JPH0417300B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はLNG等の超低温液化ガスを貯蔵する
コンクリート製二重殻低温貯槽の構造に関するも
のである。

［イ］ 従来の技術 LNG等の超低温液を貯蔵する低温タンクにお
いて、内槽および外槽を強度に優れたコンクリー
ト等で形成する二重殻貯槽が存在する。

この二重タンクは液圧や温度収縮、あるいは地
震等によつて発生する水平方向または鉛直方向の
変形に対処するために種々の研究開発が成されて
いる。

［ロ］ 本発明が解決しようとする問題点 タンクをコンクリート製で構成したことによつ
て種々の利点が存在する。

一方、各種配管や内槽内点検用の階段設備等を
コンクリート製のタンクに設置する場合がある。
（例えば特公昭59−4600号公報） そのときに、これら鋼製の設備群をタンクに直
接固定すると、鋼とコンクリートとの温度収縮の
差で配管設備等やタンクを破損する危険がある。

そのため、タンクに各種配管や階段設備等を設
置するに際して、タンクと配管等との間で水平方
向および鉛直方向の変形を拘束しない技術の開発
が必要とされている。

［ハ］ 本発明の目的 本発明は以上問題点を解決するために成された
もので、その目的とするところは温度変形や地震
による水平方向および鉛直方向の変形を拘束せず
に配管設備等を装備でき、しかも大規模地震に対
する安全性の高い、コンクリート製二重殻低温貯
槽を提供することにある。

［ニ］ 実施例 以下図面を参照しながら本発明に係るコンクリ
ート製二重殻低温貯槽の構造の一実施例について
説明する。

本発明に係るコンクリート製二重殻低温貯槽は
第１図に示すようにそれぞれ独立して形成した２
つの密封体である内槽１および外槽２で構成す
る。

(1) 内槽（第１、２図） 内槽１はコンクリート製の底面、側壁および屋
根を一体に形成し、内壁の全域に低温脆性に優れ
たメンブレン等を貼着して形成した貯槽である。

(2) 内槽の開口部の構造（第２、３図） この内槽１のドーム１１の中央には諸配管設備
Ａおよび点検用の昇降階段設備Ｂを内槽１に垂下
するための開口部１２を開設する。

開口部１２の周縁には上方へ立ち上げて円筒型
のフランジ１３を立設する。

フランジ１３の頂面上には水平の円環状の支持
面１４を形成する。

このフランジ１３は内槽１をコンクリートを打
設して構築する際に、内槽本体の成型と共に容易
に形成する事ができる。

(3) 内蓋（第２、３図） 内蓋３はフランジ１３の上面に載置して開口部
１２を閉塞できる形状の例えばステンレス板等か
らなる閉塞板３１と、閉塞板３１の下面に一体に
接続し、内蓋３を補強する補強筒３２で構成す
る。

補強筒３２はフランジ１３の内径より小さい外
径に形成する。

さらに、補強筒３２の上部外周には図示するよ
うに縦方向にキー状の歯を等ピツチに刻設して縦
キー３３群を形成する。

(4) 縦キー 凹凸状に形成された縦キー３３は内蓋３でフラ
ンジ１３を閉塞する際に、縦キー３３の最下面で
あるスライド面３４が支持面１４に当接して係止
できる寸法に形成する。

縦キー３３の水平方向の断面形状は、角形、あ
るいは三角形もしくは円形等に形成する。

またスライド面３４もしくは支持面１４には、
両者のスライドを円滑に行なわせるために摩擦係
数の小さい公知の素材を貼付ける場合もある。

(5) 内蓋への配管等の垂下取り付け 閉塞板３１の中央には内槽１内に貯蔵する液化
ガスの受入、払出を行なう配管Ａを貫通して内蓋
３に一体に固定して垂下させる。

垂下する配管Ａ等も閉塞板３１も金属であるか
ら、溶接やボルト締めが容易であり、また熱膨脹
係数が同一であるから温度変形に対して有利であ
る。

(6) 内蓋の取り付け 補強筒３２を下方に向けて開口部１２内に挿入
する。

縦キー３３の下面のスライド面３４が内槽１の
支持面１４に載置して、開口部１２を閉塞する。

内蓋３は、フランジ１３に一体に固定するので
はなく、例えば内蓋３に長穴３５を開設し、この
長穴３５を介してボルトで水平方向のスライドを
許容した状態で取り付ける。

その結果、内蓋３は内槽１を閉塞して気密性を
保持するとともに、内蓋３のスライド面３４と内
槽１の支持面１４との間に、発生する水平方向の
変形を許容する事ができる。

以上のように内蓋３で開口部１２を閉塞し、水
平方向のスライド可能な完全密封体を形成する。

(7) 外槽（第１、３図） 外槽２は内部に前記構造の内槽１を収納して内
槽１を保護する目的のコンクリート製の保護殻で
ある。

この外槽２のドーム２１の中央には配管Ａ等を
外部に露出するための開口２２を開設する。

開口２２の内周面には、前記、縦キー３３と対
応する位置に鉛直方向に延びる凹凸面からなる縦
ボス２３を形成する。

縦ボス２３の各凹凸の形状は、第４図に示すよ
うに縦キー３３とほぼ近似形に形成する。

すなわち、縦キー３３が縦ボス２３に接近して
噛合する際に、縦キー３３を徐々に拘束できる形
状に形成する。

従つて、内槽１が冷却されて内蓋３と外槽２と
の間に水平方向および鉛直方向の温度変形が発生
しても、縦キー３３と縦ボス２３は水平方向およ
び鉛直方向の変形を拘束する事がない。

