容器内の圧力と水素ガスの溶解効率の関
係を示した図である。ここで〔H〕は3〜7ppmの範
囲である。従来法では、浸漬管内に大量の水素ガスを吹
込むこと自体は操業上も可能であったが、水素ガスの溶
解効率が低いために、十分効果的な水素濃度が得られな
かった。これに対して本発明では浸漬管から大量の水素
ガスを吹込んだ場合でも溶解効率が高い。
【0039】この図より明らかなように真空度を20T
orr以上にすれば溶解効率を充分高くできることがわ
かる。さらに脱ガス容器内の圧力を30Torr以上と
すれば、脱ガス容器内の溶鋼中の比較的浅い部分あるい
は、脱ガス容器内の溶鋼浴面上から水素含有物質を添加
しても効率的な水素の添加が可能である。
【0040】ただし真空度を極端に低下させると還流量
が低下する。発明者らの知見では上限として200To
rr以下、望ましくは100Torr以下とすることが
還流量維持の観点からは必要である。この方法によれば
、例えば上吹ランスを用いるなどして、比較的設備上操
業上の制約を受けずに、さらに高速で水素ガスを吹込む
ことが可能である。
【0041】図10は250t規模のRH脱ガス装置に
おいて、初期〔H〕濃度約2ppmの溶鋼に脱ガス容器
内に装入した上吹ランスを用いて溶鋼浴面から2.0m
の高さから10Nm3 /分の吹込速度で水素ガスを上
吹した時の5分後の〔H〕濃度と脱ガス容器内圧力の関
係を示した図である。また同図に水素分圧と1600℃
での平衡値〔H〕の関係を示した。
【0042】なお、前記の水素含有物質としては水素ガ
スを含む気体のほか、水、水蒸気、水酸化カルシウムな
どでも直ちに解離して水素として溶鋼中に溶解するので
同等の効果が得られる。脱酸処理を行う際に水素添加を
行うことも必須ではなく、目的の水素濃度で、脱酸処理
できればよい。
【0043】なお、このような極低炭素・極低窒素鋼に
おいては、連続鋳造工程におけるブレークアウト防止な
どの問題から〔H〕をある程度低下させる必要がある。 実際上〔H〕<4ppm、望ましくは〔H〕<3ppm
とすることが望まれるので、通常H2 添加を中止して
脱酸処理をする際の処理時間を検討したところ、本発明
において実現できる〔H〕の上限値6〜8ppmから脱
水素を進めるとしても、図11に示すように取鍋内の溶
鋼が2回程度RH槽内を循環する程度の時間、脱水素処
理を行えばよいことがわかった。
【0044】以上のように脱水素反応を伴う脱酸処理を
行うことにより、極低窒素鋼を得られることがわかった
が、それと同時に鋼の清浄度の高い、すなわちトータル
〔O〕の低い極低炭素・極低窒素鋼を得るうえでも脱水
素反応を伴う脱酸処理が有効なことも見いだした。すな
わち、脱水素反応により生じる微細な水素気泡が脱酸生
成物の浮上を助けるため、トータル〔O〕の低い清浄度
の高い鋼を得るのに有効である。
【0045】この場合に必要となる〔H〕は脱窒素反応
とほぼ同じく4ppm以上、望ましくは5ppm以上と
すればよいが、トータル〔O〕を20ppm以下さらに
は10ppm以下とするにはそれのみで不充分であり、
その他にスラグ中の酸化物を低減せしめることが必要で
あることも同時に確認した。これはスラグの酸素ポテン
シャルの低下が脱酸生成物の吸収に肝要であるためであ
る。通常、必要となるスラグ酸化度の低減レベルとして
は、酸化鉄濃度(以下T、Feと記す)を5重量%以下
、望ましくは3重量%以下とすることが必要である。 これを実現するためには、転炉で出鋼する際の〔C〕を
高めると共に、出鋼後のスラグにAlやAl精練滓など
の脱酸剤を添加することが必要となる。転炉出鋼時の〔
