JPH0419165Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、複数の車両搭載用ケージを垂直方向
に循環移動して車両の格納を行うようにした垂直
循環式駐車設備の改良に関する。

（従来の技術） 上述の垂直循環式駐車設備は、一般的に、垂直
方向に循環する前・後２条の無端鎖に前後に対応
して等間隔に複数の吊下部材を取着し、該前後に
対応する吊下部材間に車両搭載用ケージを吊下し
たものである。そして、第３図は、下部乗入形の
垂直循環式駐車設備１において、駐車設備１の地
上部の車両乗入室２内部から入出庫口３を臨んだ
様子を示す。この第３図に示すように、ケージ４
は、車両乗入前後方向に細長い車台４ａと、該車
台４ａの前後端部の左右両側に立設され上方に向
うに従い前後方向に互いに離反するように傾斜さ
せた門形の前・後ケージ枠４b₁，４b₂と、該前・
後ケージ枠４b₁，４b₂の上部中央部に設けられた
ブラケツト４c₁，４c₂間に貫通され前・後突出端
部が前記吊下部材５に枢着された懸吊軸４ｄとか
ら成る。

しかして、例えば入庫に際し、空ケージ４が入
出庫口３に対面する車両乗入室２の最下部車両乗
入場所に停止すると、車両運転者Ｍは車両を運転
して入出庫口３より車両乗入室２内に進入させ、
ケージ４の車台４ａ上に乗り込ませる。入庫後、
運転者Ｍは車両から降りて入出庫口３より退出す
る。また出庫時には、入庫時と逆に、運転者Ｍは
入出庫口３より車両乗入室２内に入り、ケージ４
に搭載されている車両に乗込み、後進運転により
車両を入出庫口３より退出させる。

（考案が解決しようとする課題） 前述の通り、入出庫に際し、運転者Ｍが駐車設
備１内に入ることになるが、ケージ４の上部には
カバーが一切無いため、車両乗入場所に停止した
ケージ４上方の薄暗い空間に吊り下がつている多
数のケージ４、搭載車両、スプロケツト、無端
鎖、ガイドレール等の駐車設備構成部材がまる見
えとなり、運転者に恐怖感を起させる。

本考案はかかる点に鑑みてなされたもので、車
両乗入場所に位置したケージの上方の駐車設備構
成部材が見えなくなるよう覆うことにより、入出
庫時に運転者が駐車設備内に入つても運転者に恐
怖感を起させないようにすることを目的とする。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するため、本考案の解決手段
は、上下に離間して配置された各々前後一対宛の
上部スプロケツトと下部スプロケツトとの間の
各々に前後２本の無端鎖が張設され、該前後の無
端鎖にはそれぞれ前後に対応して等間隔に複数の
吊下部材が取着され、該前後に対応する吊下部材
間の各々には車両搭載用ケージが吊持され、該各
ケージは両無端鎖に連鎖状に吊下げられて垂直方
向に循環移動し、ケージが下方旋回部途中の車両
乗入場所に位置した際に車両の入出庫を行うよう
にした垂直循環式駐車設備を前提とする。そし
て、上記前後の下部スプロケツト間のあいだに
は、上記ケージが上記車両乗入場所に位置した際
に該ケージよりも上方の駐車設備構成部材が見え
ないよう隠蔽する覆板が上記下部スプロケツトを
支持する支持構造物に取り付けて配設されている
ものとする。

（作用） これにより、本考案では、車両乗入場所で運転
者が上方を仰いでも、該車両乗入場所に位置した
ケージの左・右上方に隣接するケージの車台下面
程度が見えるだけで、それ以上上方のケージ群等
の駐車設備構成部材は覆板により遮られて見えな
い。

（実施例） 以下、第１図及び第２図を参照しながら本考案
の一実施例につき詳述する。

１０は独立鉄塔形の下部乗入形垂直循環式駐車
設備で、支柱・梁・補強材等の鉄骨支持構造物１
１ａにより鉄塔が構成されているとともに該鉄塔
を外面から覆うように外壁１１ｂが鉄骨支持構造
物１１ａに取付けられ、全体に上方に細長い箱形
の建屋１１に構成されている。そして、前記建屋
１１の地上部正面外壁１１ｂが開口されて入出庫
口１２が形成され、該入出庫口１２は開閉扉１３
により封鎖可能とされている。入出庫口１２に対
面する建屋１１内の地上部空間を車両乗入室１４
として形成されている。

