JPH042045Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は真珠様光沢を有する合成樹脂積層シー
トに関する。

〔従来の技術〕

近年、カツプ、仕出容器等の食品容器には、食
器の酸化による変質防止と、容器の外観向上を図
るため、主としてこれら容器の成形用シートとし
てアルミニウム等の金属蒸着層を設けた合成樹脂
シートが用いられている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら従来のこの種成形用シートの場
合、彎曲、屈曲等の成形が施された際に彎曲度、
屈曲度の特に著しい部分においてアルミニウム蒸
着層が大きく延伸されて層が薄くなり、この結
果、成形して得られる容器においてアルミニウム
の銀白色が不均一となつたり、下層の樹脂層が透
視されたりして外観が非常に損なわれ、商品価値
の低下を招いていた。また薄いアルミニウム蒸着
層を有するのみでは酸素等の気体の透過遮断性が
充分であるとはいえず、しかも成形によつてアル
ミニウム蒸着層が更に薄くなるため、このような
シートを成形して食品容器として用いた場合、該
容器内に収納される食品が酸化されて変質しやす
いという欠点を有していた。これらの欠点に対す
る対応策として、アルミニウム蒸着層を厚くする
ことが考えられるが、アルミニウム蒸着層を有す
るシートはそもそも高価であるため、アルミニウ
ム蒸着層を厚くすることは更にコスト高となり実
用的ではない。

本考案は上記の点に鑑みなされたもので、美麗
な外観を有し、しかも酸素等の気体透過性が小さ
い容器を得ることのできる、真珠様光沢を有する
合成樹脂層シートを安価に提供することを目的と
する。

＜問題点を解決するための手段＞ 本考案は酸素等の気体の透過遮断性を有すると
ともに、美麗な真珠様光沢を有する合成樹脂層シ
ートであり、ガスバリアー層の片面に合成樹脂層
を有するとともに該ガスバリアー層の他面に接着
剤層を介して、雲母を含有するプロピレン系樹脂
層を有し、かつ前記接着剤層が着色されている構
成を有する。

＜実施例＞ 以下、本考案の一実施例を図面に基き説明す
る。

第１図において１は本考案の真珠様光沢を有す
る合成樹脂積層シートで、該積層シート１は合成
樹脂層２の片面に接着剤層３を介して設けられた
ガスバリアー層４を有する合成樹脂シート５と、
該シート５のガスバリアー層４側に、着色接着剤
層６を介して設けられたプロピレン系樹脂層とし
ての表面層７とから構成されている。

表面層７は雲母を含有するプロピレン系樹脂の
フイルムまたはシートからなり厚さ0.05〜0.5mm、
特に0.1〜0.3mmのものが好ましい。プロピレン系
樹脂としては、プロピレンホモポリマー、プロピ
レン成分90重量％以上のエチレン−プロピレン共
重合体、プロピレンホモポリマーを60重量％以上
含有するポリエチレン−ポリプロピレン混合物等
が用いられる。表面層７を構成するプロピレン系
樹脂に含有せしめられる雲母の薄片形状の粒径は
５〜100μ、特に20〜50μのものが好ましい。また
チタンカツプリング剤、シランカツプリング剤等
のカツプリング剤で処理した雲母を用いると樹脂
に対する雲母の分散性が高まるとともに、より優
れた真珠様光沢を表出でき好ましい。表面層７中
の雲母の含有量は0.1〜10重量％、特に１〜５重
量％が好ましい。

ガスバリアー層４はエチレン−酢酸ビニル共重
合体のけん化物、ポリビニルアルコール、塩化ビ
ニリデン、ポリアミド等のフイルムまたはシート
よりなりその厚さは0.01〜0.3mm、特に0.02〜0.1
mmが好ましい。

表面層７とガスバリアー層４との間に設けられ
る着色接着剤層６は顔料、染料を含有する接着剤
よりなり、その厚さは0.01〜0.3mm、特に好まし
くは0.02〜0.1mmである。着色接着剤層６を構成
する接着剤としては上記表面層７とガスバリアー
層４との接着が可能なものであれば良く、例えば
カルボキシル基含有モノマーによりグラフト変成
されたポリエチレンやポリプロピレン等の変成ポ
リオレフインが用いられる。また着色接着剤層６
に含有せしめられる顔料、染料は、赤、青、黄、
ピンク、アイボリー等目的に応じて任意の色の顔
料、染料を用い得るが、白色以外の顔料、染料を
用いることが好ましい。着色接着剤層６中の顔
料、染料等の含有量は0.1〜20重量％、特に１〜
５重量％が好ましい。

