JPH0421008Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は燃料噴射ノズルに係り、特に燃料噴射
率に関与するニードル弁を作動する燃料噴射圧力
を制御してスロツトル噴射の割合を増加させ騒音
の低減を図り得る燃料噴射ノズルに関する。

［従来の技術］ デイーゼル機関に採用される所謂スロツトル型
燃料噴射ノズルは、メイン噴射に移行する前の燃
料噴射初期、燃料噴口を絞つて（スロツトル噴
射）初期燃焼期の燃料噴射率を低くし、予混合気
の生成を加減してデイーゼルノツクを抑制し騒音
の低減を図るものである。この点ピントル型燃料
噴射ノズルも同様な機能を有する。

［考案が解決しようとする問題点］ ところでこのスロツトル型燃料噴射ノズル等に
あつては、中・高速運転域に至り燃料噴射期間が
短くなると、ほとんどスロツトル噴射とメイン噴
射とが一気に行なわれるようになり、充分にその
機能を発揮させ得なくなるという問題がある。ま
た近年のようにノズル自体が小型化されてニード
ル弁の外径が小さくなり、噴口周辺における噴射
初期のニードル弁移動による容積の変化が小さく
なつて充分なサクシヨンが得られなくなつたり、
またニードル弁の重量減によりそのリフトスピー
ドが速くなつたりしてこの面からも十分なスロツ
トル効果が得られなくなつてしまう。

第４図に示すものは噴射管系ａ内に伝達される
燃料噴射圧力をピストンｂ，ｃの移動による容積
変化で制御して燃料噴射率を調節するようにした
提案である（実願昭49−120920号公報）。本提案
にあつてはメイン噴射の際にも燃料噴射圧力が低
く制御されそのままスロツトル型燃料噴射ノズル
に適用できず、また構造も複雑なものとなつてい
た。

［考案の目的］ 本考案は上述したような問題点に鑑みて創案さ
れたものであり、その目的はスロツトル型燃料噴
射ノズルにおいて、燃料噴射率に関与するニード
ル弁のリフト量を燃料噴射圧力の制御により達成
し、スロツトル噴射の割合を増加させて本来の機
能を十分に発揮させ、デイーゼルノツクを抑制し
て騒音の低減を図り得る燃料噴射ノズルを提供す
るにある。

［考案の概要］ 本考案は、ノズルボデイ内に往復動自在に設け
られた駆動ピストンと、上記ノズルボデイ内に形
成され上記駆動ピストンに燃料噴射圧力を作用さ
せてその駆動ピストンの先端に一体的に形成され
たニードル弁を開弁方向へ移動させるための高圧
室と、この高圧室の上方に駆動ピストンの周方向
に沿わせて形成された独立した溝部から成る低圧
室であつて、スロツトル噴射期間中上記高圧室と
連通されてその燃料噴射圧力の一部を解放させる
ための低圧室と、上記駆動ピストンの受圧面より
開口されて駆動ピストンの軸内を通つて駆動ピス
トンの外周面に開口する通路であつて、その駆動
ピストン外周面の開口端の位置が駆動ピストンの
スロツトル噴射開始位置からスロツトル噴射終了
位置に達するまでの間上記低圧室に符号される位
置に定められている通路とを備えたものである。

［実施例］ 以下に本考案の好適一実施例を添付図面に従つ
て詳述する。

第１図に示すようにノズルボデイ１には燃焼室
２に臨ませて開口された燃料噴口３を開放すべく
リフト自在にニードル弁４が設けられる。このニ
ードル弁４にはその軸方向上方に向かう開弁方向
Ｌに、ノズルボデイ１内に往復移動自在な駆動ピ
ストン５が設けられる。ニードル弁４はスロツト
ルタイプの一般的な構成で成り、燃料噴口３から
開弁方向Ｌに順次拡径された錐体面状の弁座６上
に着座又は離脱して燃料噴口３を開閉する錐体状
の弁体部７と、弁体部７の下方に連設され燃料噴
口３内に挿通されてこれを絞る絞体部８とから成
つている。絞体部８は円筒体部８ａと錐体部８ｂ
とが開弁方向Ｌに連設され、第２図に示すように
開弁直後相当のニードル弁リフト量までの間
［Ａ］円筒体部８ａで一定の絞りを与え、更にリ
フトされる［Ｂ］と錐体部８ｂで順次絞りを緩め
るように構成されて噴口開口面積が変更される。
そして絞体部８が燃料噴口３に存する範囲［Ｂ］
内で有効なスロツトル噴射期間［Ｃ］が与えら
れ、絞体部８が燃料噴口３から離脱されることで
メイン噴射［Ｄ］に移行する。

他方、ノズルボデイ１には燃料噴射ポンプから
燃料噴射圧力と共に燃料を導入するための燃料油
路９が形成され、この燃料油路９はノズルボデイ
１内に設けられた高圧室１０に連通される。高圧
室１０は燃料噴口３に通ずる弁座６上方に形成さ
れ、その内部には駆動ピストン５の錐体面状の受
圧面５ａが配される。この高圧室１０は燃料油路
９から導入される燃料噴射圧力を駆動ピストン５
の受圧面５ａに作用させてこれを移動させ、その
結果開片方向Ｌにリフトされるニードル弁４によ
つてスロツトル噴射させるようになつている。