C〕を高めればスラグ中のT、Feを低下することが可
能となるが、一方で鋼中の酸素(重量分率、以下〔O〕
と記す)が低減し、RHなどの脱ガス装置における真空
脱炭で必要となる酸素が不足する。また〔C〕が高くな
るにつれて真空脱ガス装置による脱炭処理時間が延長さ
れることになり、脱ガス装置の負荷が大きくなる。こう
した事情を鑑み、出鋼時〔C〕を決定すればよいことに
なるが、通常、〔C〕<0.03%でT.Feが急激に
上昇することを勘案すると〔C〕>0.03%にするこ
とが清浄度の高い極低炭素・極低窒素鋼を得る上で必要
である。
【0046】一方、〔C〕を高めると、溶鋼中の〔O〕
が低下するがこれは真空脱ガス装置における脱炭不良を
きたす。そこで出鋼時〔C〕を高めた際は、真空脱ガス
槽において図12に示す上吹ランス6からの酸素の供給
を行うことが必要となるこのようにして、脱炭停滞を引
き起こすことなくスラグの酸化度を高めず真空脱炭処理
を行った後、水素添加処理を伴う脱炭処理を行い、〔C
〕<10ppmまでの極低炭素鋼を溶製し、次いで前述
の如くAlなどの固体脱酸剤による脱酸処理、水素添加
脱酸処理、脱窒処理、脱水素処理を伴わせれば、トータ
ル〔O〕の低い清浄度の高い極低炭素・極低窒素鋼の溶
製が可能となる。
【0047】なお、これまでの記述では脱炭中に水素を
溶鋼中に溶解させる手段としてランス及び上昇管の2箇
所から水素を添加する方法について述べたが、当然のこ
とながら必要とする〔C〕によりこの方法を採用すれば
よく、〔C〕については従来の極低炭素鋼のレベルでよ
く〔N〕のみを低下させたい場合については2箇所から
の水素添加はもちろん必須ではない。
【0048】既に述べたように、この場合には脱酸処理
中に真空度を低下させることにより上昇管からのみ水素
を添加しても水素の溶解効率を高めることができるので
2箇所からの水素吹込みは必ずしも必要ではない。また
脱炭処理中には水素を添加せず脱酸処理中に上昇管から
のみH2 を添加して脱窒反応を進める方法についても
当然のことながら本発明の範疇である。
【0049】脱炭処理においては、本発明者らが特願平
2−263848号に示した低真空において水素を溶解
させた後2次脱炭処理を行い、その後本発明を適用して
も良い。
【0050】
【実施例】本発明方法を250トン規模のRH脱ガス装
置において実施した場合の例を示す。転炉で溶製した〔
C〕約350ppm、鋼中酸素濃度約450ppmの未
脱酸溶鋼250トンをRH脱ガス装置を用いて脱炭処理
した。鋼中〔N〕は15〜22ppmであった。
【0051】試験結果を表1に示した。実施例はいずれ
の場合も〔C〕<10ppmに迅速に脱炭が可能でばら
つきも小さく、また以下に説明するように、還流上昇管
の羽口のみより水素を添加しつつ脱炭処理を行った場合
よりも効果が高い。実施例1では、脱ガス槽内の環流ガ
ス用羽口からArガス2.0Nm3 /minの吹込み
を行い、通常の1次脱炭処理を12分間行った。
【0052】その後、2次脱炭処理を行い図1に示した
ような浸漬したインジェクションランスから水素ガスを
1.0Nm3 /min、上昇管の環流ガス用羽口から
水素ガスを2.5Nm3 /min、Arガスを1.5
Nm3 /min吹込み水素の添加を行った。水素添加
開始時の〔C〕は平均約25ppmであった。この脱炭
処理終了後の〔C〕は平均6.8ppm、〔H〕は平均
約4.5ppmであった。
【0053】引き続きAlによる脱酸処理を行った。酸
素プローブで測定した溶存酸素濃度は3.0ppm以下
であった。引き続き水素を脱炭処理と同様の方法で添加