合成樹脂シート５の合成樹脂層２は、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共
重合体等のオレフイン系樹脂；ポリスチレン、ス
チレン−無水マレイン酸共重合体、ポリ−ｐ−メ
チルスチレン等のスチレン系樹脂等を基材とする
合成樹脂フイルムまたはシートより構成される
が、特に表面層７を構成する基材樹脂と同様のプ
ロピレン系樹脂よりなるものが好ましい。合成樹
脂層２は非発泡の合成樹脂フイルムまたはシート
で構成する場合に限らず発泡シートで構成しても
良い。

合成樹脂シート５のガスバリアー層４と合成樹
脂層２との間に設けられる接着剤層３を構成する
接着剤としては、ガスバリアー層４と合成樹脂層
２との接着可能な接着剤を適宜選択して用いる。
また接着剤層３には必要に応じて着色を施すこと
ができるが、前記着色接着剤層６の色と混濁して
積層シート１の外観を損なうことのないような色
を選択することが好ましい。尚、上記接着剤層３
はガスバリアー層４をエチレン−酢酸ビニル共重
合体のけん化物で構成し、合成樹脂層２をポリプ
ロピレンで構成した場合のように、ガスバリアー
層４と合成樹脂層２相互の融着が可能な場合には
必ずしも設けなくとも良い。

本考案の積層シート１は共押出法やドライラミ
ネート法、エクストリユージヨンラミネート法等
により製造することができる。

本考案の合成樹脂積層シート１は美麗な真珠様
光沢を有するために、表面層７を雲母を含有する
プロピレン系樹脂より構成することと、該表面層
７の下面に着色接着剤層６を設けることが必要で
あり、表面層７にプロピレン系樹脂以外の樹脂を
用いた場合や、表面層７の下面に着色接着剤層６
を設けずに表面層７に雲母とともに顔料、染料等
を添加した場合、あるいは雲母とともに他の金属
等を添加した場合等には優れた真珠様光沢を有す
る積層シートは得られない。

上記実施例においては、合成樹脂シート５の合
成樹脂層２を１層で構成した場合について説明し
たが、合成樹脂層２は１層の場合に限らず、２層
以上のフイルムまたはシートを積層したものでも
良く、例えば第２図に示すように合成樹脂層２を
発泡シート２ａと、非発泡のフイルムまたはシー
ト２ｂとで構成しても良い。

本考案の積層シート１は、食品容器等の容器成
形用として用いられるのみならず、適宜の形状に
成形することにより万年筆、化粧品等の収納ケー
ス内の台紙代替品等としても用いることができ
る。

〔考案の効果〕

本考案の合成樹脂積層シートは、雲母を含有す
るプロピレン系樹脂よりなる表面層の内側に隣接
して着色接着剤層を設けたことにより優れた真珠
様光沢を有する外観美麗な成形品を提供できると
ともに、真珠様光沢が雲母を含有する表面層と、
該表面層の内面に隣接して設けられた着色接着剤
層の２層の重合わせによつて表出されるよう構成
したため、これら２層を重合わせた厚さは従来の
アルミニウム蒸着層の厚さに比べて充分に厚く、
この結果容器等の成形品の底部と胴部との連接部
のように彎曲度、屈曲度の特に著しい部分におい
てシートの肉厚が薄くなつたとしても、表面層と
着色接着剤層は従来のアルミニウム蒸着層のよう
に極度に薄くなることがなく真珠様光沢を表出す
るのに充分な厚さを有し、成形品の外観を損なう
虞はない。また表面層は耐透湿性に優れたプロピ
レン系樹脂よりなり、しかも本考案の積層シート
は内層部にガスバリアー層を有することにより、
耐透湿性、耐酸素透過性に優れ、本考案の積層シ
ートを成形して食品容器として用いた場合には、
該容器内に収納した食品の吸湿、酸化による変質
を防止できる等種々の効果を有し、更に本考案の
積層シートは安価に提供し得るため、成形品のコ
ストの低減をも図ることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は
本考案の合成樹脂積層シートの縦断面図、第２図
は合成樹脂積層シートの他の実施例を示す縦断面
図である。 １……合成樹脂積層シート、２……合成樹脂
層、４……ガスバリアー層、６……着色接着剤
層、７……表面層。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ガスバリアー層の片面に合成樹脂層を有すると
   ともに該ガスバリアー層の他面に接着剤層を介し
   て、雲母を含有するプロピレン系樹脂層を有し、
   かつ前記接着剤層が着色されていることを特徴と
   する真珠様光沢を有する合成樹脂積層シート。