他方、このように構成された高圧室１０に対
し、駆動ピストン５の開弁方向Ｌへの移動に追従
してスロツトル噴射期間［Ｃ］中、高圧室１０か
ら燃料噴射圧力の一部を解放させるための低圧室
１１が設けられる。スロツトル噴射期間［Ｃ］は
ニードル弁４の開弁方向Ｌへのリフト量に対応
し、また駆動ピストン５の移動量に対応すること
から、スロツトル噴射に対応する相当のリフト量
［Ｅ〜Ｆ］の間高圧室１０と低圧室１１とが連通
されるように構成される。

本実施例にあつては低圧室１１は、高圧室１０
の開弁方向Ｌ上方に駆動ピストン５の周方向に沿
つて形成した溝部を、ピストンによつて区画させ
ることにより形成される。また高圧室１０と低圧
室１１とを連通させる構成としては、駆動ピスト
ン５の所定位置に低圧室１１に連通させるべく径
方向に貫通形成された通路１２ａに、駆動ピスト
ン５の受圧面５ａから穿設した通路１２ｂを連通
させて圧力解放路１２を形成している。ここに所
定位置とは、低圧室１１の設置位置との関係にお
いてスロツトル噴射が開始されるリフト量［Ｅ］
から終了されるリフト量［Ｆ］の間で低圧室１１
と圧力解放路１２が連通される位置である。

次に作用について述べる。

第３図には中速中負荷域における従来の燃料噴
射ノズル（実線Ｇで示す）と本考案に係る燃料噴
射ノズル（破線Ｈで示す）の燃料噴射圧力、燃料
噴射率、ニードル弁リフト量の関係が示されてい
る。

燃料噴射ポンプから燃料油路９を介して高圧室
１０内に燃料と共に燃料噴射圧力が導入されると
駆動ピストン５が移動されてニードル弁４が開弁
方向Ｌへリフトされ、燃料は燃料噴口３から噴射
される。噴射開始［Ｉ］により燃料が噴射され、
また高圧室１０周辺の容積が増大するため一旦圧
力は低下する［Ｊ］が、従来ニードル弁リフトは
続行され比較的短期間［C₁］でスロツトル噴射
が終了してしまう。これに対し本考案にあつて
は、スロツトル噴射期間［Ｃ］に対応するリフト
量［Ｅ〜Ｆ］において高圧室１０は低圧室１１に
連通され容積が順次増大され燃料噴射圧力の一部
が解放される［Ｋ］ことにより、ニードル弁４の
リフトが緩やか［Ｍ］となりスロツトル噴射期間
［Ｃ］が長くなる。爾後継続して導入される燃料
噴射圧力によりニードル弁４がリフトされ、リフ
ト量［Ｂ］を超える［Ｎ］ことにより従来よりも
遅い時期にメイン噴射へと移行してゆく［Ｐ］。

従つて本考案にあつてはスロツトル噴射期間
［Ｃ］を充分に確保してその噴射割合を増加させ
ることができるので、初期燃料期の燃料噴射率を
抑えて［Ｑ］予混合気の過剰な生成を防止でき、
中・高速運転域にあつてもスロツトル型燃料噴射
ノズルの性能を充分に発揮させ、デイーゼルノツ
クを抑制して騒音の低減を図ることができる。ま
た構造が簡単で優れた製造性をも発揮する。

［考案の効果］ 以上要するに本考案によれば、次のような優れ
た効果を発揮する。

(1) スロツトル噴射期間中、ニードル弁をリフト
させる燃料噴射圧力の一部を解放させるよう構
成したので、ニードル弁のリフト動作を緩やか
なものとすることができ、スロツトル噴射の割
合を増加させて予混合気の生成を抑え、中・高
速運転域におけるデイーゼルノツクを抑制して
騒音の低減を図ることができる。

(2) 構造が簡単で製造性に優れる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の好適一実施例を示す側断面
図、第２図はスロツトル型燃料噴射ノズルにおけ
るニードル弁リフト量と噴口開口面積との関係の
一例を示すグラフ図、第３図はクランク回転角と
燃料噴射圧力、燃料噴射率及びニードル弁リフト
量との関係について本考案と従来例とを比較した
グラフ図、第４図は従来例を示す側断面図であ
る。 図中、１はノズルボデイ、４はニードル弁、５
は駆動ピストン、１０は高圧室、１１は低圧室、
Ｃはスロツトル噴射期間である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ノズルボデイ内に往復動自在に設けられた駆動
   ピストンと、上記ノズルボデイ内に形成され上記
   駆動ピストンに燃料噴射圧力を作用させてその駆
   動ピストンの先端に一体的に形成されたニードル
   弁を開弁方向へ移動させるための高圧室と、該高
   圧室の上方に駆動ピストンの周方向に沿わせて形
   成された独立した溝部から成る低圧室であつて、
   スロツトル噴射期間中上記高圧室と連通されてそ
   の燃料噴射圧力の一部を解放させるための低圧室
   と、上記駆動ピストンの受圧面より開口されて駆
   動ピストンの軸内を通つて駆動ピストンの外周面
   に開口する通路であつて、その駆動ピストン外周
   面の開口端の位置が駆動ピストンのスロツトル噴
   射開始位置からスロツトル噴射終了位置に達する
   までの間上記低圧室に符号される位置に定められ
   ている通路とを備えたことを特徴とする燃料噴射
   ノズル。