した。〔H〕は約6ppmで推移した。真空度が低く、
脱炭処理中に比べて脱水素反応速度が低くなるためと推
定される。脱酸処理終了時点での平均〔N〕は11.8
ppmであった。その後水素添加を停止し、脱水素処理
を行った。処理時間は5分としたが〔H〕は2.0pp
m以下となっており、その後、鋳造、材質の点で問題は
なかった。
【0054】なお、還流管径は600mmであり、還流
速度は120t/分で、インジェクションランスの浸漬
深さは溶鉄面から2.7m、鍋炉底部より0.5mとし
たが、水素添加時、取鍋の上での水素の吹きぬけによる
燃焼は認められなかった。実施例2も実施例1と同様、
通常の1次脱炭処理を12分間行った後、水素添加処理
を行いながら、2次脱炭処理を行った。
【0055】ただし、実施例1とは異なり、図2に示す
環流上昇管直下に浸漬させたランスより水素ガスを3N
m3 /分、上昇管のガス用羽口から水素ガスを3.0
Nm3 /分、Arガスを1.0Nm3 /分吹込んだ
。水素添加開始時の〔C〕は平均約25ppmであった
が、水素添加時の脱炭処理時間は5分間とし脱炭終了後
の〔C〕は5.7ppmであった。〔H〕は水素の添加
処理時平均7.5ppmであった。
【0056】インジェクションランスの浸漬深さは溶鉄
表面から2.6m、取鍋の底部より0.6mとした。処
理中実施例2においても水素添加中の取鍋の溶鉄表面に
おける水素の吹き抜けによる水素の燃焼は観察されなか
った。引き続きAlを添加した後、水素添加を行いなが
ら脱酸処理を行った。脱酸処理終了時点での平均〔N〕
は8.5ppmであった。
【0057】その後、水素添加を停止し、更に脱水素処
理を5分間行ったが、〔H〕は2.0ppm以下となっ
ており、その後の過程での問題点は生じなかった。なお
、実施例1、2共に環流用上昇管に羽口を18本取付け
、全ての羽口より水素とArの混合ガスを吹込んだ。 実施例3では、脱ガス槽1内の排気及び還流ガス用羽口
4からArガス2.0Nm3 /分の吹込みを行い、通
常の脱炭処理を12分間行った。
【0058】その後、6段ある排気エジェクタの運転を
一部停止して脱ガス容器内圧力を約30Torrとし、
図1に示したRH上昇管の還流ガス用羽口4からH2 
ガスを6.0Nm3 /分、Arガスを1.0Nm3 
/分、3分間吹込み、水素添加処理を行った。水素添加
処理によって〔H〕は約1ppmから約7ppmに上昇
した。 その後停止した排気エジェクタを再起動すると共に、H
2 ガスの吹込みを停止してArガスのみ2.0Nm3
 /分を上昇間の還流ガス用羽口4から吹込み、再脱炭
処理を5分間行った。再脱炭処理開始前の時点での〔C
〕は平均約25ppmであった。排気エジェクタの再起
動後は、脱ガス容器内圧力は約1分間で2Torr〔H
〕まで低下した。再脱炭処理終了後の〔C〕は平均約8
ppm、〔H〕は平均約3ppmであった。脱炭処理終
了後はAlを添加した。その後再び排気インジェクタの
運転を停止して容器内圧力を30Torrとし、還流管
より水素ガスを6Nm3 /分、Arガスを1Nm3 
/分を吹込んだ。9分間吹込んだ後水素添加を停止し、
Arガスのみを2.0Nm3 /分上昇管の還流ガス用
羽口から吹込みさらに脱水素処理を5分行った。〔H〕
は水素添加終了時点で約8ppmであった。また脱水素
添加処理後は〔H〕は2.0ppm以下であった。
【0059】比較例1は、実施例の場合と同じRH脱ガ
ス装置を用いて、通常の脱炭処理20分間とAl脱酸処
理5分間を行った場合である。脱炭処理終了後の〔C〕
は平均16.9ppmであった。その後Alによる14
分間の脱酸処理を継続したが〔N〕低減効果は得られな
