JPH0419730Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は陰極吸収式密閉形鉛蓄電池の改良に関
するものである。一般に、陰極吸収式密閉形鉛蓄
電池なるものは、充電中において、陽極より発生
する酸素ガスを陰極活物質に反応させて外部への
ガスの逸出を防止する構造のものであるが、第１
図に示すように、電槽蓋１に設けた排気孔２にゴ
ム等の弾性体からなる弁体３を装着し密閉してい
るものの何らかの原因で電池内のガス圧が高ま
り、所定以上のガス圧になつたとき電池爆発の危
険を防ぐ目的を以て前記弁体３を開いて内部ガス
を排出し、電槽蓋１上部を覆う上蓋４との間に有
する排気室５を経て、上蓋４に穿設せるガス抜き
穴６より大気中に放散せしめる構造のものであ
る。

然し、この電池は、通常の使用状態では内部が
減圧状態となつており、弁体３の密封性が悪いと
電池内に空気が流入し、(1)式で示すように、その
酸素と陰極板とが反応して酸化鉛を生成し、さら
に(2)式で示すように、酸化鉛が電解液である希硫
酸と反応して硫酸鉛を生成する。

Pb＋１／２O₂→Pbo ……(1) Pbo＋H₂So₄→PbSo₄＋H₂ｏ ……(2) この硫酸鉛は充電しても、もとに戻らないた
め、陰極板がサルフエーシヨンを起こし、電池の
寿命を短くする要因となるなどの欠点を有してい
た。

本考案は、上記の如き欠点に鑑みて為されたも
ので、排気室内の排気孔に弁体を装着した密閉形
鉛蓄電池であつて、前記弁体は、前記排気室内で
水没され、該弁体の上面は、蓋の下面で押圧され
ており、該蓋は、ガス抜き穴を有し、かつ前記排
気室内に装着されており、該排気室は、前記蓋の
上方で多孔性フイルターにより閉塞されている、
ことを特徴とする密閉形鉛蓄電池である。

本考案の一実施例を第２図によつて説明する。

排気室５に水７を収容して、排気孔２にゴム等
の弾性体からなる弁体３を装着した部分を水没さ
せる。そして弁体３の上面を押圧し且つ排気室５
を蓋８で覆う。蓋８にはガス抜き穴９の他に液還
流穴１０が設けられ、これら穴９、１０付近は第
３図に示すように蓋上面を傾斜させて穴部付近が
最も低い位置となるようになつている。８ａ、８
ｂは傾斜面である。さらに蓋８の上方に空間部１
１を介して該空間部１１を覆うように電槽蓋１
に、多孔性フイルター１２を取付けた上蓋１３が
固着されている。

本考案は上記の如き構造を有するもので密閉形
鉛蓄電池が通常の使用状態の他に何らかの原因で
異常に多量のガスが発生して陰極活物質に吸収反
応させる能力を超えたとき、電池内が高圧状態と
なり、弁体３が開いて内部の充満ガスを排出して
減圧とするが、排出せるガスはガス抜き穴９を経
て一旦空間部１１内に入り、充満して、多孔性フ
イルター１２の孔壁に衝突すれば、該壁面にて冷
却され凝集して結露となれば蓋８の上面に落下す
る。而して液となつて穴９、１０より再び排気室
５内に還流するのであるが、蓋８の上面が傾斜し
ているので液は蓋８上面に滞留することなく速や
かに排気室５内に還流する。また蓄電池が振動し
た際に穴９、１０から蓋８上面にでても上記の如
く容易に還流する。

上述せる如く本考案はガスの外部放散を防止す
るとともに排気室の水の外部への逸出を阻止して
電池の漏液を防ぎ、而して蓄電池の密閉性を向上
せしめるなど実用的価値は極めて大なるものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の密閉形鉛蓄電池の要部断面図、
第２図は本考案の密閉形鉛蓄電池の要部断面図、
第３図は同じく蓄電池における蓋の要部拡大断面
図である。 ２は排気孔、３は弁体、５は排気室、７は水、
８は蓋、８ａ、８ｂは蓋の傾斜面、９はガス抜き
穴、１０は液還流穴、１１は空間部、１２は多孔
性フイルター、１３は上蓋。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 排気室５内の排気孔２に弁体３を装着した密閉
   形鉛蓄電池であつて、 前記弁体３は、前記排気室５内で水没され、該
   弁体３の上面は、蓋８の下面で押圧されており、 該蓋８は、ガス抜き穴８を有し、かつ前記排気
   室５内に装着されており、 該排気室５は、前記蓋８の上方で多孔性フイル
   ター１２により閉塞されている、ことを特徴とす
   る、 密閉形鉛蓄電池。