JPH0420092Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案はピアノ線に関する。

「従来の技術」 ピアノ線は最高級の強さをもつ高炭素鋼線で、
ピアノの弦やバネに用いられる他、PSコンクリ
ート用としても用いられる。また耐圧ヒユーム管
等にも利用され、コンクリートの引つ張り強度の
向上に役立つている。

「考案が解決しようとする問題点」 ところが、このようなピアノ線を利用した耐圧
ヒユーム管には、コンクリートとピアノ線の密着
性の悪さから、コンクリート収縮に起因する空隙
が生じることがある。そして、この空隙に水が侵
入すると、水漏れや凍結によるコンクリート破壊
やピアノ線の腐食が生じ、耐久性が低下するとい
う問題点があつた。

本考案の目的は上記問題点を克服する新しいピ
アノ線を提供することにある。

「問題点を解決するための手段」 本考案のピアノ線は、水膨潤性ポリウレタン含
有可撓性物質を表面に被覆してなることを特徴と
する。

「作用」 水膨潤性ポリウレタン含有可撓性物質として、
特に好ましいのは、水膨潤性ポリウレタンと天然
ゴム、合成ゴム、もしくは再生ゴム等の混合物か
らなる可撓性物質である。

かかる水膨潤性ポリウレタン含有可撓性物質を
ピアノ線の周囲に通常の方法によつて被覆すれば
本考案のピアノ線が得られるが、被覆層の厚さは
ピアノ線の直径の10−30％程度が好ましい。また
被覆は一部分だけでもそれなりの効果はあるが、
好ましくは全面を被覆したほうがよい。

このようにして得られた本考案のピアノ線を、
コンクリート打ち込みの前に、打設箇所にセツト
し、その後コンクリートを打設する。打設された
コンクリートの養生後、ピアノ線を緊張状態で固
定する。

なお、被覆に際しては、水膨潤性ポリウレタン
含有可撓性物質製のチユーブをあらかじめ作成し
ておき、使用時にこれにピアノ線を挿入する方法
も好ましい。

「考案の効果」 本考案のピアノ線は、水膨潤性ポリウレタン含
有可撓性物質が周囲にあるため、水と接触すると
水膨潤性ポリウレタン含有可撓性物質が膨張し、
水の侵入や水漏れを防止することができ、コンク
リートの耐久性を増すことができる。

従来の工法では、コンクリート打設前にパイプ
（シース）をセツトし、コンクリート打設養生後
に、パイプの中にピアノ線を入れて緊張状態に固
定し、次いでパイプ内にセメントミルクやグラウ
ト剤を充填していたが、本考案のピアノ線を用い
れば、コンクリートとの密着性が良いのでパイプ
は不要である。従つてグラウトなどの充填も必要
なく、作業性が改善される。

さらに予めピアノ線に樹脂パイプを付け、その
間にグリースを充填したものを用意し、コンクリ
ート打設養生後、ピアノ線を緊張状態に固定する
方法もあるが、やはり本考案のピアノ線を用いれ
ば、コンクリートとの密着性が良いのでパイプは
不要となり、また被覆剤が可撓性であるので、グ
リースも不要となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のピアノ線の斜視図である。 １……ピアノ線、２……水膨潤性ポリウレタン
含有可撓性物質。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 水膨潤性ポリウレタン含有可撓性物質を表面に
   被覆してなるピアノ線。