かった。比較例2は、実施例の場合と同じRH脱ガス装
置を用いて、通常の脱炭処理5分間の後、水素を添加し
つつ脱炭処理を15分間、Al脱酸処理を5分間行った
場合である。
【0060】脱炭処理中の水素添加は、上昇管の環流ガ
ス用羽口から水素ガスを6.0Nm3 /分、Arガス
を1.0Nm3 /分だけ吹込んで行った。脱炭処理終
了後の〔C〕は平均11.6ppm、〔H〕は平均約3
.5ppmであった。引き続きAlによる脱酸処理を行
い、脱酸処理中は水素添加を行わなかった。そのため、
〔N〕低減効果は得られなかった。
【0061】
【表1】
【0062】次に実施例4として転炉においてさらに出
鋼中の〔C〕を高め〔C〕を450ppm、鋼中の〔O
〕を約350ppmとして未脱酸溶鋼のまま出鋼した、
鋼中の〔N〕は12〜15ppmであった。なお、出鋼
時の取鍋のスラグのT.Feは10〜13重量%であっ
た。そこでAl滓とCaOを取鍋中へ添加しT.Feを
脱酸する処理を行った。T.Feは1.5〜3.0重量
%まで低下し、鋼中〔O〕も320〜340ppmとな
った。
【0063】その後、RH脱ガス処理を行った。脱ガス
処理開始後2〜8分間で図12に示す脱ガス装置の上吹
ランス6よりO2 を吹込んだ。8分以降は上吹ランス
からの酸素供給を停止し、真空処理のみの1次真空脱炭
処理を12分間実施した。次に、実施例2と同じく図2
に示す還流上昇管直下に浸漬させたランスから水素ガス
を添加し、上昇管の羽口からも水素とArの混合ガスを
吹込んだ。ガス量は実施例2と同じである。引き続き水
素添加を行いながらAlによる脱酸処理を12分間行っ
た。その後水素添加を停止し脱水素処理を5分行った。 脱水素終了時の〔N〕は8.8ppm、トータル〔O〕
は8〜12ppmであった。比較例1、2や実施例1、
2ではスラグ中のT.Feが10%以上と高いため、ト
ータル〔O〕は15〜25ppmであった。
【0064】
【発明の効果】本発明によれば、極低炭域における脱炭
及び脱窒を迅速に行うことができ、その結果〔C〕<1
0ppmかつ〔N〕<10ppmといった極低炭素極低
窒素鋼を安定して大量に溶製することができるようにな
った。また本発明方法では溶鋼の飛散による設備損傷の
危険や耐火物の異常損耗等の操業阻害要因がなく、さら
に既存設備のガス吹込み配管に水素ガスを供給するだけ
の比較的簡単な改造で実施が可能なため、容易に広く工
業的に適用可能である。
【0065】また、本発明により従来よりもトータル〔
O〕を大幅に低下せしめ、この種冷延鋼板において重要
となる表面性状を良好とすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を実施する装置を示す模式的縦断面
図である。
【図2】本発明方法を実施する他の装置を示す模式的縦
断面図である。
【図3】環流上昇管に取付けた羽口本数と水素の溶解効
率との関係を示すグラフである。
【図4】インジェクションランス浸漬深さと水素の溶解
効率との関係を示すグラフである。
【図5】インジェクションランスから吹込んだ水素ガス
の広がり角度を示す説明図である。
【図6】〔C〕と脱炭速度Kc の関係を示すグラフで
ある。
【図7】〔C〕<10ppmあるいは〔C〕<6ppm
を得るための水素添加処理の開始時期の〔C〕と〔H〕
の関係を示すグラフである。
【図8】〔H〕と脱窒効率の関係を示すグラフである。
【図9】RH上昇管の還流ガス用羽口から水素を吹込ん
だ場合の脱ガス容器内圧力と水素ガスの溶解効率の関係
を示すグラフである。
【図10】脱ガス容器内の圧力と〔H〕濃度の関係を示