前記垂直循環式駐車設備１０は、上方及び下方
に前後２個宛配置された上部スプロケツト（図示
せず）と下部スプロケツト１５との間の各々に前
後２本の無端鎖１６が張設され、上部スプロケツ
トに連係された駆動源（図示せず）により垂直方
向に循環するようにしている。前記前後の無端鎖
１６にはそれぞれ前後に対応して等間隔に複数の
吊下部材１７が取着され、該前後に対応する吊下
部材１７，１７間の各々には車両搭載用ケージ１
８が吊持され、各ケージ１８は両無端鎖１６に連
鎖状に吊下げられて垂直方向に循環移動し、ケー
ジ１８が下方旋回部途中の前記車両乗入室１４に
位置した際に車両の入出庫を行うようにしてい
る。前記各ケージ１８は、左右２条の凹状車輪進
入路１８a₁が形成された前後方向に細長い水平状
の車台１８ａと、該車台１８ａの前後端部の左右
側面に左右脚の下端を固定せしめて立設され上方
に向かうに従い互いに前後に離反するように傾斜
させた門形の前・後ケージ枠１８ｂと、該両ケー
ジ枠１８ｂ，１８ｂの上部中央部に設けられたブ
ラケツト１８ｃ，１８ｃ間に前後方向水平に貫通
させ前・後突出端部が前記前後に対応する吊下部
材１７，１７の先端部に枢着された懸吊軸１８ｄ
とから成る。

１９は車両乗入室１４の地上床で、該地上床に
１９には前記ケージ１８が循環移動する際車台１
８ａが干渉しないように矩形の浅いピツト１９ａ
が掘設されていて、入出庫口１２に対面する車両
乗入室１４の中央にケージ１８が停止した際該ケ
ージ１８の車台１８ａがピツト１９ａに嵌入し、
車輪進入路１８a₁が地上床１９と面一になるよう
にしている。２０は前記ケージ１８の車台１８ａ
に搭載された車両Ｗに対する運転者Ｍの乗降の便
宜のために、第１図左側ピツト19a部分に左右ス
ライド可能に設けられた乗降用デツキである。

２１は入出庫口１２の側方において運転操作盤
２１ａ部分を外壁１１ｂの開口より外部に露出さ
せて支持構造物１１ａに据付けられた制御盤であ
る。２２及び２３はそれぞれ左方側部の支持構造
物１１ａに据付けられた配電盤及び分電盤であ
る。２４は前記外壁１１ｂ、支持構造物１１ａ、
並びに制御盤２１、配電盤２２、分電盤２３及び
これら電気機器に付属するケーブル類を覆うよう
に入出庫口１２を除いた車両乗入室１４全周に渡
つて支持構造物１１ａに内装された化粧パネルで
ある。該化粧パネル２４の上縁は地上床１９から
適宜高さ位置、好ましくは入出庫口１２よりも高
い位置でかつ１つのケージ１８が入出庫口１２に
対面した所定位置（車両乗入場所）に停止した際
に該ケージ１８の左右上方に隣接位置する２つの
ケージ１８の車台１８ａより若干高い位置まで延
びており、この状態で車両乗入室１４に入つた運
転者Ｍが周囲を見渡しても外壁１１ｂや支持構造
物１１ａ等が視野に入らないように配慮されてい
る。

前記化粧パネル２４は、前記制御盤２１及び配
電盤２２、分電盤２３に対応する部分が開口され
て該開口部に点検パネル２４ａ，２４ｂが着脱可
能（ビス止め又はヒンジ開閉可能）に取付けら
れ、常時は該点検パネル２４ａ，２４ｂは化粧パ
ネル２４の一部分を形成して開口部を封鎖し、保
守点検時のみ開放できるようにしている。

前記化粧パネル２３及び点検パネル２４ａ，２
４ｂは、明るい色彩（好ましくはクリーム色系
統）とし、中央部全周に渡つて意匠的配慮から帯
状のストライプパターン２４ｃ（例えばグリーン、
オレンジ、ブルー等）を形成し、このストライプ
パターン２４ｃ部分に適宜間隔をもつて照明器具
２５（例えば螢光灯）を組込み、車両乗入室１４
全体が明るい室内を形成するようにする。勿論、
運転者Ｍが出入りするときは、左・右上方に吊下
がる各ケージ１８の車台１８ａ下面は、車両乗入
室１４の天井を形成することになるため、該車台
１８ａの上面は勿論のこと、その下面も化粧パネ
ル２４と調和のとれた配色としている。