あるいは、地震時のように水平方向の変位に対
しても、縦キー３３と縦ボス２３が噛合すること
によつて十分対処できる。

特に、内蓋３の変位が大きい場合には、縦キー
３３が縦ボス２３を破壊しながら噛合を徐々に進
行して、この変位を容易に制御できる。

また外槽２の開口２２は、内蓋３と同様に例え
ば円形のステンレス板からなる閉塞板２４を使つ
て閉塞する。

すなわち、閉塞板２４の板面に、配管Ａの突出
する位置に貫通口を開設して、配管Ａの周囲は断
熱材６で被覆し、配管Ａの変形を拘束しない状態
で閉塞し、完全密封体の外槽２を形成する。

(8) 内槽と外槽間の空間の処理 内槽１の外周と外槽２の内周間に発生する空間
の全域には、例えばパーライト等の断熱材６を充
填する。（第１図） ［ホ］ 効 果 次に一般の二重殻低温貯槽における緩衝機能と
して要求される項目について説明し、その後、本
発明のコンクリート製二重殻低温貯槽の効果につ
いて検討する。

(1) 二重殻低温貯槽の条件 一般の二重殻低温貯槽に関し、緩衝機能として
次の項目が要求される。

〈Ａ〉 内槽と配管等の温度収縮差による変形を
吸収できること 〈Ｂ〉 内槽と配管等の地震時の変形を制御でき
る事。

〈Ｃ〉 内槽と外槽の地震時の変形を制御できる
事。

〈Ｄ〉 外槽と配管の温度収縮による変形を吸収
できる事。

〈Ｅ〉 外槽と配管等の地震時の変形を制御でき
る事。

〈Ｆ〉 良好な保冷効果および気密性を保持して
いる事。

以上の項目を、本発明のコンクリート製二重殻
低温貯槽について具体的に検討する。

［〈Ａ〉の項目について］ 本発明のタンクは配管Ａ等は同一材料の内蓋３
に固定してある。

しかも、内蓋３と内槽１間に両者の水平方向の
スライドを許容できるよう構成した。

従つて、配管Ａ等と内蓋３は同一状態で温度収
縮による変形を発生するので、配管Ａと内蓋３と
が剥離することはない。

さらに内槽１の支持面１４と内蓋３のスライド
面３４間は、スライド自在に構成するので水平方
向の変形を拘束することがない。

従つて内蓋３の伸縮が内槽１に影響を与える事
はない。

［〈Ｂ〉の項目について］ 配管Ａを垂下する内蓋３の縦キー３３のスライ
ド面３４と内槽１の支持面１４との間、および、
縦キー３３と外槽２の縦ボス２３との間をスライ
ド自在に構成するので、配管Ａ等の地震時の水平
方向および鉛直方向の挙動はすべて吸収される。

［〈Ｃ〉の項目について］ 内槽１と外槽２は一体構造ではなく分離して構
成した。

そのため地震時や温度収縮による変形を相互に
伝達することはない。

［〈Ｄ〉の項目について］ 温度収縮によつて、配管Ａ等を垂下させた内蓋
３が変形した場合でも、縦ボス２３の存在によつ
て縦キー３３のスライド運動が規制されるわけで
はない。

むしろ、縦ボス２３は縦キー３３のスライド時
のガイド的な役割を果しながら、温度収縮による
変形を許容する。

［〈Ｅ〉の項目について］ 地震時の配管Ａ等の水平方向の変形は、縦ボス
２３と縦キー３３の噛み合いによつて吸収され
る。

すなわち、第４図のように縦キー３３の山部が
縦ボス２３側壁に接する空域Ｓ間で変形を許容で
きない場合には、縦ボス２３の側壁を破壊しなが
ら徐々に変形を制御できる。

［〈Ｆ〉の項目について］ 内槽１および外槽２の全周面間に断熱材６を介
在させたので、良好な保冷効果を維持できる。

【図面の簡単な説明】

第１図：本発明に係るコンクリート製二重殻貯
槽の一実施例の説明図、第２図：内槽の閉塞状態
の説明図、第３図：内槽および外槽の開口部分の
閉塞状態を示す説明図、第４図：第３図における
−の断面図。 １：内槽、２：外槽、３：内蓋。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ コンクリート製で密封構造の内槽を、コンク
   リート製で密封構造の外槽内に分離独立して収容
   し、両槽の全周面間に断熱材を介在し、槽に液の
   受入、払出を行う金属製の配管設備や昇降階段設
   備を具備するコンクリート製二重殻低温貯槽にお
   いて、 外槽のドームに開設した開口部の内周面に複数
   の縦ボスが設けられ、 内槽のドームに開設した開口部を気密性を持た
   せて閉塞する金属製の閉塞板の外周面には、前記
   外槽の縦ボスと近似する形状の複数の縦キーが設
   けられ、 閉塞板に前記配管設備や昇降階段設備が一体に
   垂下され、 前記閉塞板が内槽の開口部に水平方向の摺動を
   相互に許容して搭載され、 前記縦キーと縦ボスが、閉塞板と外槽の相互間
   の水平方向の変形を一定範囲に規制するように間
   隔を隔てて対向して配置され、 閉塞板と内槽および外槽の三者間において鉛直
   方向および水平方向の変形を相互に許容して構成
   したことを特徴とする、 コンクリート製二重殻低温貯槽。