すグラフである。
【図11】脱水素処理時間と溶鋼中の〔H〕との関係を
示すグラフである。
【図12】本発明に用いるに適した脱炭処理中の真空脱
ガス装置内への酸素の上吹ランスによる供給状態を示す
説明図である。
【符号の説明】
1  真空脱ガス装置               
     2  取鍋3  溶鋼          
                    4  環流
ガス用羽口 5、5a  インジェクションランス      6 
 上吹ランス

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  真空脱ガス装置により取鍋内の未脱酸
    溶鋼又は弱脱酸溶鋼を脱ガス処理するに当り、所定鋼中
    炭素濃度まで脱炭処理を行った後、脱炭処理終了時点に
    脱酸剤の添加を行い、次いで溶鋼中の水素濃度を4pp
    m以上に維持しながら溶鋼を真空脱ガス装置内を循環さ
    せて脱酸処理を行うことを特徴とする極低炭素・極低窒
    素鋼の溶製方法。
  2. 【請求項2】  転炉における出鋼時の溶鋼の炭素濃度
    を0.03重量%以上にすると共に取鍋内のスラグを固
    体脱酸剤により還元した後、取鍋内の溶鋼を脱ガス処理
    する請求項1記載の極低炭素・極低窒素鋼の溶製方法。
  3. 【請求項3】  所定鋼中炭素濃度まで脱炭処理を行っ
    た後、取鍋内の溶鋼中に浸漬したランス及び/又は真空
    脱ガス装置上昇管の羽口より水素含有物質を吹込むこと
    により溶鋼に水素添加処理を行いながら真空脱炭処理を
    行うことにより脱炭処理する請求項1又は2記載の極低
    炭素・極低窒素鋼の溶製方法。
  4. 【請求項4】  脱酸処理中に溶鋼へ水素含有物質を吹
    込み、溶鋼に水素添加処理を行う請求項1ないし3の何
    れかに記載の極低炭素・極低窒素鋼の溶製方法。
  5. 【請求項5】  脱酸処理における溶鋼中への水素含有
    物質の吹込みを、取鍋内の溶鋼中に浸漬したランス及び
    /又は真空脱ガス装置上昇管の羽口から行う請求項1な
    いし4の何れかに記載の極低炭素・極低窒素鋼の溶製方
    法。
  6. 【請求項6】  ランスの下端を真空脱ガス装置上昇管
    の真下に位置させ、ランスから添加される水素含有物質
    による水素ガスの溶鋼への未溶解分が上昇管内に入るよ
    うに水素含有物質を添加する請求項1ないし5の何れか
    に記載の極低炭素・極低窒素鋼の溶製方法。
  7. 【請求項7】  脱酸処理において、真空脱ガス装置内
    の圧力を20Torr以上としつつ水素含有物質を添加
    する請求項1ないし6の何れかに記載の極低炭素・極低
    窒素鋼の溶製方法。
JP120491A 1990-11-02 1991-01-09 極低炭素・極低窒素鋼の溶製方法 Pending JPH04214817A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000034533A3 (de) * 1998-12-04 2002-10-03 Vai Technometal Gmbh Verfahren zur entstickung von stahlschmelzen
KR20160063096A (ko) * 2014-11-26 2016-06-03 현대제철 주식회사 탈가스 처리 장치 및 방법

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