PCa，PCbは、左右化粧パネル２４，２４の下
方部に左右に対向して組込んだ光電装置の投光器
と受光器で、前後方向に離間して複数組設けら
れ、車台１８ａ上の車両Ｗの位置を検知したり、
車両乗入室１４に在室する人及び物体の存在を検
知するものである。

２６は前後の下部スプロケツト１５，１５間の
あいだに配設された覆板である。該覆板２６は、
前後の下部スプロケツト１５，１５の上方におい
て前・後部の支持構造物１１ａ，１１ａ間に前後
方向水平に架設された梁２７の前・後部下面に垂
設された２本の支持棒材２８，２８下端に水平状
に支持されている。前記覆板２６は、ケージ１８
が下方旋回部を旋回する際、ケージ１８の各部分
及び搭載車両Ｗが該覆板２６に干渉しないように
大きさ、形状及び高さ位置を設定するものとし、
材質としては鉄板でもよいが、好ましくは軽量薄
板の合成樹脂製化粧板で構成する。

しかして、例えば入庫に際し、ケージ１８群が
循環移動し、所望空ケージ１８が車両乗入室１４
の中央最下部に到達して停止すると、該ケージ１
８の車台１８ａ下部がピツト19aに若干嵌入し、
車輪進入路１８a₁上面が地上床１９に面一の状態
となる。そして、入出庫口１２の開閉扉１３が開
き、運転者Ｍは車両Ｗを前進運転により入出庫口
１２より車両乗入室１３内に進入させ、さらにケ
ージ１８内に乗り込ませ、車台１８ａ上の所定位
置で停止させる。その後、運転者Ｍは降車して入
出庫口１２より退出するが、降車した際上方を見
上げたとしても、左右上方に隣接するケージ１８
の車台１８ａ下面のみが目に入るだけで、それ以
上上方の１８、支持構造物１１ａ、外壁１１ｂ等
の駐車設備構成部材は覆板２６によつて遮られて
見えない。従つて、運転者Ｍに従来のような恐怖
感を起させることはない。また、出庫時は、先ず
運転者Ｍが歩いて入出庫口１２より車両乗入室１
４内に入るが、支持構造物１１ａ、外壁１１ｂ、
配電盤２２等の電気機器類は内装の化粧パネル２
４によつて遮られ、照明器具２５により明るく照
明された美麗な内装化粧パネル２４が目に映り機
械装置内に入るという違和感が薄れ、むしろ部屋
に入るという安心感を伴う。

（考案の効果） 以上説明したように、本考案の垂直循環式駐車
設備によると、入出庫に際し、運転者が入出庫口
より建屋内に入つたとき、車両乗入場所に位置す
るケージ上方の薄暗い空間及び外壁、鉄骨支持構
造物等の駐車設備構成部材の大半は覆板によつて
遮られて運転者に恐怖感を起させることがなく、
安心して入出庫を行うことができる。また、駐車
設備の保守点検作業中に、上方からボルト、ナツ
ト等の金具を誤つて落としたとしても、覆板によ
り搭載車両の屋根へ直接落下する危険性が少なく
なる等の効果がある。よつて、簡単且つ安価な覆
板の付加により、利用者の精神衛生及び安全面で
大きな効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案の一実施例を示すも
ので、第１図は下部乗入形垂直循環式駐車設備の
車両乗入室内部から入出庫口に向つてみた斜視
図、第２図は第１図の〜矢視側面図である。
第３図は従来の駐車設備内部の様子を示す第１図
相当の斜視図である。 １０……垂直循環式駐車設備、１２……入出庫
口、１４……車両乗入室、１５……下部スプロケ
ツト、１６……無端鎖、１７……吊下部材、１８
……ケージ、１８ａ……車台、２６……覆板。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 上下に離間して配置された各々前後一対宛の上
   部スプロケツトと下部スプロケツトとの間の各々
   に前後２本の無端鎖が張設され、該前後の無端鎖
   にはそれぞれ前後に対応して等間隔に複数の吊下
   部材が取着され、該前後に対応する吊下部材間の
   各々には車両搭載用ケージが吊持され、該各ケー
   ジは両無端鎖に連鎖状に吊下げられて垂直方向に
   循環移動し、ケージが下方旋回部途中の車両乗入
   場所に位置した際に車両の入出庫を行うようにし
   た垂直循環式駐車設備において、 上記前後の下部スプロケツト間のあいだには、
   上記ケージが上記車両乗入場所に位置した際に該
   ケージよりも上方の駐車設備構成部材が見えない
   よう隠蔽する覆板が上記下部スプロケツトを支持
   する支持構造物に取り付けて配設されていること
   を特徴とする垂直循環式駐車設備。